イシイリョウコ 「不思議の人形と小さな十月遊園地」

小さくて色白、眼鏡を掛けてニコニコしているお姉さんがいたら、それはイシイリョウコさんです。憂いを帯びた瞳の布人形がお店に並んでいたら、それはイシイリョウコさんのブースです。

彼女の作品に一目惚れしたのは、もう3年も前になるでしょうか。その色使い、線の美しさ、作品の表情の、何とも言えないアンニュイな感じ。どうやって作るのか、教えて貰っても真似はできない。私の憧れです。

そんな素晴らしいアーティストのイシイさんですが、生活スタイルもアーティスティック。朝とは呼べない時間に起きて、ウォーキングをし、小さなお部屋で朝5時になるまで作品づくりに没頭し、眠ります。時々2歳の姪御さんが遊びに来るので、壊し盛りの彼女が襲来する前に、せっせと作品を作ります。姪御さんが来たら、一緒にお散歩に出かけます。あとはずっと作っているか、気分が乗らない時に読書にふけるか。イシイさんの作品たちは、そうやって生まれるのです。イシイさんの世界は、やっぱりイシイさんの世界の中でしか生まれ得ないのです。

私は昨日、小谷田潤さんのアトリエにお邪魔しました。もみじ市のCMを撮影するためです。広いアトリエの庭には、色づき始めた木々が沢山あって、木の葉が時々舞い落ちてきます。小鳥のさえずりが響き渡ります。そこに私がいて、監督のねるやまさんがいて、もちろん小谷田さんがいて、そして小さなイシイさんがいました。何だか不思議な4人組です。何故イシイさんがここに? 皆さんは小谷田さんの紹介ブログを覚えていますか? 「ある作家さんと一緒に、子供も大人も楽しめる『あるもの』を作っている」と書いてありましたね。そう、イシイさんなのです、ある作家さんとは。

今回2人は、「十月遊園地」を作ります。小谷田さんがつくった観覧車、コーヒーカップ、くるくる回りながら上り下りする遊具、小さな売店に小さな食堂、全部陶器で出来ています。そこにイシイさんがつくったお人形が登場します。ひげ面とぼっちゃんの2つの顔を持つリンゴ、偉そうな顔の黒猫ボーイ、角の生えた男の子、ピンク頭の女の子、とっつぁん坊やみたいな十月遊園地の園長、全員木で出来ています。

小谷田さんが、爪の大きさくらいの焼き物をつまんで説明してくれます。
「この小さい食堂の食器、ちゃんと小谷田潤の食器でしょ。窯から出す時見つからなくて大変だったんだから。あとこのトイレね、見て、便器が入ってる」

イシイさんは、普段は作らない木の人形たちを指差して言います。
「10月園長は10月だけの園長だから、ここに10と描いてあって、11月になったらこの馬車でお払い箱になるんです。あとこの木、複雑な形でしょ、父が木を切り出すのにすごく苦労していました。それにこの旗、職人のように集中してつくってきたんです。」

二人とも何だか真剣です。遊園地は売り物ではないのに、どうやら夢中になりすぎて、寝る間も惜しんでつくって来たようです。見たことがないくらい可愛い遊園地。撮影中は絶対しゃべらないと言っていたはずのねるやまさんが、「か、可愛い~!」を連発。イシイさん、撮影中もずっとクスクス笑いっぱなし。あの世界観は本当に素晴らしい。当日は、10月遊園地でみんな自由に遊べます。何なら壊しても良いそうです。5歳以下のやんちゃ盛り大歓迎。想像力を働かせて、イシイ&小谷田ワールドを堪能してくださいね。

さて、昨日は30秒のCMのために5時間かけて撮影は終了。帰りながら、イシイさんは言いました。
「最近は遊園地をずっとつくっていました。だからこれからもみじ市の店舗用作品に本腰を入れます!」
え! あと10日ですよ、イシイさん。
「いや、結構出来てはいるんですけれど、小さい豆人形もたくさんつくりたいし、ブースが賑やかになっているのが好きなんですよ。でもまだ縫い終わったところなので・・・」
さ、さすが…。また徹夜で来るおつもりですね、イシイさん。
「そうなっちゃうかもしれません。いつも開場直前まで焦っていて、始まる30分前になって初めて諦めます」
相変わらず、すごい集中力ですねぇ。
「ほとんど引きこもりです」
作家魂ですねぇ~!

こんな感じでイシイさんの世界は生まれるわけです。作りたいものが多すぎるのです。ひとつ作ると、新たにアイディアが溢れ出て来るので、ひっきりなしに手を動かさずにはいられなくなるのですね。そのパワー、頭が下がる思いです。やっぱりあなたは私の憧れです。

イシイさん、もみじ市当日の、素晴らしく完成されたイシイワールド、すっごく楽しみにしています。もみじ市の後は韓国のお店で作品展とのことですが、ちょっとは眠ってくださいね。
 
*イシイリョウコ さんに聞きました

Q1. 今回はどんな“いでたち”で、もみじ市のパレードに参加していただけるのでしょう?
パレードをするために集まったパレードをするために集まったような大小さまざまな不思議の人形たちの他に、同じように手縫いでひとつずつ作る小さなアクセサリーも登場します。
陶芸家の小谷田さんとのコラボレーションによる小さな遊園地を作りました!
ぜひお子さんとご一緒に触って、動かして遊んでくださいね!

Q2. もみじ市をどんなふうに楽しみたいですか?
お越し下さるみなさんとの出会いを楽しみながら、作品を通して心行くまでおしゃべりできると良いなと思っております。

Q3. もみじ市の宣伝部長になったつもりで、来場されるお客さまにメッセージをお願いします!
美味しいものを食べるのもよし、丁寧に作られた作品を堪能するもよし、
音楽を聴いてのんびりするもよし、それぞれの楽しみ方で、
年に一度の素敵な時間を過ごしにお越しくださいませ!

さて続いては、もみじ市初登場の作家さんが登場。この人がハサミを持つと…天才、現る!

文●清水香里

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