ワタナベマキ「ペーストや」(23日)

先日、久しぶりに料理の本を買った。
タイトルは「週末ストックと毎日のごはん」。著書は、料理家のワタナベマキさん(新ウェブサイトが間もなくオープン!)。ワタナベさんといえば、お弁当や保存食を使った日々のおかずの本を次々と出されていて、ファンも多い。それは、実際に幼稚園の男の子を持ち、毎日家族のためにごはんを作るお母さん、という等身大の姿に親しみを感じるから。そして、ワタナベさんが紹介するような毎日のおいしいごはんこそ、幸せの根っこにあるものだと思うから。私がこの本を買おうと思ったのも、その直前にご本人から、こんなお話を伺ったのがきっかけだった。

「我が家の冷蔵庫には、かならず何種類かの保存の瓶が入っています。たとえば、大量にいただいた野菜や、全部使い切らなかった野菜を、新鮮なうちに簡単に漬けたり干したりしておくんです。そうすると、野菜が無駄にならないし、夜ごはんを作るときも『これとこれがあるから…』と思うと、気が楽だし、簡単においしくできるんですよ」

それはまさに、我が家の食卓でも悩みの種で、夫婦二人だと、キャベツもカボチャも1つ使い切るのに何日もかかる。そのうちしんなりしてきて処分してしまう、なんてことも。とはいえ、日々の食事を作るのだってせいっぱいな私が、保存食を作るための心と時間のゆとりがない、というのも事実。それを見抜いたかのように、こんなことも教えてくれた。

「でも、『保存食を作る』なんていうと、それはそれで、またそのための時間と準備が必要になりますよね。でも、そんな必要はないんです。晩ご飯の支度の片手間で作ればいいんです。たとえば、今夜の夕食の準備にキャベツを半分使うとしたら、その流れで残りの半分もざくざく刻んで、塩とお酢をまぶしておけばいいんです。そのキャベツは、ジャガイモといっしょにスープにしたり、アサリと蒸したり、ハンバーグに入れたりするとおいしいですよ」

保存食を作る意味は、「長くもたせるため」だけではない。ワタナベさんが大切にしているのは、保存することで、野菜がいっそうおいしくなるということ。
「キャベツは漬けておく方が、青臭さ消えて、甘くなるんですよ」
玉ねぎも漬けておけば甘くなるし、タケノコやトマトは、干すことでおいしさが凝縮されるという。生のまま使うよりも、味にぐっと深みが増すそうだ。

そんな、ご本人が実際に行っている毎日の工夫が、この本に描かれていた。だから、それを我が家にも取り入れたいと思った。気を張らずにできる、保存食と毎日のごはん。食事の支度が簡単になるだけでなく、それでさらにおいしくなるというのだから、これほど嬉しいことはないし、今までよりもごはんを作るのが楽しくなりそう。

保存食を得意とするワタナベさんの日々の工夫は、札幌に住む祖母や、料理好きの母親から受け継がれたものだという。そして最近は、日本各地の郷土料理をもっと知りたいと思っている。
「いろいろな地方で代々伝わること、おばあちゃんくらいの年代が自然にやっていることって、根源的なことだと思うんです。だからそれを学んで、次の世代にきちんと伝えて行きたいですね」
お弁当も日々の料理も、そして郷土料理も、ワタナベさんにとっては『保存食』というキーワードで繋がっている。


photo by nanaco

明るくて朗らかで、いつも笑っている、太陽のようなワタナベさん。そんなワタナベさんが、もみじ市にやってくるみなさんのために用意してくれるのは、ペースト。これも保存食のひとつではあるのですが、そもそもワタナベさんは、ペースト好きなのだそう。
「我が家でもよく作っているペーストを、もみじ市でもお出ししたいと思います。昨年はお持ち帰りいただくような瓶詰めの保存食でしたが、今年はその場で食べていただけるものをご用意し、たくさんの方が食べている様子を、私自身も楽しみたいと思いました」

当日用意されるのは、ビーツペースト、リエット、ナスのペースト、鯛とディルのペーストほか、プルーンの甘いペーストなども。それをのせるパンは、ご自身が好きないくつかのパン屋さんからセレクトして、持って来てくれるのだとか。たくさんの種類のペーストから、どれにしようか迷ってしまいそう。おいしさはもちろんのこと、見た目のきれいさ、選ぶときのわくわく感など、ワタナベさんが提案する「食べること」すべての楽しさを、ぜひ感じて下さいね!

*ワタナベマキさんに聞きました。

Q1. 今回はどんな“いでたち”で、もみじ市のパレードに参加していただけるのでしょう?
今回は、いろいろな野菜、果物をつかったペーストをおいしいパンにのせて食べていただこうと思います。
ペーストは料理のなかでも、大好きなもののひとつ。素材をいかした様々なペーストをいろいろなパン屋さんからセレクトしたパンで味わっていただく、「ペーストや」で参戦したいと思います。

Q2. もみじ市をどんなふうに楽しみたいですか?
前回は、瓶詰めのものを持って帰って、おうちで楽しんでいただくものでしたが、今回は、その場で食べていただくスタイルなので、その場でみなさんのおいしい顔に出会えることや感想を聞けたりすると思うので、みなさんの反応を楽しみたいと思います!

Q3. もみじ市の宣伝部長になったつもりで、来場されるお客さまにメッセージをお願いします!
前回に引き続き今年も、参加させていただけてとてもうれしいです! 新しい場所でみなさんの笑顔にお会いできること楽しみにしております!

続いてご紹介するのは、たくましくもかっこいい、女性の農家さん。おいしくて安心な野菜が、白州からやってきます。

文●わたなべようこ

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