ジャンル:ILLUST&DESIGN

ニシワキタダシ

【PROFILE】
ゆる〜いキャラクターと、思わずクスッと笑ってしまう絶妙な言葉の組み合わせが人気のイラストレーター。関西弁の言葉を独特のシチュエーションで解説する『かんさい絵ことば辞典』(パイ・インターナショナル)をはじめ著書多数。これまで私(担当:大橋)は、トークショーで何度も聞き手をさせていただいていますが、会話の絶妙な切り返しにもニシワキさんテイストが満載。イラストや言葉以上に、その人柄にもファンが多いのがうなずけます。
http://www.smoca-n.com

【商品カタログ予習張】
豆せん(5種類)。まめまめサイズに、スルーできない言葉遊びがたまりません。 マスキングテープ(おじさん) 。おじさんが…でんぐり返り! マスキングテープ(しりとり)。思わず二度見してしまう言葉の連続です。ロールふせん(どうぶつ) 。コメントを書くところにもニシワキさんらしさが。ロールふせん(おじさん)。色んなポーズ&表情で、おじさんファン必携です。おじさんのぬいぐるみ。ちょこんと座らせることができるのがポイント。しりとりのカレンダー 。毎週「次は何かな?」と見たくなっちゃいます。『かんさい絵ことば辞典』 。ニシワキさんの入門書とも言える一冊。『えBOOK』 。ニシワキワールドにどっぷりつかれる作品集。ポストカード。レトロ印刷の蛍光カラーやカスレの風合いもいい感じです。

【スペシャルインタビュー「じわじわハマること間違いなし! イラストレーター・ニシワキタダシさんの魅力」】

ゆるーいキャラクターとクスッと笑える言葉の絶妙な塩梅で、独自のワールドを作り出すイラストレーター・ニシワキタダシさん。現在のスタイルがどうやって生まれたか、これまでの道のりやアイデアの秘密をうかがいました。

イラスト+言葉の独自のスタイルができるまで

——ニシワキさんは、2011年のもみじ市で初出店され、この年は「もみくじ」というおみくじ企画のビジュアルも手がけていただきましたね。今や常連の作家さんとして毎年楽しみにされている方も多いと思いますが、これまでのもみじ市を振り返っていかがですか?

ニシワキ:初めての出店のときは、とにかく緊張していましたね。自分よりずっと活躍されている方や、イラストとは全く違うジャンルの作り手さんが集まっていたので…。でも今は、毎年お隣ブースで出店させてもらっているえちがわのりゆきさんをはじめ、もみじ市で繋がった作家仲間の人たちと、年に一度一緒に楽しめるイベントです。

テーマ“ROUND”に合わせて描いてくださったおじさん。いつもながら、開脚が見事です。

——初登場の2011年は、代表作でもある『かんさい絵ことば辞典』が発行された年でもありました。ニシワキさんの作風を決定づけた1冊だと思うのですが、ここに至るまでにはどんな作品を描かれていたんですか?

ニシワキ:絵を描く仕事に就きたくて、最初は求人雑誌の専属イラストレーターをやっていたんです。そこで、印刷物になるまでのプロセスや、自分の描いたものが世に出るということを経験することができました。3年ほど働いてフリーランスになったのですが、求人雑誌で笑顔を描きすぎたんですかね…(笑)。しばらく無表情なキャラクターとかが多かったですね。

——たしかに、求人雑誌って「明るく笑顔で」ってイメージです。

ニシワキ:そんな中で、「明るく笑顔で」ってだけが “かわいい”じゃないなと思って。しょんぼりして無表情だったりしても、シチュエーションやポーズ一つでかわいく見えるのにな、と思ったんです。

——なるほど…! 今のイラストの作風に通じるものがありますね。

ニシワキ:自分のタッチが確立したのは、おっしゃっていただいた通り『かんさい絵ことば辞典』でした。自身のWEBでコツコツと更新していたものを1冊にまとめたのですが、6年間連載していたので、イラストは200点以上あったんです。初期の頃の作品はタッチが変わったものもあったので、書籍化にあたり全部描き直しました。そしてこの本がきっかけで新たな仕事や企画をいただくようになって、イラストと言葉を使うスタイルが定着しました。

ニシワキさん流「ゆるい」「かわいい」「おもしろい」のさじ加減

——イラスト自体もなんともゆるかわいいですが、じわじわ笑える言葉との組み合わせが、唯一無二のニシワキワールドですよね。どうやって考えているんですか?

ニシワキ:日常生活のふとした時に思いつく場合もあるし、漫画だったら、描きながら浮かんでくることもあるし、両方ですね。

——昨日、ニシワキさんがSNSにアップされてたカレンダーの絵柄、なんでしたっけ? あの、変な髪型の……。何の髪型でしたっけ?

ニシワキ:軍手のことですか?

——軍手(笑)!!

これが例の……。

ニシワキ:「ぐんてがモチーフのかみがた」ですね。

——軍手って、普通出てこないじゃないですか。でも誰でも知っていて、なんかおかしさがある。こういう“響きもモノ自体もなんかおかしい単語”っていうのをストックしてるんじゃないかと思ったんです。

ニシワキ:たぶん、自分の中の基準みたいなものはあると思います。このカレンダーはしりとりになっているので、例えば「ぐ」で始まる言葉を考えて、ちょうどいい言葉を自分の中で探すんでしょうね。ねらいすぎてもおもしろくないし、普通すぎると引っかからないし……。

——ニシワキさんのおもしろさって、ねらった笑いじゃないですもんね。後からじわじわ来るというか。

ニシワキ:はい、やっぱり、すべりたくないんで……(笑)。ちょうどいい塩梅のワードを探します。でも、基本クスッと笑えるものが好きなので、好きなものを作品に取り入れられている、というのは楽しいですね。

——その微妙なさじ加減って、自分を客観的に見てないとできないですよね。

ニシワキ:そうですね。自分の仕事を別の自分がチェックしている、という感覚はいつも持っていたいなと思っています。世に出るものを描いているということは、それを出した時に反応があるということで、その反応によって次の方向性が変わってきたりしますから。

——なるほど。『かんさい絵ことば辞典』がニシワキさんの作り手としての方向性を示してくれたように、今描いているもの一つひとつが、きっとこれからのニシワキさんを形作っていくんですね。今年のもみじ市では、どんな作品をお持ちいただけますか?

ノートと言いつつも、全体の1/3くらいをイラストが占めるという「nandemonai note」。もみじ市で初お披露目だそう!

ニシワキ:著書やグッズをはじめ、出来上がったばかりの2018年カレンダーもお持ちします。53週分、毎日ブツブツとキーワードを探して描きあげたものですので、楽しんでいただけたらうれしいです。また、新しく作った「nandemonai note」というノートは、もみじ市で初お披露目となりますので、ぜひ手にとってみてください。今年も、本など商品をお買上げいただいた方にイラストサインもさせていただきますので、どうぞ楽しみにお立ち寄りください!

〜取材を終えて〜

お会いするたびに思うのですが、ニシワキさんは、一つひとつの質問や感想に丁寧に答えてくれるとっても生まじめな人。そのまじめさと、作品のゆるーいおかしさとのギャップがいちいち面白く、ますますファンになってしまうのでした。ちなみに、記事では割愛しましたが、ニシワキさんの1日の過ごし方もなかなかユニーク。お話するチャンスが訪れたら、ぜひ聞いてみてくださいね(大橋知沙)。

【もみじ市当日の、ニシワキタダシさんのブースイメージはこちら!】

実際にブースに座っているのは、おじさんではなくニシワキさんです。ぜひ会いに来てくださいね。