もみじ市 in 神代団地,出店者紹介,ジャンル:ILLUST&DESIGN

すげさわ かよ

【すげさわ かよプロフィール】
「旅で見つけた素敵なものを、みんなに伝えたい!」と、行った先々で出会ったものを描く、イラストレーター・すげさわかよさん。フランス・パリへの留学のほか、今までに25か国以上の国々へ足を運んでいます。『北欧トラベルダイアリー』(河出書房新社刊)、『ブルガリアブック』(ダイヤモンド社刊)などのイラストエッセイも多数出版。民族衣装や民芸品、その土地に咲く野花など、その国のイメージがぎゅっと詰まったイラストは、色鉛筆による手触りのあるタッチで、あなたのもとへときめきを届けます。
https://i.fileweb.jp/sugesawakayo/
Instagram:@sugesawa.kayo
twitter:@sugesawakayo

【商品カタログ予習帳】

【すげさわかよの年表・YEARS】

【すげさわかよさんインタビュー】

溢れ出してしまうのではないかと思うほど、たくさんのイラストと細かい文字で埋められたページ。それは作品づくりの元になるネタ帳を見ているようなドキドキと、次のページも早く見たいというワクワクで満たされた時間でした。真っさらだったスケッチブックにイラストレーター・すげさわかよさんがどんな日々を綴ってきたのか、担当・永井がお話を伺いました。

“伝え好き”な女の子

ーーー小さい頃からずっと絵を描くことが好きだったんですか?
すげさわ:はい、おばあちゃんに褒められて嬉しかったことをよく覚えています。その頃から、自分が描いたものを人に見せることが好きで、小さい頃はよく新聞を作って、学校の壁に貼ってみんなに見せたり、小学校の先生に絵本を書いてプレゼントしたりしていました(笑)。ペンネームをつけて、少女漫画を描いたこともありましたね。

ーーー新聞や漫画も! 絵だけじゃなく文章を書くことも好きだったんですか?
すげさわ:そうですね。絵と文字をセットにして、人に伝えるっていうことが大好きで。小さい頃の自分は、“伝え好き”な女の子だったかも……(笑)。

ーーーイラストレーターになりたいという気持ちが芽生えたのはいつですか?
すげさわ:小学校高学年の頃です。雑誌『Lemon』の表紙や、占いページの挿絵を見て、イラストレーターという職業を知りました。そこからは、イラストレーターになるために、高校はデッサン教室や美大予備校で、その後は美術大学で学びました。

ーーーすごいですね。イラストレーターの道から一度もぶれることはなかったのでしょうか?
すげさわ:はい(笑)。もし仕事にならなくても、絵を描いたり、作品を作ったりすることをずっと続けられたらいいな、と思っていました。

ーーーそうなんですね、一途な想いが素敵です!

旅はスケッチブックと色鉛筆を携えて

ーーー美術大学卒業後はひとり旅へ行かれたんですね!
すげさわ:はい、ユーレイルパスを使ってヨーロッパ8か国を巡りました。スイス→オーストリア→ハンガリー→ベルギー→オランダ→ドイツ→デンマーク→スウェーデンの順に、35日間の鉄道の旅です。どの国も初めてで、見るものすべてが本当に新鮮でした! なかでもスイスのマイエンフェルト村ののどかな風景や、旅の最終地として訪れたスウェーデンのストックホルムの街並の美しさは、忘れられません。鉄道の移動中やユースホステルなどで、現地の人たちに、旅の絵日記を見てもらいながら旅の話ができたのも楽しかったです。

愛用のスケッチブックと色鉛筆
旅の絵日記

ーーーすごい、ノートの端から端までぎっしり! 絵日記は旅の行く先々でどんどん描き足していくんですか?
すげさわ:そうですよ。出かけるときは必ず、この月光荘画材店のスケッチブックと、10色くらい入った色鉛筆を持っていって、その場で描きます。今のインスタグラムみたいな感覚ですね。ひとり旅だから、旅先のことをちゃんと誰かに伝えたくて! ひとり旅が終わったあとは、この旅先で記録した絵日記をひとつにまとめて、手作りの冊子も作ったんです。雑貨屋さんで販売してもらっていました。

ひとり旅を終えたときに制作した冊子

ーーーこれは見応えありますね!
すげさわ:表紙は、旅先で集めたカードなどをコラージュして作りました。実は、この冊子を手にしてくれた出版社の方が、「本を作ってみませんか?」と電話をくれたんです。これが、私が初めて本を作ることになったきっかけで。でもなんと、電話がかかってきたタイミングは、もう一度パリへ行こうとしていた日の前日でした!

ーーー良かったです、まだぎりぎり日本にいるときで!
すげさわ:ね! パリへ行ってしまった後だったら、この電話を受けられなかったので、本当によかった! でも既に翌日には渡仏することが決まっていたので、渡仏してからは「せっかくお声かけてもらったのに、出版社に忘れられたら困る!」と、常に現地からパリの暮らしを新聞にまとめて送っていました。そして、本を作ることが決まった私は、毎日本の題材を集めて回りました。

定期的に出版社や家族と友人たちへ送っていた、パリの暮らしをまとめた新聞

ーーー海外からこんなに素敵な定期便が届くなんて……出版社の方がうらやましいです。8か国を巡ったあと、パリへ再び行こうと思った理由はなんだったんですか?
すげさわ:旅行者としてではなく、現地の人のような普通の暮らしをしてみたかったんです。パリは、移動遊園地や野外シネマ、見本市、アトリエ開放など、市民が楽しめるイベントが年中あちこちで行われているんですよ! マルシェで買い物したり、好きなときに美術館や公園に行ったり、蚤の市へ通ったり……語学学校に通いながら、毎日の暮らしを楽しみました。

ーーー刺激的なことがいっぱいですね。本の題材も自然と集まりそう。
すげさわ:そうですね、本の題材集めはパリの情報誌や新聞をよく見て、素敵そうだなと思う展覧会や蚤の市へよく足を運びました。街の壁にイラストを描くアーティストさんや、蚤の市で手作りの「カマンベール時計」を売る職人さんの作品が好きで、アトリエを訪ねてお話を聞いたりもしましたね。必死に伝えようとしたからか、真剣にいろいろ答えてくれました。帰国後に、著書や雑誌で、彼らのことを書いた記事を見せたら、とても喜んでくれましたよ。

ーーー本を作るという目的が決まっていたからこそ、充実した20か月間になったんですね。第2の転機ともなる、初めての本『パリで暮らしてみた』を出版されての反響はどうだったのでしょうか?
すげさわ:次の本の出版のお話やイラストのお仕事もいただけるようになり、世界が広がりました! 本の原画展もさせていただき、いろいろな方に見てもらえるきっかけにもなりました。『パリで暮らしてみた』はほとんどが手描きで、手作りのような本でした。毎日大好きなパリのことを考えながら書いたので本当に楽しかったです!

『パリで暮らしてみた』(大和書房)

旅するイラストレーター

ーーー『パリで暮らしてみた』をきっかけに、他の国についての本も書くことになったんですね。
すげさわ:はい、「旅をモチーフにイラストを描きたい」と方向が決まってからは、25か国以上を旅し、初めてひとり旅をしたときのように、行く先々で出会ったものをスケッチブックに描きました。今でも作品を作るときは、このスケッチブックを振り返って、どんなものを描くか決めたりします。民族衣装や民芸品、建物など、その国ならではのものに興味をもったのはこの頃からですかね。

スケッチブックに描いていたハイジの家を、サコッシュのイラストに

ーーー1番好きな民芸品や民族衣装はありますか?
すげさわ:ブルガリアの、ローズオイル入れの人形が好きです! また、バラ祭りでバラ摘みのおばあさん達が着ていた、花柄の刺繍の民族衣装も。スウェーデンのダーラナ馬も、木製で素朴なところがお気に入りで、自分のイラストにはよく登場します。

ダーラナ馬が描かれた新作のマスキングテープ

ーーーすげさわさんはこれからの“YEARS”やってみたいことはありますか?
すげさわ:世界の民族衣装や建物の、絵図鑑を作るのが夢かな? あと、北欧諸国の中でまだ訪れていないノルウェーを、いつか旅して作品にできたらいいな、と思います。雑貨は、各国をテーマにしたイラストを描いて、ハンカチやマスキングテープを制作しているので、もっといろいろな国の絵柄を増やして、シリーズ化していきたいです!

ーーーわあ、考えるだけでワクワクします!
すげさわ:スイスのハンカチや、スウェーデンのマスキングテープなど、新作は今回のもみじ市にもお持ちしますよ! このようなオリジナル雑貨が生まれたのも、手紙社・北島さんに声をかけていただき、出店を重ねてきた年月があったから。そんなもみじ市での“YEARS”で増えてきた、世界各国をテーマにした雑貨たちにぜひ会いに来てください。今年も参加希望者は事前予約制(9/25(水)よりお申し込み受付開始)といたしますが、毎年恒例の、イラストのオーダーメイドもお受けしていますので、ぜひ! 「お客さまとイラストをつなげること」は、もみじ市でしか実現できないことです。お客様とお話ししたり、作品を手にとっていただけたりすること、今年も楽しみにしています!

新作のハンカチ

ーーー2007年秋はもみじ市、春には花市があった頃から毎年出店しているすげさわさん。もみじ市での“YEARS”で増えてきた、世界各国をモチーフとしたアイテム。1か国ずつ増えるたび、行ったことのない私まで、旅した先が1つ増えるようで、心が満たされます。今年のもみじ市でも、また新しい国へ旅ができることを楽しみにしております!

《インタビューを終えて》
“伝え好き”なすげさわさんが描くイラストは、ただ可愛らしいだけでなく、目でしっかり見て描いたリアルな世界。旅の絵日記が描かれたスケッチブックにはイラストの横に細かなディテールや一言メモが書かれていました。どんな小さな発見も見逃さない探究心と、小さい頃から培ってきた伝える力が見て取れるスケッチブックは、すげさわさんそのもの。今年も来年も再来年も、河川敷でどんな旅の続きが聞けるか楽しみです。

(手紙社 永井里実)

【もみじ市当日の、すげさわ かよさんのブースイメージはこちら!】