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鈴木農園 カラフル野菜(15日)

【PROFILE】
鈴木富善さん一家が東京都立川市で営む農園。土中の微生物を活発にする資材を使用して育てる無農薬野菜は、鮮やかで美味。野菜本来がもつ甘みや辛み、香りはこんなに違うのか! と驚かされるのだ。直売の他に、”1日だけのレストラン”を農園で行い、遠方から訪れる人もいるほど。第1回目のもみじ市に出店し、手紙舎つつじヶ丘本店、新店舗の菜花でも鈴木農園の野菜が使われている。
https://www.facebook.com/suzuknoen.anshnyasai/


【商品カタログ予習帳】

バターナッツかぼちゃ


魔女の杖(トウガラシ)


すだち


ライムホルン(ライムパプリカ)


ハラペーニョ


玉ねぎ


ピーマン


紫玉ねぎ


ねぎ

【スペシャルインタビュー「独学から始めた農業、手紙社との出会い」】
立川市にて代々農業をされている鈴木農園・鈴木富善さんに柳川夏子(手紙社)がお話をお伺いしました。

どう調理しようかと、困ってしまうような野菜を作るのが楽しい

明治時代頃から代々続く鈴木農園。鈴木富善さんで6代目になります。

ーーー鈴木農園さんの野菜づくりのポイントを教えて頂けますか?
富善 微生物が入っている土壌改良剤という、土を変える資材を使用しています。化学的なものを使えば、土のなかの微生物がなくなってしまいますが、それを無くさないために土を良くしています。微生物に頼る野菜作りですね。

ーーーやはり、味は全然違いますか?
富善 立川市は農家が結構多くて、その中でも化学肥料を使わないところはあまりいないんです。たまに他の農家さんの野菜を食べたりしますけど、やっぱり違うなと思います。

ーーー先日ご挨拶に伺った時にいろいろと野菜を買わせていただいたんですが、「ああ、きゅうりってこんな味だったな!」と感動してしまいました。
富善 ありがとうございます(笑)。スーパーで売っているきゅうりとか水分とかがね…

ーーー味が薄いというか、食感だけというか…久しぶりにかじりついて食べて、とても美味しかったです!
富善 もともと、きゅうりって江戸時代からあるものなんですよ。断面を切ると、タネの位置が徳川家康の家紋(葵)に似ていて、大事にされていたんです。

ーーーへえ、面白いですね! 他にもそういった野菜はありますか?
富善 モロヘイヤはエジプトの王様が食べていた野菜です。エジプトで大事にされるくらい、体に良いんですよ。

ーーーモロヘイヤは、最近の野菜かと思ってました…
富善 品種改良して、どんどん新しい野菜を作られていますけど、昔からある野菜もたくさんあります。何種類あるか、検討もつかないですけどね。

年間通して130種類ほどの野菜を作っているとか。特に今9月は特にいろんな種類が収穫できるそうです! 

ーーーたくさんの野菜が並んでいますが、品目はどうやって決めているのですか?
富善 基本的に野菜やタネは、自分が選んでいます。直売に来てくれるお客さんからリクエストを聞いたりして、作ることもありますね。スーパーにないような野菜を育てて、一般の家庭で調理するのが難しいものを作ってます(笑)

ーーー買ったはいいけど、どうしよう! ってなってしまいますね。
富善 飲食店に勤めている方は簡単に色々作れてしまいますけど、一般の方は難しいからこそ調べて、チャレンジしてもらいたいです。困らせるのが楽しいですね(笑)

ーーーなるほど(笑)。その中でも鈴木さんが気に入っている野菜はありますか?
富善 イタリアとかフランスのヨーロッパの野菜が好きですね。レタスの中でもいろんなのがあって、「ジョーカー」って名前のレタスがあるんですよ。見た目が道化師みたいに派手な。あとは、日本語の神風と同じ意味なのかは定かではありませんが、「kamikaze」というレタス。野菜の名前って結構面白くて、見た目でつけられることが多いんですよね。

ーーー何かグッとくるネーミングですね。アイコン写真に写っているカラフルな野菜の名前は何ですか(ページ上、トップにある写真)
富善 これもヨーロッパの野菜で、スイスチャードといいます。

ーーー初めて写真を見たときは、これは本物…? と疑ってしまいました。
富善 (笑)。これは、ほうれん草の代わりに使われる野菜です。葉っぱが緑で、茎の部分が白いものもありますね。基本的に、ひと束ずつ白や赤だったりするんですが、上の写真はいろんなタネが混ざっているので、いろんな色で生えてきます。

あと、国内の地方の野菜も作ります。例えば、新潟の野菜とか。道の駅に行くと種が売っているので、それを買い、実際に蒔いて試していますね。

ーーー新潟と立川市だと、気候が違うから育ちにくいのではないのでしょうか?
富善 冬に雪が降っても耐えてくれて、逆に寒さに強くて頼もしいんです(笑)。しかし、寒くならないと美味しさが出ないため、時間がかかるんですよ。

ーーー野菜は一度ストレスを与えた方が良いと聞きますね。
富善 そうですね。トマトは水を与え過ぎてしまうと甘くならない。実だけが大きくなって、そして割れてしまう。ギリギリまで土を乾かすことで、甘みを増すんです。

ーーーてっきり、毎日水を与えなきゃいけないかと思っていました。
富善 野菜の種類によって、もちろん育て方は変わってきます。ナスだと、逆に水をいっぱい与えないとできないんですよ。

ーーーそうなんですね、鈴木さんが初めて1人で作った野菜は何でしょうか。
富善 先ほどお話ししたスイスチャードです。その時、直売所に並べていたのは一般的な野菜ばかりだったので、かなり斬新なことでした。そこから、いろんな野菜が増えていきました。きっかけの野菜です。

「1日だけのレストラン」を始めたのは手紙社の影響でした

初めて見る野菜が多く、名前の由来や歴史を聞くのはとても楽しかったです。

ーーー富善さんが農業を始めたのはいつからですか。
富善 2007年頃、約10年前です。高校は農業の学校に通って、それから美容師の専門学校に…

ーーーえ、美容師!?
富善 専門学校を卒業してからは、美容師をずっとやってました。農業とは真逆の仕事ですね(笑)

ーーーとても驚きました。美容師から農業へと変わったきっかけは?
富善 美容師を何年かした後には、土木関係の仕事を始めたんですね。7~8年くらいかな。その後に家に戻ってきて、結婚して、そして今の仕事を始めました。

ーーーいろいろな仕事を経て、現在農業をされているんですね。始めた頃はいかがでしたか。
富善 最初はもともと、やる気がなかったんですよね。何も分からずにここにきて、誰かに聞こうと思っても、無農薬野菜を作っている人があまりいなかったから、周りに聞きづらくて。普通、農業試験場に行ったりするものなんですが、そういった経験や専門の知識がないから、自分で色々調べるしかなくて。

ーーーいきなり独学で始めるのは、ものすごく大変なことですよね。
富善 10年やっていますが、プロではないし、まだまだ育て方がわからない野菜は多いです。でも続けてきたことでできた仲間や知り合いにいろいろと聞けるようになってきて。そうすると逆に質問してくれたり、情報を共有できる関係になってきました。

ーーー環境が少しずつ変化してきたんですね。夏と秋に「1日だけのレストラン」を開催されていますが、いつから始まったものですか。
富善 この前の夏が8回目。毎年二回行っていて、次の秋は勤労感謝の日ぐらいに開催する予定です。

ーーーどのような経緯で始まったのでしょうか。
富善 始めたきっかけは、ほとんど手紙社さんの影響ですね(笑)。GOOD FOOD MARKETにずっと出店していて、これはすごい! 自分たちでもできないかなと思ったんです。それで考えたのちに、ここに飲食店の方をお呼びして、やってみようと。

ーーー手紙社が影響を与えていたとは…とても嬉しいです。記念すべき1回目の時は、いかがでしたか。
富善 最初は参加する飲食店も少なく、さらに出店自体が初めてという方が多かったです。お客さんもどれくらい来るのか、もう全て分からなかったので、まず1回はやってみて、それから次へ繋げていこうと思いました。回を重ねるごとに進化させていこうと。2回目以降はfacebookを使って、人を集めて。

ーーー次回、秋の時はどういったことをされますか。
富善 この前の夏は骨折で入院していたので、思いっきり色んなことをやろうかなと思っています(笑)。焼き菓子やドーナッツ屋さんを呼んだり。

イベントの他にも、やりたいと考えているのはサラダ屋さん。野菜をその場で選んで、サラダだけ売ろうと思っています。あと実は…スムージー・野菜ジュースを作って販売することが決まっていて、それ用の野菜を今作っているところです。野菜を買ってもらいながら、その場で実際に味わってもらおうと思って。

例えば、緑と一概といっても、いろんな緑色があるのだなと思いました。野菜の色って美しい。

ーーー様々なことに挑戦されているんですね。全く何も分からないところから始めて、今まで、続けてこられた理由はなんでしょうか。
富善 こういう直売があって、いろんなお客さんとお話ができる。買って、食べてみて、感想を直接言ってもらえるのが良いですよね。

ーーーなるほど。作業の中で好きな瞬間はありますか。
富善 うーん…自分で草を取って、綺麗にした瞬間も好きですが、一番はタネをまいて芽がが出た瞬間ですかね。特に、海外の難しい野菜は育てるのが難しいので、だからこそ芽が出た瞬間はとても嬉しいですね。実際に育ててみて、写真とイメージが違うことは多いんです。思ったような色を出せなかったり、虫にも食べられてしまったり。そもそも環境が違う上に、化学肥料を使っていないから仕方がないことなんですけど。

ーーー不揃いの野菜だと売れないといったイメージがあるんですが、富善さんはどう思いますか。
富善 形が変わっても、基本的に味は一緒。綺麗に揃ったものをださなきゃいけないのは市場ですから。僕は不揃いな野菜の方が好きですね。ちょっと歪な方がなんか良いじゃないですか。

ーーーちょっと癖がある方が愛しくなりますよね。

形はさまざま、しっかりと輪郭を感じます。

ーーーもみじ市に初めて出店した時はいかがでしたか。
富善 初めて出たのは仙川のお寺の時です。人がとても集まっていて、こういうやり方もあるんだなと、とても感動しました。人を集める力があるのは本当にすごいと思って、うちの敷地内で手紙社さんにお店を出して欲しいと思ったくらいです(笑)

ーーーありがとうございます(笑)。他の出店者さんの印象はどうですか。
富善 見せ方など、すごい参考にしたいことばかりです。

ーーーそれでは最後に、もみじ市への意気込みをお願いいたします。
富善 お客さんがワクワクするような野菜をお届けいたします! 以上です(笑)

ーーーありがとうございます。素敵なお話をありがとうございました!

~取材を終えて~
変わった野菜を作って、困らせるのが楽しいと富善さんの無邪気な笑顔が忘れられません。私自身は入社する前ですが、手紙社と出会ったことで影響されたこと、イベントを始めたきっかけのお話を聞けて、とても嬉しく、そしてしっかりしていかねばと強く思いました。お話に出てきたジョーカーなどのレタスはこれからの時期だそうで、収穫する頃にまたぜひお伺いしたいと思います! 貴重なお時間をありがとうございました(柳川夏子)