【nuri candleプロフィール】
キャンドル作家・nuri candle 福間乃梨子さん。自然から受けたインスピレーションを蝋燭に込めるように制作しています。色とりどりの草花や表情豊かな動物、空に輝く星々……。一つひとつ手作業で色付けられた繊細な図案は、見る人を一瞬にして惹きつける力があります。
今年6月には、手紙社・soelにて二人展『Madonna lily』を開催。poppy seeds・是枝優喜子さんとともに、白を基調とした作品を展示しました。マドンナリリーの花言葉は、「純粋」「無垢」。これまでの色鮮やかなキャンドルとは異なり、シルバーやゴールドの色使いが印象深い、より神秘的な作品をお披露目しました。蝋燭という小さな光のなかに、物語や景色、祈りを吹き込む唯一無二の存在なのです。
http://nuricandle.com/
【商品カタログ予習帳】
『月刊 nuri candle』記事一覧
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魔女の家へご招待
nuriさんこと福間乃梨子さんのキャンドル制作を見せてもらうため、福岡にあるアトリエへと向かいました。なかなかタイミングがなく伺えなかったアトリエ。念願の“魔女修行”の拠点です。福間さんは、よく「魔法が使えるようになりたい」「魔女の本を参考に……」と、冗談混じりにお話されていました。どんなアトリエなのか期待も膨らみます。
アトリエの扉を開けると、精油のいい香りが漂い、天井からは庭で採取したお花が吊り下げられ、目の前にはたくさんのキャンドルの型と、描きかけのデッサン……。ファンにはたまらない、まさに夢のような空間。扉を開けた瞬間に、思わず「わぁー!」っと感動の声をあげてしまいました。
私がアトリエを見学している間に、福間さんは慣れた手つきで、ハーブティーを淹れてくれました。このハーブも今朝お庭で採取したものだそう。レモングラスやミントなどの香りがふわっと広がります。フレッシュなハーブティーを初体験の私は、とても感動してしまいました。さらに、レモンタイムを使ったパウンドケーキまで。福間さん愛読の『香りの扉、草の椅子』のレシピより作ったものです。
福間さんの庭には、さまざまな花やハーブが植えられています。その頃はちょうど色とりどりのポピーが咲いていました。実際に庭で咲いた花をデッサンし、キャンドルのデザインに落とし込んだ作品もあるそうです。キャンドルのなかの草花が生き生きとしているのは、自然を身近に感じながら制作しているからこそなのですね。
福間さんのアトリエをぐるっと見学したあと、実際にキャンドルを作っているところを見せてもらいました。「まずは掃除をして、けむりで場を浄化させるところから……」と、福間さん。お皿に麻がらのお香を盛り、火を付けると、もわもわと煙が立ち始めました。その光景はまさに儀式。nuriさん、やはり魔女になるのでしょうか……?
《次号予告》
次号では、福間さんの制作の様子をご紹介いたします。
nuri candle・福間乃梨子さんに会いに福岡にあるアトリエへと伺いました。念願のアトリエに感動しつつ、実際にキャンドル作りのひとこまを見させていただきました。
はじまりは「浄化」から
「まずはアトリエの掃除をして、お香を焚いて場を浄化します。」と、福間さん。思いもよらぬ答えにびっくりしました。福間さんが使うお香は、麻の茎の部分を乾燥させた麻がらというもの。部屋を浄化したり、気分をリラックスさせたりする効果があるのだそうです。作品をつくる前に、まずは場所と気持ちを整えるという、福間さんらしい“儀式”にはじめから感心してしまいました。昨年のもみじ市のインタビューの際にも、こんなことを話されていたのを思い出しました。
「キャンドルを作るときは、いつも楽しい気持ちのときにつくります。蝋を流し込むとき、エッセンシャルオイルを調合するときは、作品に“良い気”が入るように気持ちを込めてつくっています。特に精油(エッセンシャルオイル)を使うときは特別な気持ちになります。精油の瓶のなかで、まだ植物が生きているという話を聞いたことがあります。その命を蝋燭に与えているいると思うと、凄いことだなと思うんです。
意外と気持ちって込めたら入るみたいなんです。こんなこと言ったら、またあやしいけれど、前に『魔女の本』っていうのを読んだことがあって(笑)、なにかするときには必ず思いを込めているんですよね。だから私も作品にも良い気を流し込んで作るようにしています。」
(もみじ市2017「ROUND」/インタビューより)
アロマキャンドルにはたっぷりと精油を
原料となる固形ワックスを溶かしたら、エッセンシャルオイルを入れていきます。福間さんが作るアロマキャンドルには、6種類ほどの香りが混ぜられています。棚には、ローズやジャスミンなどの花の香りから、レモンやオレンジの柑橘類、ラベンダーやレモングラスなどのハーブ類、サンダルウッドなどの森の香りまで、たくさんの精油瓶が並んでいます。最近では、生まれた日や星座をみて、その人に合う香りのアロマキャンドルを作るオーダー会も開かれています。香りのレシピが書かれたノートを見ながら、するするとオイルを調合していく様は、まさに魔法使いのようです。
蝋にオイルを入れ終わったら、素早くキャンドルの型に流し込みます。型から外すところまで入れると3時間はかかるのだそう。1つの柄・形に対して、型は1つのみ。蝋を入れた型が固まったら、それを型から外して、また蝋をいれて……と、繰り返して作られていきます。アロマキャンドルになると、精油を調合する作業もあるため、より手間も時間もかかります。
魔法の絵筆
蝋が固まり型からはずれたら、最後に色を塗って仕上げていきます。色を塗るときには、庭の花を生けて飾ったり、キャンドルを灯したりしながら作業されることも多いのだそうです。そんな光景にも気持ちを込める所作を感じました。「一つひとつ色を塗る」というのは、言葉では想像していましたが、実際のその細かい作業に思わず息を止めてしまうほどでした。福間さんが筆をいれるたびに、生き生きと植物が浮かび上がっていきます。
今回、初めて制作の様子を見させていただき、手元にあるキャンドルがよりいっそう愛しくなりました。ほんのひとこまだけでしたが、作品を作る一つひとつの動きにに福間さんの思いを感じました。このような制作の流れを経て、もみじ市では400個ほどの作品が並ぶというのだから驚きです。
《次回予告》
もみじ市に向けて制作真っ最中の福間さん。次号では、当日並ぶ作品をご紹介します。
自然から受けたインスピレーションを蝋燭に込めるように制作されている、nuri candle・福間乃梨子さん。色とりどりの草花や表情豊かな動物、空に輝く星々……。一つひとつ手作業で色付けられた繊細な図案は、見る人を一瞬にして惹きつける力があります。
そんな福間さんの新作の一つは、「キツネ」。今年8月、北海道の釧路〜知床に何日間か滞在され、新作のデザイン画や型彫りをされていたのだそう。その際、公園でスケッチ中にキタキツネと出会い、今回の新作が生まれました。
そのスケッチをもとに直接石膏の型に下書きをし、バランスを見ながら柄が考えられていきます。その後、下書きの上に石膏を盛ったり削ったりして、キャンドルの模様を整えます。こうしてキャンドルの型ができあがります。
色が塗られ、完成したキャンドルがこちらです。淡いブルーグレーのベースに、可憐な野の花が咲き、ロマンチックな雰囲気。その中にふいに現れたキタキツネがなんとも愛らしいです。
福間さんのアトリエにお邪魔した際、最後にお気に入りの場所に連れていってもらいました。そこは神社の裏にある海辺でした。木々が茂る道を通り抜けると、砂浜が見えてきます。砂は白く輝き、海はきらきらと透き通っていました。「こんなに綺麗な海があるなんて!」と感動してしまいました。福間さんはよくこの場所に来ては、気持ちを整えるのだそう。最近も海に来られて、こんな言葉をSNSで呟かれていました。
「早朝の海で深呼吸。
気持ち的に今日から繁忙期制作に入りました。
海や太陽や月にお願いごとをしたり気持ちを伝えたりすると、
ちゃんと応えてくれるし、願いも叶ってる。
すごいなぁ。」
福間さんが綴るシンプルで純粋な言葉は、心にすっと入ってくるものがあります。北海道滞在中、山や海、広大な自然に触れた際には、こんなことも書かれていました。
「神に捧げる美しいものを作りたいと改めて強く思いました。
神は海にも空にも木や花や鳥や虫やあなたにも私にも宿る。」
美しいキャンドルには、福間さんの気持ちも込められています。もみじ市では、そんなことも感じながら、ぜひ作品を手に取って見てくださいね。
〜 ネコのキャンドル・個数制限のお知らせ 〜
ネコのキャンドル(クロ・シロ)は、各10個ずつのご用意となります。数に限りがあるため、お一人様一点ずつとさせていただきます。作品は、土・日で分けて販売いたします。売り切れの場合はどうぞご了承くださいませ。
(編集・中嶋風美)