ジャンル:CRAFT

feltico 麻生順子

【feltico 麻生順子プロフィール】
羊毛フェルトを素材にし、花・植物をモチーフにしたアクセサリーを製作。花びら一枚ずつから作り上げていく作品にはファンが多く、ミュージシャンやクリエイターなど、多くの人が麻生さんの作品を身につけています。私自身[担当:柳川]、この秋に結婚する義姉にミモザのピアスを贈りたいと密かに企んでいます。
http://www.feltico.net

【商品カタログ予習帳】

ひなげしのブローチ


ミモザのブローチ


白詰草のピアス


カモミールのブローチ


花摘みのイヤーカフ


アネモネのブローチ


チョコレートコスモスのコサージュ


パンジーのブローチ


アナベルのブローチ

【スペシャルインタビュー「羊毛と花と、Feltico」】
羊毛を用いて、花の作品を作りつづけている麻生順子さんに、柳川夏子(手紙社)がお話を伺いました。

極めたいと思ったのも、続いてるのも「羊毛」が初めて

ーーーお部屋にお花だったりドライがたくさんありますね。
麻生 庭で摘んできたものを活けています。玄関先のミモザは、春になると仄かな良い香りの花をたくさん咲かせます。本当にきれい。

ーーーお好きな花とかはありますか。
麻生 ポピーやカモミールのような野の花が好きです。あと、シロツメグサも好きですね。最近、作品をつくったんですよ。シロツメグサの花冠。

見た瞬間に、可愛い! と声がでてしまいました。花弁、葉っぱ、茎、どれも繊細で美しいです。

ーーー小さい頃に作ったことあります。すごく懐かしいです。
麻生 みんな一度は花冠を作ったり、胸ポケットに花を入れたり、野花を摘んだり、共通の思い出があると思います。でも花冠は時間が経つと萎れてしまって、作りたてのきれいなままが続いたらいいのにとずっと願っていました。いつか絶対作ろうと。

ーーー花って、女の子の生活には必要なアイテムですよね。
麻生 花をもらった時の瞬間や表情がとても好きで、スイッチが入る感じというか、みんな乙女になってしまいますよね。もちろん男性にだって、花は似合うと思います。ひとつの花冠をつけて、とある男の子はピータパンみたいになったり、とある女性はマリア様みたいにしっとりとした雰囲気がでたり、それぞれ個性が出て面白いです。花は”遠く”へ行けるスイッチがあると思うんです。そういう感覚や時間を見たいし、作りたいです。

作品の花々。花が集まると、どうしてこうもドキドキするのでしょう。花束をもらった時のような、たまらない愛おしさが湧いてきます。

ーーー最初から、花をモチーフに活動されてきたんですか。
麻生 独学で色々調べて、最初はフェルトでバッグを作っていました。縫い目が全くないバッグ。1つ8時間ぐらいかかっていたかと思います。腱鞘炎になるくらいお大変な力仕事でした。

ーーー8時間! それはとても大変ですね。そもそも、羊毛を使おうと思ったきっかけは何だったのですか。
麻生 レコード会社のデザイン部に勤務していた時にいろんなプロフェッショナルな方の仕事を見て、自分も何か具体的なものづくりをしたいと思っていました。でも特に、これというものには出会っていなくて。あるとき偶然、羊毛で縫い目のない靴が載っている洋書に出会いました。さらに、モンゴルの遊牧民族の靴でした。羊一匹で「衣食住」が全て賄っていることに、すごく衝撃を受けました。様々な表現ができる変貌自在な羊毛フェルトに可能性を感じてしまったんです。極めたいと思ったのも、今の今まで続いているのも「羊毛」が初めてです。

ーーー運命だったんですね。具体的にどのようにして花を形作っていくのですか。
麻生 フェルト生地は羊毛を薄く幾層にも重ねながら、石鹸とお湯を使って少しずつ圧縮させます。その生地を花びらにしたり、ニードルでチクチクとつついて、実や花芯を作ったり、花によって作り方は様々です。色だったり、縮毛率の違いによって多様な表現ができるので、何種類も混ぜています。表現したい花に合わせて、染色やコテあてなど、布花の技術も使っています。

様々な色の羊毛。見た目は似ていますが、触り心地にそれぞれ違いが。
実際の植物が一色でないように、麻生さんの作品も様々な色・素材が組み合わさり、調和しています。

ーーーインスピレーションは、やはり植物や花から受けることが多いですか。
麻生 そうですね。散歩中だったり、自然と目がいってしまいますね。よく見ると、花びらが3枚と4枚の組み合わせだったりとか、驚きや発見は日々あります。季節ごとに出会う花も変わってきますしね。

そもそも植物は子孫を残すために、色や形や香りを進化させていて、生きるためだけの美しい純粋さに私はとても感動します。一気に群生するのに、花自体は1日で散ってしまう植物もあったり、なんてすごいことなんだろうと思います。

日々研究は続くし、日々花は咲く

ーーー仕事として、続けていこうと決めたきっかけはありますか。
麻生 羊毛をもっと知りたい一心で、試行錯誤しながら夢中にやってきました。プロとかアマとか考えたりする間もなく作り続けていたら、ある日尊敬するアーチストから衣装アクセサリーのオーダーを頂くようなりました。その時、プロとしての自覚や責任を持ってやっていこうと、初めて意識したのがきっかけだったと思います。

ーーー羊毛を用いた表現方法もたくさんありますし、植物自体も数えきれなくあって、麻生さんの作品づくりは果てしなく続いていきますね。
麻生 そうですね、花の表現を広げて行きたいです。最近は、羊毛に縛られず何か違う素材を使っての表現だっていいと思ってます。日々研究は続くし、日々花は咲く。一生勉強だと思います。

テーブルの上には、庭先などで摘んだ花を飾っているそう。

ーーー今回のもみじ市では、どのような作品に出会えますでしょうか。
麻生 花のアクセサリーを持っていこうと思っています。イヤリングが欲しいという声をよく聞くので、そちらも充実させて、他にはバングルやチョーカー、ブローチなど考えています。その人だけのものに出会って欲しいと思います。

ーーーそれはとても楽しみです! 貴重なお話、どうもありがとうございました。

〜取材を終えて〜
今回、インタビューをするにあたり、麻生さんのご自宅兼アトリエにお伺いしました。近くに大きな公園があり、蝉が降るように鳴いていました。道すがら、いまヒマワリがきれいだとか、春には巨木のハクモクレンが咲いてとてもきれいだとか教えてくれ、花とともに毎日過ごしている方なんだなと、思いました。羊毛や花について話す麻生さんは少女のような眩しさで、その姿にもう私は恋に落ちてしまいました。麻生さん、素敵なお話をありがとうございました。(柳川夏子)

【もみじ市当日の、feltico 麻生順子さんのブースイメージはこちら!】

あなたに似合うお花を、ぜひ見つけてくださいね!