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onkä(15日)

【onkäプロフィール】
小田急線経堂駅から少し歩いた、城山通り沿いにあるパン屋「onkä」。ドアのないショーウィンドウのような店構えは、通りを行き交う人々の目を引き、いつもお客さんで賑わっています。「onkä」とは、アイヌ語で“発酵”という意味があり、ロゴのパズルピースには“生活の一部にそっとはまるように”という想いが込められています。私(担当:柳川)のお気に入りは、清々しい香りが楽しめる晩柑とオレンジのくるみパン!
http://onka.jp

【商品カタログ予習帳】

食パン


クアトロ


メープルクリーム


粒あんぱん


くりのパン


くるみレーズン


サーモンのクロックムッシュ


クロックムッシュ


しそとベーコンのクロックムッシュ

【スペシャルインタビュー「パンとの出会い、そして、いま」】
「onkä」の店長である下山亜紀子さんにパンとの出会いについて、柳川夏子(手紙社)がお話を伺いました。

30歳の節目、何かやるなら今しかないと思った

お店に描かれたパズルのピース。onkäのロゴであり、生活の一部にそっとはまるようにという想いが込められています。

ーーー今回、初めてのもみじ市出店ですが、弊社(手紙社)のことはご存知でしたか。
下山 実は、パンフェス(2012年に開催した手紙社主催のイベント)に行ったことがあるんです。その当時、私自身はまだパン作りをしていませんでした。

ーーー別の仕事をしていたんですか。
下山 北海道から上京してきて、東京ならではの仕事がしたいと思い、自転車便の会社に事務職として勤めていました。しばらくは勤めていましたが、30歳の時にパン屋に転職しました。

ーーー何かきっかけが?
下山 30歳は節目じゃないですか。そのままいても、きっと楽しかったと思いましたが、もし何かやるなら今しかないと思ったんです。

ーーーいろいろなものがある中で、どうして「パン」を選ばれたのでしょうか。
下山 パン屋をひとりできりもりしている女性の姿を、偶然テレビで見て、感動したんです。その映像を今でも鮮明に記憶しています。パン作りを学びたい、という気持ちになり、どうせなら働きながらそれができたらと。

ーーーよしやろう! と頭で思っても、それを行動に移すことは簡単にできることではないと思います。
下山 実際、30歳という年齢と未経験というのもあり、雇ってもらえるところは少なかったので、苦労をしました。そんな中、新店舗オープンに向けて、未経験者を多く集めているお店に採用されたんです。研修中、パンについて教えてくれた方がとても良い人で、おかけでパンのことがすごく好きになりましたね。

ーーーどんな方だったんですか。
下山 町の小さいパン屋のご主人で、とても優しく、たくさん褒めてくれる方でした。お店を営業しながらも、未経験の私たちに、丁寧にパンについて教えてくれました。今でもその方とは連絡を取りあっていて、少なくとも年に1回は一緒にご飯やお酒を飲んだりします。

ーーー修行時代の印象的な思い出はありましたか。
下山 バゲットが“パチパチ”という音を立てて釜から出てきた時、なんて可愛いんだろう! と思いました。まるで、パンが何か喋ってるようで。もし、初めて勤めたパン屋さんがバタバタと忙しいお店だったら、その可愛い音に気づけなかったと思います。あのご主人に教わっていたからこそ、気づけたことかもしれません。

白くて、もっちりと柔らかそうな生地を型に入れて、焼いていきます。
焼きあがったのはonkäで人気の食パン。いい匂いが店内いっぱいに広がります。とっても美味しそう!

我が子でもあるonkäのパンたちを、もっと理解したい

ーーーonkäは、いつできたのでしょうか。
下山 2011年にオープンしました。私は「パンとエスプレッソと」(onkäの姉妹店)の表参道店にいましたが、当時onkäにいた櫻井さんというシェフが湘南店を立ち上げすることとなり、3年ほど前にこのお店をつぎました。櫻井さんは「パンとエスプレッソと」を立ち上げた時のパン職人で、とても尊敬しています。

自然光がとてもよく入る、ショーウィンドウのような店構え。

焼きたてのクリームパン。コロンと丸い形がとても可愛らしいです。

ーーーこちらのお店に来て、変化したことはありますか。
下山 onkäに来る前は、パン作りのみに集中したいと思っていました。実際、製造と販売は別々に分かれていたので、店頭に立つことはほとんどありませんでした。ここでは休憩まわしの関係で、必然的に店頭に出て接客する機会が増えました。近所の方が多いのですが、みなさん良い方ばかりで、本当に恵まれているなと思いました。

ーーー今後、挑戦してみたいと思っていることはありますか。
下山 挑戦したいとは少し違うかもしれませんが…onkäで働いている以上、ここのパンたちをもっと理解したい、理解してあげたいと思っています。他のパン屋に比べて、少し変わった工程やレシピなのですが、それをもっと深めたいと思っています。

ーーー“理解してあげたい”という言葉に、パンへの愛をとても感じます。
下山 ありがとうございます、我が子のようなものです。

ーーーもみじ市では、どんなパンが並ぶ予定ですか。
下山 いろんな種類を用意しますが、その中でも「クロックムッシュ」は持っていこうと決めています。今回の「ROUND」というテーマを聞いて、最初にクロックムッシュが浮かびました。普通は食パンの四角い形が多いのですが、onkäのものは丸なので、ぴったりだなと思いました。

左から、しそとベーコンのクロックムッシュ、サーモンのクロックムッシュ。

ーーーそれでは最後に、もみじ市参加に向けて、一言お願いいたします。
下山 正直、とても緊張していますが、イベントへの経験が少しずつ増えてきているので、準備等を考えるのに余裕が出てきました。そして、みなさんに「来て良かった」と思ってもらえるような、そんなパンを作りたいと思っています。よろしくお願いいたします。

〜取材を終えて〜
今回、営業中にインタビューをしたのですが、お客さんと下山さんの笑い声がお店に響き、アットホームな雰囲気が漂っていました。「何かやるなら今しかないと思ったんです」と、サラリと言う下山さんはとても強い意志とエネルギーが満ち溢れていました。その姿に、私自身も日々努めていかねばと、身が引き締まる思いでした。素敵なお話をありがとうございます。

【もみじ市当日の、onkäさんのブースイメージはこちら!】
下山さんの愛がたくさん詰まったパンがたくさん並びます。お店のロゴ、パズルのピースが目印ですよ!