ジャンル:ILLUST&DESIGN

大森木綿子

【大森木綿子プロフィール】
水彩・色鉛筆・クレヨンなど、様々な素材を用いて、心に浮かんだことや身のまわりのものを描くイラストレーター。代名詞とも呼べる短冊形のポストカードはたくさんの種類があり、それを並べただけで美しいインテリアになってしまうほど。書籍やパッケージの挿絵も手がけ、今年7月には、手紙社の新店舗「菜花」のイメージイラストも書き下ろしました。忘れていた心象風景がふっと呼び起こされる、五感を優しく刺激するイラストに、多くの人が心奪われるのです。
http://omoriyuko.com/


【商品カタログ予習帳】

カードで作る「2018年カレンダー」


好きなカードを台紙にはめてを作れます


カード左奥から「minamo no tsuki」「sakura」「round」


左手前から「kaze no oto」「olive」「rosemary」


陶土の手描きブローチ


包装紙「garden」


おおきな窓の封筒


カード「tsuchi no kaori」

【スペシャルインタビュー「身近なものを、描き続けたい」】
多くの人を魅了し続けているイラストレーター・大森木綿子さんに、柳川夏子(手紙社)がお話をお伺いしました。

自由に、楽しんでやっています

ーーー大森さんの出身はどちらですか。
大森 愛知県安城市です。短大でイラストや油絵について学び、東京に出てきました。

ーーー卒業後、すぐに今の仕事に就いたのですか?
大森 いえ、ギャラリーやレコード屋、事務など普通の仕事をしながら、絵を描いていました。

ーーー絵だけでやっていこうと思ったきっかけはなんでしょうか。
大森 絵一本にしたのはここ3~4年前ですね。仕事が安定してきたので、務めを辞めるタイミングもあり、決めました。これ! といったきっかけはないですが、ずっと続けてきての今の状況だと思っています。

今年7月にオープンした菜花のイメージイラスト。持って帰りたくなるぐらい可愛い箸袋とコースター。

ーーー絵を描く時に大事にしていることはなんですか。
大森 仕事の依頼を受けた際、できるだけ話を色々聞くようにしています。できれば直接会って話したいけれど、それが難しければメールなどで。どういった想いを持っているのか、例えば自分の絵だとどれがいいのか、その人が考えているイメージをできるだけ聞きたいです。

ーーー話を色々聞いたのちに、どう描こうか悩んでしまわないですか…?
大森 相手が持つイメージと違ってしまう可能性があるので、話を聞くことはなるべくしたいです。私に仕事を頼んでいただけるということは、自分らしくあるということだと思います。結構、自由に楽しんでやっていますよ。

ーーー大森さんの絵の中に登場する丸や三角、線の動きなど、のびのびと自由な印象があります。
大森 丸、三角、四角とかは描き心地が良いのもあるのか、よく描くような気がしますね。光のきらめきを表すのに三角や四角などを使うことが多いです。また水彩絵の具、色鉛筆、クレヨンを使っていますが、水彩だけだとフワッとした印象なので、そこに色鉛筆を入れます。そうすると締まってくるので、色々組み合わせて使っています。

大森さんが普段作業している机。お気に入りのアンティークもの。

ーーー絵を描く時間帯は決まっていますか。
大森 さあ作るぞ! と思って取りかかります。けれど、毎日やっているわけでなくて、午前中は家のことを終えて、昼から始めたりします。そのまま夜までやっていることが多いですが、途中休憩したり息抜きしながら作業していますね。土日は基本的にはお休みです。

ーーー先日、ソールライターという写真家の展示に行ってきたのですが、「神秘的なことは馴染み深い場所で起きていると思っている。何も、世界の裏側まで行く必要はないんだ」という言葉を見た時に、大森さんの絵が浮かんだんです。
大森 私も行ってきましたよ。素敵な展示でしたね。ある時、一眼レフのカメラを買って、写真を載せるブログを2年ほど続けていたんです。愛犬だったり、花だったり身近なものを撮って過ごしていました。その取り組みから、身近なものを絵で描こうと思ったんです。写真ではなく、絵で描けば良いと。ソールライターのその言葉、私のとって絵を描くことにも通じていると思いました。

大森さんが撮影した一枚。写真でも大森さんの世界観を感じます。まるで光が降ってくるよう。

絵は言葉を超えて行く

ーーー手紙社との出会いは?
大森 絵を描き続けながら、カフェやパン屋などで展示をしたり、イベントに出店してきました。その中で、手紙社の市川さんという方が私の雑貨を見て、声をかけてくれたんです。憧れのお店だったので、とても嬉しかったです。

ーーーそうなんですね。2016年に2nd STORYで「tsuki to hana 」という展示した時はいかがでしたか?
大森 街で偶然DMを見て、その絵を求めて見にきてくれる方がいたり、新居に飾るためなど、雑貨だけでなく”原画”を手にとっていただく方がいたりしたことが一番印象に残っています。また展示中に、本とコーヒー tegamishaで1日喫茶店をしたこともとても楽しい思い出です。

ーーー1日喫茶店! それはとても楽しそうですね。
大森 今回のもみじ市にも出店するフードコーディネーター・watoさんがおいしいお料理を作ってくれて、振り返るとなんて贅沢な企画だったんでしょう。時間がかかっても待っていてくれたお客様や、手伝ってくれた友人、手紙社の方々に感謝です。夢の喫茶店が、いつかまたできたらいいなと思います。

ーーー楽しみにしています! その後、台湾店での展示とワークショップ(大森さんのポストカードとARETHAさんの台紙を使ったカレンダーを作るというもの)もありましたが、どうでしたか?
大森 カレンダーを作りながら、なぜこの月にこの柄を選んだのか、季節や絵柄にまつわる思い出を聞きました。温暖な台湾の季節が、日本と少しずつ違っていることも興味深く感じましたし、絵と思い出がリンクするようで嬉しく思いました。言葉が通じなくてもコミュニケーションをとってくれたり、台湾の皆さんの人柄が暖かかったです。

ーーー日本と海外の展示、違いはありますか。
大森 違いというより、環境や話す言語が違っても、絵を通して気持ちが伝わることを知りました。それはきっと、どの場所でも変わりないのではないかと思うので、機会があればまたいろんな場所へ行ってみたいですね。

ーーー絵が言葉を越える、とても素敵なことですね。大森さんの絵を見ると、思い出がふっと浮かんでくるんです。手紙社のレターセットになっている「yamazakura」を見た時に、地元の風景を思い出しました。
大森 そう言っていただけて、嬉しいです。柳川さんの地元、素敵な場所なんですね。

手紙社のレターセットになっている「yamazakura」

ーーー風光明媚というわけではないんですが、中学生の時に坂を一生懸命登って見た時の景色と、その時の気持ちが蘇ったんです。お客様からそんな声をいただくことはありませんか。
大森 月にまつわる思い出を伺うことが多いですね。きっとたくさんの方の心の中にあるのだと思います。他にもツバメのカードから、故郷で飛んでいる景色を思い出しましたと言っていただくこともありました。山桜の絵柄の思い出を伺ったのは、初めてですね。

ーーー私自身、絵を見て何かを思い出すというのは初めての感覚でした。絵を描く時、インスピレーションは何から受けますか?
大森 住宅街に植えてある植物や公園、愛犬の散歩中に出会うものなど、様々です。また旅行先で見た美しい景色はとても心に残りますね。山の重なりのグラデーションはとても綺麗で、その間に桜が咲いていたりするとホコホコとして可愛いです。

ーーー今回のもみじ市はROUNDというテーマですが、イメージするものはなんでしょうか。
大森 丸い模様ですね。丸の中に何か模様が書いてある形。さて、何を作ろうかなと思います。

ーーーそれでは最後に、もみじ市にお見えになるお客様に一言お願いします!
大森 楽しみな、楽しみな2日間。ROUNDのテーマのように、もみじ市の輪と皆さんと、まるく繋がれたら嬉しいです。限定の雑貨など沢山つくってお待ちしています。

ーーー限定の雑貨、それは大変気になりますね。皆さんお見逃しなく! 大森さん、ありがとうございました。

〜取材を終えて〜
作品を見た時に地元の風景が浮かんだことをどうしてもお伝えしたくて、直接お会いできるのはとても楽しみでした。自由に楽しんでやっていますという言葉がとても印象的で、だからこそ大森さんの絵を見ると、素直にストンと心の中に入ってくるのだなと納得しました。インタビューを終えて、バス停まで見送ってくれた後、小走りで帰っていく大森さんの後ろ姿がとても可憐で、キュンとしたのはここだけの話。素敵な時間をありがとうございました! (柳川夏子)

【もみじ市当日の、大森木綿子さんのブースイメージはこちら!】

ブローチから紙ものまで、大森さんの瑞々しく輝いた世界観に、虜になってしまう人も多いはず!