ジャンル:CRAFT

IRIIRI

【IRIIRIプロフィール】
テキスタイルデザイナーを経て、2000年より人形作家として活動。愛らしくもどこか妖しい魅力を秘めた人形たちは、見つめるほどに目をそらせなくなるような不思議な引力が。個展をはじめ、ワークショップやパリでの展覧会への出店など、多方面で活躍しています。カラフルで生き生きとした布の組み合わせも素敵で、「我が家にもお迎えしたーい!」と物色中です。
http://iriiri.petit.cc

【商品カタログ予習帳】蛍光イエローのバッグや金糸の刺繍などディテールが素敵な人形「散歩猫」。

フクロウのとんちゃんポケットティッスケース。キーリングも付いた優れもの。

ライオンのモバイルケース。ピンクの鼻が愛らしい。

葉っぱの羽バードbag。鳥の羽が葉っぱのよう!

おすそわけネコブローチ。ぺこりと会釈しながら、手にはコーヒーカップが。

【スペシャルインタビュー「たゆまぬ手仕事が物語を生む、IRIIRIの人形たち」】

さまざまな布を使って、チャーミングな表情の中に、どこか憂いや妖しさを秘めた人形と布小物を作るIRIIRIさん。見つめるほどに物語の情景が浮かんでくるような作品たちの、創作の秘密を大橋知沙(手紙社)がうかがいました。

人形たちが、自然と人格を持って動き出すんです

——IRIIRIさんの作る人形は、絵本の中から飛び出してきたようなファンタジー性と、布と糸の織りなす色彩と素材感が魅力ですが、どうして人形という表現方法にたどりついたんですか?

IRIIRI:子どもの時から絵を描くのが好きで、自分の描いた絵を立体として表現することに行き着いたという感じです。学生時代は染色を使った工芸やアートの勉強をしていて、その後5年ほどは企業でテキスタイルのデザインに携わっていたので、もともと布が好きなんです。もう布フェチっていうか(笑)。同じ色でもテクスチャーや手触りによって全然違う表情に見えるんです。

——作品1つとっても、実にさまざまな布が組み合わされていますよね。

IRIIRI:この布とあの布を組み合わせたら……と考えると「見てみたい」と思わずにいられないんです。人形を選んだというよりは、自分の絵を表現する手段として、画材を選ぶのと同じように布を選んだのだと思います。絵を描いていると、擬人化された動物や人物が出てくるので、自然とそれが人形になりました。

取材時、京都の「タピエスタイル」にてワークショップと作品の展示販売が行われていました。こちらはその一部。

——デザインはどのように考えているんですか?

IRIIRI:デザイン画を描くときもあるし、生地からインスピレーションがわいてくることもあるので、常に思考と作業の両方を行ったり来たりして考えています。例えば、このバッグ(と、お持ちいただいたギンガムチェックの円形ポケットが付いたトートバッグを見せながら)は「星の王子様」のオマージュなんですが、大好きなギンガムチェックの生地があって、この生地をどう使おう?というところから考えました。丸い惑星にしよう。だったら「星の王子様」かな? バラとキツネも居たら楽しいし、王子様だけはアレンジして別のキャラクターにして……。と、どんどん物語ができていくんです。

布の組み合わせが楽しいポーチやキーホルダー、ブローチなどの小物たち。

——バッグ1つにもストーリーが込められているんですね。特に人形の場合は、そのままでは動かないじゃないですか? でも、使う人、飾る人にとって人格が吹き込まれるということもありそうですね。

IRIIRI:そうですね。私も作りながら「この人、こんな顔になったから、きっとこういう人だ」って、だんだんと人格ができあがっていくのがわかります。どんな仕事をしているかとか、家族構成まで考えるときもあるんですよ。不思議なことに、自然とムードが出てくるんです。そしてまた持ち主の暮らしの中で、色んな性格や物語を与えてもらえるとうれしいです。

作り続けることで見えてくるもの

——人形1体を作るのに、どのくらい時間がかかるんですか?

IRIIRI:よく聞かれる質問で、聞かれるたびに困るんですけど(笑)、デザインを考えて仕上がるまでで言うと、1週間とか。その間、作業だけをしているわけじゃなくて生活のことや事務作業もあるから、答えが難しいんですけどね。切羽詰まると1日2日で仕上げることもありますし。でも、デザインを考えて作るときに、その思いが持続していないと作れないので、なるべく間を置かないようにはしています。熱が冷めないうちに作ってしまうのが好きなんです。

IRIIRIさんの作る人形たち。座ることができたり、足を組めたりと、かわいがりたくなる要素がいっぱい。

——わかります。考えがまとまらないからといってずっと頭だけで考えていても、何も生まれないですよね。

IRIIRI:ものを作る人ってみんなそうなんじゃないかと思います。とにかく手を動かすことで次のアイデアが生まれたりするので、止まってしまうとダメで……。作りながら、作家自身も変化している。作り続けることで、その変化を受け入れながら形にできると思うんです。

——もみじ市には何度も出店いただいていますが、どんなイベントだと思いますか?

IRIIRI:私、もみじ市に人間観察に行っているようなところがあって(笑)。人気の作家さん目掛けてお客さんが走っていく様子とか、もみじ市に流れる空気感とか、独特のものがありますよね。なんだか、お祭りだなぁって。これは、作家自身も楽しまないと!って思っています。個展だと、すでに私の作品を知って来てくださる方が多いんですけど、もみじ市では初めて見てくださる方もたくさんいて。その方たちの反応を見られるのもうれしいです。

いつも持ち歩けるキーホルダーは、小さな人形としても楽しめるアイテム。

——今年のテーマは「ROUND」なんですが、テーマにちなんだ作品などはお考えですか?

IRIIRI: ROUNDって、一周回ってゴールがあるようで、ぐるぐると回っていつまでも終わらないイメージもありますよね。そういうどこまでも繋がるイメージとか、円をモチーフに展開していけたらなと思います。とはいえ、まだ具体的に落とし込めていないのでどうなるかはわからないんですけど…。手紙社さんの思いと私の創作がうまく共鳴して、作ることを楽しんでいけたらなと思っています。

——IRIIRIさんが大切にしている「作り続けること」にも通じる展示になりそうですね。どんな子たちがもみじ市にやってくるのが楽しみにしています!

〜取材を終えて〜 
「私の作る人形には、これまで出会った人たちの要素が少しずつ入っているんです。だから、大橋さんもいつか作品に登場するかもしれませんよ」と言ってくださったIRIIRIさん(うれしい!)。人形たちのまなざしに不思議な生命力が宿っているのは、ファンタジーの中に、どこか血の通った体験や出会いが縫いこまれているからなのかもしれません(大橋知沙)。

【もみじ市当日の、IRIIRIさんのブースイメージはこちら!】
物語の中からひょっこり抜け出してきたような、IRIIRIさんの人形たちに会いに来てくださいね。