ジャンル:CRAFT

ユーリ白樺かご

【ユーリ白樺かごプロフィール】
自ら樹皮を採取し、幾重にも編み重ねることで“白樺かご”を作る、ユーリさん。樹齢何百年という木の世界において、白樺の樹齢はわずか70年。北の国で寒さを耐え忍んだ樹皮から作られる、繊細で無垢な作品の数々には、持つ者を美しく見せる魔法がかかっています。なかでも、屋号にも入っている“白樺かご”には、持つだけでスッと背筋が伸びるような、上品さに溢れており、私(担当:鈴木)も、いつか持ってみたい作品のひとつです。
http://juliwebsite.wixsite.com/juli

【商品カタログ予習帳】

テーブルかご3種(当日はもう1種加わって合計4種になります)


ワンハンドルの丸かご


白樺トート


ワンハンドルのオーバルかご(右側の小さな方は私物で、わたしが15年以上使っている白樺かご。色が深く濃くなっています)


「白樺手帖」という名の手帳


ミニかご(こちらは私物で、13年前の夏に編んだかごです。)


白樺クラッチバッグ「The last letter」


テーブルマット


テーブルマット


白樺樹皮のしおり

【スペシャルインタビュー「白樺の“物語”を未来に伝える」】

儚くも芯の強さを持つ白樺の樹皮を使い、作品を生み出すユーリさんに、鈴木麻葉(手紙社)がお話を伺いました。

出逢いは22年前のユーリの月

ーーー白樺との出会い教えてください
ユーリ:出逢いは22年前のユーリの月でした。「ユーリ」というのは、わたしの名前でもあるのですけれど、ずっと北の方にある、森と湖の国の言葉(スウェーデン語)で「7月」という意味。その白夜に、白樺の木と巡り逢えました。でも、それまでは「白樺」という樹木があることさえも知らなかったのです。なのに、なぜだかあの白い衣をまとったような白樺を、一目見た瞬間から、惹かれていって。きっと、恋をしたのでしょうね。だから、人を好きになったときと同じように、白樺のこと、もっと知りたくなりました。そして、白樺の樹皮で編まれた「白樺かご」が、その国では昔、生活道具として作られて、今もなお大切に使われていることを知って……。それがはじまりでした。

ーーーそれは運命的な出会いですね!作品を作るようになったきっかけは?
ユーリ:現地の人々の暮らしのなかに、年月を重ねた、こっくりと深い表情の白樺かごがありました。そんなふうに、年月や想い出が幾重にも重なってゆく、物語のある美しさに、ただただ感動したのです。それで、日本の白樺にも会いたくて、帰国後すぐにドキドキしながら北海道を訪ねました。同じように白樺はたくさんあって、けれど、白樺かごや白樺のその樹皮を生かすという文化は根付いていないようでした。知れば知るほどそのことを目の当たりにして。それで、心に決めたのです。「わたしは北海道の白樺の樹皮で白樺かごを編み重ね、未来へ伝えていこう」って。

ーーーユーリさんが思う白樺の魅力はなんですか?
ユーリ:白樺のほんとうの強さと弱さです。何百年という樹齢の木の世界において、白樺の樹齢は極端に短くて、それは白樺の弱さかもしれません。けれど一方で、だれも選ばないような厳しい荒れ地こそ自ら選んで根づく先駆種で、開拓者のような存在。そしてその樹皮は、ほかの木にはない強さを持っています。白樺は生長が早く、土壌を豊かにしていき、そうして他の動植物が育つ環境が整ったら、それを見届けるかのように、自分は早くに倒れゆく。ヨーロッパでは「マザーツリー」ともいわれていますが、自らの弱さを強さに変えて精一杯に生き、他者を見守る白樺の姿は、その言葉を直訳したとおり、森のお母さんのような存在なんだと想っています。わたしはそんな白樺の生き方にすごく惹かれています。

ーーーひとつの作品が出来上がる工程を教えてください
ユーリ:とても長い工程になりますが、日本の四季をともに巡り、その歩幅に合わせ、ゆっくりと、ひとつひとつの白樺かごを編み重ねています。まず、3月に雪の森で間伐材を選定し、その後、雪が解けたら白樺樹皮の採取場所の森の手入れ。そして、6月にいよいよ樹皮の採取作業。7月中には採取した樹皮の下処理をした後、テープ状に裁断して束ね、3年ほど寝かします。

ーーー 材料を3年も保管するんですか!時間のかかる作業ですね。ひとつの作品はどれくらいの期間で完成するのですか?
ユーリ:「石の上にも3年」ということわざがあるように、かごの材料である樹皮も、土の中で(石の上ではなくて)春夏秋冬と季節を巡り、3年後にようやくその樹皮でかごを編み始めることができます。編み始めるまでの材料準備の工程で3年以上かかるのですが、この時間がとても大切で、その先の編む工程と、かごになってからの樹皮の質感が、この時間を重ねるかどうかでまったく違ってきます。樹皮は採取をした後も確かに呼吸をしています。だから、何十年と白樺だった状態から、採取されて、またすぐに人の力で別の形(かご)に変えるのではなく、数年のあいだ落ち着かせてあげて、じっくりと材料を仕立てています。こんなふうに白樺かごを編み始めるまでの工程で3年以上かかるのですけれど、かごを編む工程はじつは10日間ほど。どんなに材料の準備が大事か分かっていただけるでしょう。また、かごが編みあがってからも、しばらく保管して落ち着かせていますので、夏に材料を採取してから実際にお届けできるまでは、早くても3年半後です。

実際に白樺かごを編む様子

ーーー作品をつくる上で大切にしていることを教えてください
ユーリ:いつのときも、白樺の木の物語に深く触れていくことを大切にしています。その“物語”というのは、白樺の生き方ですね。それがなかったら、わたしは白樺かごを編んでいないと想います。わたしにとって白樺は道しるべであり、その物語はいつも心の軸になっています。自分が信じたこの物語を、白樺かごを編むことで、伝えてゆく。それを大切にしています。

ーーーユーリさんが最も好きな作品を教えていただけますか?
ユーリ:今年のもみじ市のテーマと同じく「ROUND」、まぁるい白樺かごが大好きです! 白樺かごの「丸」のなかに、巡り逢えた方との気持ちを大切に編み重ねています。そしてそれが、白樺樹皮を編むということ、白樺かごづくりなのだと思っています。

白樺を伝えられる「伝え手」でありたい

ーーー作家として生きていこうと決めたきっかけを教えてください
ユーリ:自分が「作家」だと思ったことは一度もないですね。ただ、いつのときも白樺を伝えられる「伝え手」でありたい。純粋に白樺の木を愛し、その白樺から樹皮をいただいて、かごを編み、白樺の物語を伝えてゆく。それが、本当にうれしくて。白樺の伝え手であることは、使命や役割、そして、恩返しだと思っています。生きることそのものですね。

ーーー活動は最初から順風満帆でしたか?
ユーリ:帰国して、白樺かご片手に初めて北海道に行ったのが27歳のときでした。「北海道の白樺の樹皮で白樺かごを編み重ね、未来へ伝えていこう」って決心したときですね。でも、そのときは北海道には友人もいなければ、誰ひとりとして知人もいなかったんです。けれど今、こう目を閉じると、たくさんの笑顔がもう溢れんばかりに想い浮かびます。本当に、たくさんの方が白樺かごを大切に使ってくださっていて。わたしの活動が順風満帆だったか、それは分からないけれど、いまのわたしがはっきりと信じていることは、日本中に、白樺かごの笑顔でつながっている方がたくさんいてくださるということ。きっと、あの決心をした時からずっと、白樺かごは作るものではなくて、巡り逢えた人と人の心を編み重ねていくものになったのだと思っています。

人の繋がりがあってこそのもみじ市

ーーーもみじ市に初めて出店したのはいつですか?
ユーリ:今年で3度目の出店なので、初めての出店させていただいたのは2015年でした。

ーーー初めて声がかかったとき、もみじ市の存在はご存知でしたか?
ユーリ:はい、もちろん! でも、自分が出店させていただけるなんて、夢にも思っていませんでした。

ーーー声がかかったとき、どんな気持ちでしたか?
ユーリ:もみじ市へ結んでくれた友の顔が、たくさん浮かびました。北海道のニセコにあるSEED BAGELというカフェで白樺かご作品の展示会をさせていただいた時、カフェに偶然に立ち寄った手紙社の北島さんが作品に目を留めてくださったことがきっかけで、お声がけいただきました。その時の重なりや、SEED BAGELの大輔さん、美月さんとの巡り逢わせ、そして、それまでのたくさんの方とのつながりを、深く感じずにはいられませんでした。こうして、ひとりの方に巡り逢って、ひとつのことに繋がり、そこからまた、ひとり、またひとりと巡り逢えて、次に結ばれてゆく。この連続や重なりというのは、まさに、白樺を編み重ねてゆくこと、白樺かごづくりと、ぴたりと同じ。本当にしあわせなことです。

ーーーユーリさんにとって、軒を連ねる出店者はどんな存在ですか?
ユーリ:いろんなジャンルの作り手の方がいて、いつもその姿勢を間近に見ては、ものづくりの素晴らしさを教えていただいています。こんなにたくさんの素敵な方々と同じ想いで「もみじ市」というひとつのことを作っていけること、心から、誇りに想っています。

ーーー作品をどんな方に見ていただきたいですか?
ユーリ:もう、たくさんの方に、白樺を伝えたい。その気持ちでいっぱいです。

ーーー今回のもみじ市にむけて意気込みをお願いします。
ユーリ:長年、定番で編んでいる17種類の白樺かごをテーブルいっぱいに並べ、白樺かごの明かりを灯し、お待ちしています。

〜インタビューを終えて〜
ユーリさんの言葉の端々から、白樺への愛が溢れていて、ユーリさんの暮らしの根っこの部分にいつもあるものは「白樺」であり、未来へ導いてくれる存在も「白樺」なんだな、と改めて感じました。ユーリさんが白樺が好きなのはもちろんのこと、白樺にも愛された人なのだなと作品を見るたびに思います。そんなユーリさんだからこそ作ることのできる、繊細で無垢な作品にご期待ください。(手紙社 鈴木麻葉)

【もみじ市当日の、ユーリ白樺かごさんのブースイメージはこちら!】

白樺の樹皮で作った作品が所狭しと並びます。その上品さにあなたも目を奪われますよ!