ジャンル:CRAFT

緒方伶香

【緒方伶香プロフィール】
ツキノワグマ、ラッコ、ナマケモノ……自由自在に形を変える羊毛を素材に、どこかとぼけたような表情が愛らしい動物たちを生み出す羊毛作家・緒方伶香。ふわふわの羊毛を特殊な針で刺すことで、思うがままに変形します。緒方さんのワークショップで私(担当:鈴木)が大好きな光景をひとつご紹介。ワークショップ終了後、完成した動物たちを並べて記念撮影する光景! これは目撃するたびに、愛おしくて思わず笑みがこぼれます。
http://hopetosa.com/


【商品カタログ予習帳】

手紡ぎ糸 白 ポルワス20g


手紡ぎ糸 桃 メリノ 20g


手紡ぎ糸 紅白 スペインメリノMIX 20g


手紡ぎ糸 紺×グレー 英国羊毛MIX 20g


黒い招き猫キット


手紡ぎ糸 黒い招き猫ブローチ

【スペシャルインタビュー「家族とともに歩んできた、10年目のもみじ市」】

羊毛フェルトから、愛嬌たっぷりな動物たちをつくる羊毛作家・緒方伶香さんに、鈴木麻葉(手紙社)がお話を伺いました。

はじめて参加したもみじ市、お客さんの多さに驚きました。

ーーーもみじ市に初めて参加したのはいつですか?
緒方 2007年です。まだ、泉龍寺でやっていた時代です。思えば、初出店から今年で10年目ですね。

ーーー声がかかるより前から、「もみじ市」をご存知でしたか?
緒方 知りませんでした。2006年に著書 『羊毛のしごと(主婦の友社)』を出版し、多分その本を見てくださった北島さん(手紙社代表)から、職場に電話がきたんです。私は、その日お休みをいただいており、同僚から伝言をもらいました。その伝言を聞いた時は、「なにか高齢者施設のイベントかな?」と(笑)。

緒方さんが勤める羊毛専門店の一角

ーーー(笑)。では、なぜご出店しようと思ったのですか?
緒方 北島さんと洋子さん(北島と共に手紙社の創業者)が、お忙しいなか我が家に来て下さったんです。その時、お話しした印象がとてもよくて……。ぜひ、出てみようと思いました。

ーーー実際、出店してみていかがでしたか?
緒方 お客さんの多さにびっくりしました。当時、どれくらいの商品量を持っていけばわからず、紙袋2つで参加しました。次の年からは、しっかりと準備して参加しようと反省したものです。確か、羊毛で羊を作ろうというワークショップを開催しました。

ーーー初回からワークショップをしていたのですね!
緒方 そうなんです。今よりもずっと簡単なものですが。もみじ市に出店する前から、学校や雑誌の企画でワークショップを行っていたので。

ーーーもみじ市の出店者はどんな存在ですか?
緒方 刺激をもらえる存在。みなさん、素晴らしいものをつくるので、恥ずかしくなることもあります。でもそれが、今後への励みになり、戒めにもなります。

ーーー緒方さんにとって10年目のもみじ市ですが、心境を教えてください
緒方 自分でもこんな続くとは思っていませんでした。毎年、担当の方が丁寧に進めてくれるので、また出ようと思えます。もみじ市や布博などのイベントに出ることで、自分のスイッチが入るんです。お声がけいただいた時に、冬眠していたクマがやっと出てくる感じ。もみじ市は、自分の成長にもつながるし、そこでつくりためたものが溜まって、著書にもつながっています。

羊毛との出会い、現在に至るまで

ーーー緒方さんは大学などで羊毛を学ばれていたのですか?
緒方 いえ、違うことを学んでいました。京都にある美大の染織科プリントコースで、テキスタイルを専攻していました。

ーーーそうなんですね。では、羊毛との出会いはいつですか?
緒方 19年前ですね。子供を産んでから出会いました。当時はまだ今のように羊毛が流通していませんでした。

ーーーでは、独学で学んだのですか?
緒方 2回ほど、吉祥寺にあった絵本店主催の講習を受けましたが、ほぼ独学です。その頃は、ニードルパンチ(羊毛を固めるための針)も販売されていなくて……。私が羊毛と出会って3年後に出てきたんですよ。

ーーー羊毛から動物が出来上がるまでの工程を教えてください
緒方 まずは、作る動物を構想します。モチーフが決まって、ぱっと形が思い浮かぶものと、どんな形にするかとても迷うものがあります。そこから使用する羊毛の色を選びます。一色に見えるかも知れませんが、何色も混色する場合もあります。ここまでがキットをつくる作業です。その後、ワークショップでは、ニードルパンチという特殊な針を使って、羊毛を刺し固めていきます。羊毛を足しては刺し、足しては刺しの作業を繰り返すことで、一匹の動物が生まれます。


緒方さんが糸を紡ぐ様子

ーーー最初から動物を作っていたのですか?
緒方 そうです。最初は、どうせ作るなら大きなものを作りたいと思い、3㎏の大きなクマを作りました。それは数日間かかる大変な作業でした。それで目が覚めて(笑)。簡単ですぐできる現実的な大きさの方がいいなと思い、現在の手のひらサイズに落ち着きました。

ーーー動物を作ろうと思ったきっかけはなんですか?
緒方 この仕事をする前は、子供服のテキスタイルデザイナーをしていました。その頃から、動物ばかり描いていたんです。だから板についていたのかも。他にも、図書館司書をしていた時代もあり、読み聞かせする絵本に登場するキャラクターを羊毛でつくったりもしていました。きっとその影響で、自然に動物を作るようになっていましたね。

ーーーなかでも絶滅危惧種を作るようになったのはなぜですか?
緒方 せっかく作るなら、可愛いだけのものより、タメになるものを作りたいと思っていました。こういうのは少し気恥ずかしいですが、地球のためになることをしたかったんです。絶滅危惧種の動物をフェルトで作ることにより、みんなに知ってもらうきっかけになれば良いと思い、作り始めました。

ーーー作品のインスピレーションはどこから?
緒方 いつもネタを探しています。正直、苦しいです(笑)。自然系の番組や図鑑などをみて、次に作る動物を探すのが、ライフワークになっています。

ーーー今までの作品のなかで、緒方さんの一番のお気に入りはなんですか?
緒方 やっぱりツキノワグマですかね。当時のもみじ市の担当だった藤枝さんが、(ツキノワグマ作りのワークショップの)募集をかけた瞬間埋まったとおっしゃっていたのを覚えています。あとは、シロクマも好きです。これは季節を問わず人気なモチーフですね。

ーーー最後に緒方さんにとって10周年目のもみじ市の意気込みをお願いします!
緒方 とにかく健康に気をつけつつ、いつも通り頑張ります。初めて出店した時は、保育園生だった娘が今や高校生になり、小学生だった息子も大学生になりました。もみじ市は、材料を運んでもらったり、ワークショップの受付を手伝ってもらったりと、家族総出で臨んできたイベント。成長の思い出にはいつももみじ市があるんです。今回も家族にも手伝ってもらいながら、もみじ市を盛り上げていきたいです。

ーーー緒方さんどうもありがとうございました。

〜取材を終えて〜
緒方さんの担当をさせていただくのは、布博、もみじ市と合わせて5回目。緒方さんはとても上品なのに、トークのパワーが炸裂していて、毎回お話していて、本当に面白いです。今までも羊毛のことや普段の活動などお話しする機会が多かったですが、改めてお伺いすると、知らなかったことも多く、より一層緒方さんに近づけた、そんな時間でした。緒方さんありがとうございました(鈴木麻葉)