ジャンル:CRAFT

uzura

【uzuraプロフィール】
東京都足立区に工房をかまえ、完全オーダーメイドで靴をつくるuzura。一対一でじっくり話すことで、いつまでも大切に履き続けたい、一人ひとりの足に合った靴が生まれます。もみじ市当日は、uzuraのお二人によるファーストシューズづくりのワークショップを開催。お子さんがはじめて歩く瞬間に、自分が作った靴を履いていたら…。その日は、きっと一生忘れることのできない記念日になることでしょう。ワークショップ以外にも、私(担当:鈴木)もお気に入り、履き心地抜群の“うずっぱ”や靴型のブローチが河川敷に並びます。
http://www.uzura-village.com/

【商品カタログ予習帳】


ウズッパ


きのこのキーホルダー


きのこの首飾り


醤油袋のコースター


うずべら(携帯用靴べら)


靴ブローチ


カードケース


ポーチ(通帳、お札、カードが入る大きさ)


ベビーシューズ:12㎝(ワークショップで作ります)

 

【スペシャルインタビュー「uzuraの始まりと、もみじ市」】

「uzura」の主宰であり、デザイナー、そして靴職人である高橋収さん、ひろみさんに、鈴木麻葉(手紙社)がお話を伺いました。

靴づくりとの出会い

ーーーお二人とも靴作りの専門学校ご出身ですよね。もともと靴作りに興味があったのですか?
収:漠然と、なにかつくる仕事をしたいとは思っていました。そんな中、専門学校の情報誌をみていたとき、靴の専門学校を見つけました。家具の専門学校と迷ったのですが、靴にしました。

ーーーなぜ靴にしたのですか?
収:昔から、靴だけにはお金をかけていたんです。きっと好きだったのでしょうね。

ーーーひろみさんはなぜ靴の専門学校に?
ひろみ 私は最初から専門学校に行ったわけではありません。普通の大学で、英語を専攻していました。当時は、絵本や映画の翻訳をやりたくて……。でもなるためには、やはり留学とかしなくてはいけないんですよね。経済的にも留学はできなかったので、翻訳家の夢は諦めました。

ーーー靴に興味を持ったきっかけは?
ひろみ:なんとなく「靴!」ってなったんです(笑)。ただ、大学の時、浅草の靴屋街によく行っていました。あとは、小さい時から、2週間に1回は靴磨きをするくらい靴が好きだったんです! なので潜在的に好きだったものが、突如吹き出したのかも。あとは、当時MIHARAYASUHIRO(靴デザイナー)の特集をテレビでやっていて、それがすごく印象的で……。それも後押しになった気がします。そんなことがあり、大学卒業後、靴の専門学校に入学しました。

ーーーものづくりには興味があったのですか?
ひろみ:はい。でも、美大に行けるような力があるわけではないし、諦めていました。ある時、原宿の路上で流しでポストカードを売っている人を見て、自分もやってみようと。そして、自分のつくったものを流しで販売していたこともありました。

ーーー靴の専門学校では、具体的にどんなことを学ぶのですか?
ひろみ:靴に使う革を切るための包丁の手入れの仕方から木型の作り方、靴用のミシンの使い方、人の足の構造など……。靴づくりのノウハウを2年間で学びます。靴づくりにしか使わない道具や機械があるので、その使い方などを教えてくれます。一足作るにも工程が多いので、2年間で学ぶのは相当駆け足でしたね。

実際に工房で靴を作る様子

ーーー卒業後はお二人とも、靴メーカーに就職したのですよね?
収:はい。オーダーメイドで婦人靴をつくる会社に入り、5年ほど靴職人をしていました。そこでは、ご年配の方の靴や市販の靴が足に合わない方の靴を作っていました。

ーーーひろみさんは?
ひろみ:卒業後1年間ほど、靴メーカーで靴のデザインや靴に使う革選び、サンプル作成などの靴職人ではないデザイナー寄りの仕事をしていました。

uzura、そして一足の靴ができるまで

ーーーなぜ独立しようと思ったのですか?
収:当時の会社では、職人として働いていたため、お客様からオーダーを受ける様子を見ずに靴を作っていました。そのため、本当に足に合っているか確認できないことが不安でした。「直接お客様の足を測り、癖などを見ながら靴を作りたい!」。そう思ったのがきっかけです。

ーーー独立してからは順風満帆でしたか?
ひろみ:最初は知人が注文をしてくれたり、前の会社の仕事をしたり……。あとは、競馬用のジョッキーブーツを作っていました。きっとそこまで忙しくはなかったはずです。その頃、uzuraとしての個展をやってみたいと思っていました。なので、仕事はあまり多くありませんでしたが、個展の準備期間だと思って、仕事をしていました。

ーーーはじめて個展を開催したのはいつですか?
ひろみ:2005年11月、当時私が通っていた美容院の空きスペースで開催しました。美容院に来たお客さんは強制的に見ていかなければならないというスタイルでした(笑)。小さな展示でしたが、当時はすごく満足していました。

ーーー靴をつくる工程を教えてください
ひろみ:まずはオーダーを受けたお客さんの足を測ります。人それぞれ顔や体型が違うように、足の形も違います。足の甲の高さや、外反母趾、痛い部分もそれぞれ違うので、足の計測はとても重要な工程です。その後、計測した足の形に合わせ、木型を調整します。これは収さんの担当です。

木型にデザインをかいて、それを平面のパターンに落とし込みます。そのパターンに合わせ、革を裁断し、すきます。革をすくというのは、トップライン(靴の履き口部分)を二重に折る時に、段差ができないように、角度をつけて薄くする作業です。その後、革に補強を加えながらパーツをつなぎ、ミシンをかけます。アッパーの完成です。ここまでが私の仕事です。

次に、釣り込みの作業に入ります。釣り込みとは、アッパーを木型に沿わせて巻き込み、立体にする作業です。これは力がいる作業で収さんの担当です。釣り込みが終わったら本底をつけます。本底とヒールの革を裁断する作業があるのですが、その革は厚さが4㎜もあって、すごく硬いんです!

ーーーヒールって革だったんですね! ずっと木だと思っていました……。
ひろみ:木と間違えている方も多いですが、革なんです。これを何枚も重ねて木の釘で打っていきます。最後にガラスでヒールを磨きます。

ーーーガラスでですか?
ひろみ:そう。こうやって(実際革を削りながら)こすると削れるんですよ。その後、靴底の滑り止め用のゴムをつけます。

実際にヒールを削る様子

ーーーたくさんの工程があって、一足が出来上がるのですね。お二人の一番好きな工程はどこですか?
収:釣り込みです。力作業なので疲れますが、木型と革がぴったりと合ったときはテンションが上がります。ただ、上手くいかないときは嫌な作業でもあります。
ひろみ:基本的にすべて好きです。細々とした作業が好きなので、靴づくりはもってこいの仕事なんです!

記念すべき10年目のもみじ市。「uzura、まだいたんだ!」と思ってもらいたい。

ーーー初めてもみじ市に出店したのはいつですか?
ひろみ:2007年です。花市(当時は、春は花市、秋はもみじ市の名称で開催していた)でした。

ーーーもみじ市と花市の存在はご存知でしたか?
ひろみ:いえ、全然知りませんでした。ある日、手紙社の代表・北島さんが仕事の合間をぬって、熱心に会いに来てくれたんです。そこで「もみじ市という面白いことをしている」というのを知りました。その頃、uzuraもなにか面白いことをしてみたいという気持ちがあったので、出店を断る理由はありませんでした。

ーーーちょうど今年で初出店から10年目なんですね!
ひろみ:そういえばそうですね、図らずも……(笑)。

ーーーuzuraさんは出店者のみなさんと仲良しですよね! uzuraさんにとって、同じ河川敷に軒を並べる出店者さんはどんな存在ですか?
ひろみ:そうですね。“家族”ではないけれど、時々思い出す存在。“親戚”みたいな感じかな? 毎年面白いことをやってくれるから、刺激をもらえます。ライバルとは思いませんが、良いものを作っていると「ヤバイ!!」と焦りを感じます。

ーーーいつから、今のようなワークショップ形式での出店になったのですか?
ひろみ:2013年にファーストシューズづくりのワークショップを始めました。初めは、値段が高いためお客様の反応が不安でしたが、意外とよかったんです。やはり、河川敷でワークショップを行うという環境が珍しいというのが、大きいと思います。とても気持ちが良いですし。あとは、長い時間集中して作業するため、完成後の達成感があるみたいです。

ーーーワークショップだと参加者の顔をみて話ができるので楽しそうですね!
収:楽しいですよ。ご夫婦で参加される方が多いのですが、「妻のこんなに集中した顔、初めてみました」という旦那さんなどもいて、人間模様が見られて面白いです。

ーーー最後に、uzuraさんにとって10周年となるもみじ市の意気込みを教えてください
ひろみ:意気込まないというのが意気込みです(笑)。uzuraだと気づいてもらえる存在でありたいと思っています。「uzura、まだいたんだ!」と思ってほしいです。

ーーー収さん、ひろみさんどうもありがとうございました。

〜取材を終えて〜
昨年に引き続き、担当させていただきました。とっても気さくなひろみさんと、職人気質だけど心優しい収さん。お二人の説妙な掛け合いが毎回面白くて、今回もお会いできるのを楽しみにしていました。私よりも、もみじ市のことをよく知るお二人から伺う話は、毎回勉強になるものばかりで、もみじ市に向けて私のモチベーションも上がった、そんな時間でした。収さん、ひろみさんありがとうございました。(手紙社 鈴木麻葉)

【もみじ市当日の、uzuraのブースイメージはこちら!】

芝生の上で行うワークショップの気持ちよさといったら……。一度体験したら病みつきになりますよ。