kata kata「型染め・注染」

もみじ市は、この秋の開催でまる4年が経とうとしている。というと、彼らとの出会いからもう4年が経つんだと、初めて会った時のことをなつかしく思ったりもする。

彼らは、私たちが「何か楽しいことをしたい!」という衝動のままに始めた、当時はまだ形が見えていなかった小さな小さなイベントに、第一回目から参加してくれていた。大学を卒業し、作家活動を始めたばかりの頃だったと思う。彼らの展示のDMを偶然目にし、実際に作品を手にしてみたいと思った。東京で作家活動をしていることや、若い二人が伝統を守る手仕事をしていることにも魅かれていた。だから、「東京のちいさな手づくり市」を開こうと決めたとき、彼らに会ってみたいと思ったのだ。

彼らとは、型染め・注染作家、kata kataの松永武さんと高井知絵さんの二人。いま振り返ると、あのときから元気で活発でノリがよくて、そして、独創的なものづくりをしていた。彼らがつくる手ぬぐいは、まるで一枚の絵のように色とりどりで細やかな描写がされていて、そのデザインに衝撃を受けた。それまでは、手ぬぐいといえば、単色で同じ柄を繰り返す古典柄のイメージが強かったから、その印象をガラリ変えるものだった。「わー、きれい…」と。

「型染め」という染色技法は古くから伝わる伝統工芸で、1枚の手ぬぐいを染めるまでに、気が遠くなるほどの工程を踏む。下絵、型彫り、糊おきして乾燥させ、地色を染めて乾燥させ、色差しをして乾燥させ、蒸して、洗い、そしてまた乾燥させる。地道な工程とともに、空の下で繰り返される「乾燥」という作業。干している間に雨に降られたり、虫や鳥がフンを落とすこともある。そうなったら、その作品は、売り物にはならない。自然を味方につけてこそ、できる作品づくりなのだ。

今年の春のこと。彼らの工房を訪れたときに、知絵さんがなにげなく話してくれたひと言が、とても心に残っている。それは、糊おきの作業のあとのこと。新聞紙の上で型紙に残った糊をきれいにヘラでこそぎ取り、容器へと戻していた。それはまた次の糊おきのときに使うのだと言う。

「糊に使う『餅粉』は、食べ物なんです。昔は、食料を染めものに使うってことは贅沢なことで、柄物の着物なんかは贅沢品だったんですよね。だから、染め物の職人たちは、糊を大事に扱ってきたそうです。型染め職人である父からも、『糊を祖末にすると、糊の神様に怒られるぞ』って言い聞かされてきました。若い頃はそんなこと気にもとめなかったけど、プロになったいま、その思いを受け継ぐことに意味があるような気がするんです」

がむしゃらだった、4年前。改めて当時の作品を見返してみると、初々しさがにじみ出ているような気がする。それはそれで、魅力があるけれど、少し大人になった二人が作る最近の作品は、緻密に練られたデザインや色遣いに、ますます磨きがかかっているように感じる。「クローバー」という作品には、三つ葉のクローバーの中に、ときどき四つ葉のクローバが隠されていたり、「魚群」という作品には、魚の群れの中に1パイだけイカが紛れていたり。身近な自然を題材にし、おもわずクスッと微笑んでしまうような遊び心を潜ませる「サービス精神」も忘れない。

そんな彼らにとってもみじ市とは、「仲間であり、ライバルでもある作家さんたちがたくさん参加する刺激的な場。そして東京で作品を発表できる、特別な存在」とのこと。たくさんのライバルたちから刺激を受け、当初は作品を販売するだけだった彼らは、昨年はじめて、販売するためだけでない、もみじ市を楽しくするための作品を作ってくれた。それが、この、子供がすっぽり収まるサイズの型染めティピーだ。そこには、子どもたちのたくさんの笑顔で溢れていた。

「今年のもみじ市も、作品を売るだけでなく、参加するからには、徹底的に楽しもう! 楽しませよう!と思っています。今年も他の出店者にまけないブースをつくります。 お客様みんながもみじ市という『パレード』に楽しく参加してもらえるようなグッズを作りたいです」

第一回のもみじ市から4年、kata kataのふたりは一度も休むことなく、もみじ市に参加し続けてくれている。毎回、彼らはたくさんの作品を作り、新たなことにチャレンジし、成長と“変化”を見せてくれている。しかし、ふたりには“変わらないもの”もある。それは、「もみじ市を楽しいイベントにしよう」と一肌脱いでくれる心意気と、なによりも、ふたりの素晴らしい笑顔だ。この4年間、私たちはこの笑顔に支えられてきた。初めて会った時、ふたりを応援していきたいと思った私たちが、いつの間にか、ふたりに応援してもらう立場になったような気がしている。

来月の終わり、多摩川の河原で見る彼らの笑顔もきっと、とびきり輝いているに違いない。楽しいふたりが、いったいなにを企んでくれているのか? kata kataのふたりの企みと笑顔に出会えるという“ご褒美”を楽しみにしながら、私たちももみじ市の日を迎えることにしよう。

*kata kataのお二人に聞きました

Q1.今回はどんな“いでたち”で、もみじ市のパレードに参加していただけるのでしょう?

実は、もう、もみじ市のパレードに参加する為の衣装!? 準備しました!! 詳しくお伝えできませんが、普段こんな格好では街を歩けないような格好だと思います。

Q2. もみじ市をどんなふうに楽しみたいですか?

パレードと聞いて、ワクワクしています。この2日間が、夢とも現とも区別のつかない不思議なパラレルワールドになればいいなぁと思います。

Q3.もみじ市の宣伝部長になったつもりで、来場されるお客さまにメッセージをお願いします!

皆さんも、パレード(もみじ市)に参加して下さいね! 普段とはチョット違うアイテムを身に付けて遊びに来て頂けると心強いです。一緒に楽しみましょう!!

さて、続いてご紹介するのはご紹介2組目にして、今年初参加の作家さんのご紹介です! どこかノスタルジックな、旅感あふれるお店が登場しそうですよ。

文●わたなべようこ

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