池谷禎俊「馬頭琴」(24日)

 9月26日に、もみじ市事務局の基地がある手紙舎で開催された交流会。もみじ市を1ヵ月後に控えた出店者のみなさんとスタッフが集ったその場を、池谷禎俊さんの奏でる馬頭琴が盛りたててくれました。ときにやさしく、ときに激しく、たゆたうように、リズミカルに……、まるで歌うように奏でられるその音色に、会場にいたすべての人々が引き込まれていきました。
 
「自分が奏でる音と、それを聴いてくれているみなさんとが一体となったとき、何ともいえない高揚感、心地良さに包まれるんです」

池谷さんと馬頭琴との出会いは、今から7年前のこと。東京都狛江市のライブハウスで開かれた、小さなライブがきっかけでした。

「馬頭琴に弦は2本しかありません。奏でられる音の幅も、約2オクターブ半と限られています。それなのに、豊かな抑揚や微妙なニュアンスが、無限に表現できる。その独特な音色と出会ったとき、体中に衝撃が走りました。それまではギターを弾いていたのですが、自分が弾きたかったのは馬頭琴だったんだ、と直観的に思ったのです」

すぐにライブに出演していた方に声をかけ、早速習い始めました。その後、日本や内モンゴル自治区をはじめ、世界中で活躍する、著名な馬頭琴奏者チ・ブルグッドさんを紹介してもらい、池谷さんはブルグッドさんのもとで馬頭琴を学ぶことに。現在では、ブルグッドさんが結成した、日本人のみによる馬頭琴アンサンブル「TOKYO万馬―馬頭琴アンサンブル」の一員として、本場モンゴルで開催された「国際馬頭琴フェスティバル」などにも出演。その演奏は、日本国内はもちろん、本場モンゴルでも高い評価を受けています。

「ぜひ、一度弾いてみてください!」
後日、調布市にある住まいを訪ねると、池谷さんはそう言って馬頭琴を手渡してくれました。胴を両足で挟んで固定し、左手で馬の毛でできた弦を押さえ、右手に弓を持って弾くのですが、何よりも驚いたのは、弦を上からではなく横から押さえるということ。

「ギターなどとは違って、手を広げるように力を入れ、弦の横から指をあてるようにして弾くのが馬頭琴の特徴。そのため、その人の指の形や力の強さによって、音色が変わってくるんです」
 
さらに、池谷さんは続けます。
 
「人によって歌声や性格が違うように、馬頭琴はその人だけの音色を生み出すことができます。だから、大げさに強く弾いたり、わざと悲しそうに弾くのではなく、馬頭琴と自然体で向きあっていきたい。自分の中にある感情を、等身大の自分を音にしていきたいのです」
 
取材中、池谷さんは“自然体”という言葉を、噛みしめるように何度も口にしました。自然体とは、素の自分であること。やりたいことに正直であること。

「7年間、馬頭琴を弾いてきて、自分の音がだんだんと変わってきているのを感じます。無心になって自然体で馬頭琴と向き合えたとき、まるで自分が音そのものになったかのような、不思議な感覚に包まれるんです」

池谷さんの馬頭琴ライブは、24日(日)の11時30分からと、13時30分からの2回、開催されます。13時30分の回では、懐かしのモンゴル民話『スーホの白い馬』の読み聞かせに合わせて、馬頭琴を奏でてくれます。その音色が、多くの方の心に響きますように。池谷さんと馬頭琴、そして会場にいるみなさんとが共鳴して生まれる音を、ぜひ堪能してください。
 
<池谷禎俊 馬頭琴ライブ>
日時:10月24日(日) 11:30~、13:30~(読み聞かせとともに)
場所:川を背にした草原にて
 
*池谷禎俊さんに聞きました
 
Q1.今回はどんな“いでたち”で、もみじ市のパレードに参加していただけるのでしょう?
 
毎年1回、開催されるもみじ市を、ぼくはもうひとつの誕生日だと思っています。もみじ市のあたたかい空気感をつくる一部に、なれたら嬉しいです。
 
Q2.もみじ市をどんなふうに楽しみたいですか? 
演奏の合間に会場を巡って、多くの方との出会いも楽しみたいです。
 
Q3.もみじ市の宣伝部長になったつもりで、来場されるお客さまにメッセージをお願いします!
多摩川の草原に流れる馬頭琴の音色を、ぜひ楽しんでください!
 
さて続いては、かつて谷中にあったあの小さなお店がもみじ市で復活!

文●杉山正博

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