ジャンル:OYATSU

ひだまり商店とco+fe

【ひだまり商店とco+feプロフィール】
東京蚤の市に常連出店している「ひだまり商店 とco+fe 」が、満を持してもみじ市に初参加。北浦和の閑静な住宅街に佇む、以前はお米屋さんだったという木造の一軒家でおやつ屋を営む「ひだまり商店」は、平飼い卵や埼玉産無漂白小麦など厳選した材料で、干した布団のように心をポカポカと包むようなお菓子を作っています。そんな「ひだまり商店」の店舗で扱っているのが、木(Co)と鉄(Fe)を組み合わせて作るco+feのインテリア雑貨と、フラワーデザインnote:のブーケたち。

これら3作家が三本の矢のごとく結集した今回のブースでは、それぞれの作品はもちろんのこと、ひだまりのお菓子×co+feのカッティングボード、co+feのプレート×note:のスワッグなど、組み合わせディスプレイにも期待です。

【ひだまり商店】
blog itemu.exblog.jp
HP http://www.hidamarishouten.com
【co+fe
HP http://co-fe.handmade.jp/
Instagram https://www.instagram.com/co_fe.m.w/ 

【商品カタログ予習帳】
ナッツとドライフルーツがたっぷりの「森のタルト」(ひだまり商店)


自然の色合いが尊いまんまるな「あじさいのリース」(note:)


まんまるの「二段トレイ」。新作・オーバル型も登場するかも?(co+fe)


木と鉄を組み合わせた人気の「カッティングボード」は、ラウンド型も!(co+fe)


パラパラと崩れずしっとりの「どっしりマフィン」(ひだまり商店)


アルファベットの組み合わせが楽しい「ペーパーウェイト」と「金属プレート」(co+fe)


古い椅子の足など古道具を使用して作る「スタンドライト」(co+fe)


国産バターをたっぷり使ったまわりサクサク中はふんわりの「焼きたてスコーン」(ひだまり商店)


吊るして楽しむ、綿毛のようなまんまるの「たんぽぽ」(note:)

【スペシャル座談会「もみじ市作戦会議 at ひだまり商店」】

「東京蚤の市」には常連ながらも「もみじ市」には初参加。ということで開催1ヶ月を切った今、作戦会議を開こうと、co+feさんやnote:さんの作品も扱っている北浦和の「ひだまり商店」に、もみじ市参加メンバーの5名が集結しました。

<メンバー>
井手野真未 ひだまり商店店主。おやつ大好き。通称「イテえもん」。
西村愛子 ひだまり商店スタッフ。通称「あいちゃん」。
下田則敏 co+fe 代表。井手野さんいじりが秀逸。
下田直美 co+fe 専務。則敏さんの良きパートナー。
能登由子 note:。チーム名に名前こそ出さねど、実はチームのキーパーソン。


左から井手野さん、西村さん、下田則敏さん・直美さん、能登さん。

—今日はお集まりいただきありがとうございます! 他の出店者さんは主にインタビュー形式なのですが、皆さんのいつもの「ワイワイ感」が伝わればと、特別に座談会形式でと思っています。

則敏:載せられないところは「ピーーー」入れてね。
井手野:「ピーーー」ばかりになるかもしれないけど。
全員:(笑)
則敏:(井手野さんのベレー帽を見て)その帽子かわいいよ。いつもより全然いいよ。
井手野:初めて褒められた。でもジャイ子っぽくない?
能登:だから言ったじゃん、大丈夫って。「ジャイ子みたいでしょ」とか言わなきゃいいんだよ。
井手野:(ダミ声で)「のび太さ〜ん」って。
全員:(笑)
則敏:いつもオーバーオール着てドラえもんみたいだから「イテえもん」って呼んでるのに、同時に2つのキャラクターやったらダメじゃん。ダメだよ「イテえもん」なんだから!
井手野:怒られた。
則敏:しかも中身的には「イテえも〜ん」って、甘えて言う方っぽいよね。
直美:「イテえも〜ん、お菓子出して」って。
則敏:ジャイ子に、ドラえもんに、のび太まで。一人『ドラえもん』かよ!

—えっと……(いきなりの脱線に困惑しつつ)co+feさん、もうもみじ市用の新作が出来ているようですね。
井手野:えっ、新作!?(焦)
則敏:作戦会議っていうから、何か作ってこようかなって昨日作ってみたの。「ROUND」ということで、丸いワイヤーの照明。かわいいでしょ?
能登:すごくいいよね。
井手野:いい!直美:あと、このオーバルのプレートもね。二段トレイにしてもいいかなと。
則敏:結構良くない?
井手野:(お菓子を載せてみる)
能登:いい!
井手野:おおおおお!!!
則敏:ほかにも丸いペーパーウェイトも作ってみようかと。
井手野:どんどん増えていくね(焦)。

ひだまり商店とco+feとnote:の出会い

—蚤の市はいまや常連の「ひだまり商店」さんですが、何年前から参加いただいているのですか。
能登:手紙社さんのイベントは、2013年の京王閣での「GOOD FOOD MARKET」が最初ですね。
直美:もみじ市には、以前お寺で「花市」として開催されている頃に、お客さんとして行きました。
則敏:その頃『自休自足』の編集長をされていた北島さん(現・手紙社代表)と知り合って行ったんですよね。『自休自足』の中にあった手作りコーナーに、一度掲載していただいて。
能登:カメラマンがキッチン・ミノルさんでした。
直美:その頃一度もみじ市には誘っていただいたんですけど、日程がどうしても合わなくて。
則敏:その後しばらく連絡が途切れていたんだけど、ひだまり商店が「GOOD FOOD MARKET」に出ることになって。そこでまた繋がったんです。

—そもそも、皆さんはどうやって一緒に活動されるようになったんですか?
能登:note:とco+feは、建てた家の工務店が一緒なんです。
直美:能登さんが建てている家を見学に行って「何!このかっちょいい家!!」って。
能登:今の前身となるような、自宅ショップをやっていたことがあって。その頃から今みたいに「こんなの作れる?」と、co+feに商品を考えて作ってもらっていたんです。…何年前だっけ? 2000年頃かな。もう20年近い!
能登:ひだまりとnote:の繋がりは、お互いの子どもの幼稚園が一緒だったんですよね。
井手野:入学式にナンパしたんだよね。
能登:ナンパされました。前に私がディスプレイで携わっていたケーキ屋さんでバイトしていたんだよね。
井手野:高校生の時にね。
能登:それを幼稚園の入学式の時に「Y’s bouquetさん(ディスプレイの仕事をしていたときの名前)ですよね?」って言われて。「何で知ってるの?」って聞いたらケーキ屋でバイトしていたと。
井手野:その時はただの販売のバイトで。いまはもうそのケーキ屋は無くなっちゃったんですけどね。
則敏:看板娘だったの?
井手野:(嬉しそうに)そう、看板娘!
則敏:だから潰れちゃったんだね(笑)。
井手野:「あっ店長、ケーキ倒れちゃった。いただきまーす」「あっ、指刺さっちゃった、店長、いただきまーす!」みたいなね。
全員:(笑)

依頼されて作るのではなく、自分で身の回りのものを作りたいと思っていた

—お菓子を作り始めたのはいつからなんですか?
井手野:実はここが初めてなんです。
—え? そうなんですか。
井手野:最初で最後です。
—いきなりお店を作られたんですか?
井手野:いきなり。
能登:ホント、いきなり。急に「お店をやりたい」って言い出して。
井手野:忙しいお母さんの代わりにお菓子を作る、駄菓子屋のような気軽なお店を作りたくて。
能登:急に「お店をやりたいから、一緒に物件を見て」とこの場所に連れて来られて。「経験はあるんですか?」って聞いたら……
井手野:「ない」。
能登:「コーヒーを淹れたことは?」
井手野:「ない」。
全員:(爆笑)
—思い切りましたね。
能登:物件を見て「場所は大丈夫だけど……中身は大丈夫ですか?」って。
直美:前はお米屋さんだった建物なんだよね?
井手野:そう、その後がヤクルトの販売店。
能登:最初はプレハブっぽかったよね。
井手野:そう! 今の通りに面した全面ガラス戸も、最初は全部壁だったのに、工事を始めて外壁を壊したら、40年前の木枠の窓が出てきたんです!
能登:すぐに電話をもらったよね。「神様がいた!」って。
井手野:昭和の時代の駄菓子屋のイメージでお店がしたい!と探していたんだけど、不動屋さんには「そういうところはすぐ壊しちゃうから」と言われて諦めていたんです。そしてここを借りて、契約して、工事したら……窓が出てきちゃった。しかも割れていたのはガラス1枚だけ。強運!
—借りてからオープンまではどれくらいの期間なんですか?
井手野:半年です。このメンバー皆で作りました。
能登:ガスと水道だけお願いして、たいていは自分たちでやりましたね。今思っても……何でできたんだろうね。
直美:何かがあるんだろうね、ああいう時は。強運だったね。
井手野:運だけはあるかもしれないですね。
全員:(頷く)
井手野:運だけってこと?
全員:(笑)

—co+feさんが作品を作り始めたのはいつからですか?
則敏:僕はもともと美大で金属を専攻していたので、そのまま鋳物会社に就職して、依頼されたものを作る仕事をしていました。
直美:それで自分たちの家を建てる時に、外は工務店さんにやってもらったんですが、壁の塗装や什器作りは自分たちでやったんです。
則敏:依頼されて作るという仕事をずっとしていたから、そろそろ自分でも身の回りのものを作りたいと思っていたんですよね。そんな頃に10年前に社長が体調を崩して、会社を引き継いだんです。それで一人になって、自由な時間ができて。
直美:道具は全部揃っているので。
能登:自宅ショップをやっていた時は、お客さんが主婦中心だったので、生活に使える小さな家具を作ってもらっていたんですよね。今、主流商品になっているカッティングボードもその時生まれたものだし、その頃作っていたのを、今また作りだしているものもありますね。

作品を楽しむ時に、ブランドを感じて欲しくない

—note:さんはいつも花の作品を出されていますが、「ひだまり商店とco+fe」と、チーム名にお名前が入っていないのはなぜですか?
能登:花を楽しむ時に、ブランドを感じて欲しくないというか、作家名で買ってほしくないというか。純粋に見て「いいな」と思ったものを選んでほしいんですよね。だからあえて出さないようにしているんです。
井手野:いつもディスプレイでは中心になってアイデアを出してくれて、とても助かっています。
—そんなnote:さんが、作品を作るうえで大切にしていることはなんですか?
能登:植物がそのままで美しいので、あまり手を加えすぎないようにしています。「素材に頼りまくる」がモットーですね。

—co+feさんとひだまり商店さんが大切にしていることは?
則敏:ものづくりは自分が過ごすすべての時間の集約の形なので、普段の生活で心がけていることとも同じなのですが、ユーモアを忘れず、苦労を外側に出さないことでしょうかね。そして僕もできるだけ素材に無理をさせないようにしています。
井手野:私は気持ちを穏やかにしてお菓子を作るよう心がけています。誰かのお腹に入るものだから、どうしても優しい手のときに作りたい、というのがあって。怒っている時や悲しい時は作らないようにしています。でも人間だから…そうもいかないこともあって(笑)。そんな時はドライブに行ったりして、気分転換してから作ります。実はおやつの次に、車が大好物(笑)。
—ユーモアや穏やかさ。皆さんがいつも笑っているから、こういう作品が生まれるんですね。わかるような気がします。

河原で砂糖を焦がす匂いに引かれてお客さんが来てくれたら

—確かお店では、マフィンもその日の焼きたてって決めてるんですよね。
井手野:百歩譲ってイベント時だけは前日の夜焼いていますけどね。お店ではスコーンとマフィンは必ず朝焼きです。
能登:焼きたては、おいしいもんね。
井手野:別物ですね。だから数は作りたいけど、作れないんですよ、鮮度的に。

ポロポロしないよう研究を重ねたという、ひだまり商店のしっとりマフィン。

—いきなりお店を始めたところから考えると、材料に妥協しないところも含めて、今のこのお菓子に対する情熱はすさまじいですね。
井手野:私自身がお砂糖でできてますから(笑)。妥協はできません。
能登:食べ物に関しては、井手野はすごい嗅覚があるんですよ。
則敏:この間も、あるパン屋さんに初めて行ったんですよ。そしたら駅を降りたら「匂いがする!」って、鼻で場所を突き止めて。
能登:私の言っている「嗅覚」はそういう意味じゃなかったんだけど(笑)。
則敏:トリュフを探す豚みたいだね、って。
全員:(笑)
井手野:…トリュフの豚って。でもパンの匂いは普通するでしょ?
則敏:豚も言うだろうね、「パンの匂いくらいするでしょ、人間はわからないの?」って。
全員:(笑)

—もみじ市には毎回テーマを設けているのですが、今回のテーマ「ROUND」を聞いて何を思い浮かべましたか?
井手野:人と人との繋がり……ご縁、やさしさ。
能登:柔らかい空気感みたいなものを感じました。ほっとする感じ。
則敏:繰り返しをイメージしましたね。ものを作ることは、頭の中での作業も含めてたくさんのトライ アンド エラーの繰り返しなので。その繰り返しの結果生まれたものを気に入ってもらえると嬉しいなと思います。

—当日の作品、メニューは決まりそうですか?
井手野:もみじ市でしか食べられない美味しいもの、作りますよ!!
則敏:おっ。
井手野: テーマの「ROUND」に合わせて、栗のまあるいラムブリュレを作ろうと思っています。焦がしたてをすぐに食べると美味しいんですよね。河原で砂糖を焦がす匂いに引かれてお客さんが来てくれたらな。
則敏:秋の栗か。美味しい季節だし、楽しみだね。
井手野:実は蚤の市でも、イベントにしか出さないひだまりのメニューってあるんですよ。でもいつも手紙社さんに出す写真の締め切りに間に合わないんです。この間の「真夏の東京蚤の市」は、写真提供の締め切り時期に、まだメニューが決まっていなかったから、とりあえずコーヒーゼリーの写真を出したら、お客さんから問い合わせがいっぱいあって。最初にコーヒーゼリーが売り切れたの。
則敏:めっちゃ効果あるじゃん! 告知しなきゃだめじゃん!
井手野:だから今回は絶対に間に合わせようと!!
能登:間に合わない〜とか騒いでいるけど、皆イベントが大好きなんですよ。
井手野:いつもイベントの後は燃え尽きて1週間くらい動けないんだけど。なんですかね、中毒性がありますね。出産と一緒で、痛みを忘れちゃう。
能登:なるほど。
井手野:「わーいイベント!」ってなるんだけど、出産直後は「もう二度と産まない」って。
能登:確かにね(笑)。
井手野:初めての「もみじ市」楽しみだなぁ。隣が美味しいお菓子屋さんだといいな。買いにいけるかもしれないし。
能登:またお菓子!
全員:(笑)


〜座談会を終えて〜
いつでもこのメンバーが集まると、笑い声が絶えず何時間でも話している、そんな印象です。一見仲間内でゆるく楽しく取り組んでいるようでも、実はかなり厳しい目でお互いを刺激し合い、完成度の高い作品を見せてくれる皆さんには、そのギャップにいつも驚かされっぱなし!
座談会の後も、co+feさんとnote:さんの間では「アルミを黒で作る?」「そこは折りたたみのテーブルに乗せて…」などなど、真剣な企画会議が続いていました。一方、ひだまり商店・井手野さんは「私たちは、おかしとクラフトとお花という、この関係性が強みなんです」とポツリ。そんな3組が力を入れてくるであろう初めてのもみじ市は、河原に小部屋が現れたような雰囲気になるのではととても楽しみ。

…そしてこの座談会から数日後、井手野さんから新作の写真が届きました↓(有言実行!)。栗のまあるいラムブリュレ。焦がしたお砂糖の香りを頼りに、ぜひお立ち寄りくださいね。<手紙社 城田波穂>
上に乗っているのは栗のラム酒漬けなのだとか。楽しみです!