出店者紹介,ジャンル:FOOD

Don Bravo(14日)

【Don Bravo プロフィール】
京王線・国領駅。各駅停車しか停まらないその駅から、大通りに沿って3分ほど歩いたところに、全国から足を運ぶ人の絶えないお店があります。その名もDon Bravo。オーナーシェフの平 雅一(たいら まさかず)さんによる本格イタリアンのお店です。供される料理はどれも絶品、かつクリエイティブ。伝統の枠にとらわれず、この場所だからこそできる最高の料理とおもてなしを届けてくれます。もみじ市へは今年が初参加。Don Bravoの作る「河川敷で味わう最高のイタリアン」をどうぞお楽しみに。
http://www.donbravo.net/


【商品カタログ予習帳】
ランプレドット
トリッパと呼ばれる牛の胃を煮込んだものを、パンで挟んだフィレンツェの郷土料理。白インゲン豆とキムチ、バジルソースを添えてご用意いたします


『月刊 Don Bravo』記事一覧

7月号 特集「郊外の本格レストランが目指すもの」
8月号 特集「Don Bravoの3つの特徴」
9月号 特集「Don Bravo、新たな姿」
10月号 特集「Don Bravoともみじ市」


【月刊 Don Bravo 7月号】
特集:郊外の本格レストランが目指すもの

今年6周年を迎えたというDon Bravo。8月には大規模な改装を控えているといいます。都心から離れ、郊外の小さな街で本格イタリアンを営むオーナーシェフ・平 雅一さんが、胸に秘めた熱い想いを、その街の住人でもある担当・本間(手紙社)に語ってくれました。

レストランの本質

イタリアや都心の有名店で修行を積んだ後、地元国領に戻ってきたという平さん。本格イタリアンを供するお店を構えるにあたって、最初は都心での営業も検討し、国領で開店後も幾度か都心への移転を勧められたそうです。しかし、はるばる全国からお客さんがやってくるようになった今も、変わらずにこの調布市にある小さな街にお店を構えています。それは何故なのか? その答えは、東京という都市と、平さんの目指す“レストランの本質”にありました。

「東京って、世界的に見てもすごく特異な都市なんですよ。和食もイタリアンもフレンチも、アジアやアフリカの料理だって、あらゆる種類のトップレベルのレストランが、23区内のごく狭い地域に密集している。お客さんの取り合いが発生してしまうんです。結果、いい店なのに潰れていく店が現れる。これはすごく悲しいことです。土地が高い分、設備やスタッフの人数など、妥協しないといけないところも出てくるでしょう。レストランの本質は、料理とサービスだと僕は思っています。これを日々磨いて、更新していくのが僕らの役目で、一番重要なことだと。何の説明もなく、『美味しい!』と感じてもらえることが一番大事だと思うんですよ。そうして、どんな人にも居心地の良い空間を作っていきたい。そういう空間を作ることができれば、場所なんてどこでもいいんじゃないかって。」

レストランの評価を星の数で表すことで知られている、「ミシュランガイド」東京版に、23区外のお店は1件も載っていないのだそう。ミシュランの評価に興味はないけれど、“郊外でも、しっかりとした美味しい料理を楽しめる店があるような世界”にするために、まずは自分たちが皮切りになろう、そんな志のもとに、平さんはこの場所でお店を続けようとしているのです。

「郊外の店の良いところは、都心よりも家賃の負担が少ない分、設備やスタッフにもゆとりが生まれることだと思います。その分、もっと楽しくクリエイティブなことをする余裕ができる。それに郊外にもっと良い店が増えて、一流の店を目指す人たちが都心ばかりに集中しなくなれば、郊外も、都心も、全体が良くなっていくんじゃないかと思うんです。そのパイオニアとなることが、自分の役割であり目標だと考えています。」

Don Bravoオーナーシェフ・平 雅一さん

彼の眼に映るのは、目の前にある自分の店だけではなく、レストラン業界全体を取り巻く、広い世界。平さんはレストラン業界に“革新”をもたらそうとしているのです。「月刊 Don Bravo」では、そんな平さんが、もみじ市にどんな変革をもたらしてくれるのか。求める理想が、もみじ市でどんな風に花開くのか、その様子を追っていきたいと思います。

(編集・本間火詩)

次号特集:Don Bravoの3つの特徴


【月刊 Don Bravo 8月号】
特集:Don Bravoの3つの特徴

程なく大規模な改装を控えるDon Bravo。これからどんな変貌を遂げるのか、期待で胸が膨らみます。本日は、平さんの思い描く「理想のレストラン」についてのお話。平さんの理想を叶えるのは、果たしてどんなお店なのか? ぜひ改装後の姿を想像しながらご覧ください。

間も無く改装を控えたDon Bravo。夜遅くまで店内には明るい声が絶えない

誰もが、最高を楽しめる場所をつくること
Don Bravoの特徴は、大きく三つ。一つ目は、郊外にありながらも、本格的なイタリアンを楽しめること。二つ目が、和の食材を沢山使うこと。奇をてらって使っているわけではなく、ここ日本という土地で“最高のイタリアン”を作ろうと思った時に、自然と行き着いた先が和の食材だったそう。クラシカルなイタリアンに縛られず、自身の引き出しの中から最高のものを取り出せるようにと、平さんは日々研究を重ねています。そして三つ目の特徴は、高級なコースを提供している場であっても、小さな子どもを歓迎していること。

「一万円のコースを食べている女性の横で、ぎゃんぎゃん泣いてる子供がいて、その後ろにどこかの社長がいたりする。カオスなんですよ。でも、そういう場所が良いなと思ってるんです。そういうのが嫌な人には、制約を設けているお店が沢山ありますし。みんなが入れる場所で、でも料理は超一流のものを出す、そういう場所にしたいんです。そっちの方がカッコイイじゃないですか」

確かにDon Bravoの店内を見回すと、賑やかな子どもや、カジュアルな服装のお客さんが、楽しそうに過ごしている姿が目に入ります。初めて取材に訪れた際、パソコンの入ったリュックを背に気後れしていた私(担当・本間)も、平さんやスタッフの方々が気さくにお客さんと話す姿を見て、緊張がほぐれていくのを感じました。そして何より特徴的だったのは、お客さんの誰もが、心から嬉しそうに料理を楽しんでいたこと。帰り際、平さんに見送られながら、満足そうな笑顔で帰る人たちの顔には、Don Bravoのへの愛が溢れているようでした。

世界を見据え、熱い思いを胸に秘めながら、日々「より最高の料理と空間を」と努力を重ねる平さん。次回は、新たな姿へと変身を遂げた、改装後のDon Bravoの様子をお届けいたします。

(編集・本間火詩)

次号特集:Don Bravo、新たな姿


【月刊 Don Bravo 9月号】
特集:Don Bravo、新たな姿

店の外装を覆う、グレーの壁。そこには看板は無く、見えるのは木を継ぎ合わせた扉一つ。小さなアパートが並ぶ街並みに突如として現れた、コンクリートに囲まれたお店の存在に、道ゆく人々は思わず足を止めます。これこそが、8月末に大規模な改装を終えた、Don Bravoの新たな姿。さて、そこにはどんな想いが秘められているのでしょうか。

五感に集中できる、より上質な空間へ

8月号でご紹介した店構えから一転、装いを新たにしたDon Bravo。スタイリッシュな外壁に囲われ、扉一つを残した様子に思わず「ここは何だろう?」と覗き込みたくなります。思い切って足を踏み入れた人を出迎えるのは、重厚な木の扉。そっと扉を開くと、これまでの暖色の灯りに満ちた店内から一変、白とグレーを基調にした内装と、木の什器が並ぶ落ち着いた空間が目に入ります。

店内を大きく左右に分けるのは、作業台を兼ねた長テーブル。以前は四方を木の板で囲う重厚感のあるものでしたが、支柱と棚板のみの控えめでシンプルなものになりました。隅々まで明るく照らしていた照明も、今はテーブルだけに光を絞るように。少し暗いようにも見えますが、席に座ってみると、必要な所にはきちんと光が当たっていることがわかります。こうすることで、これまでよりもお客さんが受け取る情報量が減り、テーブルの上の料理に意識が集中するのだとか。「料理の味や店内に流れる音楽、五感に集中して欲しい」という平さんの想いが込められています。

店奥には、小さな個室。一段上がった床で区切られた部屋は、メインの客席からワントーン壁の色を落とし、より落ち着ける空間に仕上がっています。

内側にいる人のための壁外からの視線を遮る印象が強い外壁ですが、実はこれは“内側にいる人”のための壁なのだとか。Don Bravoの位置するのは、アパートなどが並ぶ住宅街。向かいには歯科医院の看板も見えます。そんな外の生活感から離れた世界を築くために「内側から外側の世界を遮断しよう」と壁を作ったのだそう。店の表に看板を置かない様相にも、「これで満席になっていたらカッコイイでしょう?」と平さんの挑戦が込められています。

「遠方からDon Bravoの料理ともてなしを求めてやってくる人々に、より洗練された心地よい空間を提供したい」「都心にあっても目を引くような、洗練された店にしてみせる」そんな想いが端々から感じられる新たなDon Bravoの姿。「郊外のレストランの質を上げて、レストラン業界全体を良くしていきたい」と志す平さんの熱い想いが形になっていました。

次回は、そんな平さんにもみじ市と、作り手たちへの想いを語っていただきます。本格イタリアンのシェフの考える「もみじ市」とは? みなさま、どうぞお見逃しなく。

(編集・本間火詩)

次号特集:Don Bravoともみじ市


【月刊 Don Bravo 10月号】
特集:Don Bravoともみじ市

今年、もみじ市初出店となるDon Bravo。普段は本格イタリアンを供するレストランを営む彼らは、果たして河川敷で、どんな姿を見せてくれるのでしょうか? オーナーシェフ・平さんの“作り手への想い”と共に、もみじ市への意気込みを語っていただきました。

プロフェッショナルと出会い、新たなものづくりを
Don Bravoオーナーシェフ・平さんに初めてお会いした夜「もみじ市に出てやりたいことを教えてください」と尋ねた私に、平さんは「あらゆるジャンルのプロフェッショナルと出会い、対等な立場で言葉を交わし、新しいものを作り出したい」「自らの料理を通して、ものづくりの人たちと、これからも続いていくような関係を築きたい」そう答えてくれました。

改装に合わせて新たに揃えたグラス。蔵前にアトリエショップを構える「ALLOY」のもの。2段構造になったグラスの形は、飲み心地や持ちやすさ、1杯に入る量などを吟味して作られているのだとか 

実はDon Bravoで使われる食器類は、作り手たちによる“作品”が数多く並びます。平さんが作品を選ぶ上で大切にしていることは、「海外からキャッチした情報を、自分のフィルターを通して発信していける若い作り手のもの」であるかどうか。料理人と器の作り手、互いの作品を通して出会い、今後も刺激を与え合えるような関係を目指して一つひとつ選んでいるそうです。

 
コラボレーション企画、進行中!
そんな平さんの想いにぴったりな、今年のもみじ市の出店者同士のコラボレーション企画。Don Bravoのお相手は、atelier coin・大護 慎太郎さん。代表作の時計をはじめ、真鍮をメインにオブジェやアクセサリーなどを制作しています。今回はなんと、大護さんがディスプレイを担当した特別席が、2組のブースの間にオープン。大護さんがDon Bravoをイメージして手がける空間で、お料理を楽しむことができるのだとか! 想像するだけでワクワクするような素敵なコラボレーション。果たしてどんなブースが作られるのか、当日をどうぞお楽しみに。
 

そして注目のメニューは、こちらの『ランプレドット』。トリッパと呼ばれる牛の胃を煮込んだものを、パンで挟んだフィレンツェの郷土料理です。平さんがイタリア修行時代によく口にしていたというソウルフードを、オリジナルアレンジで提供してくれるそう。これから肌寒くなる季節に嬉しい煮込み料理を、食べやすくサンドしたメニューは、まさにもみじ市にぴったりです。写真はほうれん草を添えたものですが、なんの野菜を使うかはまだ検討中なのだとか。一体どんなランプレドットが供されるのか、ワクワクしながら当日をお待ちくださいね。

最後にもみじ市のお客さんに向けて、平さんからのメッセージをご紹介します。

「初めての方々ばかりだと思うので、普段あまりレストランに足を運ばないという方にも、ぜひこの機会にDon Bravoを知っていただけたら嬉しいです。煮込み料理はDon Bravo定番メニュー。Don Bravoの味を楽しんでいただけたらと思います。作り手の方々だけでなくいろんな方と知り合えたらと思っているので、気軽に話しかけてくださいね!」

 Don Bravoは10月14日(日)のみの出店。1日限りの特別なDon Bravoの姿を、どうぞお見逃しなく。

(編集・本間火詩)