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かいじゅう屋(14日)


【かいじゅう屋プロフィール】
橋本宣之さん・橋本美香さんの夫婦2人が営むパン屋。昨年3月、10年愛された目白のお店を閉め、現在の場所、立川に移転・新規オープンする。店頭には天然酵母のパンや焼き菓子が並ぶ。水曜日には、同敷地内の鈴木農園のカラフル野菜を使ったサンドイッチが並ぶ。決して便利とは言えない立地でも、「かいじゅう屋のパンを」と足繁く通うお客さんの姿は絶えません。焼き立てのパンを口にすると、橋本さんご夫婦のパンへの熱意と誠意が伝わってくるかのように、お腹も心もじんわり温まります。
https://www.instagram.com/kaijyuya/?hl=ja

【月刊 かいじゅう屋 7月号】
特集「色のついたかいじゅう屋」

思いがけない一言
目白から移転して1年。この1年はかいじゅう屋にとって、まさに変化の年だった。目白のお店は営業日には決まって、パンを求めて開店前から行列ができる評判のお店。一見、順風満帆にも見えるその状況から、なぜ移転に踏み切ったのだろうか。宣之さんは次のように語ります。
「独立してすぐは自分の焼いたパンでお金をもらうことに対して恐怖心を抱いていました。でも、10年という時間が経つ中で、徐々にその気持ちがどこかにいってしまっている……。その心の変化に怖さを抱いたんです。このままではこれ以上の成長はないかもしれない、と、ハッとしました。そんなとき、鈴木農園さんからのお誘いが。自身の心境とのタイミング、そして鈴木農園さんとのご縁が、移転の後押しとなりました」。

立川に移転して新しく登場したのが毎週水曜日だけの限定メニュー、カラフルサンドイッチ。このサンドイッチの具材の野菜は全て鈴木農園で栽培された無農薬の有機野菜。しかもその日の朝、鈴木農園さんの目利きで選ばれたものたちです。色鮮やかな野菜の中には、普段あまりスーパーでは目にしないものも多くあります。具材の組み合わせを担当するのは美香さん。旬の野菜をどんな組み合わせで、どんな味に調理するのか、鈴木農園さんにアドバイスをもらいながら組立ているそう。野菜の旬の移り変わりは早いため、その週にしか食べられないサンドイッチができることもあるそうです。

以前、食事用のプレーンなパンしか焼かなかったかいじゅう屋が、鈴木農園の野菜をたっぷり使ったサンドイッチを販売することは、目白時代からかいじゅう屋を知るファンには、大きな驚きだったようです。お客さんの1人の言葉が、宣之さんの中に残っています。「かいじゅう屋のパンに、色がついたね」と。かいじゅう屋の信条は、基本に忠実に、“特別でない”毎日食べたくなるパンであること。“カラーがないこと”こそが、その信条を体現していると思っていた宣之さんには、ハッとさせられるお客さんの言葉でした。「鈴木農園の野菜と出会って、カラフルなサンドイッチが出来上がりました。実際の見た目の色ではなく、具材(野菜)とパンとを融合しようと苦心する僕らの心情を含めての『色がついた』という言葉だとしたら、すごく嬉しいことです」と。

今月のパン〜カラフル野菜のサンドイッチ

「新玉ねぎとパセリの卵サラダバーガー」
卵サラダバーガーの下にはズッキーニの厚切りステーキ。ジュワッとジューシーなズッキーニと卵サラダがよく合います。きらきら、プチプチとした緑の葉はアイスプラント。食感と塩気と酸味がきいた不思議な野菜をひと房まるっと。

「フランスパンのツナマヨサンド」
ルッコラとツナマヨ、まるでさくらんぼのようなミニトマト「プチプヨ」にチコリー。パンはプチフランスパンを合わせました。思い切り大きく口を開けてどうぞ。

「スイスチャードの和風ハンバーグバーガー」
紫玉ねぎとスイスチャード入りハンバーグに新玉ねぎの和風ソースを合わせて。トッピングには、なすと伏見甘長とうがらしの甘みそ炒め、そして、アロマレッド人参とコリンキーのラペを。ハンバーグにもスイスチャードと新玉ねぎを盛々混ぜ込んでいます。なすと伏見甘長とうがらしは甘めの味噌炒めに。ごはんがすすむ味付けですが、パンにも合います。コリンキーが出たのでさっそくラペに。アロマレッド人参のオレンジとコリンキーの山吹色が見た目にも大変鮮やかなバーガーに仕上がりました。

 

(編集・柴田真帆)

《次号予告》
外に出てゆく、かいじゅう屋