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甲斐みのり

【甲斐みのりプロフィール】
本と雑貨、2つのフィールドを軸に、幅広い活動をされる甲斐みのりさん。文筆家として30冊以上の著書をもつ傍、「女性の永遠のあこがれをかたちにする」というテーマで雑貨やイベントを企画する「Loule」(ロル)の主宰も勤めています。2つの活動に共通するのは、旅や贈り物、手土産、お菓子、パン……女性の好きなものを多くの人に届けているということ。見過ごしてしまうような街並みに、宝物を見つけ出す天才。少女の心を宝物のように持ち続け、日々ときめきを届けてくれるのです。
http://www.loule.net/

【商品カタログ予習帳】

Time table tray3:00PM
お菓子にまつわる言葉や、おしいくて愛らしいお菓子を販売する「甘いノスタルジア」という企画展を開催したとき、イラストレーターのNoritakeさんと供につくった、おやつトレイ。食いしん坊な子どもだった私は、家中の時計がずっと、午後3時を差していればいいのにと、空想に耽っていたほど。そんな、幼い日の憧憬を形にすべく、3時という時間が描かれています。我が家では、おやつ皿かわりに使っています。おやつの時間が大好きな、子どもがいる友人への贈り物にしても。

ねこコースター
Louleの定番モチーフである、ねこのコースターを作りました。グラスを置くとぴょんと飛び出る耳がチャームポイント。ガーゼ素材なので吸水性が高く、冷たい飲みものにもお使いいただけます。ひげの色は銀糸と金糸の2種類です。

こけし入り からからせんべい(宇佐美煎餅店)
からからせんべいとは、山形の庄内地方に伝わる郷土菓子。堅焼きせんべいの中に、小さな民芸品や玩具を入れて焼き上げています。昔から日本には、「辻占」という、おせんべいの中に吉凶を占う紙片の入った縁起菓子を食べる習慣がありましたが、からからせんべいも、それに近いものがあります。おまけ付お菓子の元祖のような存在です。普段は中から、タケトンボ、根付、コマ、鈴など出てきますが今回は特別に、こけしだけが入ったセット。

UCHU wagashi×甲斐みのり オリジナル落雁
人をわくわくさせたり、しあわせにする和菓子をつくる、京都生まれの和菓子ブランドUCHU wagashiと、甲斐みのりがコラボレーションしたオリジナルらくがん。リボン、富士山、ちどり、ねこ、こけしの形のらくがんは、甲斐みのりが描いたイラストを元に、UCHU wagashiが木型からお菓子作りまでを担当。UCHU wagashiでは和三盆糖の良さをそのままに、いろいろな素材と組み合わせ、現代的で他のどこにもない、あたらしい落雁をひとつひとつ丁寧に手仕事でつくっています。

地元パン プレート
甲斐みのり監修の地元パングッズが完成しました。 「ソウルフード」として故郷、地元を語るときに欠かせない地元パン。長年愛されてきたパンのキャラクターやロゴをパッケージから飛び立たせ、商品化しました。なんぽうパン(島根)、リョーユーパン(福岡)、ニシカワ食品(兵庫)それぞれのロゴやイメージをあしらった、ワンポイントがかわいいプレート。

ねこのコーヒー缶(あお)
この缶は、ひとつひとつ職人さんが手づくりでつくる、とても貴重な缶です。昔の缶はみな、ブリキを材料に手づくりでつくられていましたが、手間と時間を費やすため機械化が進み、今では手づくり缶をつくれる職人さんは日本で数人のみとなりました。みな、この道50年のベテランです。そのうえ高齢化で後継者もおらず、あと数年後には手づくり缶そのものが姿を消してしまうと言われています。この小さな缶には、丁寧な手仕事・職人技と、食べものを乾燥させず美味しく食べて欲しいという職人さんの思いが詰まっています。蓋は、重箱のようにすっと上に持ち上がる「カブセフタ」と呼ばれる形状。コーヒー豆・日本茶・紅茶・乾物・お菓子・ねこのカリカリ・文房具、中になにを入れるかは自由です。宝もの入れにもどうぞ。 illustration:izuru aminaka direction:minori kai

かおパンブローチ
甲斐みのり著『地元パン手帖』発売から、Louleではさまざまな地元パングッズを作ってきました。今回は、ファニーな顔をしたパンのブローチ。もこもこの素材で、これからの季節にもぴったりです。かばんや洋服につけて、ぜひおでかけください。

旅タオル
『一泊二日 観光ホテル旅案内』を記念して、旅タオルを作りました。 温泉マークが、猫の顔に。 旅に温泉に銭湯に。もちろん普段使いにも。 耳の色は、ブルー、グリーン、イエロー、オレンジ、ピンクの5色です。

ショッピングバッグ リボン
大判のショッピングバッグに、様々なかたちのリボンの柄をプリントしました。 大きなサイズなので、荷物もたっぷり入ります。 普段のショッピングから、旅行のサブバッグまで、色々なシーンでお使いいただけます。

【スペシャルインタビュー「『何かを好き』という気持ちを広めていきたい」】
ぐるりと書棚に囲まれたアトリエで、文筆家・甲斐みのりさんに、本間火詩(手紙社)がお話を伺いました。

はじまりは、小さなマッチから

ーーー幅広い分野で活動をされている甲斐さんですが、ご自身の職業をどんなお仕事だと捉えていらっしゃいますか?
甲斐:基本は文筆家・エッセイストとして、旅や贈り物、手土産、お菓子やパン、女性が好きなものなど、色々なテーマで本を作ることが主な仕事です。私には子供の頃からずっと、何かを見て「これが好きだな」とときめいたり、励まされたり、背中を押されたり……。そういうことが何度もありました。そうやって「何かを好きだな」という気持ちに救われたりしてきたことを、自分自身が忘れたくない。読んでいただく方にもそういう気持ちを思い出して欲しい。そんな想いで仕事をしています。

ーーー文筆家としてのお仕事以外にも、雑貨の企画なども行っていらっしゃいますよね。こちらの活動についてはどんな風にお考えですか?
甲斐:Loule(ロル)という名前で、スタッフやアシスタントの方々と一緒にものづくりを行っているのですが、実はこの活動は本のお仕事とも繋がっているんです。Louleの活動では、例えば、本で取り上げた題材となるものを作ることもありますし、本を作りながら出会った人と何かを作ることもあります。本と同じように、「何かを好き」という気持ちから生まれたものを作ることも。だから実は文筆家としての仕事と、とても近いところにあるんです。

ーーーものに救われたり、「何かを好き」という気持ちを広めていく活動として、本作りも、Louleとしての活動も繋がっているんですね。今のお仕事をしたいと思ったきっかけは、何だったのでしょうか?
甲斐:両親が本を沢山読んでいたので、家の中には子供の頃から常に、沢山の言葉がありました。私自身は実は、絵を描けたり、音楽や楽器が出来る方にすごく憧れを持っていたのですが……。そうやっていろんなことに憧れている気持ちを形にしたいと思った時、自分にあった手段が言葉だったんです。そこから本作りを始めました。雑貨についても、子供の頃から、ファンシーグッズや、お菓子の缶とか包み紙など、何かを集めるのが大好きだったことから繋がっています。宝石とか車とか、ブランドとか、そういった大きなものには興味がわかず、マッチやお菓子の包み紙のようにそれ自体には値段がつかないようなものなど、自分にとって輝いて見えるものを作りたいなと思って雑貨作りを始めたんです。なので本も雑貨も、「憧れている気持ちをなにかしら形にしたい」という気持ちがきっかけになっています。

ーーーこういった活動を始められた一番最初の頃は、どんなことをされていたんですか?
甲斐:始めたのは1999年ですが、一番最初の活動は本を書くことではなくて、マッチを作ったことだったんです。今はマッチや小さなペーパーなどを雑貨として作られている方もいらっしゃいますが、当時ほとんどそういう人がいなくて……。自分で雑貨店や本屋さんを回って営業のようなことをしていました。今のようにネットも発達してなかったですし、ものを作るにもインターネットで調べられないので、業者さんをタウンページで探したりして(笑)。インターネット普及前とは違うアプローチで始めたので、ちょっと懐かしい気持ちがありますね。

ーーーマッチが始まりだったのですね! そこから今に至るまでの経緯を教えていただけますか?
甲斐:元々雑貨作りから始めたのですが、それから5、6年経った頃に、文章を書いたり本を作ったりする仕事が多くなり、今はこうして文筆家やエッセイストとしての仕事が主になっています。ただ、いつでも本と雑貨は2本の軸として、どちらも大切なものだと思っています。本が上手くいかなかった時は雑貨作りに助けられましたし、雑貨に煮詰まった時には、本を書くことに救われました。2つの存在に互いに救われてきたからこそ、これまで18年続けてこられたのだと思います。もしも片方だけだったら、途中で色々諦めたり、やめてしまっていたかもしれないと思うので。わたしには2つがあってよかったなと思っています。

“おやつの時間”を大事にしています

ーーー本や雑貨を作る際、インスピレーションの元となるのはどんなものなのでしょうか。
甲斐:この仕事部屋は10代の頃から集めてきたような、自分が好きな本に囲まれているんですが、元々はそういった好きな本に囲まれて部屋の中に閉じこもっていることが好きでした。でも今は街や旅に出かけて、いろんな景色を見たり、お店に入ってものを見たり、知らないことに触れたりして、「これをみんなに伝えたいな」って思う気持ちが本やものを作る時の一番の原動力になっています。

沢山の本に囲まれた、甲斐さんのアトリエ
ずらりと並ぶ本の傍には、愛らしい雑貨も覗きます

ーーー1日の中で、どんなスケジュールでお仕事をされていますか?
甲斐:大体9時から10時にお仕事を開始するんですけど、メールや事務作業的なことは午前中に行い、午後は原稿に集中するようにしています。打ち合わせもだいたい午前にして、午後はほぼ机に向かいます。最近はあんまり遅くならないようにして、20時から21時くらいには仕事を終わらせるようにしています。ただ、私の場合すごく取材が多いので、半月くらい外に出ていたりして……。そういう時はもう太陽が出ている時間中ずっと外に出て撮影、街巡り……。そうして出張した分、東京ではずっとこもって書いていたりして、差が激しいですね(笑)。

文章を書くのに欠かせないという甲斐さん愛用のノートパソコン。辞書型のケースに入っています。

ーーー普段お仕事をされている中で、愛用されているアイテムなどはありますか?
甲斐:アイテムとは違うかもしれないんですけど、お茶の時間を大事にして、欠かさないようにしています。仕事でおやつを紹介したり、手土産を紹介していることもあって、必ずスタッフと3時にはこの場所でおやつを食べるんです。休憩したり、ミーティング代わりにしたり、近況を報告しあったり……そんな“おやつの時間”を大事にしています。

書斎の中央に構えるテーブルで、毎日おやつの時間をとられているそう

種を拾って、育てていく

ーーーもみじ市にはものづくりが好きなお客さんが沢山いらっしゃいますが、雑貨作りや本作りに憧れている方に対して、プロになるために必要なものはなんだと思われますか?
甲斐さん:ものづくりって孤独な作業ではあるんですけど、それを世の中に広めていこうとする時は価値観の合う仲間が必要だと思うんです。尊敬し合ったり、高め合ったり、時にはいいライバルになったりして、刺激し合える。そういう仲間が必要だなあと。そしてもみじ市って、きっとそういう存在だなって思うんです。年に1回集まることで、そこから力をもらう。出店者同士もお互いに集まることで力を得ているところがあると思いますし、お客さんも、イベントでの出会いがきっかけになることがあるんじゃないかと思っています。

ーーーお客さんにも、ですか?
甲斐:はい。わたし自身、ものづくりの仲間と出会ったのは京都で通っていた音楽イベントで、そこで出会った人たちがどんどん冊子や雑貨を作ったりしていて……。イベントに行って、そこで見つけたチャンスや出会いをどんどん育てていくことは、プロになるための芽を育てていくことだと思うんです。好きな場所に通って、そこでなにか種を拾えたら、それを大事に育てていく。「いつか自分ももみじ市に出たいな」って思ってもいいし、そういう自分を育てていってもらえたらいいなと思います。

ーーーそんなきっかけの場になれば、私たちも嬉しいです。甲斐さんにとって、もみじ市はどんな存在でしょうか?
甲斐:もみじ市ってすごく特別で独特な存在だと思っているんです。自分で作った作品を売っている職人さんがいたり、お料理やお菓子を作る方とか、イラストレーターの方もいますし、映画だったり、絵本の読み聞かせだったり……。私は主に文章を書く物書きですし、こんなに多ジャンルの、色んな職業の人たちが集まる場所って本当に珍しい。ちょっと学校みたいだなと思っています。

ーーー学校ですか?
甲斐:はい。学校って色んな個性の人がいて、すごく仲良くなったり、定期的に会ったりしていなくっても、個性同士ちゃんとお互いのことを見てるんですよね。色んな個性があって、みんなどうやって成長していってるんだろうって意識していて。“もみじ市”や“手紙社”という学校に通っているような気がします。

ぐるりと巡って帰ってくる場所

ーーー今年ももうすぐもみじ市がやってきますが、今年のテーマ“ROUND”と聞いて思い浮かんだものはなんでしょうか?
甲斐:例えば本を出す時、『お菓子の包み紙』や『地元パン手帖』だとか色々テーマを変えて書くんですが、やっぱり結局は自分の中の好きなものから生まれてくるんです。このアイコン(出店者アイコン)にある、贈り物、お菓子、リボンーーこれは女性らしいものの象徴ですーーとか、パンや猫、旅、自分が好きなものがくるくる回っている、それが自分だなあって思ったんです。めぐり合わせて、繰り返し、それが今回のテーマだなと思いました。

ーーー愛らしいアイコンには、甲斐さんの好きが詰まっているのですね。今年のもみじ市には、どんなものを持ってきてくれますか?
甲斐:新作がいくつかあって、例えばこのブローチは、「かおパンブローチ」というんですけど、私が無意識にいつも、オムレツとかオムライスみたいな食べ物に顔を書いてしまうことからできていて……(笑)。子供の頃からつい、食べ物に目や口を描いてしまうので、人前でも無意識にやってしまったのですが、その時、周りの人たちが「食べ物に目があるだけで可愛いね」「おもしろーい!」「食べる時間が楽しくなる」と言って喜んでくれたんです。顔を描くだけで周りの人たちを楽しませることができるんだなって思って。私は『地元パン手帖』という本を出すほどパンが好きなので、スタッフと一緒にこの「かおパン」というキャラクターを作りました。パンに見えないかもしれませんけど……(笑)。これはブローチなので、これをつけてもみじ市の会場を歩いて欲しいなと思って作っています。あとは猫の形のコースター、「ねコースター」って、ダジャレなんですけど(笑)。お茶の時間が楽しくなるようにって思って作りました。お茶の時間に付随して、猫のお茶缶や、私の好きなリボンモチーフのマルシェバックも作りました! すごく大きいので旅行などでも便利ですし、これを持ってもみじ市を楽しんでもらえたら嬉しいです。

ーーー沢山の新作、ありがとうござます! 最後に、今年のもみじ市にお越しになるお客さまにメッセージをお願いいたします。
甲斐:人は、色んなことが巡り巡ってぐるんと回って、原点に戻ってきたりするものだと思うんです。特にものづくりをする人って、いろんな回り道をして必ず原点に戻ってくる。そんな風に思うので、もみじ市に来ていただくお客さまにとって、もみじ市が、一つの何かの原点や、ぐるりと巡って帰ってくる場所。きっかけになる場所になって欲しいなと思いました。

ーーーものづくりを愛する人たちの、そういう場所になれたなら、私たちもとても嬉しいです。素敵なメッセージをありがとうございました!

〜取材を終えて〜
甲斐さんの文章を読む時、なんだか少女の頃に戻ったような、心が柔らかく解けてどきどきとしてしまうような気がします。そんな印象を持ちながら迎えたインタビュー当日。書斎に佇む大人の女性のお姿に緊張しながらも伺ったお話では、文章の魅力そのままに、少女のような表情を見せてくださいました。色んな場所へ行って、色んなものと出会ってを繰り返し、それを紹介してきた甲斐さん。けれど決して慣れることなく、いつでも新鮮な気持ちで新しい出会いにわくわくしているよう。新作のお話の際も、本当に楽しそうに1つ1つ紹介してくださって、商品がより魅力的に見えました。そしてやっぱり、編集者としては言葉の豊かさにも憧れを隠せません! 帰り道、こっそりと甲斐さんの著書のページを捲ったのでした。
(手紙社 本間火詩)

【もみじ市当日の、甲斐みのりさんのブースイメージはこちら!】

「かおパンブローチ」や「ねこコースター」など、沢山の新作が並ぶそう。当日を楽しみにお待ちください!