もみじ市 in 神代団地,出店者紹介,ジャンル:FOOD

手紙舎

【手紙舎プロフィール】
東京都調布市に4つのお店を営む手紙舎のカフェ。はじまりは、昭和40年に建てられた団地の一角に佇む、大きな窓のある「手紙舎 つつじヶ丘本店」でした。その後、本店から徒歩15分ほどの建物の中に、2つ目、3つ目のお店ができました。2階には、手ごねパンのサンドイッチや、ワインにあうお料理を楽しめる「手紙舎 2nd STORY」。1階には、店内にコーヒー豆の大きな焙煎機がある「本とコーヒー tegamisha」。3つのお店は歩いて行き来できる距離にあります。そしてそこから電車にゆられて西に4駅の場所にできたのが、色とりどりの豆皿に美しく盛りつけた定食をお届けするお店、「菜花」です。また、菜花からさらに西に進んだ立川市にも、この春、新店をオープンいたしました。土鍋ご飯と季節の食材をふんだんに楽しめる「農園の手紙舎」。新しいお店、新しい仲間がすこしずつ増えていき、新しいメニューがつぎつぎと生まれていきました。もみじ市の河川敷には、みなさまのお腹も心も満たすべく、その中からよりすぐりのお料理とドリンクと、スイーツをお持ちいたします!
http://tegamisha.com/


【手紙舎の年表・YEARS】

【手紙舎インタビュー】
2016年入社のカフェスタッフ濱野裕子が、手紙舎のカフェの歴史を知るスタッフにインタビューしました。
カフェ部最年長(本当は永遠の26才)、手紙舎草創期を知る珈琲焙煎士・関根利純、メインダイニングである2nd STORYの店長・笹野千鶴、4つめのお店「菜花」を唯一オープン当初から支えている・一柳紫乃。この3人と一緒に、手紙舎のカフェの歴史を紐解いていきましょう!

はじまりは、昭和40年に建てられた団地の一角でした

ーーー記念すべき最初の店舗「手紙舎 つつじヶ丘本店」。オープン当時は、厨房の目の前、小上がりのスペースを「編集室」と呼んでいて、そこでスタッフが文字通り編集の仕事をしていたそうですね。忙しいときは、編集室のスタッフがお料理の提供を手伝うこともあったとか。朝8時からモーニング営業をしていた時期もあったと聞きました。やがて、編集室が客席になってお客様をお通しするようになり、スタッフも増え、新メニューが生まれていったのですよね。思い出に残っているメニューはありますか?
関根:ドリアとカレー。この2つが定番だった時期がありましたね。予約制でディナーをやっていたこともあるんですよ。あとは、なんといっても「シャカシャカコーヒー」ですかね。アイスコーヒーをシェイカーで振って、注いでお出しするドリンクです。当時の、2代目シェフが開発したメニューでした。チーズケーキが生まれたのも、この頃ですよ。

ーーー「ベイクドチーズケーキ」ですか? 今は、本とコーヒーtegamihsaで定番メニューとなっているチーズケーキですよね。昔からの伝説のレシピと聞いていましたが、歴史があるメニューなのですね。
関根:イベントで、ラクレットチーズを初めて出したのもこの頃かな。懐かしいですね。ここは、手紙舎のカフェの始まりの場所ですよね。大きな窓から眺めるヒマラヤ杉と団地の風景は、ずっと変わらないで欲しいですね。

2つ目のストーリーは、階段をのぼった先に

ーーー2つめのお店「手紙舎 2nd STORY」は、本店から徒歩15分のところにあります。はじめは21時までの営業で、昼はサンドイッチとフォカッチャ、夜はナポリタンや自家製手ごねパンを出していたとか。今では手紙舎の名物ともいえるナポリタンや手ごねパンは、 2nd STORYで初めて提供したメニューですよね。
笹野:当時の本店がご飯もののメニューのお店なのに対して、2nd STORYはパスタやパンを出すお店としてスタートしたんですよね。

ーーー今よりも、もっとメニューが少なかったのですね。
笹野:閉店時間が21時から23時まで延び、新しくシェフが入社して、カフェとバルのいいところをとったメニューがどんどんと増えていきました。

ーーーワインに、クラフトビールに、カクテル……こんなにたくさんの種類のお酒もあって、それに合うお料理を楽しめるお店は、手紙舎のカフェのなかでも、ここだけですものね。

良い街には、良いカフェと良い本屋がある

ーーー2nd STORYと同じ建物の1階にできたのが「本とコーヒーtegamisha」。その名の通り、書店とカフェが併設しているお店で、“クラシックホテルのロビー”というキーワードを掲げた、大人っぽい空間を目指したそうですね。お店の一番奥のスペースに焙煎機が設置されています。ここで自家焙煎した豆を、手紙舎のカフェ全店で使うようになったんですよね。
関根:ブラジル、コロンビアなどストレートの豆、各店舗のオリジナルブレンドなど、すこしずつ種類が増えていきました。

ーーー週末限定で、朝8時からモーニング営業をしていた時期もありましたね。この頃私自身も本とコーヒーtegamishaで働いていて、常連様が多く、関根さんのコーヒーのファンも多くいらっしゃったことが印象的でした!
関根:コーヒードリップ教室や、“早朝”焙煎ショーもやりましたね。“早朝”は朝6時スタート、ちょっと早すぎましたかね……笑

ーーー朝6時のアットホームなショーだったそうですね! 自家焙煎コーヒーがスタートしたことで、手紙舎以外のお店から卸しの注文をいただいたり、地方のイベント出張で豆を販売したりと、全国に手紙舎の自家焙煎コーヒーをお届けすることにつながっていきました。私・濱野は、京都市内でたまたま訪れた雑貨屋さんに、手紙舎のオリジナルブレンドのコーヒー豆が並んでいるのを見つけたときは、「はっ!」っとなって、思わず「これ、うちのでーす!」って、叫びましたね。心の中で。そのくらい、嬉しい出来事でした。

4つ目のお店は、大切な人と語り合う場所

ーーー色とりどりの豆皿に美しく盛りつけた定食をお届けする、4つ目のお店「菜花」。フードコーディネーターのwato kitchenさんがお料理をプロデュースしてくれたんですよね。
一柳:なかでも、なばなーぐ(菜花風ハンバーグ)は、今でも人気のメニューです。家族連れが多い菜花ではお子様とシェアされる方も多いですよ。カジキの味噌漬けも、ゆずこしょう風味のタルタルがくせになる、オープン当初からの人気メニューです。他にも、肉豆腐や、バジルうどんなど、オープン当初は提供していました。

ーーーお食事以外に、菜花の特徴はありますか?
一柳:食にまつわるワークショップを開催しているのも、菜花の特徴のひとつかもしれません。お味噌づくりや、梅シロップづくりなど。それから、印象に残っていることとしては、幼稚園の卒園式用に、お弁当を160個ケータリングでお持ちしたこともありましたね。朝4時半集合でせっせとお弁当をつくりました!

ーーー軽食つきのライブイベントも、これまで何度かやっていましたね。ワークショップやケータリング、ライブイベントなど、イートインのみでないカフェの可能性を広げていますね。

これからもまた、つながっていく

ーーーこの春には、調布市からもう少し足をのばした立川市にも、新店がオープンいたしました。その名も、「農園の手紙舎」。第1回もみじ市にも出店してくださっていた、わたしたちと関わりの深い「鈴木農園」さんの歴史ある蔵をお借りして、お店にしています。その鈴木農園さんの、旬の有機野菜を使ったお食事メニューをプロデュースしてくださったのは、こちらも手紙社のイベントには欠かせない、栃木県鹿沼市のフレンチベジタリアン「アンリロ」の上村シェフなんですよね。
関根:鈴木農園とアンリロは、その昔、手紙社の代表・北島勲が雑誌『自休自足』の編集者だったころからのつながりでして……あ、そのころの雑誌、あったかな……(本棚を探すが、見つからず!)

ーーー開店してからの半年間を振り返って、農園の手紙舎のメニューのなかで「これは」というものを教えてください。
関根:季節にあわせて、旬のメニューを上村シェフが考えてくださっているのですが、とくに1品目のお野菜の盛り合わせは彩りがよく、印象に残っていますかね。それから、なんといっても、お客様のご予約の時間にあわせて炊き上げる炊きたての土鍋ごはんは、格別の美味しさですよ。

ーーー無農薬のお野菜のなかでも、とくにお美味しかったお野菜はありますか?
関根:どれもこれも美味しくてね。選ぶと難しいな〜。人参……、茄子……。期間限定のトウモロコシは美味しくて、生でもいけましたね。まだメニューに登場していない、プチトマトも楽しみにしています!

ーーー高い天井に立派な梁がわたるアンティークな趣きたっぷりの蔵。都会から少し離れ、緑に囲まれたそんな蔵のなかで旬の食材の美味しさを堪能できるのも、農園の手紙舎の醍醐味ですね!

《インタビューを終えて》
「お店は、人でできている!」と、わたしは心から思っています。手紙舎のカフェの歴史をたどっていくと、やっぱり、そこには人がいて、その時代、その場所にいた人ひとりひとりが、お店のメニューもさることながら、空間、雰囲気をつくりだしています。人が変われば、店も変わる。人が増えれば、できることが増えて、お店はもっと表情豊かになっていきます。人と人とのつながりや結びつきもまた、お店にとっては新しいエネルギーとなって、何かを生み出す活力になっていきます。団地の一角、つつじヶ丘本店からはじまって、今年で10年。気づけば5つのカフェを営んできました。新い仲間、新しいお店が少しずつ増えていき、新しいメニューも次々にうまれていきました。もみじ市の河川敷には、そのなかからえりすぐりのメニューを、お届けいたします!

 (手紙社 濱野裕子)