ジャンル:CRAFT

wakastudio

【PROFILE】
陶芸作家・石川若彦さんがパートナー綾子さんと制作している陶器を送り出しています。1960年彫刻家の長男として文京区本駒込に生まれた若彦さんは、1990年に益子町に移住したのをきっかけに陶芸を中心とした造形活動を開始。自ら作り上げた住居と工房、ギャラリーを拠点としています。轆轤(ろくろ)を使いはするけれど、手びねりでの造形が、やはり面白いと言います。wakastudioの仕事は“手でつくる”ことへの讃歌です。地元の陶器市では陶器だけでなく鳥も焼いて(一応焼きもの?)提供しているほどの若彦さん。その器は食との相性抜群。シンプルで洗いやすい小皿は私(担当:小池)の家でもヘビーローテションです。
https://www.instagram.com/wakastudio/

【商品カタログ予習帳】
粉引 碗

黒 角鉢

黒 たいこ鉢

黒 マグカップ

黒 デミカップ

粉引 角鉢

粉引 カップ

粉引 そば猪口

粉引 手付鉢

【スペシャルインタビュー「居心地が良いもみじ市」】
益子の工房で陶器を制作し続け、もみじ市誕生にも強い影響を与えた唯一無二の作家・石川若彦さんにお話をうかがいました。

益子ではじまったものづくり

ーーーはじめてアトリエにお邪魔しましたけど、ご自宅も含めてこれだけのものをご自身で作られるとは、恐れ入ります。
石川:そうか、はじめてだっけ? 前も来ている気がしてた。もちろん大工さんと作ってはいるんだけどね。できて雑誌に取り上げられた頃とは景色が随分変わった。あの頃「畑」と称していた場所が今や藪みたいになってるし、10数年の歳月を感じます。庭の中心にある月桂樹もすっかり大きくなった。

中庭の月桂樹

ーーー木々の中に馴染んでいるという印象です。もともと益子には縁があったんですか? 東京の割と中心部(本駒込)ご出身ですよね。
石川:益子に姉がいたんだよ。僕は東京の広告会社で働いていたんだけど、物をつくることがしたくなって。当時はデザインの仕事でも手で絵を描いたり、文字をつくったりできて、それなりに面白かった。でもちょうど僕が30歳になるころにMacが導入されはじめて、そういう仕事ならもういいや、と(笑)。それでアヤちゃん(パートナー・綾子さん)と益子に。

ーーーということは、陶芸がやりたくて益子に移り住んだのではなく?
石川:“ものづくりをしたくて”移り住んだ場所が益子だったから、陶器づくりをやりはじめた。

ーーーそれはなかなか豪快ですね。
石川:最初は大変だよね。益子という土地柄とはいえ、誰かに教わったわけじゃないから。常に試行錯誤。自分で開拓していっている感じかな。だから、なんというか、いつまでもプロじゃない気がしているね。

自宅の敷地内には、こちらも自らつくったギャラリーが

作品の礎になるもの

ーーーそんな意識でいらっしゃるとは。ご自身で開拓する中で、制作のヒントはどこから得ているんですか?
石川:他の人の陶芸作品からイメージ膨らませることはほとんど無いな。どちらかというと、インテリアの本だったり、美術やデザインの本だったり、あと、料理の本を見たりする方が多いかな。

ーーー料理は若彦さんの作品とは切り離せないですね。
石川:美味しいものを食べる、美味しいお酒を飲む、そのために生きているでしょ? 美味しいものをさらに美味しく食べるためには使う器が大事だよね。料理を美味しく食べるために、それに最適な器をつくりたい。そして使うものが使いにくかったら嫌じゃない? だから使い易さは意識していますよ。

轆轤(ろくろ)もまわします

もみじ市、2人で楽しんでいます

ーーー若彦さんのカップで飲んだ日本酒、最高でした。もみじ市にも美味しいお店がそろっていますが、食べていますか?
石川:自分のブースからなかなか動けないから、あまり自分で買いに行ったりはできないんだけど、お客さんが買ってきてくれる(笑)。あと栃木のお店も多いでしょ。実店舗に行ったこともありますよ。

ーーーそうなんですね。もみじ市、若彦さんにも楽しんでいただけて嬉しいです。
石川:もみじ市は郊外だけど東京での出店になるし、気は引き締まるんだけど、居心地良いよね。どうしても公募をして審査のあるイベントだと、周りの出店者もギラギラしているというか、変に力入ってたり流行ばかり追ってしまってたりするから。もみじ市はそんなことはなくて、スタッフも昔から知っている人多いし、これからも出たいですよ。急に審査とかはじめたら面倒だから出ないけど(笑)。

ーーー何かつくりたい、という意味では、今は作陶以外のことできていますか?
石川:今はなかなかできないな。注文もコンスタントに入っているし、今年は間も無く茨城県陶芸美術館での展示も控えているし。仕事で陶器つくることと、遊びで絵を描くこと、どちらも日常のことだけど、それくらいだね。

ーーーそんな中でももみじ市に限定の作品をお持ちいただけるとか。
石川:最近やってなかったんだけど、色を入れたものや遊びのあるものを。そんなに数は用意できませんが、もみじ市限定でつくっています。ブースはどうしようかな、もみじ市だからまたテーマを組み込んでつくるかも。

新作の焼き上がりはもう間近

ーーー石川若彦さん、どうもありがとうございました。作品だけじゃなく、いつも出店ブースの建具から見所になっています。若彦さんと綾子さんのコンビ技、楽しみです!

無垢里での個展にて

〜取材を終えて〜   
石川夫妻にお会いするといつも、自分が息子か弟か、そんな気分に錯覚させてくれます。ご自宅には子どもたちが自由に絵本や児童書を読むことができる文庫があり、リビングは、誰かがいつでも訪れてくつろげるということを前提につくられていました。それだけふところ深く誰にでも愛情を注ぐことができるからこそ、素晴らしい器の数々を生み出すことができるのだと改めて感じました。(手紙社 小池伊欧里)