ジャンル:ILLUST&DESIGN

楓真知子(14日)

【PROFILE】
大阪生まれのイラストレーター。第199回チョイス入選。第12回TIS入選。第18回ノート展大賞。毎日絵を描くことを日課にしている。幼き日に置いてきてしまった、絵を描くことの喜び……。色を選んだり、筆を走らせたりが楽しくてしょうがなかった、あの頃を思い起こさせてくれるような、躍動感にあふれるイラストを描く。動物を得意としているが、人物も魅力的で、表情や色使いなどは秀逸。一目見るだけで、ワクワクが止まらない。
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【商品カタログ予習帳】

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【スペシャルインタビュー「楓真知子にはサスペンスが潜んでいる」】
イラストレーター楓真知子さんに、躍動感あふれるイラストの秘密を樫尾有羽子(手紙社)が伺いました。

毎日描くようになるまでの道のり

ーーー絵を描くようになったきっかけは?
楓 もともと絵が好きでずっと描いてはいたんですけど、2011年に大阪から上京してきたときに、友人の誘いもあって、画塾に通いはじめました。その塾のはじめての授業で、私の絵を見た先生に、いきなり「君は今まで何をやってきたんだ」といわれたんです。衝撃的で、すごくびっくりしたんですけど、本来負けず嫌いなので、すごくくやしくて、なんとかここでやっていけるようにがんばろうと思いました。大阪時代は、多くて1ヶ月に1枚といったペースでしたし、絵柄も全然違っていて、キャラクター系の絵を描いていましたから。そこから、東京のいろんなギャラリーをまわりはじめました。そんなとき、“毎日描くことが大事だ”ということを、あるイラストレーターさんにいわれたんです。その方は、いろんな賞を取られていましたから、そんなすごい方でも毎日描いているなら、私もそれをやらなくちゃと。はじめた当初は、毎日描くこと自体が目標といった感じでしたね。それがだんだん習慣になってきて、今では、描かないと気持ちが悪い状態にまでなっています。歯磨きといっしょみたいな感じで。

ーーーほぼ毎日、twitterなどでイラストレーションを公開されてますよね。いつ描かれているんですか?
楓 スケジュールをまず考えます。この日に何を描くかを決めて、約束があったりすると、この時間までに1枚というふうに区切って描いてますね。そんな感じで予定によって、朝5時くらいから描いたり、夕方から描いたりしますが、毎日、必ず描くようにしています。だいたい平日は、絵を完成させるのに2日かけようと思っていて、土日は、それぞれ1枚ずつ、できあがればいいなという感じです。

ーーー美術系の学校に通われていたんですか?
楓 大阪時代に、社会人が通う塾みたいなところに行っていて、その後は、東京に出てきて、先ほどの画塾に通ったくらいです。実は、親が絵の道に進むことを反対していたこともあって、大学までは普通に進学しました。そこから、画塾に通いはじめたという感じです。

ーーーでは、筋を通されたんですね。
楓 大学を卒業したら、自由になれるんだと思いながら過ごしていましたね。でも、もったいなかったなと思ったりします。大学時代って、一番、柔軟に吸収できる時期ですし、時間もあったと思うので。

ーーーでも、大学行きながらも、描かれてたでしょう?
楓 いや、そのころはのんびりペースで、やっていたので。

ーーー今の画風になったのは、いつくらいからなんですか?
楓 大阪にいたときは、個性をつくらないといけないと思っていて、奇を衒うことばかり考えていて、すごくしんどかったんですけど、東京の画塾に通いはじめてから、先生が「個性は出てくるもので、出すものじゃない」とおっしゃったんですね。そのことがきっかけとなって、動物の絵を描きはじめて、今に至ってますね。

ーーー動物の絵が描きたかったんですか?
楓 大阪で画塾にいっていたときに、動物の絵を褒められたことがあって、そのことが頭に残っていたんですね。そこで、もうデッサンとか気にせずに、まずは褒められた動物を描いてみようと思って、描きはじめたんです。それをチョイスというコンペに出したら、賞をいただくことができました。そのチョイスの審査員が、ミナペルホネンの皆川明さんで、評価をいただいたんです。もしこれがなかったら、どうなっていたかと思います。皆川さんの言葉にすごく勇気をいただいたので、いつかお金持ちになったら、ミナペルホネンの洋服を買おうと思ってます! まだ、夢叶わずですけど。

活きのいい絵の具たち

描くテーマにはブームがある

ーーー毎日描くものは、題材をどういうふうに決めているんですか?
楓 ブームがあります。今は船を描くのが楽しいので、船ブームがきてますね。

ーーーえ!? 今まで何ブームがあったんですか?
今まで、やってきたブームは、ネコブーム、馬ブーム。人間ブームがきたんですけど、人間はあんまり楽しくなくて短いブームで終わりました。そして、乗り物ブームがきて、乗り物ブームの中から、今、船ブームがきています(笑)。あとは、例えば、ネコそのものを描くんじゃなくて、ネコがいるシーンを描いたらいいよとアドバイスをもらったので、今は、船のあるシーンとか、なんとかなシーンを描くブームもあります。ただ、もみじ市のころは、別のブームがきているかもしれません。今のところ、このシーンブームは、しばらく続けようとは思っています。

ーーーアドバイスに対して、すぐに取りかかれるなんて、すごく柔軟ですね。
楓 わりとその辺はこだわりがないというか、いいと思えば、今までのものをなくすことになっても、そっちにいきたいと思うタイプなので。

ーーー飽きやすい方なんですか?
楓 そんなことはないと思います。でも、継続を求められると苦手ですね。

ーーー例えば?
楓 連続ドラマとかですね。1回見たら、全部見ないといけないじゃないですか。だから、単発のサスペンスドラマが好きです。結局、毎回見てるんですけどね。そのときには、1回必ず終わるので。次の約束はないじゃないですか。

ーーーなるほど。

切っても切り離せないのはサスペンス!?

ーーー作品が完成するまでの流れを教えていただけますか?
楓 何を描こうかというのは、今描いてる作品より5、6作品あとの予定までは自分の中で決まっていて、それは、電車の中とか合間の時間を利用して、次に描くものを決めて、ラフにおこしておきます。家では、このラフを実現化する作業を行なっているイメージです。そうすると、常に描いている状態になれるじゃないですか。それがいいなと思っています。

ーーー気分が乗らないときとかはあるんですか?
楓 そういうときは、最初の1時間は、サスペンスドラマを見ながら、描いてもいいっていう決まりをつくっているので、それに則って。というのも、羽海野チカさんのTwitterで「やる気はやりはじめてから出る」というのをはじめて知って、やりはじめると気が乗ってくるので、そこから描く方に集中していきますね。

ーーーでも、1時間といえば、犯人がどんどんわかっていって、おもしろいところじゃないですか。
楓 泣く泣く切ってますね(笑)。でも、この1時間見ながらルールが適用されるのは、再放送の2時間サスペンスで、何回も見古したやつと決めているんです。最新作は、ちゃんと2時間見るようにしています! 2時間サスペンスとともに生きているくらい好きなんですよ、私。

ーーー楓さんの絵本を読んでみたいと思うのですが、つくりたくないですか?
楓 文章を考えらえないんですよ。めんどくさがりなのかもしれないですけど。現時点では、一枚絵でもっとがんばりたいと思っています。あと、早く完結させたいんですよね。

ーーー1枚で完結させたい! サスペンスドラマと同じですね(笑)
楓 1回作って完結する。完全に一話完結の女ですね、私。例えば、こういうふうにインタビューで話したこととかも、ここで話が完了してしまえば、その後で全然気にならないですし。でも、思い出を大切にするところもきちんとあるんですよ。ほぼ全てのサスペンスドラマを録画してるんですけど、もったいなくて見られない部分とかありますから(笑)。とはいえ、私の人生を語る上で、サスペンスドラマは切り離せないですね。今、気がつきました(笑)

植物ブーム到来中

もみじ市への意気込み

ーーーもみじ市へ初参加ですが、お気持ちを聞かせてください。
楓 ものすごくうれしいです。ただ、みなさん有名な方ばかりなので、正直、私なんかが出てもいいのだろうかという気持ちもあります。でも、精一杯がんばります。

ーーー影響を受けた作家さんは?
楓 リスベート・ツヴェルガーです。画集も持ってるくらい大好きな方。ずっと憧れていました。でも、こういう上手な絵にはなれないので、それはあきらめたんです。ちょっとダークな感じもありつつ、きっちり描かれているというところに心惹かれて、目指していた時期もありました。日本人では、大橋歩さんと荒井良二さんが大好きです。人生で一番最初に画集を買ったのが大橋さんで、荒井さんは、初めて絵本を見たとき電流が走ったように衝撃を受けた方なんですよ。

ーーープロのつくりてとはどういうものだと思いますか?
楓 誰かを巻き込むくらい強い力を持っているものを作れるのがプロだといえると思います。絶対、いいものは、周りが放っておかないと思うんです。なので、私は、自分だけで完結しているので、まだ違うなと思っています。

ーーーもみじ市のテーマ“ROUND”について、何をイメージしましたか?
楓 丸なので、誰も傷つかないし、平和的でいいなと思いました。

ーーーもみじ市で、挑戦したいことはありますか?
今は立体が作りたいです! すでに、わくわくしています。すごく不器用なので、綺麗な感じにはならないと思うんですが、この不器用さがあるからこその作品づくりをできればと考えています。なので、今はそういう部分があってよかったなと思っています。

ーーー今後の目標は?
楓 絵を描くことをずっとやっていきたいので、細々と続けていられればいいかなと思います。絵に関しては、仕事としてやりたい野望はたくさんあるんですが、このままゆるりと作品のクオリティーを上げつつ、やっていきたいと思ってます。

ーーー楓さん、どうもありがとうございました。楓さんの絵や新しい立体作品が、河川敷でどんなふうになるのか、すごく楽しみです!

〜取材を終えて〜
楓真知子さんの絵には圧倒されっぱなしで、どんな方なんだろうとワクワクしていました。お会いしてみると、とても穏やかで、ひとつひとつていねいに言葉を選んでお話する方でした。もちろん、ユーモアも持ち合わせていて、あっという間に時間が過ぎ去ってしまったほどです。楓さんは、ちょうど変化の真っ只中。まだまだいろんなことをやりそうです。これからの彼女がどういうふうになっていくのか楽しみで仕方ありません。
(樫尾有羽子)

【もみじ市当日の、楓真知子さんのブースイメージはこちら!】

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