
何を隠そう私はガイドブックに目がない。大学時代は観光を学ぶゼミに所属し、あるときはまだ観光地とは呼べない場所のガイドブックづくりをしたり、卒業論文では、日本と海外のガイドブックをテーマに取り上げました。そんなガイドブック通(!?)を自認する私が、初めて出会ったタイプのトラベルガイド。ガイドブックではないようなガイドブック。
それが、グラフィックデザイナーである岡崎直哉さんがつくる「カラートラベルガイド」です。カラートラベルガイドは、ほかのどのガイドブックとも似ていない。観光名所はほとんど出てこない。説明も、行き方も書かれていません。そこにあるのは、どこの街並みにも潜む、なぜか懐かしく、見たことがあるようなやさしい風景。
第1号は『奈良』でした。はじめから奈良を舞台に作ろうと考えていたわけではなく、たまたま、つくろう!と思い立ったときに訪れていたのが奈良だったから。以後、不定期の発行ながら、『那覇』、『土浦と石岡』、岡崎さんの出身地である『足利』、『東京タワー』、『鎌倉』、『富士』と号数を重ねてきました。
制作に没頭すると、本業よりも時間をかけてしまうこともあるとか。特に暗室にこもってのプリント作業は、ひとりきりの空間で作業に集中できるので、つい夢中になってしまう。デザインだけでなく、撮影からプリントまで自身の手で作業しているのです。作業の中で1番時間がかかるのが、実は写真選び。1枚だけで見たときに良い写真でも、2枚、3枚と並べる組み合わせによって見え方が変わってくるので、たくさんの写真の中から全体のバランスを考えながら写真を選ぶことが難しいのだそうです。

そして、自分で手作業することが大好きだという岡崎さん。
『写真をきれいに見せたいので、基本的に印刷は印刷所にお願いしていますが、あえて手作業の部分を残しておきたいので、はんこを押すなどの仕上げの工程は必ず自分でやっています。』
それが、岡崎さんの楽しみであり、「カラートラベルガイド」がどこか懐かしくあたたかな雰囲気を与える秘密であるような気がします。
今年は新作として、初の海外版である『NY』編と『東北』編が登場! 友人を訪ねていった際に制作したNY編は、これまでの雰囲気も残しつつ、海外独特の色味や佇まいを楽しめる1冊に。また、東北編では岩手、宮城、福島の3県を収録。それぞれの土地が持つ個性あふれる風景を、ぜひ楽しんでくださいね。
また、昨年のもみじ市に出展した際に、「ありそうでなかった、旅先で思わず買いたくなるようなもの」をコンセプトに制作したのが“ニュースタイルなおみやげ”。こちらも、切って、貼って、穴をあけたりと、1つ1つ丁寧に手作業でつくられたもの。今年ももちろん“ニュースタイルなおみやげ”は登場します!何やら20個限定生産のスペシャルバージョンもあるとのこと!どんな場所のおみやげなのか?中身は?
それは当日まで、ドキドキ、ワクワクしながら待っていてくださいね。

「ものづくりをしていると、直接お客さんとお話する機会はほとんどありませんから、『今度はぼくの町のおみやげセットを作ってください』と言われたときは嬉しかったですね」
2年目の今年は、昨年の経験を生かして、ご自身のペースで楽しめたらとのこと。みなさん、ぜひ岡崎さんとの会話も楽しみながら、ゆったりとのんびりと、ニュースタイルなおみやげ屋さんを満喫してくださいね。
*岡崎直哉さんに聞きました
Q1.もみじ市2011で、どんな作品を発表していただけるのでしょうか?
新作のカラートラベルガイドを2冊持って行きたいと思っています。1つは、カラートラベルガイド初の海外シリーズのNY編。2つ目は、今回の震災に見舞われた岩手・宮城・福島の3県をまとめた、カラートラベルガイド東北編を持って行く予定です。
Q2. もみじ市にお見えになるお客さまに、“末広がり”な自己紹介をお願いします!
昨年につづき、今年も出店させて頂く事になりました、「ニュースタイルなおみやげ屋さん」の岡崎です。ニュースタイルなおみやげ屋さんでは、日本各地にひっそりと佇む昭和的な風景を、作品を通して紹介出来たらと思っています。
Q3. もみじ市の宣伝部長になったつもりで、お客さまに一言お願いします
今年のもみじ市は、ワクワクとドキドキが「だんだん」と「どんどん」と大きくなっております。
さて、続いて登場するのは、まっすぐに良いものを作り続ける帽子屋さん。今年は素敵な企画もあるようです!
文●市川史織