柴田ケイコ×drank「柴田紙もの商店と古もの道具」

今年の夏、日本でいちばん暑かった高知県。太陽がさんさんと輝く高知県から、約12時間かけて、太陽のようなふたりがもみじ市にやってくる。イラストレーターの柴田ケイコさんと、drankの塚地久雄さんだ。

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柴田ケイコさんは、私たち手紙社にとって特別な存在だ。例えば私たちが新しいイベントのイメージビジュアルを作ろうとするとき、例えば私たちが著書の挿絵を誰かに描いて欲しいとき、例えば私たちが新しいテキスタイルの生地をつくろうとするとき、イラストの描き手の候補として真っ先に名前が挙がる作家のひとりが、柴田さんだ。

実際、手紙社が主催するイベント「カフェ & ミュージックフェスティバル」のメインビジュアルを描いてくれたのは柴田さんだし(先月行われた「海のカフェフェス」のビジュアルも)、先月発売された「活版印刷の本」の挿絵を描いてくれたのは柴田さんだし、8月に発表した「手紙社テキスタイル」の生地のひとつをデザインしてくれたのも柴田さんだ。その他にも、カフェ手紙舎の珈琲豆の袋のイラストを描いてくれたり、年賀状替わりのポスターのイラストを描いてくれたり。手紙社のメンバーはみな、“柴田さんにお願いしたくてしょうがない”のだ。

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その理由は、ふたつある。まずひとつは、なんと言っても柴田さんが描くイラストが素晴らしいこと。かわいいのは当たり前。アイディアとユーモアがあり、一度そのイラストを見た人の心をとらえて離さない。しかし、どれだけかわいくてユーモアがあっても、そのイラストが素晴らしいとは限らない。柴田さんのイラストは、ビシッと“決まっている”のだ。グラフィカルデザインとしてバランスが良く、色の配色が美しい。要は、とても力があるイラストなのだ。

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柴田さんのもうひとつの魅力は、その、太陽のような人柄だ。

「来ちゃいましたー!」

いつものように甲高い声とともに、柴田さんが手紙舎に来てくれたのは今年の4月のこと。「紙ものまつり」というイベントに合わせて、和紙でだるまを作るワークショップを行うために、遠く高知からやって来てくれたのだ。東京までの“足”は夜行バス。早朝東京に着き、そのまま大きなリュックを背負って手紙舎に来てくれて、この元気。いつも周りを明るく照らしてくれる柴田さんのことが、私たちは大好きなのだ。

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柴田さんがみんなを明るく照らす夏の太陽なら、drankの塚地久雄さんは、春の太陽だ。塚地さんと話していると、春の日だまりの中にいるような気分になる。

塚地さんと初めて会ったのは、昨年12月のこと。「紙ものまつり in 高知」というイベントのため、高知県いの町の「いの町紙の博物館」を訪れたときだ。手紙舎が販売するたくさんの“紙もの”を車に積んで高知まで行ったのだが、そのとき、それらをディスプレイするための什器を、それはそれはたくさん貸してくれたのが塚地さんだった。什器と言ってもただの什器ではない。drankの商品である、古き美しきものたちだ。

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聞けばdrankは、店を持たない古道具店で、本当にごくたまに、こういったイベントのときだけ古道具を販売するのだそう。それにしても、である。「紙ものまつり in 高知」にやってくる人たちや関係者から、とてもよく声をかけられる。実は塚地さんはもう7年も前からこのスタイルで営んでおり、高知のクリエイターの間では、「良い古道具を手に入れるならdrankの塚地さんから」というのが浸透しているという。

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実は私たちも、「紙ものまつり in 高知」が終わり東京に帰る時、塚地さんからたくさんの古道具を買った。高知に来る時より荷物が多くなったのではないかと思うくらい。なかには、塚地さんが自ら修理をしてアレンジしたものもある。

塚地さんが高知のクリエイターの方々から声をかけられる理由は、彼が素晴らしい古道具を取り扱っているから、だけではない。4日間のイベント期間中一緒にいてわかったことがある。面倒見が良いのだ。それが押し付けがましいものではなく、さりげない感じ。例えば私が新しい商品をディスプレイしようとして、それを立てかけるものがなくてちょっと困っていると、「これとかどうですか」と、小さな箱を貸してくれる感じ。いつもニコニコ。後ろからさりげなくみんなを見守っている塚地さんは、春の穏やかな太陽のようなのだ。

夏の太陽と春の太陽、柴田ケイコさんと塚地久雄さんがタッグを組んで、もみじ市へやって来る。塚地さんの麗しい古道具をディスプレイにして、柴田さんの美しくユニークな作品が並ぶ。もちろん、古道具は購入可能なものばかりだ。高知の人が聞いたら、「ちょっとそれは贅沢すぎるタッグでは?」というのではないだろうか。今回だけは、その羨望を甘んじて受けよう。

高知県のふたつの太陽が、2日間限りのタッグチームを結成する。舞台は、もみじ市。会場は、秋の太陽が降り注ぐ、多摩川河川敷だ。

【柴田ケイコ×drank 柴田ケイコさんと塚地久雄さんに聞きました】
Q1 もみじ市に来てくれるお客様に向けて自己紹介をお願いします。
イラストレーターの柴田ケイコです。広告全般、出版物などのイラストを中心に活動中。ジャンルに囚われず、自分の中のイメージ感を表現し制作する事を大切にしています。土佐和紙を使用した立体物や、紙もの雑貨にも展開中です。(柴田)

 高知のdrankです。(塚地)

Q2 今回のテーマは「カラフル」ですが、あなたは何色ですか?
白、水色、黄色、赤(柴田)

浅葱色 (塚地)

Q3 今回はどんな作品をご用意してくれていますか? また「カラフル」というテーマに合わせた作品、演出などがあれば教えてください。
土佐和紙を使った立体物や小物、紙ものグッズを販売します。私が描くイラストそのものは結構カラフルなので、肩の力を抜いていつもどおりの私らしいイラストを使った紙グッズをお見せします。楽しい、ワクワク、ドキドキ、うっとり、ゆったりが沢山つまった作り手たちのもみじ市をぜひ堪能してください。皆さんとお会いでいるのを楽しみにしています! (柴田)

今回は、テーブル、椅子、什器を若干作る予定です。私は本来地味ですが、せっかくなのでカラフルな事を考えたいと思っています。 (塚地)

Q4 ご来場くださる皆さんにメッセージをお願いします!

さて、続いてはゆらゆら揺れるハンモックでみんなを癒やすあの人たちの登場ですよ!

文●市川史織