もみじ市 in 神代団地,ジャンル:ENTERTAINMENTetc.

まるばやしさわこ

【まるばやしさわこ】
造形作家であり、Eテレなどの工作番組や、ベネッセの工作あそび監修をはじめ、幼児雑誌の付録アイデアプランナーや自身の工作をまとめた『はじめてのこうさく』(ポプラ社)の出版など、雑誌に書籍にテレビにと数多くの媒体で作る楽しさを広めている、造形の伝道師。木工ユニット「丸林さんち」としても活動し、身の回りのものをあっという間に作り出してしまう作りのプロフェッショナルです。工作ショーや造形教室では、道具を巧みに使い魔法のようにわくわくするものを生み出し、こどもたちのキラキラした笑顔が溢れています。作ることの楽しさを思い出させてくれるさわこさんの工作は、大人も夢中になってしまうはずですよ。
10月の21日から一週間、Eテレ「まいにちスクスク」にテレビ出演。
https://ameblo.jp/sawakomarubayashi/

【まるばやしさわこ・YEARS】

【まるばやしさわこさんインタビュー】
日本各地をまわり、子どものみならず大人にも作ることの楽しさを教え回っている、まるばやしさわこさん。これまでの人生はジェットコースターのように目まぐるしく変化し、周りの人々を巻き込みながらも、ここまでやってこれたと仰います。なぜここまでして作ることを教え続けているのか、その源を追いました。

視野が広がった出会い

ーーーさわこさんと手紙社は随分前から関わりがあるんですよね?
さわこ:まだ手紙社ができる前の2006年に『自休自足』でセルフビルドの家を取材してもらい、表紙を初めて飾らせていただいたんです。それが現代表・北島さんとの出会いでした。そこからは、『自休自足』で「小屋作り」という連載を持ったり、DIYや農家の暮らしなど沢山掲載していただきました。2007年に泉龍寺で開催されたもみじ市で、はじめて工作ワークショップと手作りの積み木の販売など行って、今では工作ショーや出版イベントを行わせていただいたり、手紙社さんとはかれこれもう12年のお付き合いになります。

ーーー初期のもみじ市を体験していらっしゃるのですね。
さわこ:工作アイディアで雑誌で取り上げて頂いたり、図工番組の造形スタッフとして参加したり、まだ造形作家と名乗っても良いのかわからないくらい駆け出しの頃、北島さんと出会ったんです。それからとても多くの雑誌に載せて頂いたり、工作以外の活動にも目をつけて頂いたりと、それまでのフィールドとは違う目線で紹介していただけたんです。同じ時期に様々な出会いがあり、毎日作っては、撮影して、打ち合わせしたり……。とにかく一日に何本も動いていたんですね。作ることも工作だけでなく、農家だったり、家つくりだったり、今思い出しても無我夢中で全然整理ができていないんです。本当はもっと色々なことがあったり、前後もこれであっているのか不安なのですが……。でも、工作作家として進んでいこうとしていた私が、その他の活動への視野が広がったという意味では、2006年が大きな転機なんだと思います。

ーーー2017年からは手紙社で、親子造形教室「こうさくのたね」を開催したりと、子どもと大人が工作を通じコミュニケーションを取ることができる機会を作ってくださっています。毎月新しい工作をお披露目していましたが、工作のアイディアはどんなところから生み出しているのですか?
さわこ:いつもひねり出して考えています。まだ道具の扱いにも慣れていない子どもだったり、工作自体に触れた事もない子を対象にした物もあるので、難しくしすぎないように考えています。工程が何個もあったり、扱いづらい材料は使わずにできる物など、あらゆる想定をしながらひとつの工作として成り立たせています。

ーーー材料も身近にあるものを使っていますよね。
さわこ:いくら良い材料を使っていても、すぐに手に入るものでないと、結局は教えている時間の中でしか作れない一回きりの工作になってしまいますよね。よく使うのは、台所にあるアルミホイルに、トイレットペーパーの芯、ペットボトルのキャップ。本来の楽しみ方って、家に帰ってからも工作ができる、そこに尽きると思うんです。スマホやゲームがなくてもずっと遊べて、壊れたって自分で直す事だってできる、魔法の玩具なんですよ。

子どもたちの創造性

ーーーさわこさんの工作を見ていると、「こんな使い方ができるのか!」と驚く場面がよくあります。
さわこ:この「お寿司」はシャリはティッシュ、ネタは折り紙ですが、くしゃくしゃにしたり絵を描いたり、ほんの少し見方を変えるだけでそれっぽくなるので不思議ですよね。逆に私が考えてもいなかった使い方を編み出して作ったりしている子は、発想が豊かだなと感心します。

ーーーなんて自由なんでろうと感心してしまいますよね。それも親子で取り組むことでさらなる科学変化が起こったり。
さわこ:お父さんが木を切って組み立てて、色塗りや飾り付けをこどもが行う、そんな役割分担をしてみたり、子どもの言葉で気づくことがあったり。可能性がたくさん転がっています。

ーーー工作を通じてさわこさんが伝えていきたいこととは何なのでしょうか。
さわこ:私はノッポさんやわくわくさんを見て育ってきました。でも今はそういった方が少なくなってきて、そもそも工作って何? と思うこどもたちが出てきているんです。それって、じゃあ遊ぶ物が近くになかったらどうやって遊ぶんだろうか、とか、もっと考えると、そういう子が大人になり自分のこどもに工作を教えてと言われたら、果たしてうまく教えることができるのか、と不安だけが募ってくるんです。工作って簡単そうに見えますが、作っていくことでアイディアが生まれたり、道具の使い方を覚えたり、生きていく上で必要なことがたくさん詰まっていると思うんです。少しでも私が工作を教えることで、自分で何かを生み出すことに抵抗がない、そこに楽しさを見つけてくれる人に育って欲しいと願っています。日々工作を生み出すことに苦しみはありますが、子どもたちの笑顔を作りたいという使命感で活動しています。

ーーー子どもたちの未来を想った工作。これからもずっと続けていっていただきたいです。本日はありがとうございました。

《インタビューを終えて》
小さい時何度もなんども繰り返し見た工作番組。一枚の紙が魔法のようにおもちゃや食べ物に変身する姿に、目を輝かせながら見ていたことを覚えています。まだゲーム機もなかった子ども時代には、番組の中のわくわくさんがヒーローのように見えたものです。同じように、さわこさんが教えてくれる工作には、夢の世界を現実にする魔法の力が宿っていると、私は思うのです。子どもたちと同じ目線に立ち、遥か先の大人になった時のことまで考えた工作。“作る”ことを通じ、誰もが持つ創造性に気付いてみませんか?

(手紙社 上野 樹)