ジャンル:OYATSU

WOLD PASTRIES(15日)

【PROFILE】
東京都町田市、のどかな風景の広がる場所でWOLD PASTRIESとこ鰤岡和子さんのお菓子は作られています。自宅の傍に建てられた4畳半ほどの工房では、イベントやオーダーで注文のあったお菓子を、その都度焼いて届けています。売るためのお菓子ではなく、美味しいと思ってくれる人を思い浮かべながら作っているそう。実は甘い物があまり得意ではない鰤岡さん。だからこそ、相手が美味しいと思うお菓子を研究し、素材の良さを感じられるお菓子を作り出しているのです。口当たりがよく、ついつい食べ進めてしまい、気が付いたら無くなってしまうほど夢中になります。
https://www.instagram.com/woldpastries/?hl=ja

【商品カタログ予習帳】
洋梨&カシスタルト

ラベンダー&カルダモンクッキー

胚芽クッキー

エスプレッソクッキー

レモンポピーシード&クリームチーズパウンド

アプリコット&ホワイトチョコタルト

【スペシャルインタビュー「自然体なお菓子を作りたい」】
自然溢れる町田市のはずれで、お菓子作りをしているWOLD PASTRIESの鰤岡和子さん。ご自宅兼アトリエにお邪魔して担当:上野樹がお話を伺いました。

お菓子作りって楽しい!

ご自宅の前は広々とした田んぼが見えます。

ーーー元々お菓子作りをなさっていたんですか。
以前は、美容師をしていました、3年くらい。そのとき丁度カフェブームで、休みの日は友達とカフェ巡りをしていましたね。漠然でしたけど、カフェをやりたいなと言う思いが芽生えました。カフェをやるにはお菓子くらい作れないとなと思い立ち、美容師を辞め、カフェレストランで働き出したんです。

ーーー美容師から! すごい転身ですね。
最初はホール作業のみだったんですが、だんだんとお菓子作りに携われるようになり、「カフェよりも、お菓子作りの方が楽しいかも!」と思い、町田の平屋をお店に改造してテイクアウトだけのお店をオープンしました。縁側からお客さんが入ってくるようなお店を始めたのが、お菓子屋としてのスタートです。

ーーーいいですねぇ。そのお店はどのような経緯で始められたのですか。
当時平屋が5軒くらい並んでいる中の1棟に住んでいたんです。その時、すでにカフェは辞めていて仕事はしていなかったんですが、一緒に住んでいた主人に「自分でお店やっちゃえば」くらいの軽い感じで言われたんです。そこで大家さんに相談したら、快諾してもらって始めたんです。でも大家さんには最初、こんなところ誰も来ないわよって言われていたんですけど。そこで5年ほどお店を開いた後に、主人が東林間の物件を探してきて、家具屋をやりたいって言い出したんです。ただ広い敷地だったのでカフェも一緒に始めようとなって、そこでは5年くらいお店をやりました。

味の組み合わせを想像しています

ーーーお菓子作りを続けてこれたのは、やはり楽しいからでしょうか。
さっき話していたカフェでの修行時代、お菓子作りを教えて頂いた方がいるんです。その方は、私が勝手に師匠と仰いでいるのですが、音大を出た後グラフィックの事務所を経て、ロンドンへ料理の留学をするほど研究熱心な方なんです。その方の研修を受けに行ったり、一緒にお菓子屋さん巡りをしていましたね。その方の影響がとても大きくて、お菓子作りにはまってしまいました。

ーーー素敵な方に教えて頂いたんですね。
そうなんです。だけど私、実は甘いものが苦手なんですよ(笑)。お酒が好きなので、あんまり食べられません。

ーーーええ! 苦手なのですか!
なので、味見や勉強のためには食べますが、少しでいいんです。お酒の飲めないバーテンダーみたいな。お菓子が好きっていうよりも、本当に作るのが好きなんです。あれとこれを組み合わせたら美味しそうだなぁとか想像するのも好きです。

元気いっぱいの娘さんと鰤岡和子さん。

ーーー味の組み立ての想像がお得意なんですね。
プライベートでレストランに行った時なんかも、意外な組み合わせがあったりするでしょ。これとこれ!? みたいな。少しサプライズのようなものとかね。これは仕事にも使えるな、というのを意識的に勉強していますね。

ーーー実験のようですね。
でも私のお菓子作りって結構ざっくりしたところがあって。分量とかも「こんな感じ!」「これくらい!」というのが多くて。以前お店で一緒にやっていた子が製菓学校出身だったのですが、その子にちゃんと測ってもらっていました(笑)

ーーー以外な事実を教えていただきました!
以前勤めていたカフェはカルフォルニアの雰囲気のお店だったんです。お菓子もニューヨークチーズケーキとか、チョコチップクッキーとかが多かったです。実はそういうお菓子が私は苦手で…どんなお菓子を作っていこうかと考えた時にフランス菓子が好きだったので、見た目の派手さはないかもしれないけど、頬張った瞬間に「わぁ美味しい」と思えるような繊細な小さなお菓子を作ろうと決めていました。

ーーーそれが今の焼き菓子につながっているんですね。
生のお菓子も作ろうかとは思っていたんですが、生クリームが特に苦手で。ショーケース無し、冷蔵無しで始めたので、焼き菓子と、焼きっぱなしのタルトとかだけでしたね、最初は。でも生のものも要望があれば作ります!

楽しみにしている人たちのため作り続けたい

ーーーイベントでお菓子を販売することはもみじ市以前もされていたんですか?
それまで経験がありませんでした。10年くらい前は、野外のイベントでお菓子を売ったりするイベントが無かったんですよね。初めてもみじ市に呼んでもらって出た時には、驚きました。河川敷という場所でお菓子がズラーッと並ぶ光景が新鮮で。イベント慣れなどしていなかったので、何をどうすればいいのかわからなかったです。いろんなところから、ワーっとお客さんの手が伸びてきてあたふたしていました。作る量もわからなかったので、ものの1時間ほどで完売してしまいました。

ーーーあっという間の初参加だったのですね。出店のきっかけは何だったのでしょうか。
町田の平屋でお店をやっているときに、北島さん(現・手紙社代表)、渡辺さん(現・手紙社取締役)に来て頂いたんです。その時は普通にお客さんとして来てもらったのですが、後にもみじ市の出店のご連絡が来ましたね。お店が出来てまだ間もなかった頃で、HPも有りませんでしたし、どこで知っていただいたのかわからないくらいでした。

お菓子作りでいつも使っている道具の数々

ーーーそういったご縁があったのですね。今年のテーマは“ROUND”ですが、何か考えていらっしゃいますか。
丸っこいお菓子がいいかもしれないですね。丸いお菓子、丸いお菓子、そう考えるとお菓子って結構丸いですよね(笑)。タルトとかバームクーヘンとか。何か考えていきます! 丸、円、まるいお菓子…

ーーー楽しみにしています! なかなかWOLD PASTRIESさんのお菓子を食べられる機会は無いので、みなさん心待ちにしていると思います。
そういってもらえると嬉しいです。有難いことに前のお店のお客さんなどが調べてくれて、よくお菓子を買ってくれたりしているんです。今はインスタを見てくれて、遠方の方でもお菓子を食べたいと言ってくれますから更に嬉しいですよね。この前も韓国からお客さんが来てくれたりして。ここの場所に移ってきて、滅多にお客さんなんて来てくれないだろうと思っていたんですが、食べたいと言ってくれる方がたくさんいて、その人のために作っているといっても過言ではないですね。

ーーー待ってくれている人たちへのお菓子なのですね。
お店をやっている時って、店頭に並ぶお菓子をどうしても作らなくちゃいけなくて忙しなく働いていたんです。それをお店ではなく、イベントの時とか求められた時に作るようになったら、自然なお菓子が出来上がってきたんです。無理せず自然体でいること、食べてくれる方を思い浮かべながらお菓子を焼いているのかもしれません。

ーーーWOLD PASTRIESの鰤岡さん、どうもありがとうございました。

〜取材を終えて〜
WOLD PASTRIESさんのお菓子は東京蚤の市で食べていた時から、素材の味が感じられる、なんて優しい味わいのお菓子なんだろうと思っていました。実は甘いものが苦手、でも作ることが好きだと話す鰤岡さんはお菓子作りの毎日を本当に幸せそうに語っており、その美味しさの秘密、隠し味の一部を感じることが出来ました。一つずつ丁寧に作られる鰤岡さんのお菓子を頬張れば、お口の中に幸せが広がります。みなさん、もみじ市でWOLD PASTRIESのお菓子をゆっくり味わってくださいね。(手紙社 上野樹)