ジャンル:OYATSU

cotito ハナトオカシト(15日)

【cotitoプロフィール】
西荻窪の駅からまっすぐ北に上り、川を越えて降りていったところに、グレーの壁を植物が彩るお店があります。それがcotito。店内には小さなカフェスペースと、壁際を飾る花々。そして多くの人を魅了してやまない、食べられるお花“エディブルフラワー”を使ったお菓子が並びます。前山真吾さんと由佳さんが営むお店は、真吾さんがお花を、由佳さんがお菓子を担当。「子どもから大人まで、安心してひとつの場所で楽しんでもらえるように」との思いで作られるお菓子は、素朴でほっとする味わいです。
http://cotito.jp/

【商品カタログ予習帳】

お花と甜菜糖のアイシングクッキー


お花のリースサブレ


花びらピーナッツバターサンドクッキー


ドライフラワーのリース

【スペシャルインタビュー「『こんな場所があったらいいな』をかたちに」】
繊細な花びらを乗せたお菓子や、美しい花々が店内を彩るcotitoさん。このお店の店主であるご夫婦、前山真吾さんと由佳さんに、本間火詩(手紙社)がお話を伺いました。

花屋とカフェと、焼き菓子のお店

ーーーまずはお店でカフェと焼き菓子を担当する由佳さんにお伺いしたいと思います。

ーーー夏3周年を迎えられたそうですね! おめでとうございます。お店を開かれたきっかけは、どんなことだったんでしょうか?
由佳:ありがとうございます。元々知り合った時からお互いに、旦那さんは花屋を、私はカフェやお菓子屋をやりたいな、と思っていたんです。

ーーー西荻窪にお店を構えよう、と思うきっかけは何かあったんでしょうか。
由佳:元々二人とも住居や仕事場のあった吉祥寺に縁があったので、西荻は知り合いも多く好きな街だったんです。ここでやるのもいいね、と街を歩いていた時に、丁度通りがかったのがこの場所でした。角っていうのも花屋っぽいね、と思ってここに決めました。

ーーーこの3年間で、何かお店に変化はありましたか?
由佳:実はあまり変わっていません。扱っているお花やお菓子もそうですし、お互いの仕事に対する気持ちも、変わらずに続けています。最初は花屋とカフェと焼き菓子、どれがどういう風に需要があるのかわからなかったんですが、この3年間でどれも需要があるとわかったので、このやり方で4年目も続けていきたいなって思っています。

花びら1枚にも丁寧に、心を込めて

ーーー沢山の方に愛されているcotitoさんの“エディブルフラワーを使ったお菓子”。作り始めたきっかけはどんなことだったんですか?
由佳:丁度これから開くお店にどんなお菓子を置こうか考えていた時に、エディブルフラワーを扱っている農家さんとつながりができたことがきっかけで、お花を使った商品を出したいなと思ったんです。1枚1枚お花を乗せて焼くクッキーは手間がかかって大変だしお値段も上がってしまうので、そんなに需要はないかなと心配でもあったんですが、「とにかくやってみようか」と思い切って始めました。そうしたら沢山の方が気に入ってくださって、今に続いています。

ーーーお花のクッキーは、どんな風に作られているのでしょうか。
由佳:生地を作って、型で抜いた上に生のお花を乗せて、1枚1枚ピンセットで花を広げて焼いています。

ーーー生のお花というのは、つまり“立体”のお花ということですよね?
由佳:そうなんです。立体のお花を、クッキーの表面にくっつけるようにして焼いています。ちょっとでも浮いていると、オーブンに入れる時、熱風で一瞬でチリチリっとなってしまうので、全て手作業でくっつけています。

1枚1枚、手作業で花びらをくっつけて焼いているというクッキー

ーーー本当に1枚1枚丁寧に作られているのですね。お菓子に添えられているお花は、季節に合わせて変えられているんでしょうか。
由佳:そうですね。お花は季節によって変わるので、その時期に沿ったお花を使っています。季節のお花もただ載せるだけではなくて、一緒にシロップに漬け込んだりだとか、ちょっとドライにしてアイシングの上に乗せてみたり、エディブルフラワーの使い方も、色々と変化をさせています。

ーーーお店を営んでいる中で、大切にしていることを教えていただけますか?
由佳:本当にひとつひとつの、どんな仕事も丁寧に心を込めて、というのを心がけています。

ーーー素敵ですね。cotitoさんの焼き菓子やカフェのメニューには、素材にも細やかな気配りがあると伺いました。そこにはどんな思いがあるのでしょうか。
由佳:お菓子の素材って、こだわりすぎてしまうと高額になりすぎてしまって、商品として、仕事として成り立たない部分があるんです。だから市販のものなどからひとつひとつ、生産者さんに電話をして聞いてみたりだとか、自分で調べてできる限り大丈夫と思えるものを使っています。また、焼き菓子はアレルギーなどがあっても子供から大人まで、みんなが同じ場所で同じように美味しく食べてもらえるものを作れたらいいなと思っているので、卵や乳製品を使っていなくても、自分がきちんと美味しいと思えるものを作ってお出ししています。

ーーードライフラワーとお花、クッキーのボックスや、ギフトボックスなど、ラッピングもいつも本当に素敵だなぁと拝見しています。何かインスピレーションの元となっているものはありますか?
由佳:元はなくて、ただただすべて、「こういうのがあったらいいのにな」というものをかたちにしています。お花のクッキーもそう。プレゼントにする時、もう少し華が欲しいなと思うと結局デパートに行ってしまうことがありました。着色料を使わないで、でも色が欲しい時、限られたドライフルーツなどで色を出すこともできるんですが、限界があって……。でもお花なら、自由にいろんなやり方ができる! と。いつもお店でひたすらクッキーを焼いたり、お店でお花を扱ったりしながら、こういうのがあったらいいなって思っています。

お店の入り口に並ぶお花のクッキーは、つい手を伸ばさずにはいられない愛らしさ

ーーー週に数日間だけオープンするcotitoさんのお店。1日の流れを教えていただけますか?
由佳:お店を開けていない時は、ずっとクッキーを焼いています。大体いつも9時半にお店に来て、お昼休憩を少しとる以外はひたすら焼き続けて18時ごろお店を出ます。時間を決めた方が効率よくできるので、18時半を娘のお迎えの時間に決めて、二人ともその時間に間に合うようにお店を出るようにしているんです。お店を開けている日、土日でカフェと花屋と焼き菓子、すべてを扱う日は大体朝の7時くらいにお店に来て、準備と仕込みをして、10時くらいからオープンの支度をします。11時にお店を開けてからは日によりますが、カフェのケーキを作ったり、仕込みをしたりして、21時ごろまでいることが多いです。

ーーーありがとうございます。ここからは、お花を担当されている真吾さんにお話を伺いたいと思います。

可愛らしさだけにはならないように

ーーーcotitoさんのお店に並ぶお花は、普段花屋さんではあまり目にしない、珍しいものも並んでいる印象ですが、どうやって選ばれているのでしょうか?
真吾:よく聞かれるんですが、実はあまり基準はないんです。基本は仕入れに行って状態がいいものとか、季節感があるものとかですね。珍しいものは好きですが、行ってみて、目にして、感じて、ピンときたものを選びます。

ーーーカフェのテーブルの横、窓辺にずらりと並ぶ植物や、天井から下がる花々など…店内のディスプレイも美しいですが、こういったディスプレイをする時、意識していることはありますか?
真吾:大前提として、カフェスペースであるので、衛生面に気を配りながら、植物を近くで見ることができるディスプレイを意識しています。あとは、クッキーやカフェのデザートなどか女性らしい、可愛いイメージなので、植物はちょっと変わった感じを出して、可愛いらしさだけにならないように意識しています。

独特のセンスで選ばれた花々は独自の空間を演出します

ーーーお店で扱われているお花は、その日に仕入れてくるんでしょうか?
真吾:大体生花市場っていうのは曜日が決まっているんです。切り花や鉢植えなど、種類によっても違うんですが、花の需要が高い冬や春などは、大体週に3日ほど仕入れに行きます。買わない時もどんな花が出回っているのか、知っておくことは大事だと思うので足を運ぶように意識していますね。お店で接客をする時もそうですし、注文をいただいて花の提案をする時など、知っていると知らないのでは全然違ってくるので、世の中の花事情、っていうんでしょうか。そういうものは意識しています。

2年目の、もみじ市

ーーー最後に、お二人にもみじ市について伺いたいと思います。2年目の出店となる今年、こんな風にしたい、という思いはありますか?
由佳:昨年は初めての参加で、本当にあっという間に終わってしまって……。今年は、昨年よりももっと頑張って、たくさん準備できると思っているので、量も種類ももっと多くのものをご用意したいです。はじめましての方が多いと思うので、初めての方にも印象に残るような見せ方ができたらいいなと思っています。

ーーーもみじ市に来るお客さんに、一言メッセージをお願いします!
真吾:もみじ市のための特別な品を用意したいと思っているので、いつもと違う、その日だけのcotitoを楽しんでもらえたら嬉しいです。

ーーー由佳さん、真吾さん、ありがとうございました。特別なcotitoさんを、楽しみにしています!

〜取材を終えて〜
まるで少女の憧れが詰まったかのように、繊細で美しいお花とお菓子が並ぶ、cotitoさんのお店。そこに一貫して感じたのは、お二人のセンスの素晴らしさと、自分たちのお店に対する真摯さでした。
「子供から大人まで、みんなが同じように美味しく食べてもらえるものを」「花を近くに感じながら、お茶を楽しむことができる空間をつくりたい」そんな思いをを一つ一つ実現して3周年を迎えられたcotitoさんのそのお姿に、揺るぎなく、理想をかたちにしていく強さを感じました。変わらずに、けれどますます美しさを増していくcotitoさんが今年、どんなROUNDを用意してきてくださるのか……もみじ市当日、拝見することを心待ちにしています。
(手紙社 本間火詩)

【もみじ市当日の、cotitoさんのブースイメージはこちら!】

今年はどんなお花でブースを彩ってくれるのか、当日をどうぞお楽しみに!