西本良太「木工」

momiji1287

ライフスタイルしかり、ファッションしかり、デバイスしかり。ぼくたちの日常がどこかシンプルなものへと回帰しはじめてから、ずいぶんと経ったような気がする。だが、そのなかに本質的にオーセンティックなものをほとんど見つけることができないのは、未だにどこか回帰しきれないぼくの思い過ごしだろうか。彼の作品を手にするとき、いつもそんな想いが頭をよぎる。

momiji0106

西本良太さんは、木材を中心としながらもプラスチック、アクリル板、紙、果てはセメントに至るまで、多彩なマテリアルを用いてヴァラエティに富んだプロダクトに落としこむ、緑豊かな西東京に工房を構えるクラフト作家。建築の図面で用いられる、三次元を二次元で描き出す二点透視図法のシルエットを再び三次元に起こしたウッド・ブローチ、すこし力を入れれば折れてしまいそうな、アクリルを繊細に削り出したしなやかなタッチのリング、水と着色剤をセメントに加え、型に流し込んで丹念に磨き上げた淡く発色する箸置き―—その静謐でシャープなたたずまいの作品群は、いずれも一貫して圧倒的とすらいえる気品を放ちつつ、不思議とやわらかなあたたかみを感じさせてくれる。

momiji0105

だがそんな色とりどりの鮮やかなアプローチを次々と繰り出しながらも、やはり木工作家と呼ばれるのがいちばんしっくりくる、と彼は笑う。

「もともと木工の家具を作る会社にいた、というのが大きいような気がしますね。木だけにこだわらず、身近にあるいろんな素材を使ったりしますけど、ベースになっている技術や知識はそれほど変わらないし、そんなに違うことをやっている意識もなくて。それに、木もそのほかの材料も、なるべく特別なものは使わないようにしているんです。専門の人じゃないと買えないようなものじゃなく、誰もが選択できるもの。そのへんのホームセンターで買ってきたりしますよ(笑)。ベースが個性的であったり、貴重であったりすることにまったく興味がない、というか。だって自分が作っているのは、あくまで普段身に付けるものや、日常で使う道具なので」

この透徹したストイシズムこそが、テクスチャーをフラットに飛び越えたクリエイティヴィティに、自身でさえ無意識のうちに帰結するのだろう。

momiji1288

「箸置きだって、着色剤を混ぜたセメントを固めただけの、ただの立方体ですし。いろんな色が表現できたり、その質感の意外な面白さ自体を毎日使うものの中で出してみたくて作ったものだから、そこで強烈な形はあんまり前に出てくる必要がなくて。ものを、ものとして見たいんです。高い材料だからいい、ってわけじゃないし、安い材料でも面白い素材はたくさんあるから。『これもいいでしょ?』っていう。あらゆることを並列に、平らにしたいのかもしれませんね」

momiji1550

ものの本来の価値とは、社会が暗黙のうちに都合よく定義した相対的な規格のなかに潜むのではなく、ただ対象に真摯に向き合い、その魅力を正しくとらえようとする、後ろ盾のない絶対的な勇気にこそ宿ることに、彼の手はあらかじめ気づいている。どうかもみじ市で、あなたにもこの凛とした奇蹟に出逢ってほしいと強く想う。世界よ、これが正統だ。

【西本良太さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
指輪、箱、家具などを製作する、木工作家です。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
グレーかな。気になる素材もグレーが多いんです。塩ビ管、とか(笑)。黒みたいにきつくもないし、白みたいにはっきりした感じでもないし。どこか、ぼやけたものが好きなのかもしれませんね(笑)。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
最近とくに気持ちが向いていて、いろいろ作ることも多いんですけど、箱でなにかやりたくて。ただの入れ物のはずなのに、どこか惹かれるんですよね。ちょっと小さめのもの、小物入れがいいかな。テーマは単純にそのまま文字通り受け取って、あまりひねらずに、いろんな色のものを作られればな、と。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いてご紹介するのは、もみじ市の“象徴”、tico moonのアルバム・ジャケットなども手がけたあのイラストレーターさんです!

文●藤井道郎

DOM.F..「会場装飾」

もみじ市初日の朝、多摩川河川敷に様々な植物を積み込んだボックス型の軽自動車が一台到着し、ひとりの男性がそこに降り立つ。まだ、テントの設営も始まっていないころ。河川敷は、無言で彼の前に広がっている。そこで彼は何を聞くのだろう。何を見るのだろう。会場に着いた瞬間から、頭の中で渦巻いていた彼のインスピレーションは外に開かれる。彼にとっての、もみじ市の幕が上がる瞬間だ。 

彼とは、小田急線の喜多見駅で「DOM.F..」という名の花屋さんを営む迫田憲祐さんのこと。第1回のもみじ市から、会場の装飾は全て迫田さんとその仲間たちの手によってほどこされている。

迫田さんが事務局スタッフと打ち合わせをすることは、ほとんどない。テーブルを囲み、図面と資料を広げて、「では今回の会場の説明から…」なんてことは、全くしない。直接会って話すことがあっても、迫田さんのお店で立ち話をするくらいで、電話だけですますことも珍しくない。テーマと装飾してほしい場所だけ伝えて、あとはただ「任せる」。それだけだ。どんなものができ上がるかは、当日、完成した装飾を目にするまで、事務局の誰も知ることはない。不可能だ。なぜなら、迫田さん自身が明確な完成像を描いていないのだから。先に頭の中で考えてしまうと、現場で思った通りのものが作れなかったときに、一度イメージを全て壊して組み立て直さないといけないのだそうだ。だから、現場に行って、その場で考える。事務局の誰もが迫田さんのインスピレーションを信頼し、期待している。

domf1

もみじ市が1年なかった間に、もみじ市の運営母体である手紙社は数々のイベントを主催した。そこでも、迫田さんの装飾が会場を彩った。 

domf2

domf3

domf4

例えば「東京蚤の市」。11月に開催された回では、クリスマスにちなみ、もみの木を切り出して会場まで運んだのだそうだ。そしてそのもみの木を、会場の中央に立てた……のではなく寝かせたのだ。そのインパクトは強烈で、会場の中でひときわ存在感を放っていたのは言うまでもない。 

いつも手紙社のイベントに関わってくれながらも、手紙社の中にはまだ、迫田さんとまともに会話をしたことがないスタッフもいるらしい。風のように現れて装飾を仕上げ、完成した後は風のように去っていく(実は会場にいることもあるらしいが、姿を見ることはない)。たぶん、どうやら、シャイらしい。

「いつ話しかけても、『ふーん』『へー』という返事なんだよね。『これは作るの大変だったんじゃないですか?』という質問をしても『まあねー』って。いつもペースが変わらないの。でも、誰よりも早く来て植物を組んでいる横顔は、すごく真剣なんだよね」(事務局M) 

domf5

domf6

前回、2年前のもみじ市のテーマは「末広がり」だった。会場には神社が登場し、迫田さんには入り口に鳥居を立ててもらうようにお願いした。どんなテーマにも対応してくれる、発想の幅の広さ。普段、街角でディスプレイなどの装飾を見かけると、足を止めて観察するようにしているそうだ。努力家。仕事熱心。本人にそんな言葉を投げかけたら、どんな反応をするのだろう。「まあね」と、やはりそっけないのだろうか。

そして今年、事務局が迫田さんに提示したテーマは「カラフル」。装飾してもらうのは、これまでと同じ会場の入り口と、ステージ周りと、手紙の木。(※手紙の木の原稿にリンク貼ってほしいです)ただ、いつもと違うのは、会場が今年から2カ所に増えたこと。そして、ステージの装飾には、ある作家さんが作った、あるもの(今年、最後の紹介ブログで登場します)を使うこと。

「課題が与えられて、楽しいみたい。一年お休みしたことで、もみじ市スイッチが入りなおしたのかも」(事務局W)

はたから見れば無茶なお願いも、しぶしぶ引き受けてくれる迫田さん。「しょうがないな」と言いながらも、心の中では楽しんでくれているのだ。もみじ市を愛してくれていることは、完成した装飾を見れば、誰にだってわかるから。

domf7

もみじ市まで、あと3日。いま、迫田さんの頭の中に渦巻いている様々なイメージ。それがどんな形になって現れるのか、それは、当日になるまでは本人にもわからない。10月19日の朝、2年ぶりに多摩川の河川敷に迫田さんが立つ。そのとき、河川敷はどんなインスピレーションを彼に与えるのだろうか?

ぜひ、もみじ市の会場で、確認してほしい。

【DOM.F.. 迫田憲祐さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
(* ̄ー ̄)y-


Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
(* ̄ー ̄)y-~~~~~~


Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
(*ー_ー*)zzz

さて、続いてご紹介するのは、日本刀のように研ぎ澄まされた木工作品を生み出すあの人です!

文●吉田茜

岡崎直哉 「フジカラー+紙」

雲ひとつない、よく晴れた日。遠くに富士山の姿を見つけると、なんだかちょっとすがすがしい気持ちになる。季節によって表情を変える、美しい円錐型の富士山。遠くに見えただけでも嬉しくなってしまうのは、きっと私だけではないはず。

富士山の美しさに魅せられ、富士山の写真を撮り続けている人がいる。デザイナー・写真家の岡崎直哉さんだ。冬の富士山、春の富士山、銭湯に描かれた富士山さえも、岡崎さんにとっては愛すべき被写体だ。

撮影した富士山の写真は、自ら暗室でプリントし、デザインをし、工作をし、ポストカードにしたり、冊子にしたり……。写真家・岡崎直哉さんの写真を、デザイナー・岡崎直哉さんが加工するわけで、その完成度は非常に高く、「紙の可能性」を感じさせてくれるのだ。

PH7岡崎さん手づくりの箱

今年、『紙をたのしむ工作のアイデア100』という著書を著した岡崎さん。作品を作るときは、できるだけ手で作ることを心がけているという。
「機械のクオリティまではいきませんが、手づくりでも同じくらいのレベルを目指しています。いつの日か機械超えをしたいです!(笑)」

PH6カラフルな箱がたくさん

 今年のもみじ市でも、岡崎さんが自ら作った作品がたくさん並ぶ予定。富士山のポストカードは、ひとつひとつ角が丸く加工されており、ちょっと渋い表情の富士山もかわいらしく見える。“カラフル”な箱の数々も、岡崎さんが組み立てたもの。また、岡崎さんの代表作「カラートラベルガイド」から抜粋された、各地の風景を切りとったポストカードも並ぶ。

PH8カラートラベルガイドから抜粋されたポストカード

カラートラベルガイドは、岡崎さんにしか作れないであろう“トラベルガイド”で、岡崎さんによって切り取られた何気ない町の風景が、見る者になんとも言えない旅情を呼び起こす。岡崎さんの撮る写真は、“瞬間” を切り取っているわけではない気がする。いつも目の前にあって、自然すぎるがゆえにちゃんと見つめられていなかった、ずっとそこにある “時間” を切り取っているのだと思う。何気ない風景だったり、古びた建物だったり。すぐご近所にありそうなそれらを、岡崎さんがましかくのフレームに収めると、それまで止まっていた “時間” が動き出すよう。ブルーがかっていて、美しく計算された構図の岡崎さんの写真は、一見涼しいようにみえるけれど、そこで切り取られているものは、私たちの奥の方にある、あたたかくて、なつかしいものたちを思い出させてくれるのだ。

さて、もみじ市ブログを熟読されている方はもしかしてお気づきかもしれないが、今回、岡崎さんは、ある作家さんとコラボレーションをする。その相手は、陶芸家の小谷田潤さん。

PH1岡崎さん作 フジカラーセットの箱

PH2小谷田さん作 富士山調味料入れ

PH3富士山調味料入れ+箱

 コラボレーション作品のタイトルは「フジカラー」。「富士山」と「カラー」をテーマに、岡崎さんは紙で、小谷田さんは陶器で、富士山とその色を表現している。富士山を愛してやまない岡崎さんが、小谷田さんの器をみて「富士山っぽいな」とふと思ったことから、このテーマに決まったとのこと。

小谷田さんが作る富士山型の調味料入れは、季節や時間によって異なる表情をみせる富士山を、色や雪のつもり具合(色のセパレート)で表現している。ころっとしていてかわいらしく、持ちやすさや使い勝手も考えられたこのかたちは、食卓にすっとなじむ。

その調味料入れがすっぽりおさまる箱を作るのが岡崎さん。見る場所によって異なるかたちの富士山。そのいろいろなかたちをちりばめてデザインされた、カラフルな箱。互いの試作品を持ち寄り、大きさや傾斜について何度も打ち合わせを重ねた。小谷田さんの作る富士山にぴったり合うように計算された箱を、岡崎さんがひとつひとつ作っている。

PH4富士山ポストカード

PH5フジカラーセットのペーパーバッグ

フィールドがまったく異なる2人。今回どうして一緒にやることになったのだろうか。
「小谷田くんの個展で器をみて、いいなと思っていたんです。後日またお会いしたときに、小谷田くんがちょうど発売したばかりの僕の本を見ながら、『もみじ市、よかったら一緒にやりませんか?』って誘ってくれて。もちろん、やろうやろう!って、すぐに決まりました」

PH10無料スタンプもあります

隠れたコラボ作品がもうひとつ。それは、もみじ市当日、岡崎さんが持ってきてくれる季節の富士山スタンプ。そのスタンプを押せる台も、なんと小谷田さんの手づくりなのだ。スタンプはどなたでも自由に押すことができるので、どうか見逃さないよう。

PH9 フジカラーのチームロゴ

今回のコラボレーションに向けて、早い段階からもみじ市に向けて動き出していたふたり。打ち合わせは数回に及び、私も同席させてもらった。
「富士山のこの傾斜が岡崎さんの好みに合うかどうか」
「箱は、小谷田くんのに合わせて作るよ」
「これを全部手で作るなんて、デザイナーの域を超えているよ」
飛び交う会話の端々に、お互いに寄り添う姿勢と、作品への敬意があらわれる。それは、気を遣った言葉でもなく、お世辞でもない、心底相手を尊敬し、信頼していることが伝わる言葉たちだ。
「コラボは、信頼かな」
岡崎さんは、照れながら、でも嬉しそうにそう話してくれた。

もみじ市では、たくさんの素敵な作家さんたちの作品に出会える。その中で作家さん同志も出会い、そしてその出会いで生まれた作品が、次のもみじ市をさらに彩ってくれる。黄色と青が混じり合い、緑が生まれるように。赤と青が混じり合い、紫が生まれるように。ひとつひとつの色が重なって、つながって。9回目のもみじ市は、よりカラフルになって、あなたを待っている。

【岡崎直哉さんに聞きました】 
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
デザイナー・写真家の岡崎です。日本をテーマに、紙雑貨や小冊子などをつくっています。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
やや緑がかったレモン色が好きです。

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。カラフルなフジカラーセットを持って行きます。組み合わせ自由なので、自分好みの富士山をみつけてくださいね! コラボ作品以外にも、たくさんの箱とポストカードを持って行きますので、どうぞお楽しみに!

追伸:小谷田くん。よろしくね!

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いてご紹介するのは、街の小さな花屋さん…とは思えないダイナミックな装飾で私達を驚かせてくれるあの人たちです!

文●高松宏美

高野寛「ライブ」(19日)

風の強い“土曜”の午後がポッカリ空いた
僕はギターを持って“多摩川”へ♪

2008年10月25日、土曜日の午後3時。ギターを持って登場した高野寛さんは、名曲『相変わらずさ』を歌い始めた。並んで聴いていたぼくと渡辺は顔を見合わせて、こう言い合った。
「いま、“多摩川”って歌ってたよね? “土曜”って歌ってたよね?」
ふたりとも、この曲なら歌詞カードを見なくても歌えるほどなのだ。高野さんのさりげない“しかけ”を聴き逃すはずはなく、ふたり同時に顔を見合わせた。

高野寛

もちろん、これはもみじ市での風景だ。ちなみに、本来の歌詞は「土曜」ではなく「月曜」、「多摩川」ではなく「公園」であることは、高野さんの楽曲を愛する人には説明するまでもないだろう。

このとき、高野さんの演奏を聴いていたぼくと渡辺をうしろから見ていた事務局のスタッフによると、“なんとも幸せそうで声をかけられなかった”そうで、正直、あのときは自分たちがこのイベントの主催者であることを忘れていたかもしれない……いやちがうな、自分たちが主催するイベントに、高野寛さんが出演し、歌ってくれたことが、ただ、ただ嬉しかったのだ。

高野さんのことを、「日本のポップ・ミュージック・シーンを語る上で欠かせない存在」と、音楽関係者の人は言う。もちろんそれは間違っていない。しかし、それ以上に、ぼくたちにとって高野さんの音楽は、ぼくたちの人生のシーンに欠かせない存在なのだ。

1990年に発売された『虹の都へ』を聴けば、就職1年目で“希望”しかなかったあの頃を思い出すし(あの頃はまだバブルだった)、1996年の『KAORI』 を聴けば、仕事も恋もうまくいかなくて悶々としていたあの日々を追い出す(今聴いても胸が締め付けられるようだ)。そして、『相変わらずさ』を聴けばいつも、もみじ市のことを思い出す。「散歩ついでにちょっと歌って行くよ」みたいなかっこよさで、ギター1本で歌ってくれた高野さんのあの姿を。

あれから5年。20周年の年に初めてもみじ市で歌ってくれた高野さんは、今年25周年を迎える。2013年10月(つまり今月)からの1年間は、デビュー25周年アニバーサリー・イヤーなのだという。記念するべき高野さんの区切りを、多摩川河川敷で目撃できるということ。きっとその風景は、ぼくたちのこれからの毎日に、人生のシーンに、“お金では買えない小さな宝石”のように刻まれるはずだ。


<高野寛ライブ>

10月19日 15:00〜
川を背にしたステージにて

【高野寛さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
高野寛です。10月でデビュー25周年を迎えて、めでたい盛りです。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
先日虹を見たので「虹色」ということで。

Q3 今回はどんな演奏をしてくださいますか?
25周年中&カヴァーアルバム発売中でもあるので、新・旧・自作・カヴァー織り交ぜていこうかなと思います。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!
通りがかりの方も、足を止めて束の間楽しんでもらえたら。
もみじ市のノドカな雰囲気、大好きです。
晴れますように!

高野寛公式サイト
http://www.haas.jp/

さて、続いてご紹介するのは、富士山と工作をこよなく愛するあのグラフィックデザイナーさんの登場です!

文●北島勲

「公式ガイドブック・オリジナル缶バッジ・もみじ市オフィシャルTシャツ」をご紹介します。

1. カラフルタウンに着いたら、まずは「公式ガイドブック」と「オリジナル缶バッヂ」を手に入れよう!

guide book-1

今年のもみじ市のテーマは、カラフル! 彩り豊かなお店が並ぶその町の名前は、「カラフルタウン」。初めて訪れた皆さんが、この町をもっと楽しめるように公式ガイドブックをつくりました。どんな内容か、ちょっとのぞいてみましょう。

guide book-2

中に挟まれているのは、カラフルタウンのMAP。イラストは出店者でもある西淑さんに描いていただきました。ご、豪華です…。カラフルタウンは出店者さんのジャンルによって、大まかに5つのエリアに分かれます。

全国のカフェやレストラン、パン屋さんなどが集う「レストラン・ゾーン」
当日参加が可能なワークショップも開かれる「スクール・ゾーン」
あなたをカラフルに彩ってくれるつくり手が待つ「ファクトリー・ゾーン」
自らの手で作品を生み出す作り手のお店が並ぶ「マーケット・ゾーン」
第2会場となる京王閣に愉快なものづくり企業が集まる「カンパニー・ゾーン」 

滞在できる時間は、開場から閉場まで長くても5時間! めいっぱい楽しめるよう、会場MAPを片手にカラフルタウンの端から端まで、ぜひ巡ってみてくださいね。

guide book-3

その他にもガイドブックには色んなワクワクが詰まっています。たとえば、こちらは「カラフルスタンプラリー」。会場内の5カ所に置かれたカラフルなスタンプを探して全部押したら、事務局ブースに持って行きましょう。両日先着100名様にシャボン玉液をプレゼント。もみじ市のフィナーレのパレードに、シャボン玉を飛ばしながら参加して下さいね!

guide book-4 
そして、出店者の皆さんに作っていただいたお面がすべて掲載された「カラフルお面コレクション」のページもありますよ。その数なんと、145個! 世界でひとつのお面の数々をどうぞお楽しみください。

この他にも、芝生に座ってゆっくり読んでいただける、もみじ市ならではのコンテンツが詰まったガイドブック、ぜひ手に取ってみてくださいね。

【もみじ市2013 公式ガイドブック】
販売場所:
第1会場・多摩川河川敷 INFORMATION
第2会場・東京オーヴァル京王閣 INFORMATION
*開場前、入場口前でも販売いたします
販売価格:600円 

2.「もみじ市オリジナル缶バッヂ」を作ろう!

kanbadge

また、公式ガイドブックを販売しているINFORMATIONブースでは、tupera tuperaさんのメインビジュアルを使用した「もみじ市オリジナル缶バッジ」が作れるコーナーがあります。お気に入りのキャラクターを見つけて、あなただけのもみじ市バッジを作りましょう!

【もみじ市オリジナル缶バッジづくり】
開催場所:
第1会場・多摩川河川敷 INFORMATION
参加費:300円
*素材のご用意が無くなり次第終了となります 

3. 「もみじ市オフィシャルTシャツ」を着れば、これであなたもカラフル人!

Tシャツ

もみじ市の当日、きっと会場にはカラフルな人々がたくさん集うはず。そんなときに、「カラフルな服を忘れてしまった!」という皆さん、大丈夫です。tupera tuperaさんのビジュアルを使用したもみじ市オフィシャルTシャツをご用意しました。「ブルー」「イエロー」の2色があります。お子様用のサイズもありますよ。真ん中のピンクは、私たちスタッフの色。当日落とし物をしたり、何か困ったことがあったらピンク色のTシャツを着たスタッフにお声がけくださいね!

【もみじ市オフィシャルTシャツ】
販売場所:
第1会場・多摩川河川敷 INFORMATION
販売価格:2500円

コロリダス「ライブ」(20日)

今回のもみじ市のテーマ「カラフル」にこれほどぴったりなアーティストはいるだろうか! 今回ご紹介するアーティストは「コロリダス」。その意味はポルトガル・スペイン語で「カラフル」! ね、ぴったりでしょ!

カラフルは厳密に言うと視覚的なものですが、色彩豊かで、キラキラ光るそのサウンドは、コロリダスが奏でる音色にぴったりの表現です。ボーカルギターのしみずけんたさんの、のびやかな声。サウンドに安定感をもたらすウッドベースのぽんさん。ラテンのリズムを刻むパーカッションの英心さん。コミカルなサウンドを鳴らすトランペットの加藤さん。そして紅一点、キラキラとした音色でバンドを彩るスティールパンの、めめさん。本当にカラフルです。

shimizu

pon

eishin

kato

meme

そして彼らの楽曲は本当に楽しい! 身体が自然と踊り出すような、歌い出したくなる、笑顔になる楽曲なんです。「歌詞に意味はなくて、歌いやすいものを心がけています」とはしみずさん。「うとうと♪だんだん♪とうとう♪うたたね♪」「ジャムパンにジャムパンパ~ン♪」といったように、特に意味はないですが(笑)、親しみやすくて、覚えやすくて、初めて聴いてもすぐに口ずさめるようなものばかり。それに乗りやすいサウンドが加わって、こきげんそのもの!

live1

live2

コロリダスのライブではお客さんみんなが心から音楽を楽しみ、笑顔で踊って、歌っている。そして、演じている彼らが一番笑顔で楽しそうにしている。こんなに楽しそうに演奏をしているアーティストを見たことがないぐらいに! もみじ市でもきっとカラフルでハッピーなステージになるに違いないでしょう!

artistclrds

そして、彼らは20日(日)のライブステージの他に、両日行われるパレードの演奏も担当してくれます! カラフルに着飾ったお客さんたちとコロリダスの音楽が一緒になれば、楽しくないはずがありません! ライブもパレードも参加して、心をカラフルに彩ってください!

<コロリダス ライブ>
10月20日 11:00~
川を背にしたステージにて 

<パレード>
10月19日 15:30~
10月20日 15:00~

スタート場所:tupera tuperaのブース前

【コロリダスのみなさんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
しみずけんた(うたとギター)、ぽん(ウッドベース)、英心(パーカッション)、加藤(トランペット)、めめ(スティールパン)で構成された、コロリダスというごきげんなラテンバンドです。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
バンド名の意味がカラフルということで、遊色(ゆうしょく)です。

Q3 今回はどんな演奏をしてくださいますか?
もみじ市はお子様連れも多いので子どもたちに喜んでもらえるような演奏をしたいですし、オシャレなママもパパも、もみじ市ガール受けも意識していきます! 歌詞にメッセージ性はありませんが、心をマッサージするような演奏をしたいと思います。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!
屋外ライブをした時に雨が降ったことのない晴れ男・晴れ女が集まるコロリダスがやってきますのでお楽しみに!

コロリダス公式サイト
http://coloridas.web.fc2.com/

さて、続いてご紹介するのは、19日土曜日のフィナーレを飾ってくれるあの方です!

文●竹内省二

雑誌『ナチュリラ』がもみじ市にやってきます!

大人ための、自然体でおしゃれな毎日の着こなしを提案してくれる雑誌『ナチュリラ』。皆さんの中でも、愛読されている方は多いのではないでしょうか?

ナチュリラ

そんな『ナチュリラ』のおしゃれスナップ隊が、19日(土)にもみじ市にやってきます! 会場をめぐっておしゃれな方々を発見したら、その場で撮影、ナチュリラに掲載されるかも!? 当日は、ぜひ、カラフルでおしゃれな装いでお越しくださいね! 

 

日光珈琲「もみじ市だよ日光珈琲!」

一度見たら忘れられないTシャツだ。派手な色、というわけではなく、変わった形、というわけでもなく、ベージュ色のシンプルなTシャツなのだが、注目すべきは左胸のワンポイント。「NIKKO COFFEE」の文字があしらわれた円形のロゴマークの下に、男らしい骨太なフォントで「ドリップ」の文字。このTシャツを来た、存在感抜群の男が丁寧に珈琲をドリップしている。この珈琲が、うまくないわけがない。

この男の名は、風間教司。「cafe饗茶庵」「日光珈琲」「日光珈琲 朱雀」のオーナーである。日光と鹿沼の地に新たなるカフェ文化を築いている男であり、カフェという“媒体”を通して、町に新たなる“物語”を生み出している男だ。
「物件の情報を入手したときにまず考えるのが、この地域はどういう場所だったんだろう、ということ。その物件の周辺の状況や時代背景……言って見れば歴史の発掘調査から始めるんですね。そういうものを取り込んで、じゃあここに店を作るとしたらどんな空間にするか、この場所でどんな物語を紡いで行けるのか、というのを考えて行く。それが楽しい」

nikko_2
日光珈琲がある場所は、かつて宿場町として栄えた今市の繁華街から、小さな路地を入ったところにある。古い木造の建物を改装したこの場所は、かつては連れ込み宿だったという。
「部屋が細かく区切られていて、どの場所も囲われているような、秘密めいた空間でした。その雰囲気を生かしたかった。元から入っていた色ガラスを活かして、色気のある空間にしようと。裏通りにひっそりとある、大人のカフェに」

nikko_1
実は今、風間さんは4軒目となるカフェを建築中。その場所は、日光東照宮に近い、“日光の中の日光”だ。
「大正天皇の御用邸につながるメインストリートだったんです。御用邸の馬車が通る道。その道沿いにある、かつて商家だった建物が新しいお店で、大正の時代の雰囲気を残しています。だから、大正、昭和に使っていた什器を使って、重厚でクラシカルなイメージに仕上げたいと思っています」

カフェの空間やメニューは媒体に過ぎない、と風間さんは言う。そのカフェが出来たことによって、地元の人でさえ忘れていた町の歴史や魅力に気づいてくれるのが嬉しいと。実際、風間さんがこれまでに蒔いて来た種は、豊かな実りをもたらしている。cafe饗茶庵がある鹿沼の街は、饗茶庵が出来たことによって、若者たちがこぞってカフェや焼き菓子店、レストランを開く、賑わいのある街となった。月に一度行われる「ネコヤド商店街」(鹿沼のお店を中心に、県内のお店が数多く出店するマルシェ)は、いまや県外からもお客さんがやってくるイベントだ。仕掛けたのはもちろん風間さんである。

とはいえ、そのカフェが“ただのカフェ”であれば、”媒体“にはならないであろう。空間の素晴らしさ、提供するメニューのクオリティの高さ、とりわけ、風間さんが自ら焙煎する珈琲の旨さを知れば、カフェとして一流であることこそが、そのカフェが良き媒体でありうる条件に他ならないことがわかるはずだ。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
日光珈琲のロゴマークには。3つのものが描かれている。いちばん上にあるのは「NIKKO COFFE」の文字。その下に描かれるのは、日光連山をイメージした山々。いちばん下に描かれているS字型の曲線は、日光例幣使街道やいろは坂、大谷川など、“流れるもの”をイメージしている。かつて宿場町だった日光市今市は、いろんなひとが流れて来て、交差して、また帰って行く場所だった。自分の店もそうでありたい、と風間さんは言う。
「店のコンセプトを、こちらから前面に出すようなことはしたくない。カフェは集まった人の“色”によってつくられるから。お客さんによってお店のイメージは作られて行くもの。いろんな人やものが交わって生まれゆくものを見つめるのが楽しい」

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
地元鹿沼市では、「いずれは市長に!」という、決して冗談とは取れないような声が上がって来ている。実際、最近は市や県から声がかかることも増えて来た。しかし風間さんは「市長は飾りになっちゃうからいや。自分で自由に動きたいから」と笑う。4軒のカフェを切り盛りするようになっても、きっと風間さんは変わらない。どこかに面白そうな“物語”がひそんでいることをかぎつけたら、フットワーク良く、どこへでもかけつけるはずだ。当然のことながら、今週末、多摩川河川敷で紡がれる「もみじ市」という名の物語へも。

少し肌寒くなって来た河川敷に、いれたての珈琲の香りが漂って来たら、それは風間さんがやって来た証拠だ。目印は、日光連山と日光の山川が描かれたロゴマーク、そして「ドリップ」の文字だ。

【日光珈琲 風間教司さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
毎度お馴染み、日光珈琲です。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
情熱の「赤」ですかね?

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
自家焙煎珈琲
自家製3色スコーン
さつきポークのカラフル挽肉ごはん
実はまだ残ってました! 氷室直送、日光天然氷のカラフルかき氷

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いては、誰もが楽しい気分になれる音を鳴らすあの人たちです!

文●小木曽元哉

コトリンゴ「ライブ」(20日)

コトリンゴさんの音楽は、光の雨。それは、晴れた日の木漏れ日のようでもあり、柔らかく優しい雨のようでもある。そのピアノと歌声に、わたしたちは何度も勇気づけられてきました。青空の広がる多摩川河川敷で、遠く北海道のニセコの森の中で、降り止まぬ雨の中でのステージでさえ、コトリンゴさんの歌声が響くと、キラキラと光る音の粒が降り注ぎ、顔を上げて笑顔になれる。今日という一日を愛おしく感じる。そんな音楽。

kotringo
コトリンゴさんは、ピアノの弾き語りを中心とした楽曲を手がける女性シンガーソングライター。2006年にデビューし、オリジナルからカバー曲まで幅広く手がけながら、坂本龍一さん、伊藤ゴローさんなど数々のアーティストとコラボレーションするなど、多彩な活動を行っています。ピアニストとしても一流の演奏に、柔らかく浮遊感のある歌声が重なるサウンドは、聴く人の心を晴れやかにしてくれる魔法の音。これまで、もみじ市はもちろん、森のカフェフェスやパンフェスなど、手紙社のイベントでは何度もその素晴らしい歌声を聞かせてくれました。しかも、コトリンゴさん自身、会場でおいしいものを見つけたり、お気に入りの雑貨を選んだりと、イベントをとても楽しんでくれているのだからうれしいものです。

なかでも、わたしが忘れることができないのは、しとしとと冷たい雨に見舞われてしまったパンフェスでのライブ。雨天での開催とあってスタッフの疲労もピークの中、コトリンゴさんのライブが始まったとたん、会場の空気がふわり…と優しくなりました。ぽとり、ぽとりと落ちる雨粒と呼応するように、指先から奏でられるピアノの音。優しい歌声がステージに響き、そっと背中を押されたような、じんわりと温かい気持ちになったのを覚えています。最後に歌ってくださったのは、コトリンゴさんの代表作「こんにちは、またあした」。日常の中で大切な人と交わす当たり前の会話を綴ったこの曲は、晴れた日も曇りの日も雨の日も、確かにそこに”幸せ”があることに、気づかせてくれました。

もちろん、今年のもみじ市は晴天を願ってやみません。だけど、わたしたちの人生には晴れた日もあれば雨の日もある。そのどちらにも寄り添い、さりげなく、だけど確かな光を与えてくれる。コトリンゴさんのピアノと歌声には、そんな力があるように思います。

もみじ市にあのピアノの音が響き、空から降り注ぐ光のように温かく、優しい声に満たされる。その瞬間、誰もがきっとこう思うに違いありません。「なんて素敵な一日なんだろう」と。コトリンゴさんのライブは20日(日)の13:30〜。フィナーレの近づくもみじ市のひとときを、光あふれる音楽で彩ってくれそうです。


<コトリンゴライブ>

10月20日 13:30〜
川を背にしたステージにて

【コトリンゴさんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
コトリンゴです。

Q2 今回のもみじ市のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
赤か、白か、ブルーですが、秋になって、秋っぽい色も恋しくなってきました。

Q3 今回はどんな演奏をしてくださいますか?
ピアノで弾き語りです。秋っぽい曲を選んでゆこうかなと思っています。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!
演奏しない時でも、いつも楽しみにしているイベントなので、お店に音楽に、ぜひ思いっきり楽しんでください!

コトリンゴ公式サイト
http://kotringo.net/

さて、続いてご紹介するのは、日光の街からやってくるあのカフェです。

文●増田 知沙

空気公団「ライブ」(20日)

『おはよう通りに 今日だけの朝が来た
 電車はぐるりと 今日の街をたずねている』

これは、空気公団の「おはよう今日の日」の冒頭の一節の歌詞。空気公団の曲のなかでも、私にとってはとても特別な曲だ。ちょうど二年前の「今」、私がもみじ市当日の朝までずっとずっと、繰り返し、朝のBGMに聴いていたのが、この曲だった。初めてのもみじ市事務局。ずっと前から大好きだった空気公団の担当をさせていただくことになり、実際にお会いして、いつもはヘッドホンの向こうにいた、彼らに取材をした。取材のときは、メンバーの方が三人とも来てくれていて、ゆっくりいろいろなお話をしてくれた。聞きたいことは山ほどあったのに、緊張して聞けなかったこともたくさんあった。彼らは、真剣に、真剣に、空気公団の楽曲作りのことなどをたくさん話してくれて、空気公団の一つひとつの曲が、とても繊細で丁寧である理由が、その時にわかった。緊張した取材を終えて、いよいよ紹介文を書こうというとき。私はもみじ市の一週間前だというのに海外へ旅に出てしまった。だから、帰りの朝の飛行機のなかで、この曲を何度も聴いて、シートに備え付けの小さなテーブルの上で、文章を書き上げたのだった。 

静かな朝。電車はゆるやかに発車し、少しずつスピードを上げて走り出す。電車に揺られながら、これから始まる一日を思っている。「おはよう今日の日」は、そんな風景を連想させるような、ピアノの旋律から始まる。今日は、いったい何が起こるのだろうか。同じ今日は二度と来ないから、いつだって毎日が、特別でぴかぴかの今日。だから私は、一日の始まりにいつもドキドキしている。

もみじ市当日の朝は、ほんとうに美しい。まだ人もまばらな京王線に乗って、京王多摩川駅に降りると、「あ、あの子がいる」ともみじ市Tシャツを着たスタッフの子を見つけ、元気に声をかける。

「おはよう!」

駅を降りると、まだ太陽は隠れているけれど、空にはもう、明るい光が漏れ出していて。あと、もう少しで、太陽がこの多摩川河川敷を照らして、私たちの今日が始まるんだと実感する。それから大きく深呼吸して、新鮮な空気を、体いっぱいに感じる。

今でもとても鮮明に、あの空気を思い出せるのだ。あれは間違いなく、私にとっても、みんなにとっても、「今日だけの朝」だった。

空気公団は、1997年結成に結成されたバンド。メンバー交代を経て、現在は、歌・作詞・曲を担当する山崎ゆかりさん(空気公団代表)と、ベース・ギター・録音を担当する戸川由幸さん、鍵盤楽器・編曲を担当する窪田渡さんの3人で活動している。音源制作を中心に活動しながら、スクリーンの裏側で演奏するライブイベントや、音楽を聴きながら作品を楽しむ展覧会「音の展示」等、様々な公演をしていて、いつもその創造的な空間にうっとりとしてしまう。

kukikodan_ProfilePhoto_1_2_WEB

昨年11月には、アルバム「夜はそのまなざしの先に流れる」が発売されたが、そのレコーディングの方法がまた、独特であった。実際にお客さんの前で、そのアルバムの収録曲を曲順に演奏し、同時に録音を行う、というものであるが、アルバムを作るのに、役者8人がステージ上をかけまわり、ダンスをしていたりするのだ。 

空気公団の紡ぐ音楽は、とても詩的だ。それは、山崎さんの歌詞が詩的だから、ということだけではなく、楽器による風景描写や、音の質感が、とっても詩的だから。春の晴れた日のように、ふわっとあたたかい空気を感じる曲もあれば、冬の雨の日のように、ひんやりつめたい空気を感じる曲もあって。朝の清々しい光にぴったりなときがあれば、夜のしっとりした静けさにぴったりなときもあって。イントロが始まり、やがて山崎さんのつぶやくような歌声が聴こえて来ると、日常のなんでもない風景も、なんだか特別な風景のような気がしてくる。

もみじ市当日の朝も、私はきっと「おはよう今日の日」からスタートするだろう。きらきらした朝を、その曲に閉じ込めるように。もみじ市の記憶と、空気公団の音楽が、今年もそっと、重なっていく。

『おはようのあいさつにあわせて ぼくらの今日が始まっていく 
 通りに新しい風が待っている おはよう今日の日』

空気公団が、またもみじ市にやって来る。

<空気公団ライブ>
10月20日 12:15〜
川を背にしたステージにて 

【空気公団のみなさんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
空気公団と言います。もみじ市に参加するのは2度目です。
前回もそうでしたが、とても楽しいイベントにまた参加出来て本当にうれしく思います。

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
今の空気公団は水色か白色です。空か海か。誰かが何かを描くことが出来る白い紙か。

Q3 今回はどんな演奏をしてくださいますか?
空気公団3人にドラムをプラスした4人編成で演奏します。空気公団初代ドラマーを迎え、懐かしいものから新作まで演奏します。

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!
空が広がり、遠くに電車、たくさんの笑顔、もみじ市は小さな街みたいです。空気公団の音楽がその街で流れるのを想像するととても楽しみです。

空気公団公式サイト
http://www.kukikodan.com/

さて、続いてご紹介するのは、透き通るような歌声をもみじ市の会場に響かせてくれるあの人です!

文●池永萌