【まるばやしさわこプロフィール】
児童会館の造形ひろば専門員、図工講師を経て、NHK教育テレビ「キミなら何つくる?」の造形スタッフ、ベネッセ『こどもちゃれんじ ぽけっと』の工作あそび監修をはじめ、幼児雑誌の付録アイデアプランナーなど、造形にまつわるたくさんの仕事に携わる造形作家・工作作家。また、木工ユニット「丸林さんち」としても活動中。ハサミと紙で魔法のようにストーリーが紡がれる工作ショー、参加者の感性をどんどん引き出すワークショップ。まるばやしさんの工作愛と子どもたちへの愛はとどまるところを知りません。その熱量にいつの間にか私も惹きつけられているのです。
https://ameblo.jp/sawakomarubayashi/
【商品カタログ予習帳】
ハロウィンにぴったり! ワークショップでつくることができる「モンスタートートバッグ」その1。
「モンスタートートバッグ」背面にも装飾できます
ハロウィンにぴったり! ワークショップでつくることができる「モンスタートートバッグ」その2。
【スペシャルインタビュー「子どもたちに工作の楽しさを伝えたい!」】
いま、「工作の旗手」と呼ぶことができる数少ない人物、さわこさんに小池伊欧里(手紙社)が話をうかがいました。
手を動かす時間が減っている?
ーーー突然ですが、今子どもたちが気軽に工作をするということから遠ざかりつつある気がしています。
さわこ:由々しき事態です。なんとかしなきゃいけないと焦っています。遊びのかたちが多様化していることが関係しているかもしれませんが、子どもたちがその辺にある材料で何かをつくるという体験が少なくなっているようです。
ーーー“画面”を見ていることが増えてしまっているんでしょうね。
さわこ:数年前まではあまりなかったんですが、ワークショップで年長さんなのに袋を紐で結ぶことができなかったり、紙を折るときに折り目をつくることができなかったり、そんな子どもが増えているんです。身近に工作するシーンがあれば、なんとなく刷り込まれることなんですけど。
ーーーそうなんですか!
さわこ:小さい子が待ち時間にずっとタブレットやスマートフォンで遊んでいる。もみじ市に一緒に来ているお子さんにはまだそういう傾向は見られませんね。
もみじ市で子どもたちを楽しませたい
ーーーそんな現代の子どもたちに、工作の楽しさを知ってもらうべく、ワークショップや最近では工作ショーを精力的にやっていらっしゃいます。さわこさんご自身は工作の魅力といいますか、子どもたちに教えるということにいつ関心を持ったのですか?
さわこ:美大生時代に児童会館で指導員のバイトをしていた時ですね。子どもたちがびっくりしたり喜んでくれたりするのが楽しくて、例えば子どもたちが来る前に部屋の中をお化け屋敷に変えてしまうとか、館内放送で声色を変えて放送して勝手にイベントを開催してしまうとか。自由にし過ぎて職員の方には随分怒られましたが(笑)。子どもに何かを教えることにハマっていました。
ーーー卒業後もどこかに就職するというわけではなく。
さわこ:現在に至るまでずっとフリーで活動しています。だから今でもいつ仕事が来なくなるかという不安に駆られたりしますが、なんとか子どもたちに工作の楽しさを知ってもらいたいので、自分なりの活動をしているんです。工作ショーを始めて、保育関係の方からお声をかけていただけることも増えています。
ーーーDIYの丸林さんというイメージも強いですが。
さわこ:そうなんですよ。工作もDIYも自分で何かをつくる豊かさという意味では根は一緒だとは思っています。でも自分としてはメインは工作作家のつもりです。余談ですが工作のことでオファーいただいた先で、後でわかるんですが、その方は私のDIYの本とか雑誌とかよく読んでくださっていたのに、「DIYの丸林」と「工作のさわこ」が一致していなかったんです! 「あ、あのさわこさんだったんですか!」と(笑)。
ーーーなるほど。もみじ市では、子どもたちにどんな思いで対峙していますか。
さわこ:お母さんたちが買い物している間「うちに預けてって!」という気持ちですね。その間にどれだけ工作の魅力を体感してもらえるか、勝負です。作家性を見せる場というよりは「どれだけ子どもたちを楽しませることができるか」という場なんです。
私も工作ヒーローにならなきゃ
ーーー今回のワークショップ、これまたすごく楽しそうですね。
さわこ:大人が見ても欲しくなるようなものが作れるように考えています。工作ってやっぱり大人から子どもに伝えられていくべきものだから、親子で興味を持ってもらいたいんです。その中で、どれだけ子どもが作り易いものか、使うものの要素をどれだけ多くできるか、選ぶ楽しさがあるか、試行錯誤しています。
ーーー毎回アイデアノートとか制作についてのラフとか設計図とか作っているんですか?
さわこ:私、そういうの一切無いんです。イメージが湧いたらとにかく試作を繰り返すんです。やっぱりこういう形にしようとか、あれを使った方が広がる、とか。試作にいちばん時間かけてます。時間が許す限り試作です。実はDIYもそんな感じなので、本を出すときに苦労します(笑)。
ーーー今もこれ、まさにもみじ市用ワークショップの試作をしながらのお話ですが。
さわこ:もふもふしてて可愛いでしょ。できるだけ種類多く材料を使えるようにしたいです。絵を描いたり、折り紙したり、っていうのは割と今でも子どもたちやっているんです。それ以外の工作あそびに触れて欲しくて。子どもの意外性に触れるのも楽しみですよ。せっかく大人の視点で素敵な感じでできているところに「これを付けちゃうか!」お母さん唖然、みたいな。でもそれが良いんです。
ーーーとにかくずっと手を動かしていますね。さわこさんが実際に“工作できる人”っていうのは、これまでの工作をショーアップして見せてきた方々と違うところだと思います。
さわこ:サイエンスヒーローのでんじろうさんを尊敬しているんですが、あの方は役者さんではないですし、淡々としていながら科学自体の面白さで子どもたちを湧かしているじゃないですか。ああいう風に工作ショーとかできたらな、と思いますよ。そして、私が工作ヒーローになって子どもたちに伝えたい、と真剣に思ってます。手紙社さんでメディア作るなんてことがあったら、ぜひ工作番組やらせてください!
ーーー工作は創作するものだから、可能性の宝庫ですし、熱を絶やさないようにしたいですね。
さわこ:もみじ市にも出るwato kitchinさんともこれからコラボレーションで計画していますし、工作と何かを組み合わせることは今後楽しそうですね。料理は特に工作と似ていると思います。とにかく、もみじ市では子どもを私のブースに連れて来てください! 一緒に工作しましょう!
ーーーさわこさん、どうもありがとうございました。子どもたちが嬉しそうにモンスタートート持ち帰る姿が楽しみです!
〜取材を終えて〜
ミステリアスというイメージがありましたが、工作と子どもたちへの愛に溢れた熱い方でした。なんと、農家である実家の米作りもされています。忙しい中で試作を繰り返し、実にストイックに活動をされているということがわかりました。工作伝道師としての思い、伝わりました。
(手紙社・小池伊欧里)