ジャンル:CRAFT,出店者紹介

羽鳥景子

【羽鳥景子プロフィール】
大学で油画を専攻しながらガラス工芸を学び、京都でバーナーワークによる耐熱ガラスの技法を習得。現在は仕事としてのガラス製品・パーツ制作と、アート作品の制作を並行しつつ、耐熱ガラスでの表現の可能性を探っています。私(担当:小池)の近所のギャラリーで開催されていたグループ展が羽鳥作品との出会いでした。作品に負けずご本人もとっても素敵。もみじ市のブースで話しかけてみましょう!
https://www.instagram.com/hatori_glass/


【商品カタログ予習帳】

アートポット


『月刊 羽鳥景子』記事一覧

7月号「羽鳥さんの仕事」
8月号「羽鳥さんの工房」
9月号「羽鳥さんの技」


【月刊 羽鳥景子 7月号】
特集「羽鳥さんの仕事」

今年初めてもみじ市に出店する、ガラス作家の羽鳥景子さん。直接ギャラリーで作品を見て一目惚れしたのですが、意外とネットでの情報は少ないのです。そこで、どんなに素晴らしい作品を作る方なのか、『月刊 羽鳥景子』ではみなさんにその魅力の一端をお見せできればと思います。

耐熱ガラスで作品を作っています

羽鳥さんは現在、浅草と杉並2つの工房を使って制作しています。大きなプロダクトは浅草、小規模なものは杉並と使い分けているそうで、“仕事”としてのガラス作りをこなしながら“作品”としてのガラス作りも手がけています。

羽鳥さんが作品にしているのは、一般的な吹きガラスやパート・ド・ヴェールとは違う「耐熱ガラス」。パイレックスに代表されるガラスで、ガラス製のポットやコーヒーサーバー、化学実験器具などによく使用されています。耐熱ガラスは熱の温度差に強く割れにくいという意味では、ガラス加工の初心者でも扱い易いかもしれません。ところが、自由な作品作りとなると、融通の効かなさが立ちはだかります。それでも、耐熱ガラスにしか表現できない形があり、用途があります。何より、想定外で完成されないカタチとせめぎ合う面白さがあるのだといいます。

今回お邪魔したのは杉並区阿佐ヶ谷のアトリエ。オーナーが写真家で、もともとはスタジオにされていたという家で、築60年。設計は、ル・コルヴィジェの弟子でもある前川國男によるもので、建築好きなら一度は訪ねてみたい場所ではないでしょうか? 随所に昭和モダンな作りがあって、見所満載。増築部分に構えられた工房には、ガラスパーツや耐熱ガラスの加工に使用するバーナーが置かれています。

今月はここまで。次号からも、浅草のアトリエや作品あれこれなど、最新の羽鳥さん情報をお届けいたします。

羽鳥さんの相棒まるちゃん。アトリエのアイドル

(編集・小池伊欧里)


【月刊 羽鳥景子 8月号】
特集「羽鳥さんの工房」

前回は、羽鳥さんが主に小規模なものをつくるアトリエを訪れました。今回は、比較的大きなもの(大々的なバーナーワークを必要とするもの)を制作している浅草の工房についてご紹介します。

浅草寺とスカイツリーの間

浅草から吾妻橋を渡り、墨田区役所の裏手に広がった昭和感の残る町。羽鳥さんの第一の工房がそこにあります。ちょうど浅草寺とスカイツリーに挟まれた場所。徐々に再開発が進んでいるので、いつまでこの工房に居られるのかは運次第のようです。

もともとがガラス工房だった建物なので、すぐに羽鳥さんのガラス工房としても馴染んだのでしょう。隣の建物もガラス工房で、熱を上方に逃す仕組みの特徴的な屋根が残っていました。

工房の窓からもスカイツリーが覗く

昭和レトロな工房の窓ガラスは、昭和中期に流行した、模様の刻まれている型板ガラス。今では廃盤で、この型(「銀河」)はレトロガラスファンの間で人気なのだとか。

窓にずらっと掛かっていたのは「カッパ」と呼ばれる道具。熱いガラスを鍵手に固定してくるくる回したり。ここに飾られているのは、ヴィンテージと言って良さそうなもの。カッパの中には現在作られていない貴重なものもあります。道具は大事に使って育てていきます。

このバーナーで耐熱ガラスを自在に操ります。工房は2階にありますが、1階には大きな酸素ボンベが数本設置されていて、2階のバーナーへと供給されていました。都会のバーナーワークは何かと大変です。

こちらは電気炉。熱されたガラスは1,400〜2,000度にもなります。急に冷えるとすぐに割れてしまうので、この電気炉に入れてゆっくりと冷ましていきます。

自分の作品や所縁のある作品など、工房に散見される。この羽鳥さんの小さなポット。中国茶にもオリーブオイルなどにも良さそう

あまり詳しくお見せできないのは残念ですが、なんとなく制作現場の雰囲気伝わりましたでしょうか。工房で話をしていると、羽鳥さんの“つくりたい”熱がこちらにまで侵食してきます。初のもみじ市に向けて準備も着々と進めてくださっている模様。次号からは、もみじ市に向けての作品作りについてもご紹介できればと思います。

今月のまるちゃん

(編集・小池伊欧里)


【月刊 羽鳥景子 9月号】
特集「羽鳥さんの技」

今号は、いよいよ羽鳥さんの実際の手仕事に迫ります。完成品の優雅さとは裏腹に、工業的な作業を重ねていくガラス加工。もみじ市当日、ご本人に出店ブースで出会えたら、「この方が、こんな作業を!」と驚いてしまうかも。

ガラスを加工していきます

作品に使用する素材は耐熱ガラス。もともとは試験管など研究・実験器具を作るための素材なので、熱に強く透明度が高いのが特徴です。チューブ状になっているものはガラス菅を引いて伸ばして制作します。

ガラス管を引き伸ばして、引いた部分を持ち手にします。ガラスを溶かして、息を吹き込むと丸く膨らみます。

火の中で膨らませたり形を整えるので、当たり前ですが手で触って整えることができません。何度も大きさを確認しながら形を作って行きます。

トロトロに溶かしたガラスを色ガラスのパウダーの上に転がして、透明ガラスに色をのせていきます。

模様を入れる時も作業は火の中。細く引いたガラス棒を溶かしながら描いていきます。

ポットに仕上げてサンドブラストでつや消し。この後、ほんのりツヤが出るまでヤスリで磨いて仕上げていきます。

「一発勝負」というイメージの強いガラス制作。今回の撮影も、熱さや割れ、炎の光(カメラ設定の難易度高し!)との闘いだったのだとか。ハードで緊張感のある工程を繰り返し、可愛らしい羽鳥作品がつくられていると思うと、感慨深さもひとしおです。どんな作品として完成するのか、お楽しみに!

今月のまるちゃん

制作する前に色々なパーツを作って組み合わせていく一番楽しい作業……を邪魔されています。

(編集・小池伊欧里)