もみじ市 in 神代団地,出店者紹介,ジャンル:BREAD

Kepobagels

【Kepobagelsプロフィール】
もちもちでムチムチ。ぎゅーっと詰まった穴のあいた食べ物、な〜んだ? 友人のこんなメッセージで呼び出され、ランチに向かったのが上北沢で店を構えるKepobagelsとの出会いでした。食感にこだわる店主・山内さんが作り出すベーグル。噛みしめると歯が沈んでいくあの心地が「歯ごたえフェチ」の私にはたまらなく、食後には「食べた」満足感でいっぱいになっていました。実は山内さん率いるKepobagels、もみじ市への出店は9年ぶり。しばらく店でのパン作りに集中してきましたが、長年苦楽を共にした仲間が山内さんの元を卒業する今年、みんなで素敵な思い出を作りたいと久々の出店が叶いました。今回のもみじ市テーマ“YEARS”とリンクして、かけがえのない時間を、仲間とそして来場者のみなさんとまたひとつ刻んでくれることを祈ります。
http://www.kepobagels.com
Instagram:@kepo.yamauchi

【商品カタログ予習帳】

【Kepobagels店主・山内優希子の年表・YEARS】

【Kepobagels・山内優希子さんインタビュー】
担当・丸本が、山内優希子さんのベーグル専門店開業までの道のりと、オリジナル和ベーグル誕生に至るまでの歴史について聞きました。

パン好きな学生、そして編集者だった過去


ーーー意外な経歴ですね。パン屋に就職する前、出版社にお勤めだったとありますが。
山内:大学在学中ジャーナリズムを勉強して、出版社に就職しました。『レタスクラブ』の
の編集をしていて、インテリアやメイクのページを担当してました。楽しくて、夢中で働いていましたね。この当時、“料理”とか“パン”を特集していたわけではないのです。ただ、昔からパンが好きでした。

ーーー山内さんの人生において、“パン”がどのタイミングで深く関わってくるのでしょうか?
山内:幼い頃から、パン好きな祖父の影響で美味しいパンとは縁があったかな。学生時代のアルバイト先はパン屋を選びましたし、在学中、インターンでお世話になった出版社ではパン屋に取材に行く機会を沢山もらって、パンへの興味はどんどん増していきました。そんな風に取材しているうちに、ふと気付いたんです。「面白い人生を送った人って、面白いパンを焼くな。」って……。

就職は迷いました。ジャーナリズムと同じくらい、パンにも興味がありましたから。だけど、パン屋さんの取材で感じたことを頼りに、折り合いをつけたのですよね。私もいきなりパンの世界に入るより、出版業界で自分の経験を豊かにしてから踏みいれた方が面白いものができるんじゃないかなって。

出版社にいた10年間も、趣味でいろんなパン屋を巡りましたね。最後の方なんて、毎週末自宅でパンを焼いて、上手く焼けない時は、条件を変えて試行錯誤したりしました。そうした中で毎日パンを焼いていたい思いが強くなり、人生のやっておきたいことのひとつ「パン屋になる夢」が忘れられず、転職を決意しました。

《転機》出版業界から一転、パン職人を目指す

ーーー様々な種類のパン作りをされたと思います。“ベーグル”を極めようと思ったきっかけがあったのでしょうか?
山内:ベーグルで有名だった「ブラウニーブレッドアンドベーグルズ」に就職しました。ベーグル好きな人って食感にこだわる方が多いんですけど、その気持ちとてもよく分かるんです。私も食感フェチなので!

パンにはいろんな種類がありますが、ベーグルっていう縛りの中でいろんな食感を表現できると楽しいなと思い。それで、ベーグル一本に絞りました。

食感フェチの作り出すオリジナル・和ベーグル

ーーー国産小麦と麹由来の天然酵母を使い、もちもちした食感が特徴のKepobagelsオリジナルの和ベーグル。18種類ありますが、このラインナップに固まったのはいつですか?
山内:主にはブラウニーでの修行中に考えました。Kepobagels創業時からあまり変わっていないですね。オープン後に生まれたものもありますよ。

ーーー誕生秘話を教えてください!

◎五穀みそ

山内:五穀と味噌が入ったこのベーグルは、制作に苦労したもののひとつです。京都で修行したので、白味噌を使いたいと思いました。生地に練りこんで試作を重ねましたが味が上手く表現できず、上に塗りました。ベーグル自体には味噌は入っていません。味噌の味を出したいのでベーグルに大豆を少し入れています。砂糖と塩も他のものよりも多めで、甘じょっぱい味になっています。

◎焼きリンゴ

山内:発想の原点はマクドナルドのアップルパイです(笑)。あれはすごいですよ。不動の人気で間違いないじゃないですか! ただ、食感フェチの私にはトロトロ食感は許せなかったので、サクサク感を出しました。りんごの見た目にもこだわっています。

◎粒あんクリームチーズ

山内:オープン当初は無く、お客さまとのコミュニケーションから生まれました。あんことクリームチーズの組み合わせが美味しいことはわかっていましたが、家で挟んでもらえば良いトッピングだと思っていて。あえて作っていませんでした。ところがある日、なかなか普通の家庭にはあんことクリームチーズがないってことに気付いたんですよ。この組み合わせがベーグルに入っていたら手軽に食べられて良いんじゃない?って思ったんですよね。

初めは作りやすいほどほどの量を入れて試作を重ねましたが、あまりピンと来ず。思い切ってどちらも「ドンッ」てあんこもクリームチーズもすごい量を入れたところ美味しくなりました。正直作りにくいし、お値段も上がってしまうのですが、今では1番人気です。

◎もちチーズ

山内:これもオープン後ですね。ある日おばあちゃんがいらして、「もちチーズはありますか?」っておっしゃるんです。なかったのですが、「すごく美味しそうじゃない?!」って、作りました(笑)

Kepobagelsの“10YEARS”と、これからの“YEARS”

ーーー開業して10年間、数々のベーグルを生み出して提供してきた山内さん。振り返っていかがでしたか?
山内:沢山の人に助けてもらいながら昨年10周年を迎えることができました。素敵なお客さまやスタッフ、開業時や移転時に良い物件にも恵まれてラッキーでした。

続けられたこともラッキー。振り返ってよかったと思う自分の行動は、“始めたこと”です。統計上、女性オーナーが10年お店を維持することは難しいと言われていますが、私はそれでいいと思います。女性って、どうしても自分のライフスタイルを変えないといけないタイミングがありますから。ただ、開業できるタイミングや条件が目の前に揃っているなら、やってしまった方がいいと思います。チャンスはこぼれていくので。

ーーーもみじ市に出店する仲間にも、独立を予定しているスタッフがいらっしゃいますよね。
山内:ライフワークとして開業支援を行なっています。ベーグル屋になりたい夢を持った人を積極的に採用して、自分の店を始めたいと言えば止めません。私も短い期間で独立したので。その子とは、「最後に、もみじ市で沢山ベーグルを作ろう!」って話しています。

キッチンに窓を作っているのも、誠実なパン作りをご覧いただきたいのはもちろんですが、子供たちにパンの仕事を見せたい思いからですね。

《インタビューを終えて》
節々に発せられる“育てる”と言う言葉が印象的でした。京都の師匠に愛情を持って厳しく育てられた元・編集者は今、若きスタッフたちを育成するベーグル屋店主。常にパンの改良に余念のない山内さんは、「パンもお店も、自分たちの手で育てていきたい。」とおっしゃいました。

また、自然体な山内さんは「時の流れに合わせて、その時々にフィットして変わっていればいい」とも。職種の境界を越えて、ハツラツとした山内さんが私にとって理想の“上司にしたい女性”になりました。

(手紙社 丸本菜穂)

【もみじ市当日の、Kepobagelsさんのブースイメージはこちら!】