ジャンル:ILLUST&DESIGN,出店者紹介

岡崎直哉

【岡崎直哉プロフィール】
グラフィックデザイナー、写真家。CDジャケットや映画のポスターなどのデザインを手がけるほか、全国各地で写真を撮影し作品を制作する。作品づくりに欠かせない、プリントや断裁、小箱の制作まですべての工程を自らの手で行っている。移り変わる季節、過ぎ去る時間の中で、変わらない美しさ、そして変わる美しさを鮮明に映し出した岡崎さんの写真に心を奪われた人は数知れない。
http://www.color-travel-guide.com/

【商品カタログ予習帳】


新作の便せん。お部屋に飾っても素敵です。

新作のポストカード。


新作のポストカード。あたらしい和のかたちを表現しました。写真家としてじゃなく、デザイナーとしてつくった作品です。


ポストカード、たくさん持って行きます。

おなじみ、ポストカードのちょこっとシリーズ。


フルーツポストカード。

花シリーズ。

ミニカードBOX「北海道三十六景」。

ミニカードBOX「カラートラベルガイド」。

ミニカードBOX「ニュー富士」。

小さなフォトフレーム。たくさんの風景を持って行きます。


『月刊 岡崎直哉』記事一覧

第1話 『撮影散歩』
第2話 『暗室』
第3話 『断裁』
第4話 『新作』


【月刊 岡崎直哉 7月号】
特集「Color Travel Guide」

担当の鈴木が写真家・岡崎直哉さんに密着取材! もみじ市までの4ヶ月間、岡崎さんの背中をみて感じたことを思うがままに綴っていきます。

第1話 『撮影散歩』

【撮影散歩 鎌倉編ルート】
11:00 鎌倉駅集合
12:30 老舗喫茶「ミルクホール」作戦会議のち出発
13:00 日焼けする人が集まる由比ヶ浜の浜辺
13:30 「手紙舎鎌倉店」でひと休み
14:30 バラが見頃の鎌倉文学館
16:00 喫茶「RONDINO」にてふた休み
17:00 鎌倉駅解散

2018年5月12日(土)午前11:00。電車から降りた途端に襲ってくる人混みの熱気と燦々と降り注ぐ太陽の光。絶好の写真日和、そして絶好の観光日和だな、と考えながら、今回の撮影散歩のスタート地点「鎌倉駅」に降り立った。本日の隊長・岡崎さんと合流し、老舗喫茶店「ミルクホール」で作戦会議と腹ごしらえをした後、本日のルート、鎌倉駅の南側、由比ヶ浜・長谷エリアへ。普段から写真を撮るときはあまり目的地を決めないという岡崎さん。「海」・「鎌倉文学館」をキーワードに住宅街の脇道を進む。

岡崎さんが撮影するのは、“花”や“建物”、“影”などさまざま。完成した作品を見ているとどの写真にも統一感(岡崎ワールド)があり、被写体を選別して撮影しているものだと思っていたが、ビビッときたものはとにかく撮影する岡崎さんの姿があった。

木漏れ日から生まれた模様を撮影する岡崎さん

岡崎さんが選ぶ被写体はどれも私では気がつけない、空間の中にしっくりと馴染んでいるものたち。何気ない景色を歩くなかで、常にアンテナを張り続ける姿はさすがとしか言いようがない。被写体の見つけ方もそうだが、切り取り方も岡崎さんにしか生み出せない世界観がある。

岡崎さんの相棒「RolleiFlex」

その世界を作り出すのが、愛用の二眼レフカメラ「Rolleiflex」。カメラ好きならば誰しもが憧れる二眼レフの元祖である。一眼レフとの大きな違いは、ファインダーを上から覗くこと。試しに私も覗かせてもらったのだが、そこに映し出される世界は、肉眼でみるものよりもずっと叙情的で、何枚でもおさめたいと思えるほど美しかった。

二眼レフカメラを構える岡崎さん

二眼レフカメラの場合、ファインダー越しの景色が反転して見えるため、調整するのも慣れるまでは一苦労。なによりも構図決めが難しい。やっとのこと構図を決めて、ピントを合わせたらシャッターを切る。多くのカメラは潔いシャッター音を鳴らしてくれるのだが、このカメラは実に静か。その姿までスマートで美しい。私が撮った写真がうまく撮れたかは全くわからないが、シャッターを押した感覚が忘れられず、すっかり「Rolleiflex」の虜になってしまった。

手紙社に入社する前から憧れの存在だった岡崎さんの担当になって3年。ついに念願叶って撮影に同行させていただいた。もともと写真を撮ることが好きだった私にとっては、今回の撮影散歩は発見の連続だった。被写体の探し方や構図の決め方、そして意外とデジタルカメラでも撮影するということ(笑)。岡崎さんの作品の初めの一歩にご一緒できたことはとてもいい経験になった。次回はいよいよ暗室での焼き付けの作業。どんな写真が焼き上がるのかドキドキだ。

 


第2話 『暗室』

2018年7月19日(木)午後3時、東新宿の駅で岡崎さんと待ち合わせた。今日の取材では暗室に同行する。岡崎さんが通うのは、レンタルカラー暗室「WORKS」。以前は2箇所の暗室を利用していたそうだが、ここ10年ほどはもっぱらここでプリントしているという。なかに入ると何部屋か仕切られており、部屋ごとに引き伸ばし機のサイズが違う。引き伸ばし機とは、現像したネガを印画紙に焼き付ける際に使う機械のことだ。印画紙のサイズにより機械が変わるため、部屋ごとで分かれているのだ。今回は、3番の部屋を使う。

慣れた手つきで準備を進める岡崎さん。このレンタル暗室で、カラー写真を1枚作るのに必要なものは、ネガ・印画紙のみ。あとは暗室で借りることができるので初心者でも安心だ。

プリントしたいネガをキャリアにセットする

まずは、現像したいネガを選び、キャリアにセットする。この時にネガが曲がっていたり指紋がついていると、そのままプリントされてしまうため、注意が必要である。キャリアに固定したあと、ブロアーでゴミを飛ばす。そこまで終わったら、引き伸ばし機にセット。

引き伸ばし機。上部には色味を調整する絞りがついている

ここまでセットしたところで、暗室らしく部屋の電気をオフに。真っ暗な状態でネガを投影し、フォーカススコープというレンズを覗いてピントを合わせる。カメラのファインダーを覗いてピントを合わせるのとは違い、ここでのピントは、肉眼では合っているか確認できない。そのため、スコープを覗き、写真の粒子が鮮明に映るように調整する。ピントを合わせたら、いよいよ焼き付けの工程に。写真の色味は、撮影した時間や場所により、赤みを強くしたり、黄みを強くしたりと調整が必要になってくる。また、印画紙への露光時間(照射する時間)によっても、写真の濃度が変わってくる。そのため、ネガごとの色味や露光時間を記録した紙をもとに、イエロー・マゼンダ・シアンの値を合わせていく。岡崎さんの写真は、一目見たら「岡崎直哉の写真」というのがわかる一貫性がある。ここでの調整は岡崎ワールドを作る上で大切な工程だ。

印画紙を固定するイーゼル。正方形にプリントするために、型紙のサイズにバーを合わせる。

すべて合わせたら、ついに印画紙に照射。この際、暗室は真っ暗に。なぜ電気を消さなければいけないのか。それは、印画紙は少しでも光に当たると感光してしまうためだ。こんなに真っ暗な状態は体験したことがない! というくらい、本当に真っ暗な世界なのである。そのため作業は全て手探りで行わなければならない。真っ暗ななか、イーゼルに印画紙をセットし、露光開始。ここでかかる時間は、たった10秒ほどだが、やけに長く感じる。露光した印画紙を光が通らないボックスに入れたところで、やっと電気をつける。

自動現像機を使うことで5分ほどで現像から乾燥までできる。テストプリントが出来上がる様子。

ここまで終わったら、別室の自動現像機へ。露光した印画紙を機械へ入れると5分ほどで、プリントされた写真が出来上がる。自分で焼き付けるとなると、現像液や定着液につけて水洗いし、さらに1日かけて写真を乾燥させなければならない。しかし、この自動現像機を使えば、その工程を5分ほどでこなしてしまう、とても便利な機械だ。

プリントした写真を、事前に用意したサンプルと照らし合わせて、色味を調整していく。例えば赤みを強くしたい場合、単純にマゼンダの値をあげればいい、というわけではない。値を変えるごとに、露光時間も変わっていくのだ。これは、岡崎さんお手製の表(非公開)をもとに調整。そして、またプリントするのである。

以前プリントした3枚と並べて、色味を確認する

「レンタル暗室のいいところは、時間の制限があるところ」と語る岡崎さん。時間の制限がないと、納得するまでプリントしてしまうため、どんどん迷走していくこともあるという。しかし、制限があることで集中して作業でき、効率がいいのだとか。

実は、私も岡崎さんに伝授していただきながら、現像に挑戦。真っ暗な空間に浮かび上がるネガが投影された光。その時間はわずか14秒ほどなのにもかかわらず、どんな写真が出来上がるのだろうと心が踊った。現像機から出てきた写真を見たときの感動は格別! レンタル暗室は初心者にはハードルが高いと思っていたが、自分で写真の色味を調整できることや、すぐに写真が完成することなどから、もっと身近な存在になってもいいのではないだろうか。

次回は、断裁の作業を取材。箱の形成やスリーブの断裁などすべて手作業で行う岡崎さんに密着する。

 


第3話 『断裁』

岡崎さんのブースに並ぶ作品たちのほとんどは岡崎さんの手により、断裁され、接着され、形作られる。今月号では、代表作「カラートラベルガイド」の製作に密着。いったいどのようにして一つの作品が出来上がるのか。普段見ることのできない貴重な製作過程をご覧あれ。

本日使う道具たち:木工用ボンド・カッター・角丸カッター・テープのり・洗濯バサミ

テーブルに並ぶのは、見覚えのある道具たち。今日はこれを使用して「カラートラベルガイド」を作っていく。

断裁前の姿

まずは、カードの作り方を見てみよう。「カラートラベルガイド」は全47枚入り。断裁前は、30枚1シートの状態で印刷所から上がってくる。このシートを一つひとつトンボ(断裁ラインを指示する目印)に合わせて断裁。この時に気をつけなければならないのは、シートの端まで断裁しないということ。端まで切ってしまうとトンボまで切れてしまい、目印がなくなってしまうため、必ずカードサイズの部分だけ断裁するように気をつけなければならない。

断裁後

岡崎さんの手つきは驚くほど早いのだが、寸分の違いもないカードが出来上がった。不器用な私(担当:鈴木)には驚きの光景である。手先は器用か、と岡崎さんに聞いたところ、「器用かはわからないけれど、手を動かすのが好き。昔、デザイン事務所で働いていた時からカッターを使って作業することが多かったので、使い慣れているかも」とのこと。岡崎さんがデザイン会社で働いていていたころは、今のようにパソコンでデザインをするのではなく、フォント一つひとつも写植屋さんにお願いし、文字を打ってもらい、紙焼きした文字を切り貼りして、デザインを作っていたのだという。細かい作業だということが容易に想像がつく。

次に、角丸カッターという道具を使い、カードの角を落としていく。カードの角をセットしてレバーを押すと、丸くカットされるという簡単な構造なのだが、実はこの作業が意外にも大変なのだとか。1枚あたり4箇所角を落とさなければいけないため、レバーを握る手への負担は計り知れないという。カッターを使い慣れていない身からすると、角丸カッターはあまり失敗しなさそうな作業なため、簡単なのかと思ったが、何十枚もの作品を作らなければいけない岡崎さんの手のことを考えると確かに根気のいる作業ということがわかる。

無事、角丸カードが完成!
断裁前の型紙に台紙を貼り付けた様子

カードが完成したら、箱の製作に移る。カードをご自身で断裁しているというだけで驚きだが、箱までも岡崎さんのお手製。しかも台紙は、中に入れるカードのサイズに合うように何度も試行錯誤を繰り返し、岡崎さん自身で設計したという。

断裁中。蓋と底で箱のサイズが違うため、型も違う
断裁後

箱には、厚紙を使用。そのため、切る手にも力が入るが、力を入れすぎてはならない。なぜならば、ここでのカッター作業は「1、紙の断裁」、「2、折り目を入れる」の2つの工程が発生するからだ。切り取る部分は力強く、折り目を入れる部分は撫でるように優しく……。実は、不器用な私も作業をやらせてもらったが、この力加減が難しい。折り目を入れる部分を切り落とさないかとヒヤヒヤ。

断裁後、形成の作業へ。ここで木工用ボンドが登場! 木工用ボンドは粘着力があるので、薄めに塗っていきます。ボンドをつけた後、洗濯バサミで留めて接着。

規則正しく並んでいる姿がなんとも愛らしい。木の洗濯バサミを使っている理由は、ただ見た目が可愛から……ではなく、普通の洗濯バサミだと挟む力が強く、紙に後がついてしまうため、この洗濯バサミになったのだという。しかも自立してくれるので大助かりだとか。

箱が乾いたら最後に帯をつけていく。もちろんこの帯の断裁も岡崎さんが行っている。ここでは、テープのりを使用して接着。

そして、出来上がったカードを箱の中に入れたら……「カラートラベルガイド」が完成! 1つ作るだけでも、これだけの工程が必要なので、ブースに並ぶ数を作るとなると、根気がいるどころの話ではないことがよくわかる。しかし、この作業すら楽しく進める岡崎さんはこう語る。「今はいろいろなことがパソコンで出来るようになってとても便利だけれど、ちょっと物足りなさを感じています。ぼくにとってのものづくりの楽しさは、自分の手を動かすことの中にあると思っています」。そんな岡崎さんの想いが込められた「カラートラベルガイド」はもみじ市にも登場。当日、手にとって想いを感じてみては?


第4話 『新作』

3ヶ月に渡りお届けしたきた岡崎直哉さんの作品ができるまで。今月号では、その工程を経て出来上がった新作アイテムをご紹介。今回は、写真家としてだけでなく、デザイナーとしての“岡崎直哉”をお楽しみいただける新作が登場する。“あたらしい和のかたち”を表現したポストカードに広がるのは、練り切りやバランなど、日本では馴染みのあるものがモチーフ。写真の被写体同様、岡崎さんの選ぶモチーフはどこか“静”の美しさがある。その静けさとは逆行して、パッと目をひく色合わせも魅力のひとつ。ぜひ手にとってお楽しみいただきたい一品である。他にも新作の便せんには、第1話の撮影散歩で訪れた鎌倉で撮影した写真が起用されている。いったいどの写真がどこで撮られたのか、と想像しながら眺めるのも楽しいのではないだろうか? 新作のポストカードはこれから来る、秋や冬を想像させるしっとりとした静けさを持つ。どれも今までと違うようで、一定の世界観を保ち続ける岡崎さんの作品。ぜひ河川敷でご堪能あれ!

新作の便せん。
お部屋の壁などに飾っても素敵です。
新作のポストカード1
新作のポストカード2
新作のポストカード3
新作のポストカード4
あたらしい和のかたちを表現した、新作ポストカード。今回のもみじ市では、デザイナーとしての作品も発表できたらと思っています。
和菓子の練り切りをモチーフにデザインしました。
バランをモチーフにした作品です。
ポストカードの題名は「NEW」です。

 

(編集・鈴木麻葉)