【三角屋根 パンとコーヒープロフィール】
「毎日食べていただけるようなシンプルなパンとコーヒーを」というコンセプトのもと、中澤一道(かずみち)さん、裕佳(ゆか)さん夫婦が香り高いパンとコーヒーを提供する。神奈川・葉山に立つ一軒家のお店は、その名の通り、まるで絵本の中に登場しそうな三角型の屋根。併設のカフェには日当たりの良い庭があり、パンとコーヒーをのんびりと楽しめて嬉しい。パンと焼き菓子は、選りすぐりの国産の小麦を使用し、裕佳さんが製造。またコーヒーは、ドイツ製の焙煎機で旦那さんの一道さんが丁寧に焙煎。初出店となる今回、どんな幸せを届けてくれるのか、楽しみでならない。
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【商品カタログ予習帳】
【三角屋根 パンとコーヒーの年表・YEARS】
【三角屋根 パンとコーヒーインタビュー】
中澤一道さん、裕佳さんご夫妻が神奈川県の葉山で営むお店「三角屋根 パンとコーヒー」。お店の2階にあるご自宅にお邪魔して、担当の南がお話を伺ってきました。
全てのはじまりは、専門学校での出会いから
ーーー専門学校のカフェオーナーコースの同級生で、そこがお2人の出会いだったとありますが、その頃から一緒にお店をやろうという話はされていたんですか?
一道:いや、それぞれで考えていましたね。カフェオーナーになるためのコースで、お店はそれぞれで持ちたいと思っていました。なので卒業後の進路も別々で。
ーーー裕佳さんは、全国に店舗を構える老舗ベーカリー「ドンク」に就職されたそうですね。
裕佳:入社するまでは、ドンクのことを全然知らなかったんです。でも周囲に相談したら、お店ごとに粉から生地を作っていて、基礎を学べるドンクが良いと色んな人に言われて。他のお店だと、別の工場で生地で作り、お店では成型しかしないところが多いんですよね。
一道:そう。個人経営のお店でも生地作りは経験できるけど、大量生産が学べないので。
裕佳:個人店でも少し働かせてもらったことがあるんですけど、そこでもやっぱり、一度大きいところを経験した方がいいと言われました。
ーーー実際に働いてみて、いかがでしたか?
裕佳:すごく良かったです。厳しい面はあるけど、それよりも楽しい。こんなにたくさんのことを教えてくれるんだって。色々技術を盗めるし。でもやっぱり厳しくて、周りはどんどん辞めちゃうんですよ。「理想と違う」と感じる人が多くて。
パン屋とカフェ、それぞれの道を志した理由
ーーーそれぞれ、パン屋とカフェの道へ進みたいと思った理由を聞かせてください。
一道:元々パンやりたかったんだよね?
裕佳:そう……。母親がパン教室に通っていたので、それに付いていって、パン作りにハマった。自分で作ることに面白さを感じたんですよね。でも、自分でお店をやるには経営の知識が全くなかったので、それを学ぶために専門学校へ行きました。
一道:パンのコースもあったんだよね、でもそっちに行かなかった。
裕佳:そう、ブーランジェリーコースもあったんですけど、自分でお店を開きたかったので、オーナーじゃないと意味がないと思って。パン作りは、就職してからも学べると考えていました。
一道:僕は本当にたまたまなんですよ。元々は雑貨店をやりたくて、他の学校に1年通ったんですけど、雑貨と飲食を絡めた方が収益が上がるんじゃないかと思い、飲食業をやっていた友達を誘いました。でもその人が実家を次ぐことになって、ダメになっちゃって。そこで僕も、人に任せっきりじゃダメだと気付いて。学ぶならがっつり2年だと思って、カフェオーナーコースに入りました。授業でエスプレッソマシーンに触れたり、バリスタ試験を受けたりして。コーヒーにだんだん興味が出てきたときに、「BE A GOOD NEIGHBOR」に出会いました。奥さんはコーヒー嫌いなんですけど、そこのコーヒーは飲めたんです。なぜなんだろうと思い、たまたまスタッフを募集していたので、働き始めました。
2人で三角屋根をオープンさせるまで
ーーーいつ頃から一緒にお店を持ちたいと思い始めたんですか?
一道:僕は2年で修行を終えたんですが、その時点でまだ奥さんは修行途中だったので、3年待っていました。3年経ったら、奥さんも粉から仕込みから全てできるような人材になったので、そこから一緒にやれることを考えて。まずは店を一緒にやろうと決まったんです。店をやってなかったら結婚していなかったかもしれないですね(笑)。
ーーーそれはちょっと意外でした。もみじ市の作家さんには、活動をご夫婦で始める方もいらっしゃるので。
裕佳:そうなんですね。私たちの場合は、2人でお店をやるとなったときに、「2人の関係が謎だよね」と(笑)。友達だと金銭的にもトラブルが起きてしまいそうだし、それならもう家族の方がいいなと思って、結婚しましたね。
ーーー準備の2年間は、どんな期間でしたか?
一道:うーん、結婚出産があって、その中で準備を進めていましたね。店と家を建てるまで、丸2年かかって。
裕佳:設計に1年以上かかったよね(笑)。
一道:土地を決めるまでは早かったんだけど。
ーーー店舗の三角屋根は、最初から構想にあったんですか?
一道:そうですね。専門学校で、自分が将来やりたいお店のイメージをボードにまとめて発表しようっていう授業があったんですが、そこで奥さんが、三角屋根の食パン専門店をやりたいと話していて。それを僕が実現させたかったんです。
裕佳:そう……。そのときはまさか実現しないだろうと思っていたので、完成するまで実感がなかったですね。
一道:お店を建てるのと並行して、各々修行した場所で使っていた、窯やミキサー、ドリップマシーンなどの購入を進めました。設計士さんと内装屋さんと、みんなで店の形を組んでいったっていう感じですね。
ーーー三角屋根は学生時代からの夢だったんですね。準備の2年間は、やはり大変さの方が強かったのでしょうか?
裕佳:あんまり楽しめていないかもね。結構一杯一杯で。ギリギリまで実感がなかったです。でも、形になっていくと、やるしかないんだなぁと。
一道:(裕佳さんには)子どものことに専念して欲しいと思い、準備の中心は僕と設計士さんたちでやっていたので、きっと彼女は僕より実感なかったと思う。パンのこと以外はこっちで進めていたので。
裕佳:でも、素材とか、床とか。こういう木が良いっていう意見だけは伝えて。
一道:そう、一つひとつ必ず聞くようにしていました。彼女の意見は全部取り入れているんですが、僕はあんまり決めていないです。「どっちが良い?」とか聞いてみたり。決定権は全部奥さんです(笑)。
ーーーそうなんですね! 悩まれたことはないんですか?
裕佳:結構直感ですね(笑)。
一道:この場所も、たまたま遊びにきていたときに見つけたんですけど、すぐ不動産屋さんに連絡しました。僕はずっと東京で探してたんですよね。10年前からお店はやりたいと思っていたので。でも僕は結局決められなかったんですよね。なので、奥さんと出会ってからは決断が早くなりました。
毎日に寄り添うパンとコーヒーを
ーーー2年間の準備を経て、いよいよ2017年にオープン。店内ですが、やはりテラス席が気持ちいいですよね。
一道:BE A GOOD NEIGHBORに倣って、色んなパターンの席を作りたかったんです。カウンターと、ロッキングチェアと、テーブル席と、テラス席と。ずっと2人でやっていくつもりだったので、そこまで席数は増やさず、ゆったりとしたつくりにしていました。
ーーーお店に入ってすぐ、パンが正面で出迎えてくれて、すごくワクワクしました。他のお店ですと、お客さん自身がパンを取る場合が多いと思うのですが、対面式のスタイルにされた理由は何ですか?
裕佳:会話だよね。
一道:うん、パンについての説明をしたかったんですよね。お客さんがなんでも好きなパンを取って、買って帰るっていうよりは、一個一個、パンに込めた想いを伝えたかったんです。最初は本当にシンプルな、食パン、フランスパン、カンパーニュといった主食パンしか扱っていなくて、説明しないと伝わらないパンだったので。
ーーーシンプルな、毎日に寄り添うような、そんなパンを目指していたんですね。
一道:最初はご飯がわりになるようなパンをという思いではじめました。今では惣菜パンや菓子パンも増えましたけど、そこの根底は変わらないです。
ーーー今も一番の人気は食パンですか?
裕佳:そうですね、角食が人気です。もちもちふわふわの食感なので、そのまま食べたい人におすすめしています。
ーーーちなみに、WEBサイトにも掲載されている動物のイラストが印象的だったのですが、こちらはどなたかに描いていただいたのですか?
一道:イラストレーターをされているお客さんに描いていただきました。この辺りは、イラストレーターとか、画家の方が多く住まわれているんです。その方はコーヒーに詳しくて、声をかけたところ、「カフェを手伝っているんですけど、本業はイラストレーターなんです」と。そこで僕から、「ここのお店、まだ看板とかないので、描いてくれませんか?」って、お願いしました。
ーーーそんな偶然の出会いだったんですね。お客さまとはよく会話されるんですか?
一道:カウンターに座る方や、コーヒー詳しそうだなという方に声をかけていますね。質問が違うんですよね。切り口が。それで「コーヒー屋さんですか?」って声かけて、どんなお仕事をされているのか、という話へ発展しますね。レジから手前はパン屋、奥はカフェ、と完全に分けています。これは1人でお店を回せる仕組みになっているんなですよ。マシン周りに全てが揃っていて、カウンターでお客さんと喋りながら作るっていうスタイル。意外と、カウンターが特等席ですね。作っているところや、お客さんの様子も見えるから。
ーーー最後に、今後の展望について教えてください。
一道:そんな大きな展望は考えていないですけど、イベントには参加して行きたいですね。あとはなんだろう、ネット販売も進めているんですけど。スタッフが楽しく働けるように、ちょっとずつ、新しいことをやっていけたらと思います。
《三角屋根 パンとコーヒーの“YEARS”とは》
それぞれ自分のお店を持ちたいという思いから通い始めた専門学校。そこでの出会いから、三角屋根のストーリーは始まりました。1人ではできなかったことも、2人でならできる。心地よい会話のかけ合いからは、お互いへの心からの信頼を感じられました。店内にゆったりと流れる空気には、そんなお2人のほのぼのとした雰囲気が映されているのでしょう。
(手紙社 南 怜花)
【もみじ市当日の、三角屋根 パンとコーヒーさんのブースイメージはこちら!】