【norioはんこ店プロフィール】
1981年生まれ。京都精華大学にて日本画を学ぶ。2005年より雑貨店やカフェなどをベースに“その場でオーダーを受けはんこを制作する”というスタイルで活動を始める。これまでに手がけたハンコはなんと2万個をゆうに超え、中には、「結婚記念に」、「こどもが生まれた記念に」、と人生の節目にや、家族の歴史を残すためにnorioさんの元を訪れる方も。「手がけたはんこは、押される度に小さな幸せを生んでいるのだろうな」と思わずにはいられない、終始ニコニコとハッピーオーラをまとうnorioさん。担当の柴田は取材でお会いする度に、その笑顔から元気と幸せをおすそ分けいただいておりました!
http://www.noriohanko.com/
【商品カタログ予習帳】
『月刊 norioはんこ店』記事一覧
7月号「norioはんこのできるまで〜デザインを決める〜」
8月号「norioはんこのできるまで〜彫る〜」
9月号「norioはんこのできるまで〜押す〜」
10月号「norioはんこのできるまで〜押す〜」
【月刊 norioはんこ店 7月号】
特集「norioはんこのできるまで〜デザインを決める〜」
全4回の「月刊 norioはんこ店」では、はんこが実際にできるまでの一連の工程をお届けします。norioさんに取材で、作家としての経歴や活動、制作方法をお聞きしているうちに、「実際に柴田(担当/筆者)さんのはんこを作って、それを記事で紹介したら面白いし、来てくれるお客さんもイメージしやすいやん!」と。そんなnorioさんのひと言から、この企画が走り出しました。どのイベントでもすぐに予約一杯になってしまうnorioさんに、取材の一環ではんこを作っていただけるなんて、なんという幸運な役得!! 担当としてもワクワクの詰まった「月刊norioはんこ店」スタートです! 創刊号の今月は、はんこの絵柄ができるまでをご紹介します。
対話から生まれるはんこのモチーフ・デザイン
norioさんのはんこは全てオーダーメイド。依頼主と顔を合わせて話をしながらモチーフを決めていきます。こんなデザインを入れてください! とリクエストされる方がいる一方、どんなテイストにしようか、なにをイメージして決めたらいいのか、見当もつかない方もいらっしゃるそう。そんなときは、norioさんとその方の対話(おしゃべり)から、自ずとはんこのデザインが決まっていきます。はんこは、そもそも持ち主の“しるし”となるもの。依頼主がはんこで伝えたい新たな「しるし」には、なにがふさわしいのか。それを汲み取るには、なによりも依頼主の第一印象、会った瞬間の雰囲気を感じることが大切だとnorioさんは話します。
今回も、norioさんと向かい合って座ると、ささっと鉛筆を動かし始めました。
「まずは腕慣らし。柴田さんのイメージ!」と冒頭から、キュンとするイラストを書いてくださいます。
norioさん「柴田さん、はんこ作ったらどこに押したいってのはありますか? そこ決めてからデザインと大きさ決めましょうかね。」
柴田「うーん、名刺やカードにさりげなくも少し私らしさを加えられるような、そんなはんこがあったらな、と思います。それから、この先、歳を重ねても長く使い続けられるようなデザインだと嬉しいです。」
norioさん「なるほど。好きなもの、モチーフとして思い浮かぶものは?」
柴田「名前の“真帆“は帆船にちなんでいるんです。ですので、船やヨットがいいかな、と。」
norioさん「柴田さん、地元も海辺だって言ってたし、ぴったりですね! そうしたら、ヨットでいくつか描いてみましょう……。『かっこいい』『可愛らしい』『少し抽象的』、どんなテイストが柴田さん“らしさ“になりますかね〜。」
この中から1つ、実際にはんこになるのはどのデザインでしょう。
今月の1枚
愛娘、わかちゃんも興味津々。ほほえましい制作風景です。
(編集・柴田真帆)
《次号予告》
norioはんこのできるまで〜彫る〜
【月刊 norioはんこ店 8月号】
特集「norioはんこのできるまで〜彫る〜」
彫刻刀一本から生まれるはんこ
前号で5種類ものデザイン案を出してくださったnorioさん。
悩みに悩み、選んだのはこちら。
はんこの土台となるゴム版にこの図案を転写すると、右手に彫刻刀、左手にゴム版を持ち、ためらいなく手を動かしはじめるnorioさん。はんこを彫るために使うのは、図工や美術の時間に使っていたのと同じタイプの彫刻刀です。
まるでペンを動かすかのように、さらさらと彫刻刀が図案をなぞります。迷いのないスピード感。印象としては“はんこの線を彫る”というより、“ゴム版の中から図柄の周りの余分なところを取り除いている”ように思えました。
わずか5分ほどで、手のひらの上にはんこのゴム版。これを土台となる角材に付けると完成です。
彫りの工程のあまりの速さに驚く柴田に、norioさんは「デザインを決めるまでが一番時間をかけて、そこが決まれば、あとはあっという間なんです。料理で言えば下準備(素材を選んで、切って、下味つけて……)は時間をかけるけど、あとは鍋に放り込むだけ、みたいな感覚かな」と、くしゃっと笑って答えてくださいました。
次号では、いよいよこのはんこを押してみます。norioさんのはんこの特徴の一つでもある色使いで、どんなヨットが紙の上に登場するのか……。個人的にも待ち遠しくてなりません。
今月の1枚
愛娘、わかちゃんもnorioさんがはんこを作っているときは、幼心ながら“お仕事中”とわかっているのか、そっと見ています。
(編集・柴田真帆)
《次号予告》
norioはんこのできるまで〜押す〜
【月刊 norioはんこ 9月号】
特集「norioはんこのできるまで〜押す〜」
今回は、前号で形となったはんこを押してみます。一般的に“はんこを押す”と聞くと「黒や赤のスタンプ台でインクを付けて押す」といったイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。もちろんそういう普通の押し方もできますが、norioさんのはんこの魅力が発揮されるのは、ペン(はんこ用の水性ペン)で色を付けて押す方法。まるで絵を描くかのように、はんこの模様の部位に好きな色を塗っていきます。
norioさんが初めて押してくれた1枚がこちら! ピンクのボーダーと黄色の帆が可愛らしいヨットが誕生しました。
「そのときの気分や、押す場所によって、色合いを変えて楽しめますよ。波を模したデザインの名前(MAHO)は、海をイメージして青と緑を混ぜた色合いにしてみました!」
「次は柴田さんが、押してみましょう。まず、色を乗せるときは、下地となるベースの色を全体にたっぷり付けます。ベースは白やベージュなどの薄い色のインクがおすすめ。下地のインクが乗っている上に、他の色を乘せた方が発色が良くなるんですよ。必ず平らなところではんこを押すよう、気をつけてください。下に弾力性のあるゴム版を敷くと、よりくっきりと押すことができますよ。色を変えるときや使い終わったときは、水でインクを拭き取ります。拭き取った後に残る生まれる自然なムラや色の混ざり具合も味わってくださいね」とnorioさん。
アドバイス通り、まず白のインクパッドを全体に付け、好みのペンで彩色します。悩みつつもペンを手に取り、ぎゅっと押した先に誕生した1枚。先程の1枚目とは、また雰囲気の違うヨットが紙の上に現れ、まるで違うはんこを使ったかのよう。これにはぐっとテンションが上がります。その後もあれこれ色を変えて楽しむことしばらく……。こんなにもカラフルなヨットが集合しました。
そして1色のスタンプ台で押したモノクロのものも。1色で連続して押すと、模様のようにも楽しめます。
今月の1枚
(編集・柴田真帆)
《次号予告》
norioはんこ店〜もみじ市、当日編〜
【月刊 norioはんこ店10月号】
特集「norioはんこ店〜もみじ市、当日編〜」
いよいよ来週末に迫ったもみじ市! 今年のnorioはんこ店はどんなお店になるかnorioさんにお聞きすると、「今回のもみじ市では約3センチ×3センチくらいの小さなはんこを、おひとり様20分でお作りします。モチーフの数や文字はその場で相談させてくださいね。お名前をアレンジしたデザインや、お好きなモチーフをもとにしたデザイン、どんなはんこが生まれるのか私自身も楽しみにしています。1枚のゴム版から、あなただけのはんこが目の前で出来上がるライブ感を味わってもらえたら嬉しいです!」と話してくれました。
しっかりイメージを膨らませて、それをnorioさんに伝えるもよし。ふんわりと思い描いて、norioさんとデザインを固めるもよし。たった20分で、あなたのとっておきの新しい“しるし”が誕生します。
norioさんが手掛けたはんこは、押す度にnorioさんとのやりとりが甦り、誰かに見せる度に「このはんこはね……」と話したくなる、人とのつながりに彩りを添える力を持っています。それはきっと、norioさんの依頼主に向き合う熱量と、はんこの活躍を願う親心のような想いから生まれているのでしょう。
(編集・柴田真帆)