ジャンル:CRAFT

IRIIRI


【IRIIRI プロフィール】
テキスタイルデザイナーを経て、2000年より人形作家としての活動をスタート。各地での個展、グッズ制作のほか、ワークショップでは自身のデザインを参加者と一緒に形にする取り組みも行っています。絵を描くための画材や手法の選択肢として「布」を選んだIRIIRIさんの作る人形たちは、絵本から飛び出してきたかのような物語性と、手仕事の緻密さ、マテリアルのおもしろさが共存する存在。愛らしくも、どこかミステリアスなムードやユーモアが漂う人形たちは、ひと目見ただけで吸い込まれるような魔法を秘めています。
http://iriiri.petit.cc


『月刊 IRIIRI』記事一覧

7月号 IRIIRIが紡ぐ、物語のかけら その1
8月号 IRIIRIが紡ぐ、物語のかけら その2


【月刊 IRIIRI 7月号】

特集:IRIIRIが紡ぐ、物語のかけら その1

5月。IRIIRIさんの個展「アトリエ・イリイリ〜いろどりさらまわし〜」が開かれている「夜長堂」の小部屋を訪れると、そこには小さな夢物語の世界がありました。くるくると皿を回しながら宙を舞うチュールをまとった道化師、伯爵のように気取った猫、とぼけた表情のうさぎ……。さまざまな人形たちのかたわらで、IRIIRIさんは小さなデスクいっぱいに布や糸や画材を広げ、本物のアトリエのようにちくちくと作業していました。

5月に大阪「夜長堂」で行われた個展「アトリエ・イリイリ〜いろどりさらまわし〜」の展示風景。

このときの個展のテーマは「アトリエ」。だから、個展の部屋そのものをアトリエに見立て、実際に作業しながらお客様を迎えていたのだそう。小さなドールハウスも展示され、そこはアトリエデスクや人形たち、個展のポスターが飾られた「もう一つのアトリエ」になっていました。

アトリエに見立てたドールハウス。2階には個展のポスターが飾られているという緻密さ!

全4回にわたってお送りする特集では、アトリエにお邪魔したような気分で、IRIIRIさんの人形たちとその世界を構成する要素を、一つひとつ発見していきます。デザインや布選び、人形の人格やバックボーンなど、作品という形になる前のさまざまな制作過程を目にすると、この人形たちの持つ不思議な生命力の秘密がわかるはず。

第1回は、布というマテリアルに落としこまれる前の、ラフスケッチをお届けします。

描きなおしたり、素材のメモを残したり、構想を練っている頭の中をのぞき見るようなスケッチの数々。

スケッチからイメージが次々と湧いてくることもあれば、布や色といった素材が先行してデザインが浮かぶこともあるとか。人形のいのちとも言える顔のパーツは、下記のようにイメージした素材が細かく描き込まれてます。

右どなりに描かれた、表情違いのパターンも興味深い。

また、ワークショップなどで参加者のみなさんに作っていただく作品のデザイン画がこちら。「ストライプパンツのうさぎ」「ぞうさんはペンケース」など愛らしいタイトルが付けられ、作るモチーフの衣装やポーズにも小さな物語が秘められています。

ワークショップ用のデザイン画。これを見て「作りたい!」と応募してくださるそう。

こんなふうに、最初は平面から生まれるIRIIRIさんのキャラクターたち。平面は立体となり、衣服をまとい、生き生きとした表情を与えられて、人形たちは物語を語り始めます。どんな姿を獲得していくのか、どうぞお楽しみに!

(編集・大橋 知沙)


【月刊 IRIIRI 8月号】

特集:IRIIRIが紡ぐ、物語のかけらその2

布という素材を使い、キーホルダーやバッグといった小物から、小さな友だちのような人形までさまざまな作品を生み出すIRIIRIさん。一人ひとりが物語を抱いたそれらの登場人物たちを、制作の裏側から発見する特集をお届けします。

8月は、「布に描かれたものたち」。IRIIRIさんの人形づくりは、絵を描く素材として「布」という素材がキャンバスになり、画材になり、立体になっていったということ。その原点とも思えるのが、平面の布に描かれた絵そのものです。

糸と布だけでえがかれた鳥。画材を選ぶように、素材を組み合わせているのがわかります。

刺繍とアップリケを巧みに組み合わせ、描かれた鳥の姿はなんともチャーミング。まるでズボンを履いているかのような脚や、複雑なステッチで描かれた尾が、どこかひょうきんな風貌です。

Tシャツに直接描かれた絵。線や色のゆらぎが感じられるのが魅力。

こちらは、Tシャツに描かれた絵。1枚目のステッチで描く描線とは全く印象が違いますね。にじんだような色彩やゆらゆらとゆらめく輪郭は、繊細で夢の中の世界のよう。こちらはTシャツとして平面で完成された作品ですが、IRIIRIさんの作品には、手描きの模様をほどこした素材から立体へと形づくられていくものもあります。

不思議な植物と鳥が描かれた、テキスタイルのような柄も。

布に描かれた絵として味わう、IRIIRIさんの世界。線と色、糸と布、その違いのおもしろさと美しさは、ぜひ実物を手にとって感じてみてください。

(編集・大橋 知沙)