ジャンル:OYATSU

HUGSY DOUGHNUT

【HUGSY DOUGHNUTプロフィール】
聖蹟桜ヶ丘駅から徒歩10分のところにある、古民家を改装したドーナツ店ハグジードーナツ。大らかな人柄でお客さんを笑顔にさせてくれるまつかわひろのりさん、せっせとドーナツを作るしっかり者のゆみさん夫妻が出迎えてくれます。「あそぼう」がコンセプトのドーナツはシンプルなものからバナナが丸ごと乗っているもの、ベーコンとメープルの組み合わせのものなどインパクトがあり、一度食べたら忘れられないものばかりです。イベントの際は特製の三輪車で出張販売。見た目でも味でも楽しませてくれる、それがハグジードーナツなのです。
https://www.hugsycafe.com

ベリーベリー
ハグジー
Mr.ビーン
オレンジ
ほうじ茶たけし
ブリュレ
ココアクッキー

【スペシャルインタビュー「二人三脚で作り上げるドーナツ」】
HUGSY DOUGHNUTを営む、まつかわひろのりさん・ゆみさん夫妻に担当・上野樹が、ドーナツそしてお店作りに掛けるお2人の思いを聞きしました。

自分たちの場所を作るために

ーーー古い民家をお店にしているんですね。隠れ家という言葉がしっくり来るロケーションです。
まつかわ:この場所でやろうと元々決めていたわけではなくて、2人の力だけで何とかお店の出来る場所を探している時、偶然ここを見つけたんです。場所さえあればそこから何か表現が出来るんじゃないかと思って。

ゆみ:この場所でお店を始めた時はお客さんの目につかない所だし、来てくれるのだろうかと不安でいっぱいでした。それでも近所の人が何だろうと不思議がって食べに来てくれたり、近くで道路工事をしているおじさんが、うちのお店を探して迷っている人を何回も見るもんだから、そのうちお客さんの道案内をしてくれたりするようになり。口コミとか周りの人に助けてもらいながら徐々にこの場所を知ってもらうようになったという感じです。

路地の奥にある看板が目印です。

ーーー“場所”を作りたかった理由を教えて頂けますか。
まつかわ:今から3年前にこのお店を始めたのですが、ドーナツを作ろうと思ったのも空間を作りたいと考えた後のことなんです。と言うのも以前、移動映画のキノ・イグルーさんのと出会い、それをきっかけにお店を始めたいと強く思ったんです。
ゆみ:私が前に働いてた所でキノ・イグルーさんがイベントをしていました。それからプライベートイベントなどにも参加させてもらうようになって、その時にたくさんの作り手の方と出会う機会が持てました。
まつかわ:フードコーディネーターのwatoさんともその時知り合って、自分たちより一つ上の世代の人たちに、こんな面白い人がいるんだと感動したんです。当時30~40代の大人の作り手の方が真剣に、カッコ良く遊んでいて、自分もああいう大人になりたいと理想が出来、そうなるべく表現する場を作るぞと目標を立てました。

ーーー理想の作り手の方たちが集まっていたわけですね。それでも3年前というと、ここまであっという間だったのではないですか?
まつかわ:立ち上げまではそれこそキノ・イグルーさんやwatoさんの応援があって、助けてもらいながらなんとか始めることが出来ました。まだまだ理想とは遠いけれども、この3年でひとまず自分たちの場所を作るという意味では、思い描いていたことが出来ている状態です。いつかは、これまでお世話になった方々に恩を返したいそのためにももっともっと良いもの作っていくんだと思っています。それだけ凄い人たちに後押ししてもらいました。

店内にはドーナツの本もたくさんあります。

ーーーたくさんの作り手さんに支えられてお店が出来上がってきたのですね。ドーナツを柱にしようと思ったのはいつからですか?
まつかわ:食べ物でお店をやりたいという気持ちはありつつも、ありふれているものは作りたくありませんでした。そう思って色々模索している時に雑誌でアメリカのドーナツ屋特集の記事を見たことがあったんです。美味しそうだし、見た目も可愛くて。

ゆみ:なにより楽しそうだと思ったんですよね。これなら周りと違うことが出来るかもしれないと思い、それから半年研究を重ねました。毎日仕事が終わってから夜な夜なドーナツを作っては反省、次の日には新しいものを作り、と試行錯誤の日々が続いていました。半年くらい経ったときに、これかもと思う味を作れるようになったんです。それが今看板メニューになっているプレーンのハグジードーナツなんです。ただ、気温とか条件が少しでも違えば同じ味が出せないでいたので、始めてからも微調整を繰り返しながら作り方を研究していきました。

2人のアイディアが良いものを生み出す

ーーー新しいドーナツを作る時はまつかわさんが考えているとお聞きしました。
まつかわ:まずこんなドーナツどうだろうと僕が絵を描きます。その後ゆみさんが実際に作って、一緒に試食をしながら美味しいものが出来上がるまで試していきます。

ゆみ:大体は絵を見せてもらった段階で私が、これは無理、実現出来ないとバサバサと切り捨てていきます。その中でこれいいかも、と意見があった時に作るようにしています。

笑顔の素敵なひろのりさん、ゆみさん。


ーーー意見が食い違う時は多いのですか?

まつかわ:いつもあれこれ言っているけど、それって喧嘩しているわけじゃなくて、お互い違う意見をしっかり持っているからこそなんだよね。
ゆみ: 喧嘩しているように見えて、全然そういうのじゃないんですよ。日常会話がこんな感じなんです。
まつかわ:キャッチボールをしていくうちに意見が合う時が来る。そうなった時にそれを実現させるようにしています。
ゆみ:側から見てるとボケとツッコミみたいなんですけどね(笑)

ーーーお2人の息のあった掛け合いについつい笑ってしまいます。お互いの性格をよく理解しているのですね。

まつかわ:僕はどちらかというとその時楽しければいいと思っている方なので、思い付くまま意見を言っています。僕たちの場所を作ろうと考えていた時も、自分はそういう楽観的な思いがありました。そんな時それじゃあダメだとしっかり舵取りをしてくれたのもゆみさんでした。

ゆみ:私って負けず嫌いな所があって、1度決めたことはやり切りたいと思っています。だからやるには中途半端なことはしたくはないし、始めたら納得するまで終われないと思いながら何事もやっていますね。

ーーーお2人それぞれの考えを持っているのですね。
まつかわ:2人の意見があったものというのは本当に大事にしていて、お互い楽しいと思ったことしかやりたくない。“あそぼう”がうちのテーマなので、自分たちがいちばんワクワク出来ることを常に探しています。

スターの集まる場所、それがもみじ市

ーーーイベントに参加するようになったのも3年前からですよね?

まつかわ:ちょうどお店を始めたばかりのときに、watoさんの繋がりで東京蚤の市に出させてもらったんです。その時出張販売用の自転車のことや自作の看板などを見せて、河川敷のイメージにも合うから出てみませんかとお話を頂き、あれよこれよと言う間に、もみじ市にも呼んでいただけるようになりました。でも、もみじ市に最初出た時はとても緊張しました。



ーーーどういったところに緊張しましたか?

まつかわ:もみじ市に参加している作り手の人って、スターばかりじゃないですか。それこそキノ・イグルーさんにwatoさん、coupéさんに日光珈琲さんにkata kataさん、挙げだしたらキリがないけど、一ファンとしてあの場に居られるのが嬉しいんです。気持ちで表したら、「キャー、○○さーん!」って叫びたくなるような。そんなスターたちがいるもみじ市に参加できていることが嬉しくて、この先もこの一員であり続けたいと強く思っています。

ーーーもみじ市に思い入れのあるエピソードを教えてください。

まつかわ:最初に出た年の打ち上げがとても良かったのを覚えています。終わった後のみんなの言葉を聞いて、作り手ってこんなに素晴らしいものだと泣きそうになりました。沢山の思いを持って作っている人たちが大勢いるんだと。そういった熱意のある空間に招き入れてもらえたというのが嬉しくて、帰りに自転車を漕ぎながら感動して泣いてしまいそうでした。
ゆみ:本当にそうで、特にデハラユキノリさんのスピーチが面白く、その作家さんの生き方みたいなものが感じられたのが一番印象に残っています。



ーーー熱い思いを感じられた初参加だったのですね。今年の目標はどういったものでしょうか。

まつかわ:いつも夕方には完売してしまって、せっかく来てもらった人にあげられないことがよくあってどうにかしたいと思っていました。今年はどうにかしてみんなに僕らのドーナツを届けたいなと思います!

ゆみ:いつもは事前に用意したドーナツを持って行っていたのですが、今回しっかり作り方が固まったら、当日ブースで調理しながらお渡しするという方法も考えています。


「これ使えそうじゃない?」と少年のように話すまつかわさん。

ーーー例年以上に熱いお2人が見られそうですね。“ROUND”というテーマで考えていることは?

まつかわ:ドーナツはそのままでROUNDな形をしているのでそのままじゃ面白くないですよね、いっそ自分たちがROUNDしてしまおうかなと思います。

ゆみ:え、自分たちがROUND…?
まつかわ:そう! テーマを自分たちで体現するような感じで今年は行きたいと思います。多摩川の河川敷をぐるぐる回りながらドーナツを配り回る、なんだか楽しいと思いません?



ーーー自転車で駆け回るまつかわさんの姿を想像しただけで楽しそうです。今年はいつも以上に夢がたくさんあるブースになりそうですね。

ゆみ:出来るだけたくさん、美味しいドーナツが作れるよう頑張ります!

まつかわ:今年も楽しんでいきます、よろしくお願いします!

ーーーまつかわさん、ゆみさんありがとうございました。今回も楽しいHUGSY DOUGHNUTさんに期待です。

〜取材を終えて〜
手紙社の野外のイベントではお馴染みと言っても良い、インパクトの強いドーナツを届けてくれるHUGSY DOUGHNUTさん。改めてお話を聞かせて頂き、少年のように笑いながら話すまつかわさんの言葉の端々には、ドーナツを通じて全ての人を全力で楽しませようとする、信念にも似た思いを感じることが出来ました。インタビュー中まつかわさんの突拍子も無いアイディアをゆみさんが冷静に突っ込む場面は何度も笑ってしまうほど可笑しく、こういった笑いの中からハグジーさんの斬新なおやつが生み出されていくのだとしみじみ思いました。今年のもみじ市でもみなさんの期待の遥か上を行く、“あそび”がたくさん詰まったドーナツを用意してくれるはずです。お腹を空かせて、目指せ、HUGSY DOUGHNUTへ!(手紙社 上野樹)