【MARUYOSHI プロフィール】
森のカフェフェスや東京蚤の市など、手紙社のイベントに数多く出店している「MARUYOSHI」。そのお店は、栃木県宇都宮市の小さな商店街の中にあります。酒屋を改装した店舗では、「栃木イタリアン」をテーマに、栃木県産の材料を中心にした料理・天然酵母のパン・焼き菓子などを提供しています。ここでしか作れないものを届けたい! という店主・笠原慎也さんの情熱が込められた料理をひとたび口にすれば、誰もが栃木の美味しい食材の虜になることでしょう。
http://sakaya-cafe-maruyoshi.org
【商品カタログ予習帳】
栃木県産の豚肉を炭焼きで香ばしく焼き上げて特製のソースでからめた「トンテキ」です。お店でもご好評いただいております自信作です! 黙々と煙を上げて香ばしい香りとともに焼き上げます!!
当店の隣にある盟友「ベーグルマシュモ」が作る栃木県産小麦100%のベーグルを仕入れ、オーブンで焼き上げアツアツを提供いたします!! 今回のテーマ「ラウンド」を表現したかのような真ん丸のもちもちのベーグルを是非珈琲とともに召し上がってください!!
【スペシャルインタビュー「自ら手をあげて切り開いた、14年の道のり」】
肉厚の炭焼きで至福のひと時をお届けする「MARUYOSHI」の店主・笠原慎也さんに、担当の富永(手紙社)がお話を伺いました。
もみじ市に出ることが、一つの目標になっていた
ーーー笠原さんにとって、もみじ市はどんなイベントですか?
笠原:もみじ市は以前から雑誌などで見ていたイベントで、名の知れた凄い人たちが出店しているのを知っていて……。あとは、日光珈琲、アンリロ、仁平古家具店など、普段から一緒に飲んだり遊んだりしている栃木の仲間が出店していたのも大きいですね。イベントの日になると、ひとりポツンと残されて「みんな行ってるなあ」って遠目から見ていました。そのさみしさと言ったらないですよ! みんながSNSとかで当日の様子をアップしていたりするのを見ると、「ああ、楽しそう!」って、嫉妬の心がふつふつと(笑)。僕の中では、もみじ市に出ることがひとつの目標になっていて、「あそこに出たい!」という思いで、自分なりにお店作りをしていたんです。
ーーーその思いは、どのような形で実ったのでしょうか。
笠原:栃木で開催したとあるイベントに出店したとき、手紙舎さんもそこに出ていたんです。その打ち上げのときに、そこにいた手紙社のスタッフに話をしたのが始まりです。「こんなに寂しい思いをしている男がいると、ご存知なんですか」って(笑)。熱く語っていたら、「次のイベントは北海道でやるんだけど、どうですか?」って声をかけてもらって、「いきます!」と即答しました。それ以来、お誘いいただいたイベントには、何をおいても必ず参加しています。
ーーーもみじ市のどんなところに魅力を感じますか?
笠原:やっぱり公募ではなくて、どんなに出たくても、手紙社さんに声をかけてもらえなければ出られないイベントだというところですかね。出店している人たちのクオリティも非常に高い。自分もそれに見合うものを出してないと誘ってもらってないと思ってたので、声をかけてもらったときはとても嬉しかったです。あとは、自分でいいのかなっていう不安と、下手なことはできないぞっていうプレッシャー。いつも、ちょっと頭をひねって面白いことをやらないとダメだなって思っています。
ーーーもみじ市に初めて出たときは、いかがでしたか?
笠原:隣がアンリロと日光珈琲だったんです。手紙社の方は、多分気を利かせて栃木県のお店を並べてくれたんだと思うのですが、どちらのお店もすごい行列で……うちが隠れちゃったんですよ(笑)。これはやばいぞ、と思いました。そこからより一層、お客さんを呼ぶにはどうしたら良いかというのを、必死になって考えるようになりました。ブース作りについては、特に悩みます。他の出店者の方を見ていると、「こういう見せ方があるんだ!」「かっこいいな」っていつも本当に勉強になります。
ーーー忘れられない思い出があれば教えてください。
笠原:これも、もみじ市に初めて参加したときのことなんですが、当日車で会場に搬入するときに、手紙社の代表の北島さんが立っていて……。緊張しながらそこを通ったんです。そしたら、いきなり僕の車の前に立ちはだかって「ようこそ! 手紙社のメインイベントへ!」ってすごくにこやかな表情で言われました。それがとっても印象的で、「これは、ちゃんとしなくちゃ!」って思いました(笑)。そして、手紙社にとってこのイベントは特別なんだなって思った瞬間でもあります。もみじ市は、手紙社の熱意を特に感じるイベント。その思いに恥ずかしくないことをしようって毎年思っています。
今ここにいることの意味
ーーー初めから、地元でお店をやろうと思っていたのですか?
笠原:そうですね。僕はもともと大阪で10年くらい料理の修行をしていて。当時はそこで働いて、いずれは大阪で独立するのかなって漠然と思っていたんですが、あるとき、父が倒れて栃木の実家に戻ることになったんです。父の入院を機に、祖父の代から営んでいた酒屋も畳むことになったのですが、でもそれは寂しいなと感じて、1年くらい自分が後を継いでお店を開けていました。でも、酒屋の仕事だけでは持て余してしまったので、店舗をその改装して、今のお店を作ったんです。
ーーー何かに導かれて、今があるのかもしれませんね。
笠原:大阪でやっていこうと思っていたのに、今ここに居る。それはなにか意味があることなのかなって、思ってるんですよね。ここでしか出来ないことを追求していこうとしたときに出た答えが、地元の食材にこだわるということ。ここは繁華街でもないし、お店に来る人はわざわざうちめがけてきてくれるんです。だから、どこでも食べられるものを作っても、ここでやっている意味はないのかなと感じています。
ーーー料理を作る時は、どんなものからインスピレーションを受けていますか??
笠原:やっぱり今ある素材ですね。栃木県の野菜の力強さや美味しさは、昔からすごいなって思っていたので。仕入れに行って素材を眺めてると、これを作ったらいいかもって自然に思い浮かぶんです。こんな風に言うと、できる人みたいですね(笑)。
ーーー笠原さんの一日の流れを教えてください。
笠原:お店の1階でパンを販売して、2階で食事を提供しているので、朝6時くらいから10時半ごろは1階でパンを焼く作業。そのあと2階のランチの支度をして、12時~14時がランチ。終わったあとは納品に出かけて、16時半に戻ってきます。そこからは次の日のパンの仕込みとディナーの支度。ディナーは21時までです。それで終わりではなくて、うちは当日売れ残ったパンをお得に販売するっていう、市内限定の配送サービスをしているんですよね。なので営業が終わったら、その配達に行きます。帰ってくるのは夜の11時くらいで、あとはビール飲んで寝ます。自分でも「隙間ないな〜」って毎日思います(笑)。
ーーーどんなに忙しくても続けてこられたのは、それだけ仕事が好きだということなんでしょうか。
笠原:食べ物を経由して、人とコミュニケーションを取るのが好きなんだと思います。料理をしていないとうまく喋れないかも。
ーーーお店を始めて今年で14年ということですが、これまでを振り返っていかがですか?
笠原:僕は周りから評価されて上がってきた人間じゃなくて、自分で手をあげてここまで辿り着いた人間だと思っているんです。自分で行きたい道を取りに行ったというか、そういうことって大事だなと感じています。本当はこうしたいんだけどなって、うじうじ言っている時間がもったいない。形にしたいなら、たとえ下手でも今の形にすればいい。失敗してもいいから、やってみることが大事なんじゃないっ? て思うんです。僕もそうやってきたし、失敗してきたものもいっぱいありますけど……。経験は財産だし、初めから100パーセント成功することなんて絶対なくて、何度も繰り返しやることで精度を上げて行くものだと考えています。
イベントの最後まで“美味しい”を届け続けること
ーーーすっかり手紙社のイベントの常連となった「MARUYOSHI」さんですが、当日のメニューは、いつもどのようにして決めているのでしょうか。
笠原:以前は煮込み料理だったりベトナム料理のフォーだったり。イベントだけの特別メニューを出したりもしていました。でも、お客さんに「これはお店に行けばいつでも食べられるの?」って聞かれたときに「「いつもはやっていないんです」じゃなくて」じゃなくて「食べられます!」って答えられる方がいいなと思ったんです。なので最近は、お店でもメインのメニューとして出している炭焼きをよくやっていますね。
ーーー笠原さんの炭焼きを楽しみにしている人、多いと思います!
笠原:今回は、栃木県産の豚肉をバルサミコベースのソースに絡めて焼きます。焼きすぎちゃうとパサパサになっちゃうので、火の通し方には細心の注意を払って。単純に火を通せばいいっていうものではないので、数百人規模に絶妙な焼き加減で提供するっていうのは、僕の中ではかなりチャレンジでなんです。一日やった後は、へとへとに疲れ果てますね。一枚一枚気を抜かず、最後までおいしいマルヨシであり続けるように頑張ります。
ーーー“ROUND”というテーマに合わせて考えているものはありますか?
笠原:いろいろ検討中ではあるんですが、まず一つは、ベーグルで“ROUND”を表現しようと思っています。お店の近くにある、「ベーグルマシュモ」さんのベーグル。同級生がやっているお店で、ずっと一緒にご近所で活動してきたので、そういう意味でも“ROUND”かなと。
ーーー笠原さんが活動するうえで、欠かせないものはなんでしょうか。
笠原:ありがちな答えだけれど、やっぱりスタッフですね。店舗で働いているスタッフ以外にも、イベントだけ手伝ってくれる方達がいるんですよ。僕の感覚だったら、次回はちょっと遠慮したいって言いたくなるような大変な部分もあると思うんですが、毎回快く参加してくれて、「次はいつですか?」って言ってくれる方もいるんです。それはとても嬉しいことだと思っています。
ーーーもみじ市に出店するとき、大事にしていることを教えてください。
笠原:売り上げを上げることはもちろん大事なんですが、それ以上に、遊び心というか、お客さんを楽しませる部分っていうのが大事だなと思います。単に食べ物作ったよ、売ったよということじゃなくて。「もみじ市って楽しいね」って思って貰える一部分になれたらいいなと思います。その他は、基本的なことですが、いつでも美味しい状態のものを提供したいと思っています。あとは、売り切れにしないように準備を万端にして臨むこと。最後まで開いててよかったMARUYOSHI。最後まで美味しいMARUYOSHI。そういう存在になりたいし、そこがうちの売りでもあると思っています。当日は、僕なりのROUNDを表現したいと思いますので、ぜひ、うちのブースにお立ち寄りいただければと思います!
ーーーありがとうございました! もみじ市当日、河川敷が炭焼きの美味しい香りに包まれるのを、首を長くして待っています。
〜取材を終えて〜
インタビュー後、笠原さんがもみじ市で提供するという炭焼きを一足先にいただきました。ソースがしっかりと絡んだ肉厚の炭焼きは、一口頬張るだけでも心が幸せに満たされる美味しさ! その絶妙な焼き加減からは、一枚に込めた愛を感じ取ることができます。真面目に、誠実に、“美味しい”と向き合い続けている笠原さん。イベントの当日は、数百枚の炭焼きを、100パーセントの情熱を持って最後まで作り続けます! (手紙社 富永琴美)
【もみじ市当日の、MARUYOSHIさんのブースイメージはこちら!】
訪れた方との“ご縁”を大切に。お店と飲食スペースがつながったブースで、お待ちしています!