【ヘブンズテーブルプロフィール】
埼玉県川口市にあるアトリエで、パン教室や自家製天然酵母をつかったパンの販売を行うヘブンズテーブル。店主のトミヤマトモミさんは、野菜や果物、お茶、お米…四季折々の自然の恵みを酵母にし、ここでしか味わうことのできないパンを焼き上げています。天然酵母によるパンは素材の旨みがぎゅっと詰まって食べ応えばっちり。パリッとした表面ともちっとした中身とが、たまらないハーモニーを奏でます。
http://www.f6.dion.ne.jp/~h-table/h-table/
【商品カタログ予習帳】
ラムレーズンとクリームチーズ
岡山県の葡萄のハルヤさんのピオーネからおこした酵母でつくったパンです。もみじ市出店者のChappoさんからご紹介いただいた葡萄農家さんです。
ほうじ茶とあんこ
和歌山県のどこでもそらさんのほうじ茶からおこしたほうじ茶酵母のパンです。
レモンとカスタード
ヘブンズテーブル1番人気のパンです。レモンの爽やかな苦味とカスタードクリームの相性が抜群のパンです。
パンプキン食パン
愛知県田原市の豆に暮らす野の暮らし研究所のカボチャからおこしたカボチャ酵母の食パンです。
玄米カンパーニュ
父方の実家の親戚のお米農家さんの玄米からおこした酵母でつくったカンパーニュです。
向って左 ワールドペースト 山椒&レモン
向って右 ワールドペースト アジアンパクチー
【スペシャルインタビュー「人と人とをつなぐパンづくり」】
第一回もみじ市からの皆勤賞。自家製天然酵母のパンを作るトミヤマトモミさんと、もみじ市の応援歌を歌うトミヤマカズヤスマキさん。そんなヘブンズテーブルのお二人に、本間火詩(手紙社)がお話を伺いました。
私にしか作れないパンを求めて
ーーーパン作りを始めたきっかけはなんですか?
トモミ:最初は趣味でやっていたんです。20年弱前くらいかな。その頃は今ほど手作りのパンが身近じゃなくって、パンが作れるなんて思っていなかったんですね。だから料理の本を見て作ってみて、「パンって作れるんだ!」って驚いたんです。そこからどんどん楽しくなって、今に至ります。
ーーー天然酵母を使おうと思ったきっかけはどんなことだったんですか?
トモミ:初めは何年かドライイースト(一般的なパンに使用される市販の酵母)でやっていたんです。その後またしばらく市販の天然酵母を使っていて、そこから自家製天然酵母を使うようになりました。どんどん難易度が上がっていくんですけど、やっぱり慣れていくと「次に次に!」と思って挑戦したくなってしまうんですよね。なんでもそうですけど、一から作ればそれなりにオリジナルのものができます。ドライイーストを使ったパンは誰でも作ることができるし、市販の天然酵母を使っても、やっぱり同じ酵母を使えば他の人にも同じようなパンを作ることができるんです。だけど自家製酵母のパンなら、私にしか作れないパンができる、そう思ったんです。
ーーーそもそも天然酵母って、どうやって作るんですか?
トモミ:酵母の作り方は簡単で、まずは材料を集めます。うちで扱っている酵母はお茶やお野菜、果物、お米…などですね。できるだけ、季節のものを取り入れようと思っています。それらを一口大に切って瓶に入れて、はちみつやお水を入れておくだけ。そうするとそのうちしゅわしゅわしゅわっと発酵してくるので、それを使ってパンを作ります。
ーーーすごい、酵母って色んなものから、とてもシンプルに作られるんですね。今、扱っているパンは全て天然酵母を使用されているんですか?
トモミ:そうですね。教室で教える時はドライイーストも使用していますが、販売用のパンは全て天然酵母を使用しています。
ーーー自家製天然酵母のパン作りの過程を教えていただけますか?
トモミ:まず、酵母を作ります。これが1週間くらいかかりますね。そうしてできた酵母を使ってパンを捏ねて、発酵させます。時間は季節にもよりますがだいたい1次発酵で6~12時間、2次発酵で1-3時間かかるので、前の晩から作り始めてお昼くらいに焼き上がります。なのでパン自体は2日くらいかけて焼いていますね。
ーーーじっくりと時間をかけて作られているんですね。新しいパンを作る時、そのアイディアはどんなところから生まれるのでしょうか。
トモミ:日々、新しいパンはどんなものを作ろう、と試行錯誤しています。酵母同士を組み合わせてみたり、普段の料理をパンに活かしててみたり。常連の方も新作を楽しみにしてくれているので、日々新作をお届けできるようにしています。
ヘブンズテーブルと、もみじ市
ーーーここからは、もみじ市について、カズヤスマキさんとトモミさん、お二人にお話を伺いたいと思います。
ーーーヘブンズテーブルのお二人にとって、もみじ市の他の出店者さんはどんな存在でしょうか?
カズヤスマキ:言い方に語弊があるかもしれないんですけど、“永遠に越えられない壁”みたいなイメージがあります。僕らは毎年、もみじ市に照準を合わせて新しいものを作ったり色んなことを考えるんですが、全力を尽くしてやったつもりでも、そのもみじ市の会場を回った時に、やっぱりもっと頑張った人がいるんですよね。だから終わった後はいつも、「これでよかったのか」って自問自答します。目標やライバルとは少し違うんですが、ありふれた言い方で言えば、お互い高め合う存在であればいいなと思ってます。敵わないなって思う人がいる反面、もしかしたら自分たちのことをそう思ってくれている人がいるかもしれない。もしいたらそれはすごく嬉しいなと思います。
ーーー今年のテーマ、ROUNDについてどんな風に捉えられていますか?
カズヤスマキ:正直、すごく難しいテーマだと思います。ROUNDってただの丸とは違って、円環っていう意味がありますよね。だから、ROUNDっていうのは、人の縁なのかな、と思って。今年のもみじ市もそういうテーマでやれないかなと思っています。具体的には、酵母だとかパンに入れる具だとか、食材をなるべく知った人から仕入れたいなって思ってるんです。その人の人となりとか、野菜や果物に対する姿勢だとか、そんなものを自分たちのパンに取り入れて、焼き上げて、お客さんに届ける。そうしてそのパンを食べたお客さんがそこに使われている野菜のことや、生産者さんのことに興味を持ってくれたら、そこで1周するじゃないですか。
ーーーありがとうございます。それでは最後に、もみじ市皆勤賞のお二人なりのもみじ市の楽しみ方があれば、ぜひ教えてください!
カズヤスマキ:とにかく、前半食べて、中盤食べて、後半も食べられたら食べたいなって思うんですけど(笑)、それで、美味しいもので心を満たしたら、クラフト作家さんのブースを見て、気持ちも満たすっていうのがいいかなと思います。
トモミ:そうですね。あとは作家さんとお話する機会ってなかなかないと思うので、お話をしてみるといいんじゃないでしょうか。
ーーートミヤマトモミさん、カズヤスマキさん、ありがとうございました! 秋の風吹く河川敷に、今年はどんな新作が並ぶのか、楽しみにしています!
〜取材を終えて〜
10年以上の長い時間をもみじ市と一緒に過ごしてきてくださったヘブンズテーブルさん。もみじ市のことを本当に大切に思ってくださっていることが伝わってきて、とても嬉しく、背筋の伸びる思いでした。トミヤマトモミさんの「食べた人が喜んでくれることが、一番嬉しい。私のパンを食べて、幸せな気持ちになってくれたら嬉しいです」というお言葉には、純粋でまっすぐな思いが輝いていて、手のひらの中のパンの温もりが一層増すように感じられました。ヘブンズテーブルさん、ありがとうございました!(手紙社 本間火詩)
【もみじ市当日の、ヘブンズテーブルさんのブースイメージはこちら!】