【木下綾乃プロフィール】
イラストレーター。武蔵美術短大卒業後、画廊勤務を経てフリーに。雑貨制作、雑誌、書籍を中心に活動中。最近は趣味の山登りで得られた経験を生かし、自然や動物をモチーフとした作品を作り上げている。私(担当:並木)は著書の『木下綾乃のレターブック』に1通の手紙が工夫ひとつで書く人も渡す人もワクワクさせられること。ほんの少し気持ちが温かくなることを教えてもらいました。また、それがきっかけで紙やペンが大好きになりました。
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https://www.instagram.com/ayano.kinoshita
【商品カタログ予習帳】
【スペシャルインタビュー「好きな思い出を作品に」】
イラストレーターの木下綾乃さんに並木裕子(手紙社)がお話を伺いました。
仕事をする上で大切なのは、人との繋がり
ーーー今のお仕事に至るきっかけは何ですか?
木下:小さい頃から絵が好きで紙とペンがあればいつも描いていました。デザイナーになろうと思ったんですけど、自分には向いていないなあと。”加工”される立場になりたい、という気持ちが募って、イラストレーターになろうと思ったんです。
ーーーそうなのですね。ではイラストレータへなりたいと思ってまず何をしたのですか?
木下 :いくつかの出版社に、自分のイラストをまとめたファイルを送りました。それが今の仕事につながっています。また仕事を通じて親しくなった編集者に、小さなイラストや海外の切手で飾った請求書を送っていたんです。それがきっかけで、1冊目の本の出版につながりました。絵が好きなので必然的にイラストレーターになったという感じですかね。なってみたら自分に合っていました。
ーーーイラストが本の出版につながったのですね! 実際イラストレーターになってみて必要なのは何だと思いますか?
木下:コミュニケーション能力でしょうか。作ることでお金を定期的にもらって食べていくとなると、特にイラストの場合は編集者とのコミュニケーションが大事。才能だけだとアーティストっぽくなってしまうので。一人で仕事をしているとはいえ周りのつながりが大事なので。
ーーー今回のテーマROUNDと聞いてどんなことを思いますか?
木下:車輪。くるくる動いているイメージがある。長く考えてみれば、深い意味がありそうなタイトルだなと思いますね。一人で仕事をしているとはいえ周りのつながりが大事なので、たくさんの人が輪になっているイメージですかね。たくさんの人が輪になっているようなイメージも浮かんだんです。実際、『もみじ』への出店は手紙社さんのスタッフさんとの出会いがきっかけです。10年以上前、益子の陶芸家の知り合いのところに行ったら偶然会って、以前に500部だけ自費出版した絵本をお持ちで気に入ってくれていて、「今度もみじ市やるので出てください」と誘ってくれて、それからずっと出ているんです。あの時会ってなかったら出ていないかもしれないし、偶然の出会いでしたね。
山からもらったもの
ーーー木下綾乃さんといえば『山登り』のイメージも定着してきていると思います。きっかけは……?
木下:那須岳です! 大黒屋という山の中にある温泉旅館に行ったこと。天気も食事も、メンバーも最高だったので、はまりました。でもなんで登るかといえば、そのつらさよりもっとすごいごほうび(景色、食事、山小屋グッズ、山頂で仲間と飲むコーヒーなど)があるからです。私みたいなゆるい楽しみ方のひとや、ストイックな人や、植物好き、温泉好きなど、さまざまなすべての人を全て迎えてくれる、懐の大きいところが山の好きな点です。
ーーーわあ。私も山に行きたくなります。最近よく作られている雑貨も、『山』がテーマのものが多いですよね。
木下:そうなんです。今回もみじ市で初めて発表する商品が、マグカップとポストカード、バッジ、ミラーです。マグカップはキャンプや山登りにも持って行ける軽量のプラスチックのもの。バッジは、「私は歩くのが遅い」と書いてあるもの。リュックに付けて同行者にアピールしてほしい(笑)
ーーーそのほかにこれから製作しようと思っているものはありますか?
木下:ガラスに絵を描けるペンを手に入れたので、ROUNDにちなんで、丸皿に絵を描こうと思います。あと、ご家庭にある空きビンを持って来てもらえたら、即興で絵を描きますよ。捨てるはずだったビンが特別なものになったら、面白いなと思って。まあ、普通のコップとかでもいいんですけど(笑)あともう一つ、ハガキサイズのイラストを描きます。こちらも同じく即興で描きますよ。もみじ市の思い出にしてもらえたらな、と思いまして。
ーーーそれは楽しみです。もしかして作品のイラストなどは山登りの最中に浮かんだりするのですか?
木下: そうですね。急に降ってくるタイプです。旅行から戻ってしばらくした時とか、朝、起きた時なんかに。個展や大きな仕事の場合は、頭のどこかにいつもなんとなく絵のことを置いておきます。するとある朝、急に筆が動き、まとめてバーっと描く感じです。
ーーーすごいですね!いつもの木下さんからは想像できないです。でもそんなところから作品が生まれているのですね。では最後にもみじ市の他の出店者さんはどんな存在ですか?
木下 :尊敬しています。毎年違うものが見れるし、みんなの1年の成果をいっぺんにもみじ市で見られるのが楽しい。特にクラフト系の方たちは普段交流がないので、毎年お客さんみたいな気持ちで楽しませてもらったり刺激を受けています。
〜取材を終えて〜
私が『紙とペン好き』になったきっかけを作ってくれたのが木下綾乃さん。学生時代からの憧れだった方とこうしてお話ができたのは、とても幸福な時間でした。木下さんとお話してわかったこと。絵を描くことが本当に好きで幸せなこと。そして大好きな山登りからエネルギーを得て、また新しい作品を作り出してしまうこと。とても気さくて可愛らしい木下さん。作品に対する思いはまっすぐな方でした。
(並木裕子)
【もみじ市当日の、木下綾乃さんのブースイメージはこちら!】