【渡邉知樹プロフィール】
絵本作家。画家。絵をメインに活動中。鳥オブジェなどの立体作品も手がけている。詩や漫画を描いたり、ピアノを奏でたりと表現方法は多様。ヒッチハイクをしつつ、似顔絵を描きながら日本を放浪し、描いた似顔絵は3000枚以上も。海外も10ヶ国以上を旅しており、近年では、国内のみならず、海外にも進出。2019年1月に北京での個展を開催を予定している。無類の映画好き。東京マラソンを走ったり、山手線を1周歩いたり、フットサルをしたり、料理をしたり、心動かされることを大切にし、制作している。作品は、絵であっても、立体であっても、文字であっても、愛らしさと力強さ、儚さが共存しており、その研ぎ澄まされたセンスに心惹かれる。色使いも秀逸。
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【商品カタログ予習帳】
『月刊 渡邉知樹』記事一覧
特集「渡邉知樹の持つ1/fのゆらぎ」
特集「絵本“ひげが長いねこ”のお披露目!?」
おまけ「期間限定!4コマ漫画“大爆笑シリーズ”100本」
ゆるゆるしつつも、キラリと光る感性! 渡邉知樹さんの不思議な魅力をお届けします。
サッカー少年、宙で悟る!?
ーーー画家、絵本作家という道に、どうやってたどり着いたのですか? 美術系の学校に行かれていたとか?
渡邉 かなり自由な校風の中高一貫校に通っていましたが、中学の時はサッカーひと筋でした。一応クラブチームにも所属していましたから、もうサッカーだけで、一生食っていくんだろうなと思っていたんです。全然下手だったんですけど(笑)でも中学3年のときに、ショルダータックルをくらって、飛ばされたんですね。空中に1秒くらい飛んでたと思うんですけど、その時に「あ、サッカー辞めよう」と思ったんです。空中で! 宙に浮いてるその瞬間に、「あ、なんか向いてない気がする」って。それで、高校に入ってからいきなり方向転換しました。
高校では、美術部で絵や漫画を描いたり、写真部で写真を撮ったり、軽音楽部でバンドやったりしていました。東京藝術大学の油絵科を目指して勉強もしていたんですけど、落ちてしまったんですね。それで親に怒られたことがきっかけとなって、勢いで関西に逃亡したんです。寝袋と似顔絵道具と1万円だけ持って。行った先では、ずっと似顔絵を描くことで生活していました。そのことで、ふと、大学に行かなくても生きていける方法もあるんだと気づかされました。もちろん、似顔絵だけでずっとやっていこうと思ったわけではなく、違う道があることに確信が持てましたね。それから、10〜20代はずっと夏になると、ヒッチハイクで旅に出て似顔絵を描き、それ以外はアルバイトをしてました。22、3歳の頃に初めて個展を開催してからは、毎年、やっています。最近は、年に5、6回個展をやるようなったんですけど、そういった生活がずっと続いている感じですね。
肩書きへの秘めたる思い
渡邉 僕は、イラストレーターではないので、イラストも自分ではあんまり……。ちょっと頼まれて、気が向いた仕事というか、やりたい仕事だったらやるんですけど、積極的に受けている仕事ではないんです。どっちかっていうと個展がメインで、抽象画が中心ですね。
ーーー絵本作家と名乗られていますが、出版はされていませんよね。
渡邉 はい。実は、個展などで展示する、印刷してない絵本が5、6冊あります。ですが、それを世に広げたいという気持ちは薄くて、出版などは考えていません。そもそも絵本作家をなんで名乗っているかというと、名刺には何か書いておかなければいけないと思ってつけたものなんです。うまい具合にすっと入るのは何かと考えた時に思いつきました。
絵描きという肩書きだとすると、展覧会にきた時に絵を見て「あ、こういう人なんだ」と判断されるじゃないですか。それがイヤなんですよ。なので、自分の中であえて、「これだ!」といいたくない気持ちがあるんです。例えば、個展ではメインの空間に絵が飾ってあって、自分が弾いたピアノが流れていたり、鳥のオブジェがあったり、詩集とかも置いてあったりして、空間にまぎれるように絵本があるくらいだと、自分がつくったものを全部知ってもらった上で、絵本を手にとってもらえるじゃないですか。出版もしていないので、先入観を持って知られることがない。そんな導入がいいかなと思って選びました。いろいろ全体的に見てもらって、結局どれでもないなと思ってもらえるのが一番うれしいですね。それが、本当の気持ちです。
心惹かれるキャンバスを探して
ーーー渡邉さんは、手ぬぐいをつくられたり、洋服もつくられたり。あとお皿などもつくられていますよね。それは、ご自身が思いついてチャレンジされているんですか?
渡邉 まずはオファーが来ることが多いです。例えば、お皿をつくってる方から、描いてほしいと依頼があって、つくることになったりだとか。やはり、自分が一からお皿をつくろうと思うと、思うような形はつくれないですけど。ああいった綺麗なお皿だと、描きたくなりますね。いいキャンバスですから。
ーーーなるほど。ということは、渡邉さんが作られているものは、キャンバスがいろいろ変わっているということなんでしょうか?
渡邉 そうです、そうです。おもしろいキャンバスがあれば、そこに描きたくなるんですよ。はじまりはだいたい興味でしかないんで。戦略的にやったりとか、こういう風に見られたいといった欲望もありませんから、とりあえず、いいなと思えば、はじめてしまいます。スタートしてからも、わりとそのまま突き進むことが多いですね。逆に興味本位だとか、広く浅くやっているように見られても構わないとさえ思っています。
ーーーどうしてそう思うようになったんですか?
渡邉 例えば野球選手になる人って、プロ野球選手になっても、ヴィジョンがあってそこに向かって邁進していくじゃないですか。その1つのヴィジョンを信じているからこそ突き進めるんだと思うんです。僕は、なにも信じられてないだけに、今の自分がたとえ現代アートで有名になっても、それで満足できるかといったら、満足できないと思うんですね。ただ、自分が進みたいのはそっちじゃないということだけはわかっていて、試行錯誤中というか、いろいろ渡り歩いているところなので。でも、最近はこのスタンスがいいのかなと思っています。というのも、最近、広く浅くやるということは、結局、勝手に深くなっていくということがわかってきたんです。浅さをキープすることの方が難しい。次から次へとキャンバスを増やしていくやり方が自分にあっているんだろうと思いはじめました。
ーーー作品が完成したときはどういった気持ちなのですか?
渡邉 こんなのできちゃったって感じですね。できあがりを見せてる時には、もう自分の手元からは離れてるので、気持ち的にも終わっている感じです。作品に閉じ込めたといいますか。
なので、過去の自分が描いたものとして、お客さんといっしょに「これいいよね」って、共感したり、楽しんでいます。そもそも、どの作品に関しても、褒められても嬉しいという気持ちもあんまりないし、けなされてくやしいといった感情もないんです。慢性的に欠落しているというか……、よくも悪くも、そういう感じです。
ーーーでも作家さんだと、やっぱり作品をつくるにあたって、もがいたり苦しんだりするのでは?
渡邉 苦しんでないんですね。つきつめないんで。フラフラふわふわっとしています。“1/fゆらぎ”のように、揺らいでいます(笑)
そういうやり方を、他の方にも感じて欲しいです。ひとつのヒーロー像を自分の中につくって、そこに向かっていくという方法以外もあること。別のゴールがあっていいんだということを。僕だけじゃなくて、他の人にも持ってもらえるような説得力をこれからつくっていけたらいいなと思います。
※1/fゆらぎ…規則正しいリズムと不規則なリズムが、ちょうどよいバランスで調和していること
揺らぎつつ、次から次へと新しいキャンバスを発見し、歩みをすすめている渡邉さん。もみじ市では、どんなキャンバスに描いてくれるのか楽しみです。
【月刊 渡邉知樹】
特集「絵本“ひげが長いねこ”のお披露目!?」
渡邉知樹の絵本が見られる!?
絵本作家 渡邉知樹さんが制作している絵本は、印刷されていないので、現時点では、世界に一冊しかないものです。そんな貴重な絵本の中から「ひげが長いねこ」の様子をお届けします。
今、「ん!?」「え!?」となった方、本物の絵本「ひげが長いねこ」は、もみじ市にお持ちくださるそうなので、ぜひ、ご堪能ください。
【月刊 渡邉知樹】
もみじ市の翌日の10/15(月)まで、期間限定でランダムで掲載します。
この4コマはゆるく、ゆる〜く楽しむ仕様となっております。裏紙を使用して書いていることもあり、紙が破けていたり、見えにくかったり、少し斜めだったりしますが、そういったところも楽しんでみてくださいね。4コマ漫画は100本入っていますが、ランダムで掲載されるため、同じものが出る可能性もあります。リロードすると、新しい4コマに出会えますよ。
【おまけ】期間限定!4コマ漫画「大爆笑シリーズ」100本
終了しました!
当日は、「ぺぺぺ似顔絵店」として、似顔絵を書いてくださいますので、ぜひ、参加してみてくださいね。渡邉さんのゆるさに癒されますよ、きっと。
(編集・樫尾有羽子)