ジャンル:CRAFT

竹村聡子

【竹村聡子プロフィール】
美しい乳白の磁器と銀彩で生み出される動物たち。長野県で活動する陶芸家・竹村聡子さんが命を吹き込む作品は、いまにも動き出して物語を紡ぎ出すような、唯一無二の存在感を放ちます。手にした人の肌にすっとなじむ柔らかな質感も、その魅力の一つ。私(担当:富永)は、長野県の人形劇の歴史や、動物に込められた背景など、取材するたび新たな発見をくれる竹村さんのお話に、いつも心をときめかせています。そんな竹村さんの日課は、工房へ向かう道中で飼われているヤギを観察することなんだとか! 繊細な作品たちの中には、思い思いに生きるヤギの姿から得た発想も込められているのかもしれません。
https://www.satokopo.com/

【月刊 竹村聡子 7月号】
特集「インスピレーションの種」

見つめるほどに、そこに込められたストーリーや奥深い背景を知りたくなる。そんな竹村さんの作品の魅力を、ご自身の解説とともに紐解きます。初回は、“インスピレーション”の種。竹村さんが生み出す美しい白磁の色合いや、動物たちの瞳に宿る輝きの秘密を、のぞいてみましょう。

●“白”に秘められた無限の可能性
竹村:私の現在の制作におけるインスピレーションは、20代の頃に心を揺さぶられた発見の中からジワジワと昇華して生まれてきています。

竹村:私は陶芸を始めた頃に偶然観た画家・藤田嗣治(レオナール・フジタ)の作品の「素晴らしき乳白色(gland fond blanc)」の美しさに感動したことがきっかけで白磁を選びました。白磁土と「白」色に内在する様々な可能性を求めて制作しています。

●命を吹き込む“アニメーション”との出会い
竹村:もう一つは、人形劇と人形アニメーションからの影響です。現在私は“人形劇のまち”といわれる長野県飯田市に住んでいて、以前人形美術家の川本喜八郎さんの作品に関わる仕事をしていたことがあり、川本さんの人形や人形アニメーション(こま撮りアニメーション、ストップモーションアニメーション)作品を観てその制作背景を追っていく中で、能や文楽などの日本の伝統芸能や様式美などを知ることができました。

また、人間の手で人形に命を吹き込むこと(animate)ができ、眼のあるものには心が宿ることもわかり、そういった目に見えないものに対する日本独自の感覚を自分の制作にも投影したいと思うようになりました。

竹村:私の制作しているものたちは一見西洋かぶれっぽくて可愛らしいと反応してくださる方が多いのですが、根底には日本ならではの様式美や静けさ、翳り、幽玄さなどを求めていて、そういった感覚を大切にして制作しています。

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ご自身の言葉から伝わる、ものづくりへの真摯な姿勢。考えに考えを重ねて作られる作品の中には、そんな竹村さんだからこそ感じ取れる、さまざまな分野のエッセンスが注がれていました。料理を作るとき「美味しくな〜れ」と声をかけると、美味しくできる。などと言いますが、きっと竹村さんも心の中で、たくさんの言葉をかけながら作品を作られているのではと、勝手ながら妄想しています。次回は、そんな制作の様子をご紹介。みなさまどうぞお楽しみに!

(編集・富永琴美)

《次号予告》
作品に命が宿る瞬間 〜素材、制作風景〜