出店者紹介,ジャンル:ENTERTAINMENTetc.

hanadocoro enn

【hanadocoro ennプロフィール】
栃木県鹿沼市に店舗を構える花屋・hanadocoro enn。爽やかなエメラルドグリーンの壁が目に鮮やかな店内には、国内や海外から厳選して仕入れた多種多様な花たちが並びます。そんな色とりどりの花の中から、お客さんの好みを聞き丁寧に束ねていくのが、齋藤貴洋さんと直明さんのご兄弟。男性ならではの感性で生み出された花束は、美しいだけでなく自然が持つ力強さをも感じさせます。hanadocoro ennの花はドライフラワーになりやすい花たちも多く扱っているので、飾りながら変化していく様を楽しむことも。花を慈しみともに生きる日々は、あなたの心を豊かにしてくれることでしょう。
http://www.hanadocoroenn.com/
Instagram:@hanadocoroenn


【hanadocoro ennの年表・YEARS】

【hanadocoro ennインタビュー】
手紙社が主催するイベント「東京蚤の市」でも、いつも行列の絶えない人気の花屋・hanadocoro ennが、満を辞してもみじ市に初登場します! 栃木県鹿沼市にあるお店に伺い、代表の齋藤貴洋さんに担当の藤枝梢がお話を聞いてきました。

生け花のディープな世界

ーーー弟の直明さんと共にお店を営む貴洋さん。そもそも花屋になろうと思ったのは何故なんですか?
貴洋:父親が生花店に勤めていて、その影響で花屋への道を決意しました。高校卒業後には、花屋になりたい人が通う専門学校に入学し、そこで花のイロハを学びました。ただ、国家資格を取得することを目的にした学校だったため、基本の型に沿ったものを作るということがほとんどで、あまり実戦向きではなかったです。

ーーー専門学校を卒業されてからは?
貴洋:卒業してすぐは、専門学校に求人がきていた都内の花屋に就職しました。生け花とショップの2つの部署があったのですが、希望していたショップの部署ではなく生け花の部署に配属されました。学生の時から、いずれは自分のお店を持ちたいと考えていたので、ショップスタッフとして働きたいとモヤモヤした思いもあったのですが、生け花の部署での日々もとても勉強になりました。

ーーー生け花の部署ではどんなことをやっていたんですか?
貴洋:生け花の稽古で生徒さんに教えるときに使う花を組み合わせたり、その花を新聞で巻いたりという作業が主で、一般のお客さんと関わることはない、特化された場所でした。生け花は日本の伝統的な文化なので上の年代の人も多く、60歳過ぎのおじいちゃんとかが働いていました。なので、言葉ではなく見て覚えろという感じでしたね。教科書もあるんですけど、その通りやってもダメ出しされたりとか。

ーーー全く未知の世界なのですが、どのように生けていくんですか?
貴洋:例えば枝が3本あった場合、それをそのまま生ければいいというわけじゃないんです。枝の形や向き、太さなどから生けた時の姿をイメージし、メインの枝とサブになる枝を見分けます。枝自体も生きるところを選別して掃除するんですが、経験がなかった当初はこのあたりの判断が難しかったです。

和から洋へ

ーーー生け花のお店で働いた後は一転、ドイツに留学されるんですね!
貴洋:世界中を飛び回っていて、日本でもセミナーの講師やデモンストレーションをやっていた、グレゴール・レアシュというデザイナーがいて、その人の元にデザインを学びに行きました。

ーーーそのデザイナーのどんなところに惹かれたんですか?
貴洋:フランスのデザインとかだと花がいっぱい入っていてギュッとしたブーケのようなものが多いんですけど、その方はナチュラルな雰囲気で線を見せるデザインが多く、それが好きだったんです。単純にカゴとかに生けるんじゃなく、土台からワイヤーで編んだりとか。作り込まれているんだけど繊細な感じがして、生け花に似通った部分もあると思います。

ーーー国は違えど通ずるものがあったんですね。ドイツにはどれぐらい滞在していたんですか?
貴洋:セミナーの手伝いやショップの裏方などをしながら、1年半ぐらい過ごしました。ドイツをはじめとしたヨーロッパの国々では、クリスマスなどの特別な日はもちろん、何でもない普通の日にも自宅に花を飾ったりしていて、それが日本とは文化的に大きく違うなと感じました。今でこそ日本でもリースを飾ったりする家庭も増えましたが、10年前にはまだ根付いていなかったので。

弟と二人三脚でhanadocoro ennをオープン

ーーー日本に帰ってきてからは?
貴洋:1年ぐらいは、ホテルの中にある花屋で働いていました。その後、麹町にある「花どうらく」という店に移動しました。業界的に結構入れ替わりが激しいのですが、その時たまたま募集していて、下見に行ったら雰囲気もとても良かったので。それと、独立したら自分で教室もやってみたいと思っていたので、今後のためにも何か得られるものがあるかなと思い決めました。

ーーー少しずつ独立に向けて備えていっていたんですね。
貴洋:花どうらくでは3年ぐらい働き、その後は当時市場で働いていた弟に「一緒にやらないか」と声をかけ、2人で「hanadocoro enn」をオープンしました。東京でお店を持つイメージが湧かず、いずれは生まれ育った地に帰ろうと考えていたのですが、30歳ぐらいまでに自分のお店を構えないと、地元に戻った時に違いがありすぎて対応ができなさそうだなと思ったのと、始めるのなら出来るだけ早い方がいいと思い、このタイミングで開業に踏み切りました。

ーーーご出身は日光市ですが、栃木県の中でもなぜ鹿沼に?
貴洋:宇都宮でも物件を探していたんですけど、やはり家賃が高くて。その頃ちょうど、日光珈琲の風間教司さんが中心となって「ネコヤド大市」というイベントを鹿沼でやっていたんですけど、風間さんと共通の友人から教えてもらい行ってみたら、「鹿沼ってこんなに人が来るんだ!」っていうぐらい賑わっていたんです。「同年代で自分でお店をやっている人たちが近くにいる環境でできたら心強い」と思い、鹿沼でお店を開くことになりました。

ーーーお店を作る上で何か意識されたことはありますか?
貴洋:花屋さんって結構敷居が高くて、目的がないと行きづらいんです。雑貨とか洋服だったら買う予定がなくてもお店に行ったりするので、それと同じ感覚で来て欲しいと思っていて。若い人でも気軽に入れるような、そんなお店作りを心がけていました。

ーーーちなみに、「enn」という店名はどういう理由でつけられたんですか?
貴洋:ご縁の“縁”からとりました。花ってプレゼントであげたりすることが多いので、人と人の縁を繋いでくれる存在だと思うんです。それと、季節によって咲く花も違ったり、たとえ同じ品種でも生産者によって色の出具合とかが1本1本違ったりするんです。そういう違いを伝えていくことで、1本の花を通して生産者とお客さんを繋げていくような橋渡しをできればと願っています。

ドライフラワーを始めるきっかけ

ーーー現在のようにイベントに出るようになったのはいつ頃ですか?
貴洋:最初の頃は、お店を閉めてまでイベントに出なくてもいいかなと思っていたんですが、弟も1人でできるようになってきてお店を任せられるようになったので、イベントに出るようになりました。初めて出たイベントは手紙社が主催していた「GOOD FOOD MARKET」で、1日中1人で花を包んでいて、気がついたらイベントが終わっていました。それからは栃木県内のイベントにも声をかけてもらうようになり、小さいものから大きいものまで色々なイベントに出店していました。

ーーー当時は生花を中心に?
貴洋:そうですね。実は今でもドライフラワーはそんなに好きではなくて。やっぱり生の花の方が好きなんです。だからお店でもドライはほとんどやっていなかったんですけど、イベントに生花を持って行って一度外に出してしまうと、その花はもうお店には並べられなくなってしまって。「外に持って行っても大丈夫な花は何か?」を考え、ドライになりやすい花で花束を作るということを始めました。

ーーーそれが今のスタイルの原点になっているんですね!
貴洋:すでに形になっているものを販売するのはあまり好きじゃなく、その場でお客さんの要望を聞きながら提供したいと思っています。ドライになる花はそんなに種類があるわけではないので、ある程度決まってきてしまうのですが、ナチュラルな素材のものを多く仕入れるようにしています。あとは物珍しい花などもチョイスし、目を楽しませるようなものも織り交ぜています。

ーーー最近は花が好きな人も増えてきましたが、そこまで花に慣れていない方には、どんな風に花を楽しんでもらいたいですか?
貴洋:一輪でもいいので、花を飾ってほしいです。その一輪があることで、花を選ぶ楽しみや花を飾る楽しみが生まれ、生活の中に楽しみが一つ増えると思うので。

ーーーたった一輪でも、そこにあるだけで一気に空間が華やかになりますもんね! 最後に、もみじ市に向けた意気込みを教えてください。
貴洋:もみじ市って手紙社にとっても特別なイベントだと思うんです。選ばれた人しか出られないイメージだったので、「これならもみじ市に出られるよね」って思わせるようなブース作りをしていきたいです。ライバルというわけではないんですけど、もみじ市に昔から出ている常連の出店者さんたちに負けないようなお店を見せられたらと思います。

《インタビューを終えて》
今年初めてもみじ市に出店することになった、hanadocoro ennさん。東京蚤の市や手紙舎店舗内でのイベントなど、これまで様々な機会でお世話になっていながらも、こうしてじっくりをお話を伺うことは今までなかったため、とても貴重な時間となりました。さらに今回は、アーティストが演奏をするステージの装飾も手がけてくれます! テーマの「YEARS」に則り、4つのパネルを用意して季節の移り変わりを表現してくれるとのこと。ステージ装飾にブース、美しい花々に囲まれたhanacdocoro ennの世界を心から楽しみにしています。

(手紙社 藤枝 梢)