【山根大典プロフィール】
やまね・だいすけ。京都の五条モールにアトリエを構える木工作家。湖や山で拾ってきた流木や家具の端材、何かの部品や金属片、そうしたものを素材にして彫刻作品を制作。素材そのものから見えてくるかたちを生かして、動物や人物像を組み上げていくので、ユニークな表情と躍動的なラインが出現します。静かな物腰の奥には凛とした造形への強い思いを秘めていて、それが作品の芸術性に昇華しているように思います。五条モールのマスコット的な猫・オセロはじめ猫モチーフの彫刻やイラストにも注目。
http://www.yamanedaisuke.com/
【商品カタログ予習帳】
木を加工して彩色した猫のブローチ各種
木製猫のブローチ、久々に登場
オリジナルの猫イラストB4包装紙
オリジナルの猫イラストB4包装紙(ブックカバーにも!)
【スペシャルインタビュー「もみじ市の出店者は友達」】
京都の「五条モール」にアトリエを構え、黙々と制作に打ち込む木工作家・山根大典さん。数々の作品に囲まれながらお話をうかがいました。
生活の中心、五条モール
ーーー五条モール、前回来てから1年経っていないと思うんですけど、周辺含めてだいぶ変わった気がします。山根さんのアトリエは変わらず秘密基地のようで面白いですが。
山根:「homehome」が移転したり、1階にギャラリースペースを作ったり、変化、ありますね。まわりは、環境が良くなったことで魅力的なお店が増えてきました。「開花堂」のカフェができましたし、近所の銭湯「サウナの梅湯」は20代の店主が色々なことにトライしていて、メディアにもたくさん取り上げられてますね。五条モールともコラボ企画があります。
ーーーギャラリースペース、良いですね。山根さんが内装とかパネルとかも制作しているとか。
山根:まだ作り途中の部分あります。京都にいて交流のあった淑ちゃん(イラストレーター・西淑さん)と狩野岳郎さん(イラストレーターでIONIO & ETNA主宰)の二人展もやりました。
ーーー豪華! 五条モールがそういうカルチャーの発信基地になると良いですね。山根さん自身の日常は大きな変化ありますか?
山根:特に変わらず。朝起きて制作して、昼ごはん食べて制作して、夕方になったら走ったりして、晩ごはん食べて寝ます。気が散ったら本読んだりネットサーフィン。だいたい何か音楽かけてるかな。そしてコーヒーは大事。
ーーーコーヒー、今もいただいてますけど、美味しいです。昨年の手紙舎での個展の時に作ったオセロブレンド、思い出しますね。オセロ(五条モールのマスコット的猫)は元気ですか?
山根:オセロブレンド、在廊中1年分くらい飲んだかな(笑)。オセロは調子悪いことも多くて、今はうちにいたりします。僕の作品には登場するのでお楽しみに。
木を見ていると浮かんでくるかたち
ーーーこうしてみると、やっぱり山根さんの作品のユニークさというか、造形力に目を見張ります。その源泉は何なんでしょう?
山根:自然のかたちからインスピレーション受けることが多いです。材料となる木は琵琶湖とか、海辺とかで拾ってきた流木がほとんど。そういう拾ってきたものを見ていたら何かに見える時があって、それをこうしてみよう、ああしてみようとして、うんうんやってるとできます。
ーーーうんうんやってると?
山根:うなったり、納得したり、よろこんだり。
ーーーなるほど。それは今のような木工作品を作るようになってからずっとということでしょうか? 木の器とか、家具とか、そういう制作で稼いだこと、稼ごうと思ったことはなかったですか?
山根:大学では木工の中でも漆をやっていたんです。でも漆は高いし手間もかかるし。木の端材やそこら辺に落ちているものを集めてたらなんか作りたくなって、それで今に至ります。
ーーー制作に使う道具(下掲写真)、これ見ているだけで楽しいですね。ナタをふるう若者、そうはいませんよ。
山根:ナタはだいたいこれでザクザク削ってかたちを出していきます。はやく、そして雑に削れるところがよい。僕は左利きなんだけど、なぜかこれは右用です。左右持ちかえながら使っています。
ーーー作業姿、鬼気迫るものがあります。左右で使うとはさすが器用ですね。
山根:細かいところは小刀を使って、あとは小学校の時からの彫刻刀。ノコギリも使うけど、拾ってきた材料は砂とか混じっているのですぐに切れなくなります。材料同士をくっつけるのには、ボンドとかネジとかタッカーとか。石塑粘土で埋めたりもします。
ーーー山根作品といえば、色も全体の雰囲気に馴染んでいると思っています。
山根:絵具も色々使っています。アクリル絵具、油絵具、油とアクリルの中間みたいな「アキーラ」、胡粉ジェッソとか。
ーーー身内に油絵作家もいらっしゃるからその辺は色々と試すことできそうですね。それにしても、毎年たくさんの個性的な動物たちを作り出せること、それを生業にしていること、すごいなと思います。
山根:好きだから、あと、体力でやっています。
仲間ともみじ市
ーーー普段寡黙な印象なんですけど、実は交友関係広いですよね。そういう部分が作家活動を続けていく推進力になっているんじゃないかと。
山根:京都にいると、京都にいるつくり手とかお店とか、つながりが増えてきます。もみじ市にしても、出店者のみんなは友達という仲間意識あります。
ーーーもみじ市仲間、良いですね。じゃあ今年のテーマ「ROUND」と聞いた時には、真っ先にそういう仲間の輪のようなイメージが浮かびました?
山根:えーと、真っ先に浮かんだのは、ボウリング場かな(笑)。今回のもみじ市は、久しぶりに動物のブローチも作って持っていくので、ご期待ください。
ーーー山根大典さん、どうもありがとうございました。あの躍動的で個性的な動物たちが河川敷に並べられる姿、今から楽しみです。
〜取材を終えて〜
普段独りで黙々と制作をしている山根さん。それだけに、他の作家さんとの繋がりは強く、大切にしているということが伝わってきました。美味しいものに対するアンテナも鋭いので、一緒にご飯を食べにいくと良い目に遭います。「空いている良い物件があるから、手紙社もこの辺にお店作ったら良い」と言う山根さん。そのお眼鏡にかなって嬉しいです。五条モールがますます素敵なものと美味しいものに囲まれた場所になりますように。(手紙社 小池伊欧里)