【高旗将雄プロフィール】
愛知県出身、神奈川県在住のイラストレーター。手紙社のイベントにはほぼ毎回のように参加し、会場にその世界を届けています。ほのぼのとしたタッチで描き出すのは、どこか愛嬌のある動物たちや暮らしの道具。シルクスクリーンやレーザー加工などを駆使して、個性豊かな作品たちを生み出しています。私[担当:富永]はお客さんとして参加した2016年のもみじ市で高旗さんのブローチに一目惚れ。胸につけているだけで素敵な出会いを運んでくれるような、不思議なパワーを感じる作品です。
http://masaox2006.xxxxxxxx.jp
【商品カタログ予習帳】
保存缶「横着者」
保存缶「Good evening coffee」
注染手ぬぐい「勝ち馬」
とっくり「かもめ」
「おちょこ」
ブローチ
くまクッション。ふんわり
【スペシャルインタビュー「1年の中心はもみじ市」】
手紙社のイベントには欠かせない存在の高旗将雄さん。作品作りへの思いを、担当の富永琴美(手紙社)が伺いました。
やっぱり、もみじ市が一番大きいんです
ーーーいよいよ10月に迫ってきたもみじ市。今年は“ROUND”というテーマですが、いかがですか?
高旗:去年のテーマはフラワーだったじゃないですか、今まで花や植物をモチーフにしたものを作る機会があまりなかったので、よかったです。今回も、ROUNDというテーマが決まれば作ったことない方向性で作れるので、いいですよね。テーマがあった方が僕はやりやすいです。イラストレーターの仕事はテーマをもらって制作というのが基本なので。
ーーーこれまでにも様々なイベントに参加されていますが、その中でもみじ市の存在はどのようなものですか?
高旗:やっぱりもみじ市がいちばん大きいんですよ、ここをちゃんとやらなきゃまずい、相当やらなきゃいけないっていう感覚なんですよね。誰も怒らないですけど、ちゃんとやらないと怒られるくらいの(笑)。みんなが力を入れているし、手紙社のイベントの中でも一番大きいイベントだと感じています。参加したいと思っている作家もたくさんいるはず。開催が10月なので、もう8月から9月はもみじ市に向けてほとんど休業状態にして準備を進めたいと思っています。毎年もみじ市を中心に考えて作品を作り、1年を回すような感じです。
ーーーそんなふうに考えていただいているとは! 運営側として背筋が伸びる思いです。今回のもみじ市には、どんなものが登場するのでしょうか。
高旗:缶詰を作る機械を導入しようと思っています! 自分の好きなグッズを詰めあわせて缶詰を作れる。他の出店者の方にも参加してもらっていろんな方の作品の詰め合わせにできたら楽しいかもしれないですね。お客さんが体験できるものをやりたいです。あと時計も作ろうと思っているんですよね。ROUND、丸いと言うことで。でも実はこれ、去年も言っていたんですけどね……(笑)。大体作るって言ったもののうち7割くらいしか作れない。あ、あとは、シールやカード、小さいものを10枚でいくら、というような詰め合わせも考えています。今年は全部実現できるように頑張ります。
作品を作るときは一所懸命考えます
ーーーイラストレーターになったきっかけを教えていただけますか?
高旗:大学の時にグラフィックデザインを専攻していて、ポスターとかを作りたかったんですが、学校では印刷機を使わせてもらえなかったんです。でもシルクスクリーンの部屋はいくらでも使わせてくれた。シルクスクリーンなら紙代だけで大きい作品を大量に作ることができるので、そればかりやっていたらこうなったって感じです(笑)。イラストは初めから描いていた訳でもなくて、シルクスクリーンの技法的な問題で、描かざるをえなくなったという感じです。
ーーー高旗さんの作品作りは、どんなところから始まるのですか?
高旗:技法的な部分ありきの話から始まることが多い気がします。こういう道具があるから、これで何が作れるかっていう考え方です。今だったら、シルクスクリーンでものを作るなら何ができるかとか、そういうところから新しい作品が生まれますね。なるべくたくさん作れるものを製作したいたいと思っています。数が少なくてせっかく来てくれたお客さんが買えないようなことは避けたい。なるべく多くの人の手に渡るように、効率性なども考えて作っています。今までのことを振り返っても、量産できないような凝りすぎた作品でよかった試しはないですね。
ーーー次々に楽しいアイディアが出てきますが、その発想はどこからやってくるのでしょうか。
高旗:思いついたアイディアは、一応ノートにまとめています。それでも大概忘れちゃったりして。でもそんな中でも覚えているのが、きっと良いアイディアということなんじゃないかな。新しい作品を作るとき、僕は一所懸命考えるんです。そろそろ動き始めないとまずいなあっていうときに、考えて考えて、思いつく。必要に迫られた時に一所懸命向き合って、そこから生まれる感じです。
サランラップがちょうど良い
ーーー普段、愛用しているアイテムを教えてください。
高旗:鉛筆ですね。あと色鉛筆と消しゴムと……特に変わったものはないです。こだわりは特になくて、鉛筆であればなんでもいい。強いていうなら、9B、8Bの鉛筆、ダーマトグラフっていうクレヨンみたいなやつとか、柔らかいものが良いですね(おもむろにサランラップの箱を取り出す高旗さん)。
ーーーえっ! もしかして、それが筆箱ですか??
高旗:これが愛用している筆箱です(笑)。なんかちょうど良いんですよね、長さとか色々。汚れても大丈夫ですし……。自宅のサランラップがなくなったら、箱を新しくできる。普通の筆箱ってなんかちょっと足りないんですよ、あんまりまとまらなくないですか? サイズ的にもちょうどいいですし、タダだし。
ーーー斬新ですね〜。これからサランラップを見るたびに高旗さんを思い出しそうです。普段はどんな空間で作業されているのですか?
高旗:部屋です、普通に(笑)。アトリエなんてものはないです。今年引っ越しをしたんですけど、前よりもだいぶ広くなりました。棚がいっぱい置けるのが、もう嬉しくって! 棚ばっかり買いました。そこに自分の作った商品とか、画材、あと趣味で集めている木彫りのクマを置いています。本当は、生活する場と制作の場を分けたかったんですけど、それは無理ですね(笑)。
みんなが作らないものを作る
ーーー高旗さんが作品作りにおいて大切にしていることはなんですか?
高旗:受けを狙いすぎると全部同じものになっちゃう。以前マグカップを作ったことがあったんですが、ちょっと良くなかったなと思っていて。みんなマグカップ作るじゃないですか、そういうところは下げてかなきゃいけないな。みんなが作っているようなものでやっていちゃいけないなって。
ーーー受けを狙うこととあえて狙わないこと。バランスが非常に難しそうですが、それができるのがプロなのかもしれませんね。
高旗:お猪口とかはいいと思うんです。あんまり人が作ってないから。ブローチなんかも今はまだ人気があるから作りますが、いずれ作らなくなるような気がします。ニッチな方でやっていきたいです。
イラストレーターにしてくれるのは、お客さんなんです
ーーー高旗さんはプロのイラストレーターとして活動をしていて、どんなときに喜びを感じますか?
高旗:普段人と話すことがほとんどないので、イベントに出店してお客さんが来てくれると嬉しいです。自称じゃないですか、イラストレーターって。逮捕されたらどうなるんだろうって思いません? 自称イラストレーターか、無職ですよね。結局お客さんが来てくれるから仕事として成り立っているわけで、自分で名乗ったところでどうなるものじゃないじゃないですか。お客さんがイラストレーターにしてくれているんです。イラストの仕事って、例えば書籍のイラストの仕事なんかでいうと、編集の人とのやりとりで終わりなんですよね。お客さんとのやりとりがなくて、編集の人のために書く感じになってしまう。その先にどういう人、お客さんがいるかっていうのをあんまりわかっていないんです。もみじ市とかに出店するときは完全にお客さんとやりとりになるので、お客さんがどういうものを喜ぶのかを考えられますし、直接何がいいかを考えられるのが嬉しいです。
ーーーお客さんと対面して反応が見られるというのは、モチベーションにも繋がりますよね。最後になりますが、今回のもみじ市でやってみたいことがあれば教えてください!
高旗:今年はROUNDっていうテーマなので、他の出店者さんともコラボして何かしたいなって考えています。缶詰もそうですし。あとはスタンプラリーなんかもしたいです! これまでにも何回か企画はしたんですけどね。出店者の輪を作りたい。うまいこと考えて実現できたらいいなと思います!
ーーーありがとうございました。もみじ市の会場にどんな高旗ワールドが現れるのか、心から楽しみにしています!
〜取材を終えて〜
次々にアイディアを教えてくださるときの、キラキラと輝く表情が強く印象に残っています。その言葉の端々から、イラストレーターという仕事に対する誠実さや謙虚さを感じ、より一層、高旗さんの作り出す世界が大好きになりました。高旗さんが一生懸命に考え生み出した作品がお客さんと出会うもみじ市。ROUNDというテーマの中で、その空間がどんなロマンチックなものになるのかワクワクすると同時に、高旗さんの思いを最大限に引き出せるよう、私たちも一生懸命に演出を練らなければならないなと気持ちが引き締まりました! 高旗さん、素敵なお話をありがとうございました。
(手紙社 富永琴美)
【もみじ市当日の、高旗将雄さんのブースイメージはこちら!】
ワクワクがいっぱいに詰まったブースを訪れれば、誰もがその世界の虜になることでしょう!