ジャンル:CRAFT,出店者紹介

今江未央

【今江未央プロフィール】
石川県出身の陶芸家。都内アパレル会社を経て石川県九谷焼技術研修所で学び、現在金沢にて制作。伝統の磁土と和絵具を使い、九谷焼を自由な発想や絵付けで表現し、目に鮮やかな作品を作り続けています。今春開催された手紙舎での個展「花々いろいろ」ではまるで花たちが咲きほころぶかのような華やかな世界を作ってくださいました。今江さんが作り出すお野菜や草花たちは今江さんの魔法にかかると鮮やかで美しく変化し、一気に主役になってしまう。私たちのいつもの暮らしが入り込んでいる器たち。馴染みの良い形、色鮮やかで見るたびに心が踊ります。そして春の個展でも「札幌もみじ市」出店でも登場した、小さな立体の作品をあしらった豆皿は今回も登場するのでしょうか。今からワクワクが止まりません。

【今江未央の年表・YEARS】

担当・並木が、季節のお花や野菜、美味しそうなお菓子など、色とりどりの絵付けで、もみじ市ブースを華やかに色付けてくださる陶芸家・今江未央さんの今までを共にひも解きながら伺ってみました。

現在の今江未央に繋がる、高品質への追求に余念が無いアパレル会社へ転職

ーーーもみじ市のプロフィールにも載せていますが、今江さんはキャリアの中で一度アパレル会社に転職されたのですよね。では、その前はどのようなお仕事をなさっていたのでしょうか。
今江:最初に就職した会社はアパレルとは全く関係なかったんですが、接客や店舗業務、運営などを担当していました。ここでは本当にたくさんのことが学べまして、今でもその当時の上司や同期とも交流が続いているんですよ。

ーーーそうなんですね。初めから服飾系の会社に入ったと思っていたので意外でした。そして当時の社員さんと今も交流が続いているとは! 今江さんの人望厚い性格ゆえですね! では、そこから革製品アパレル会社に転職したのはどのような流れだったのでしょうか。
今江:最初に就職した会社ではやりがいのある仕事内容で、達成感を十分味わうことができたんです。そこで、以前から興味のあった革製品アパレル会社に転職しようと思ったんです。ファッションには興味があったのですが、メインの洋服よりは鞄など脇役でも革小物の方が隠れた質への追求があるんじゃないかと思ったんです。

ーーー確かに。お財布のように毎日身につけている小物にこそ、細かな部分で追求しがいがありそうですよね。さて、年表を見ると日本、ドイツ、イタリアと様々なブランドに携わったようなのですが、その国その国で違いってありましたか。
今江:ありますよ。日本は軽さが重要。ドイツは品質が最高で、どの商品でもパーツ全て保管してあるのでどんな修理にも対応してくれる。逆にイタリアは、納期も製品も対応も大ざっぱでしたが、デザインは素敵なんです。今でも鞄、財布、名刺入れ、キーケース、定期入れなど、たくさん使っているんですよ。

アパレル会社から陶芸の世界へ

ーーーイタリアブランドで今江さんのデザインが商品化された2008年が最初の転機の年とありますね。なのに、喜ぶどころか逆に複雑な気持ちになり退職してしまった。何があったのでしょうか。
今江:うーん。商品化の際、デザインが変更されていたことに「やっぱり会社って……」と思いました。と同時に “ここで働く意味” がわからなくなりました。

ーーーそうだったのですね。複雑な気持ちになってしまうのも無理はないですね。そこで、“自分で一貫したものづくりがしたい”と石川県立九谷焼技術研修所に入所なさったんですね。入所については、その当時陶芸教室に通っていたことや、ご友人の勧めがあったと以前お聞きましたが、そのほかに今江さんを動かしたキッカケなどありましたか。
今江:伝統工芸です!

ーーーなるほど! 確かに金沢には九谷焼をはじめ何十もの伝統工芸品がありますよね。もしかしたら、周りの環境が後押ししてくれたかもしれませんね。

ーーーさて、ここからは陶芸のお話を伺いたいと思います。今江さんといえば美しい絵付けが特徴ですが、このスタイルになったのは研修所に在籍している時だったのでしょうか
今江:研修所の授業の中で色々と描いていくうちに少し固まった感はありますが、最終的には鎌倉「shironeko」さんと会話する中で”個性ある、統一した作風”をより意識して、今のスタイルに近づいていった気がします。

ーーー今のスタイルは色々な人との会話の中で生まれていったのですね。人と人の繋がりって大事ですね。では次に卒業後のお話を伺いたいと思います。”紆余曲折”という言葉があったのですが、そんな時にいつも支えてくれた作品はありましたか。
今江:青りんごの豆皿です。りんごといえば普通は赤ですが、それだと甘い作風になってしまうので、私の好きな黄緑色にしたのですよね。そうすると作品がピリッとして叱咤激励されている気がしたんです。 今もこの絵柄を描くときは毎回初心に帰ってる気がして、背筋が伸びます。

  ーーー青りんごですか! 昨年のもみじ市でも “偶然から生まれた作品”シリーズでスカイブルー地の青りんごの豆皿を制作してくださいましたね! 青りんごの小ぶりな形、並んでこその可愛らしさ、たまらない作品ですよね。

もみじ市に初参加!

ーーー 2016年はもみじ市初参加ですね! “制作する楽しさがup”という気持ちが、湧き上がったとは……、嬉しいです! その当時、初参加にあたって期待や不安などあったかと思いますが、中でも力をもらった作品や作家さんなどいらっしゃいましたか。
今江:Mellow Glassさんです。当時、右も左も知り合いもおらず、不安の中、声をかけてくださったんです。あの時は本当に気持ちが楽になりました。

ーーー初参加のもみじ市で作家さん同士の出会い、いちスタッフとして嬉しいです。お客様だけではなく作家さんとの出会いができるのも、もみじ市の醍醐味なのではと思います。私も今江さんと関わりを持てたのはもみじ市でした。初めましてで、ガチガチに緊張しながら挨拶をした私を快く満面の笑みで迎えてくれたこと、  今でも忘れないです。たくさんのお話ありがとうございました!

《今江未央の“YEARS”とは》
転機の時にいつも背中を押してくれた “質への追求”という言葉。その追求は時には厳しく、時には優しく今江さんの心を強くし、今の場所に進む力を与えてくれました。今江さんの作品には、自身に向けてのものだったり、お客様のことを思ったりと、いつでも妥協しない質への追求がたくさん詰まっています。そして作品自身も今江さんの期待を裏切らずたくさんのお客様を喜ばせているのです。これからも前に前に進んでいく今江さんがどのような作品を制作するのか! もみじ市ではぜひ、質への追求あふれる作品を皆さんに見ていただきたいです。

(手紙社 並木裕子)