もみじ市 in 神代団地,出店者紹介,ジャンル:CRAFT,ジャンル:OYATSU

ひだまり商店とco+fe

【ひだまり商店とco+fe プロフィール】
北浦和の閑静な住宅街に佇む、以前はお米屋さんだったという木造の一軒家でおやつ屋を営む「ひだまり商店」は、平飼い卵や埼玉産無漂白小麦など厳選した材料で、干した布団のように心をポカポカと包むようなお菓子作りを行っています。

そんな「ひだまり商店」の店舗で扱っているのが、木(Co)と鉄(Fe)を組み合わせて作るco+feのインテリア雑貨と、フラワーデザインnote:のブーケたち。昨年11月に出版されたひだまり商店・いてのまみさんの初の著書『ひだまり商店がおやつの時間をお届けします』(学研)では、note:さんがスタイリストとして協力、また撮影用小物をco+feさんが提供するなど同メンバーが集結し、完成した書籍からもお店そのままの笑顏あふれる雰囲気が滲み出ています。

これら3作家が結集したブースでは、それぞれの作品はもちろんのこと、ひだまりのお菓子×co+feのアルミプレート、co+feの照明×note:のシェードなど、組み合わせのディスプレイにも期待。またもみじ市に先がけて、手紙社の運営する書店・本とコーヒーtegamishaでは、今年で4年目となる毎年恒例のフェアを開催(8/28〜9/16)。こちらで予習もお勧めです!

【ひだまり商店】
blog:itemu.exblog.jp
Instagram:@hidamarishouten
【co+fe】
http://co-fe.handmade.jp/
Instagram:@co_fe.m.w
【note:】
Instagram:@no_te1


【ひだまり商店とco+feの年表・YEARS】

【ひだまり商店とco+feインタビュー】

ひだまり商店のお菓子と、co+feの雑貨、そしてnote:の花。それらが三位一体となり作り上げる美しいブースは、まるでどこかの国の街角に迷い込んだような錯覚にも陥り、思わず足を止めてしまう人も少なくありません。

そんな3作家が生み出す雰囲気は、それぞれ違った場所で生まれ、違った素材を扱う作家が集まっているにもかかわらず、1ミリの違和感もなくしっくりとまとまっています。

1999年、note:能登由子さんとco+fe下田則敏さん・直美さんが出会い、
2009年、ひだまり商店いてのまみさんとnote:能登さんが出会い、
……そんな役者が揃った2年後となる2011年に、皆が集う場が誕生します。

【転機1】「ひだまり商店」店舗オープン。

ーーー2010年、もとお米屋さんだった一軒家の物件に出会い、「ひだまり商店」のオープンを決意したそうですが、初めからnote:さん、co+feさんと一緒にお店作りをされる予定だったのでしょうか?
いての:はじめは1人でするつもりでしたが、気づけば「ここはこうしたら?」「あそこはこうしよう」と、4人で次々と話が進んでいきました。開店資金を節約するために、できるかぎり自分の手で改装しようとしたのですが、「出世払いでいいよ」とco+feがいろいろと作ってくれたり、note:は夜中でも相談に乗ってくれたりしました。

ーーーお店では、co+feさんやnote:さんの作品も扱われているのですよね。
能登:はい、note:の作品も置いてもらっています。ひだまり商店で実際に展示している様子を見てもらえると、「こうやって飾るといいんだな」というヒントにもなるので、お店があるというのは、すごく良いことだなと思っています。
下田直美(以下 直美):出店イベントだとテントになるのでイメージが湧きにくいですが、お店だと壁や窓もあるので、家に持ち帰ってからの使い方や、ディスプレイの雰囲気を掴みやすいですよね。

ーーー皆さんもお店にも立たれたりするのですか?
いての:皆がお店を開けると手伝いに来てくれて。ほとんどオープンの日はオールスター勢ぞろいで有難いです。お客様にお花や家具の質問を受けたりもするのですが、それは作った本人から説明するのが一番なので、助かっています。
能登:今ではみんなの予定で開店日が決まるね(笑)。

ーーー皆さんの基地のようにもなっているのですね。
能登:お店ができたことで、何かあるとみんなで集まれる場所にもなりました。季節ごとに、年に2-3回は全員で集まって模様替えをするのですが、そのときにイベントの打ち合わせもします。
下田則敏(以下 則敏):ひだまりのおやつを食べながら「次のイベントはどうしようか」と話し合ったり、打ち合わせの中で能登さんに「こんなの作って」とリクエストされたものが、co+feの新作につながったり。“大人の社交場”ですね。
いての:オープンしてから気付けばもう8年間が経ちますが、揉め事は一度もないんです。「食べ過ぎ!」とか怒られることはしょっちゅうですけど(笑)。

【転機2】手紙社との出会い〜「GOOD FOOD MARKET」に「ひだまり商店」初出店〜

ーーー手紙社が初めて、ひだまり商店さんに出店をお願いしたのが、2013年に京王閣で開催された「GOOD FOOD MARKET」でしたよね。
いての:お店を始めたときの目標が「手紙社さんに誘われること」だったので、電話をいただいたときは震えました。その直前の2011年に丸林さわこさんの『丸林さんちの手づくり家具帖2 カフェスタイルな、お部屋改装術』(KADOKAWA)という本に掲載いただいたのですが、そのとき取材してくれたライターさんが、もみじ市にも関わっていた方で、その流れでお誘いいただいたのだと思います。

ーーーその本、手紙社のお店にありますよ。持ってきますね。

直美:まだお店、殺風景だね。
いての:痩せてる……このときのエプロン、もう結べない(笑)。この本をきっかけに、ひだまり商店のことを知ってくださって、今も繋がっている方も多いんですよね。
則敏:そう考えると、この本も転機だったね。

ーーーそして「GOOD FOOD MARKET」と同じ年の秋に「東京蚤の市」に参加いただきました。

いての:まだその時はco+feは参加していなくて、note:と一緒に車にテントやトタンや机を積んで、隙間にお菓子を詰めて。そうしたら人が乗るスペースがなくなって、能登さんが自転車で行くことになったりと大変でした。撤収の時には、他の出店者さんに「トタンは素手で持っちゃだめだよ!」と注意していただいたり。まだまだ出店の経験も少なくて、覚える時代でしたね。お客様も、うちの前を通り過ぎて、惨敗だったのを覚えています。

ーーーいつから今のように並ぶようになったんですか?
能登:「ひだまり商店」として2度目の「東京蚤の市」に出た2014年の春に、掘っ立て小屋のようなお店を作って「ディスプレイ大賞」を受賞したのですが、その時にはもう並んでいただきました。

ーーー2度めで既に列ができたなんてすごいですね! その翌年の2014年の東京蚤の市で、co+feさんも参加されて今の形が確立したんですよね。
いての:オープンの時からいつも助けてもらっていて、嬉しいことは必ずみんなでと思っていたので「一緒に出てくれませんか」とお願いしたんです。もうco+feがいないと出店はできません……。

ーーー今ではもう「ひだまり商店とco+fe」は、手紙社のイベントでは欠かせない存在になっています。
能登:それからずっと皆で出させていただいているのですが、出店イベントでは、多くの人に見て知ってもらえるので、やりがいも増えました。チームでやる楽しみもあるし、イベントの都度、限られた中でどう見せるかを形にする瞬発力も鍛えられたように思います。最近では、同じイベントで出会った作家さんと繋がって、ひだまり商店で個展を開いてもらったり、コラボ作品を作ったりと、新たなことができる楽しみも増えました。それは店舗にいるだけではできなかったことですよね。

【転機3】『ひだまり商店がおやつの時間をおとどけします』出版

ーーー2018年、念願のレシピ本『ひだまり商店がおやつの時間をお届けします』(いてのまみ/学研)が出版となりました。本を出されるきっかけは何だったのですか?
いての:蚤の市やもみじ市に来てくれたお客さんのなかに、書籍の編集をされている方がいて、ひだまり商店を気に入ってオファーしてくれたんです。この縁を結んでくれたのも手紙社さんです!!

ーーーいえいえ、でもそんな場を作れたならとても光栄です。出版されてからそろそろ1年が経ちますが、今改めて手にしてみていかがですか?
いての:いつかは本を出したいと思っていて、もしも万が一そんな夢のような話をいただいたら、co+feとnote:と一緒に3作家で作り上げる本にするということは、夢見ていたころから決めていたんです。co+feの小物と、note:のスタイリング、ひだまりのお菓子。それで作る本じゃないなら興味はなくて。この本も、3作家だからこそできた雰囲気だと思うんですよね。

ーーー「どっしりマフィン」や「トリランタン」など人気のレシピが知れるのも嬉しいですが、皆さんの作品も楽しめる本になっていますよね。
いての:レシピを教えるというよりは、「なぜお菓子を作りたいのか」という想いとか、そういう形のないものを伝えたかったんです。この本でお菓子を作らなくても、写真集をめくるようにボーッとしたり、リラックスしてもらえたら。レシピ本としては足りないかもしれないけど、頭を空っぽにできるような本にしたくて。

ーーー写真に添えられた言葉も、ひだまりさんらしくて良いですよね。
能登:ただのレシピ本ではなく絵本みたいな本にしたいと、いてのが話していたのですが、こんなに反響があるとは思いませんでした。写真も、スタジオとかじゃなくて、ひだまり商店のお店の中で撮ることにこだわったので、本を見て「お店そのままだ」と思ってもらえたら、私たちの想いは少しは伝えられたのかもしれませんね。
いての:お店もイベント出店もそうなのですが、この本も、co+feとnote:が協力してくれたからこそ出すことができました。この3作家じゃないとできなかったと思っています。

《インタビューを終えて》
今年はなんと2、5、6、8、9、10、11、12月と、手紙社に関わるイベントに毎月のように出てくださっている「ひだまり商店とco+fe」の皆さん。もちろんそれに並行して個々の活動もありお忙しいはずなのに、毎回新作を準備してくださったりと、いつも私たちを驚かせ、楽しませてくれています。ありきたりな言葉ではありますが、まさにそれは、1+1+1が3ではなく、5にも10にもなっているから。インタビューも皆さんが集まると、1の質問が3にも5にも多方向に膨らみ、笑ってばかり。「あ〜楽しかった。……でも肝心なことが全く聞けていなかった!」と焦ることもしょっちゅうです(笑)。

そんな息の合った皆さんですが、この3チームだけでも十分コラボなのに、昨年のpoppy seeds是枝錬太郎さんに続き、今年のもみじ市ではatelier coinの大護慎太郎さんとのコラボも企画中。先日行われた、ひだまり商店での打ち合わせも大いにも盛り上がったとのことで、何を見せてくれるのか、今からとても楽しみです。

(手紙社 城田波穂)