【mitome tsukasaプロフィール】
1976年 神奈川県葉山町に生まれる。2001年 東京藝術大学大学院美術研究科鋳金専攻修了。2004年 mitome tsukasaとしてアクセサリーなどの制作をはじめる。葉脈や水面の泡のような繊細な透し模様をしたアクセサリーは、金属とは思えない温もりに満ちています。私(担当・丸本)とmitome tsukasaさんの作品の出会いは、梅雨の鎌倉。水をまとったように柔らかい曲線から放たれるシルバーの艶めきに目を奪われたものだった。それ以来、私はmitomeさんのシルバーリングに恋をしている。
【商品カタログ予習帳】
『月刊 mitome tsukasa』記事一覧
7月号 「mitome tsukasaの作品ができるまで デザイン」
8月号 「mitome tsukasaの作品ができるまで ラインワックスで原型を作る」
9月号 「mitome tsukasaの作品ができるまで 緻密な構造! ゴム型の紹介」
10月号 「mitome tsukasaの作品ができるまで ついに完成へ」
【月刊 mitome tsukasa 7月号】
特集「身近なところからデザインの題材を発見! mitome tsukasaの作品ができるまで」
デザイン
mitome tsukasaの作品は、草花の線や水の流れ、泡の現象を主なモチーフとしている。女性らしい繊細なラインは、まるで金属の水滴が滴ってくるかのように滑らかで手触りが良い。その作品の多くに具体的なモデルはなく、普段から写真をあまり撮らないというmitomeさんの写真フォルダはゼロに等しいというから驚きだ。「作品を手にした人の直感のままに感じてほしい。ふんわりおぼろげに。曖昧な部分を残して作るんです。何に見えるかはみなさんにお任せします。」という。
代表作のacaciaとflow(上掲)、これらもmitomeさんの頭の中の残像から生まれたデザインであり、どれも華奢な線で造形されている。どの作品にもごろっとした金属の塊はない。その平面的な世界の原点は何か、mitomeさんは次のように語る。
「まずは、性格というか、趣味なのか。線と線を結んでいくのが心地よくて。手のひらに収まる細かいものを作るのが性に合ってるかなと。そして何より影フェチです。木を見るとき、その木の枝ぶりを見るのではなく、その枝が落とす影を見るのが好きなんです。植物にしろ、鳥にしろ、ニュートラルで体積のない影からヒントを得ることが多いですね。」
今年のもみじ市テーマは“DISCOVERY〜発見〜”ということで、三留さんが普段することのない植物採集に出かけてくれた。身近な自然から発見しようと向かった先は実家の畑。ディルをモデルに決めるにはさほど時間を要さなかった。今年のもみじ市で新作として発表できるようにデザインを起こしていく。
茎を描いて、花を足して、ディルの特徴をまとまりで表現していく。何通りか描いて、最終的に存在感のある大ぶりなディルのネックレスと、指輪の原画を描いた。ここからmitome tsukasaの代名詞「ろう(ワックス)」を用いた原型作りにつながっていく。「最近は緑色がお気に入りで……。」デザインを描くときは緑色が一番しっくりくると言う。ちなみに紫色も好きだそう。mitomeさんの目には影が紫色に写っていると言うから興味深い。
(編集・丸本菜穂)
《次号予告》
ラインワックスで原型を作る
【月刊 mitome tsukasa 8月号】
特集「mitome tsukasaの作品ができるまで ラインワックスで原型を作る」
デザインが決まると、mitome tsukasaの代名詞「ろう(ワックス)」を用いた原型作りが始まる。太さの異なるラインワックスをハンダゴテで溶かしながら、点と線を繋げていく。作業中は、溶け出すろうの気持ちになって“結合”していくイメージを膨らましているのだとか。これまで数百点の作品を生み出してきた三留さんでも、1日かかるこの工程。普段お目にかかれない緻密な手仕事を、どうぞご覧ください。
『ネックレス』
『フリーサイズ仕様のリング』
緻密な工程に、ハンダゴテを持つ手が震えることもあるのという。目を凝らし、震える手をもう片方の手で支える三留さんの様子が思い浮かんだ。今号では、精密鋳造で金属を流し込む“道”が完成しました。次号では、作り手以外が目にすることは滅多にない、ゴム型をご紹介します。
(編集・丸本菜穂)
《次号予告》
緻密な構造! ゴム型の紹介
【月刊 mitome tsukasa 9月号】
特集「mitome tsukasaの作品ができるまで 緻密な構造! ゴム型の紹介」
今号では、作り手以外が目にすることは滅多にない、ゴム型のご紹介をします。前回ご紹介した、三留さんお手製のワックス原型を元に鋳造し、それによって出来た真鍮製の金型原型を用い、専門の職人の方にゴム型を作ってもらいます。このゴム型は、ワックスの原型を量産するためのもの。私はてっきり、これから金属を流し込む精密鋳造が始まるのだと目を光らせていたのですが、どうやらこのゴム型が精密鋳造の肝となるようです。
『ネックレス』
『フリーサイズ仕様のリング』
三留さんが作り出す全ての作品に、このゴム型が存在し、古いものだと十数年使用しているものもあります。今回のディルの花も、コレクションの一つに加わりました。次号は、ついに完成品をご紹介します。
(編集・丸本菜穂)
《次号予告》
ついに完成へ
【月刊 mitome tsukasa 10月号】
特集「mitome tsukasaの作品ができるまで ついに完成へ」
前号でご紹介したゴム型を使用して、ワックス製の原型を複数制作すると、いよいよ精密鋳造に入ります。鋳造もゴム型に続き、専門の職人さんに依頼します。三留さんの手元に帰ってくる姿はまさに「生まれたての状態」。それらの作品を三留さんは、金ヤスリやリューターを使って削ったり磨いたりしていき、最終的には重曹を使って、金属本来の輝きが出るまで丹念に磨き洗いをして、仕上げていきます。作家活動を10数年続けてきた三留さんも、この瞬間を迎えるたびに心震えるのだそう。今年のもみじ市へ向けて作成された、繊細な輝きを放つmitome tsukasaのアクセサリーをごらんください。
『ネックレス』
『ブローチ』
『フリーリング』
10月13日(土)、14日(日)の両日、「dill」の展示販売とともに、mitome tsukasaの代表作をはじめ、その他人気作品を多数お持ちします。ぜひ、ブースに足をお運びください。もみじ市でお待ちしております!
(編集・丸本菜穂)