ジャンル:FOOD

ハナイグチ

【ハナイグチ プロフィール】
京王井の頭線の久我山駅からほど近くで、2014年6月30日にオープン。きのこや旬の素材を使ったお料理に、ワインや日本酒などのお酒も楽しめるお店です。店名の「ハナイグチ」とはきのこの品種の一つ。日本各地でその土地ごとの呼び名で親しまれ食べられているものの、エノキやシメジのようにはあまり一般的とは言えないハナイグチ。そんなハナイグチように、知る人ぞ知る、おいしいお店になりたいという想いが込められています。
https://www.facebook.com/hanaiguchi3/


【商品カタログ予習帳】

10種のきのこのストロガノフ

『月刊 ハナイグチ』記事一覧

7月号「ハナイグチの誕生〜店舗編〜」
8月号「ハナイグチの誕生〜由来編〜」
9月号「ハナイグチの誕生〜料理編〜」
10月号「ハナイグチのもみじ市〜提供メニュー編〜」


【月刊 ハナイグチ7月号】
特集「ハナイグチの誕生〜店舗編〜」

今村崇司さん、綾さんのご夫婦が切り盛りするハナイグチ。今回は、お二人の思い入れがたっぷり詰まったお店の内装をご紹介します。

雑貨や家具などを扱うインテリアの会社で働いていた崇司さんと、吉祥寺のカフェで働いていた綾さん。「それぞれ得意なことを持ち寄って何かできたら……」と考えた結果、2人でお店づくりから手がける飲食店、という答えが導き出されました。働きながら物件を探すも、もともと希望していた吉祥寺や西荻窪では、居抜き物件の条件が厳しく難航。そこで少し範囲を広げたところ、今の店舗の物件に出会ったそう。4月に決心をし、約2ヶ月半後にオープンの運びとなりました。

店舗の空間を作る上で大切にしたのは、あたたかさい雰囲気を醸し出すこと。そして、“本物”を使う、ということでした。客席のメインとなる大きなテーブルは無垢材の天板のものを。ワインのシミや使用上の傷がつきやすくはありますが、それも経年の変化と楽しめると、魅力を感じたそう。お店の歴史と共に、深みを増していくテーブルです。天板をどっしりと支えるアイアンの脚は、4辺のどこに座っても収まりが良いように配慮されており、オーダーメイドならではの工夫がなされています。

グレーの壁は、本来は下地素材である“カチオン”という素材。DIYだからこそ残っている塗り後も、味わいとして店内の雰囲気作りに一役買っています。

提供される食事が盛り付けられる食器は益子焼の作家、佐藤敬さんのもの。



益子陶器市に足を運んだ際に出会い、「この器をぜひお店で使いたい!」と一目惚れしたそう。蹴ろくろ(けろくろ)」を用いて作られた佐藤さんの器は、素朴ながら手のぬくもりが感じられ、ハナイグチの店の雰囲気ともしっくり馴染んでいました。店舗では、佐藤さんの器を購入することもできます。

一部の椅子や傘入れ、本棚は、手紙社が主催する東京蚤の市で出会ったものたち。事前に蚤の市のWebサイトで商品をチェックし、開場と同時にお目当ての品のもとへ一目散に向かった思い出を話してくれました。ハナイグチの居心地のよい空間を構成する要素に、手紙社とゆかりがあるものがあるとは、嬉しい限りでした。

入店してから帰路に着くまでの滞在時間、終始感じる居心地の良さは、隅々までに行き届いたお二人の思い入れと、こまやかなこころ配りから、生み出されているのでしょう。

(編集・柴田真帆)

《次号予告》
「ハナイグチの誕生〜由来編〜」


【月刊 ハナイグチ8月号】
特集「ハナイグチの誕生〜由来編〜」

店名の「ハナイグチ(花猪口)」は、きのこの品種名。今月号では、店名にするほどのきのこへの思い入れと愛を、崇司さんに語ってもらいました。

崇司さんは、前職の頃から大のきのこ好き。それも、毎年9月中頃になるといそいそと山へ出かけ、きのことの出会いを求めてる“きのこ狩り好き”なのです。

「きのこには大きく分けて2つのタイプがあります。1つが木を腐らせるもの。もう一つが木と共生するもの。松茸やハナイグチは後者に該当します。きのこ狩りは、地温が17度以下に下がった頃からが特にシーズンです。今はお店をやっているのでなかなか山へ足を運べませんが、毎年時期が近づくとソワソワしています。都心で暮らしていると、きのこ狩りは非日常的なものですが、地方の山間部では日常に根付いているもの。ハナイグチは、長野ではジコボウ、北海道ではラクヨウと呼ばれて、秋の山からのご馳走として愛されています。それにきのこ狩りの初心者にもわかりやすい姿かたちなんですよ。傘の色は赤褐色や派手な黄土色だったりでよく目につきます。裏側はシイタケの様なひだ状でなく、スポンジの様な見た目でぬめりがあるためスープに入れるととても深い味わいになって……。お店でも岩手県から取り寄せることがありますよ! このお店の店名のおかげで、きのこマニアと自称される方々が来店することもありました」ととどまることなく、イキイキと話されます。店内にも、きのこに関連したものたちがあちこちにあります。

飾り棚の植えには、きのこの図鑑にきのこのオブジェ
きのこの図柄のトランプに、切手。崇司さんのきのこ愛を知って、プレゼントされることもあるそう
店内の本棚に並ぶきのこ関連の本たち

きのこの持つ旨味成分のこと、きのこを狩るときの種類ごとのコツ、綾さんも一緒にキノコ狩りの面白さに魅了されたこと……。崇司さんのお話を聞いていると、「きのこ=お店で売っているもの」という概念や、自分自身の今までの味わい方、楽しみ方がいかに狭いものだったのかと驚きが止まりません。

お店の目印となっている、クマが手にしているキノコももちろん、ハナイグチをイメージ。このイラストは、イラストレーターの福田利之さんが描きました。綾さんが福田さんのファンだったこともあり、お店を開くとなったときに、「ぜひお店のビジュアルを福田さんに!」と思い立ったのだそう。「知り合いのつながりから福田さんに依頼ができたときは、本当に嬉しかった」と話します。溢れんばかりのきのこ愛を語ったところ、両手で大事そうにハナイグチを抱えるクマを福田さんが提案してくれたそうです。お店の入り口のこのクマ、ご来店の際はぜひ注目くださいね。

(編集・柴田真帆)

《次号予告》
「ハナイグチの食事〜料理編〜」

【月刊 ハナイグチ9月号】
特集「ハナイグチの食事〜料理編〜」
ハナイグチで提供されている食事はメインの料理を崇司さん、副菜やおつまみを綾さんが担当しています。綾さんはもともとカフェ勤務の経験がありますが、崇司さんは崇司さんはまったく畑違いの仕事から飲食業に飛び込みました。今回は、崇司さんの料理にまつわるエピソードをご紹介します。

お酒と料理のペアリングを楽しめるのもハナイグチの魅力のひとつ

崇司さんが料理を始めたのは、20代中盤の一人暮らしを始めた頃。もちろん最初は、野菜炒めや肉を焼くだけ、など簡単なものばかり。そんな中、友人宅で食事をした際、マグロとアボカドと白髪ねぎの和え物が出されます。今でこそ、珍しくはない食材の組み合わせですが、当時の崇司さんには衝撃的でした。おしゃれで、簡単、それでいて美味しい! 素材同士の組み合わせで生まれる意外な味わい、その面白さに触れて、料理への興味関心が一気に高まりました。少しずつレパートリーを広げ、自分なりのアレンジを効かせた料理を自身で食べるだけでなく、職場で同僚にふるまったり、家で集まるとフライパンを振るう機会が徐々に増えていきました。誰かが口にしてリアクションが見られること、喜んでもらえることが料理の喜びであると、この時期に実感するようになったのだとか。

もうひとつポイントとなる出来事が、知人のパティシエが自宅でフレンチを振る舞ってくれたこと。フレンチ=外食するもの、と思っていた崇司さんにとって、「こんな手の込んだフレンチを家で作れるなんて!」と大いに驚きます。同じように自分も周りの人に驚きを与えたい、そう思った崇司さんはフレンチの料理本を購入。本を片手にキッチンに向かう楽しさが一層増していきました。お店を始めて4年経った今でも、異なる味の組み合わせ、食材のかけ合わせで、「こんなのもありなんだ!」と発見できたときは、ぐっとテンションがあがるのだそう。

ハナイグチのメニューで大切にされているのが、旬の食材を使うこと。スーパーに行けば、年中トマトもナスもかぼちゃも手に入りますが、やはり旬のものは栄養価が高く、味も良い。慌ただしい日々で少しずつ移り変わる四季に気づきにくくなっている人にも、ハナイグチの食事を通して季節を感じてもらえたら、と崇司さんは、“今”美味しい食材を積極的に取り入れています。

魚介類も旬を踏まえてメニューを構成します
夏に旬だった冬瓜を使った一品。ゴロゴロと大ぶりの豚肉とさっぱり煮ています

食欲の秋、これから旬を迎える食材の一つで、ハナイグチに欠かせないのはやはりきのこ。もみじ市では、10種のきのこのビーフストロガノフの提供する予定です。10種と聞くと、みなさんはいくつまで想像できますか? (私は5つまでが限界でした……)来月号では、ハナイグチのブースで味わえるメニューの詳細をお披露目いたします!

下ごしらえされたボウルいっぱいのきのこたち

(編集・柴田真帆)

《次号予告》
「ハナイグチのもみじ市〜提供メニュー編〜」


【月刊 ハナイグチ10月号】
特集「ハナイグチのもみじ市〜提供メニュー編〜」

いよいよ迫ったもみじ市。もみじ市のための特別メニューとして登場するのは、10種のきのこのストロガノフです。

ランチメニューでも定番人気のストロガノフ。通常のランチで提供しているストロガノフは4種類のきのこでのレシピ

10種類ものきのこの名前をあげるのは、なかなかの難問ではないでしょうか? 今回のメニューに入っている10種とは、しめじ、エリンギ、マイタケ、椎茸、マッシュルーム、ぶなぴー、ヒラタケ、シロマイタケ、カキノキダケ、ヤマブシタケ。最後の2種類は特に聞き慣れないかもしれません。カキノキダケは、エノキの原種に近い品種。エノキよりもシャキシャキした食感が特徴です。ヤマブシタケは中華料理の食材として四大山海珍味のひとつにもなっているきのこ。日本でも山林に自生してはいるものの「幻のきのこ」と呼ばれているそうです。白くふわふわとした房がいくつも重なり、一見きのことは思えない不思議な姿。噛みごたえがあり、味、香りともにエリンギとしめじの中間のようなイメージなのだそう。

当日はランチボックスに入れて提供します。付け合せの副菜の一捻りある味付けにもご注目

「この10種類のきのこが織りなす奥行きのある味わいと、一口ごとに楽しめる食感を楽しんでほしいです」と崇司さんは話します。もみじ市当日、河川敷に漂うストロガノフの香りを想像すると、早くもお腹が鳴りそうです。ハナイグチの収穫の秋を心ゆくまでお楽しみください。

(編集・柴田真帆)