ジャンル:ILLUST&DESIGN

えちがわのりゆき

【えちがわのりゆきプロフィール】
2008年より絵と漫画の制作をはじめ、そのパンチのある名前とはウラハラに、優しくてほんわかしたキャラクター「うんころもち」でブレイク。絵本『うんころもちれっしゃ』『そっとね』(ともにリトルモア)のほか、主宰する夫婦社よりまんが絵本『ほわころくらぶ』を発表。仕事の合間、午後3時ごろには「ほわころブレイク」と名付けられたおやつタイムが日課です。
http://www.echigawanoriyuki.com

【商品カタログ予習帳】おすわりほわころちゃんぬいぐるみ。手触りやほっぺの色に癒されます。ほわっとほわころちゃんマスコット。ころん・ほわんとかわいい存在感。ほわころくらぶカレンダー2018。毎日ほわころちゃんたちと一緒ですね。

【スペシャルインタビュー「作品から飛び出した!『ほわころくらぶ』のやさしい毎日】

ふんわりとやさしいタッチで、心が暖かくなるようなマンガを描くえちがわのりゆきさん。その暖かさの真ん中には、キャラクターへの愛情と、日々のできごとへのまなざしがありました。

みんなに愛されるキャラクターを作りたい

——えちがわさんはもう何度ももみじ市に出ていただいていて、すっかり常連の作家さんのお一人ですが、もみじ市はどんなイベントですか?

えちがわ:1年に1回開催されるので、なかなか会えない作家仲間の人たちと会って、それぞれの作品や近況を知り合えたりできる、同窓会のようなイベントです。ぼく自身も、もみじ市でマンガやイラストを知ってもらう機会が増えたので、そういう意味でも思い入れ深いです。

もみじ市では、こんな河川敷の草むらでえちがわさんのキャラクターたちが迎えてくれそうです。

——改めて、作り手になられたきっかけを教えていただけますか?

えちがわ:子どもの頃からマンガを描くのが好きで、将来の夢はマンガ家って思っていました。でも中学からは音楽にハマって、大学でバンドを組んだりしていたんですが、そこでも仲間とマンガ雑誌を作ったりしていて…。一度は就職したんですが、ふと自分のやりたいことを見つめ直したときに、原点に返ったというか。「絵だな」って思ったんです。

——イラストとはまったく違う世界にいながら、どうやって現在のお仕事にたどり着いたんですか?

えちがわ:音楽仲間にイラストレーターがいて、その人に相談したら、「ホームページを作ったらいいよ」ってアドバイスをくれて。細々と、誰が見ているかもわからないホームページをコツコツ更新していました。

ほわころちゃんも、こんなふうに言っています。

——ちょっと孤独ですよね。誰かが見てくれるかもしれないと願って…。

えちがわ:そうですよね。でもしばらくして、当時、「リンク」っていう友人同士でHPのリンク先を貼るページがあったんですけど…。

——リンク(笑)! ありましたね。バナーとか貼って。

えちがわ:今思うとちょっとおもしろいですよね(笑)。今でいう「リツイート」みたいなものかな。友人のイラストレーターがぼくのHPのリンクを貼ってくれてて、それが『toco toco』という育児雑誌の編集者さんの目に留まり、マンガを連載できることになったんです。それが、出版物で描かせていただいた最初のお仕事でした。

こちらが、当時『toco toco』で連載されていた巻末マンガ。

——覚えてます。巻末のマンガで、ほんわかしたやさしいタッチで。

えちがわ:最初のスタートがマンガだったので、もちろんイラストを描く仕事もあるんですけど、今は比率としてはマンガや絵本を描いたり、キャラクターを作ったりする方が多いです。でもきっと、子どものときからそれが夢だったんだなって。

——最近、「ほわころくらぶ」のキャラクターがグッズになったり、企業とコラボレーションしたりしていますよね? それが、まさにえちがわさんの夢だったんですか?

「ほわころくらぶ」がこんなふうに毎日に寄り添ってくれたら素敵です。

えちがわ:「ほわころくらぶ」がバンダイさんから商品化されることになって、「ぼくがやりたいことはこれだったんだ」と思いました。ぼくが描いた絵なんだけど、ぼくを離れて「ほわころちゃん」ていう1匹の存在が、みんなに愛されるといいなって。例えば、スヌーピーや藤子不二雄先生のキャラクターみたいに、みんなに愛されるキャラクターっていますよね? そういうものを作りたいって気持ちがずっとありました。ぼくなりに、ほわころくらぶの世界観やキャラクターごとの個性を考えたりして育てていたものが、やっと形になったという感じです。

それぞれのキャラクターの性格や表情、フォルムまで、えちがわさんの思いが詰まっています。

——ほわころちゃんが、えちがわさんの作品の中だけに居る存在じゃなくて、作品を飛び出して、キャラクターそのものが人格を持って、社会に出ていくということですよね。

えちがわ:もちろん、作者として「こんな風に見えたらいいな」という思いはあるので、プロデューサー的な視点に立ってほわころくらぶをどうしていくか? ということは考えます。プロデューサーというとなんかしたたかなイメージになっちゃうけどそうではなくて……、愛情があるので、絵に。かわいそうな思いをさせたくないんです。

——その言葉、心に沁みました。えちがわさんのキャラクターへの愛情が、ほわころちゃんを育てて、こうしてみんなの元へと届いていくんですね。

やさしいものに心を寄せて

——えちがわさんの作品を読んでいると、「こんな小さな幸せや温もりを見逃さないって素敵だな」と感じるんですが、そういう瞬間をいつも覚えておくんですか?

1児のパパでもあるえちがわさんの、何気ない日常が1コマに。

えちがわ:ぼくの場合は、そういう風にとらえる性格なんだと思います。例えば親子が歩いている姿を見て、それをほほえましく見るか、クスッとおもしろい部分を見つけるかは人ぞれぞれなので。ネタを覚えておくというよりは、そういうふうに見えるアタマになっているのかなと思います。

——でも、そのまなざしがもうやさしいと思いますよ。

えちがわ:そう言われると……プレッシャーというか。普通の人間なんで(笑)。ぼく自身がやさしいとかではなくて、たぶん、「やさしいものが好き」なんですよね。

——「やさしいものが好き」! なるほど……。

えちがわ:ちょっとしたシチュエーションでも、ほわっとしたりするんですよ。そういうものについ心を寄せてしまうというか、「好き」なんでしょうね。

——でも、誰にでもその気持ちってありますよね。やさしい存在に惹かれる気持ち。えちがわさんの描く世界に共感するのは、確かにそこにある”やさしさ”を見つけられるからかもしれませんね。では最後に、今年のもみじ市ではどんな作品に出合えるのか教えてください。

ディテールまで大切に作られたほわころちゃんのぬいぐるみ。手触りも最高なんです。

えちがわ:発売されたばかりの「ほわころくらぶ」のぬいぐるみとカレンダーを持っていきます! ぬいぐるみは、手触りや瞳やチークの色なども、一つひとつ大切に選んで作られているので、かわいがってもらえるとうれしいです。

〜取材を終えて〜
おだやかでやさしい口調の中に、自身の描いたキャラクターへの深い愛情が感じられるえちがわさん。ほわころちゃんたちが、自分の作品から飛び出してあちこちで活躍するという夢を聞いたとき、最初は意外でした(作家さんは自身の作品の中でキャラクターを動かしたいだろうという先入観があったので)。でも、もしもほわころちゃんが、子どもたちみんなが大好きなキャラクターに成長したら…と想像すると、私までワクワクしてしまったのでした(大橋知沙)。

【もみじ市当日の、えちがわのりゆきさんのブースイメージはこちら!】

『ほわころくらぶ』の仲間たちに、ぜひ会いに来てくださいね!