ジャンル:CRAFT

feltico 麻生順子

【feltico 麻生順子プロフィール】
羊毛花作家。羊毛フェルトと布花による花・植物モチーフを中心としたアクセサリーを制作。日常の「きゅん」と心をくすぐるものや、瞬間をカタチにしたいという想いから、温度を感じられるものづくりを目指す。小さなブローチから、ウエディング、アーチストへの衣装アクセサリー提供をはじめとするオーダー1点ものを手しごとで日々制作。屋号の「feltico(フェルティコ)」は「フェルトのこども」の意味を持ち、ひとつひとつ時間をかけた手しごとは想いのこもった自分の分身、というところから付けた造語。
子どもの頃に草花に触れて感じた「きれい」という素直な感激を、ただただ羊毛フェルトで再現しようとしていることが活動の源と語る麻生さん。花にまつわる思い出や、作品へ込める想いを語ってくださる麻生さんがまさに、凛と咲く花のような存在です。
http://www.feltico.net/

【月刊 feltico 7月号】
特集「過去・今・未来を行き来するスイッチ~シロツメグサ~」
作品が持ち主にとっての「過去・今・未来とを行き来するスイッチ」になれたら、と語る麻生さん。このスイッチは、作品を手に取ることで、ふと懐かしい記憶を思い出したり、物語を想像したり、ありふれた日常に少しだけ特別な花が心に灯るような気持ちが芽生えるきっかけのこと。過去を思い起こすことは今の自分を知り、未来の自分を想像することでもあります。この「月刊:feltico」では、毎号1つずつ、スイッチとなる花(作品)を紹介します。

今月はシロツメグサ。feltocoのシロツメグサをモチーフにした作品は、花びらや葉の先端の細かな質感、染色を重ねた独特の色合い、花の薫りまでしてきそうな佇まいです。野原に咲いていた姿がそのまま、この作品に生まれ変わったよう。

こどものころ、公園や原っぱでシロツメグサを摘んだり、花かんむりを作ったりした記憶がある人は少なくないはず。一方で、その記憶自体はおぼろげに残っていても、日頃思い出すことや、そのデティールが頭に浮かぶことはなかなかない……。

ところが、この作品を目にし手に取ったとき、思い出すことのなかった記憶の細部がふわりと甦るのか、その、こどものころのエピソードを共有してくれる方が多いのだそう。例えば、摘んだ小さな花束を母親に渡したこと、花かんむりの輪を結ぶのに苦心したこと、摘むと夕方にはくったりと首がうなだれてしまう花に切なさを感じたこと。そんな思い出を話してくれる方の表情は、キラキラと輝きを増し、その人“らしさ“が垣間見える瞬間でもあるのかもしれません。身近に咲くシロツメグサだからこそ、ささやかだけれども、実はかけがえのない思い出と共にあるのでしょう。

過去の懐かしさ、愛おしさ、それを経ての“今“を感じられる、felticoのシロツメグサ。あなたの思い出の中には、どんな風に登場していますか?

今月の花々

このリボンの、なんとも言えない味わい深さのあるグリーンは、1本ずつ麻生さんが手染めをすることで生まれました。「緑色でもなく水色でもなく、何年も陽に当たって淡く色褪せてしまったようなビロードのリボン、そんな感覚の色を目指しました。」(麻生談)

(編集・柴田真帆)

《次号予告》
「庭先や散歩道の花」